投稿者: 実家じまいナビ編集部

  • 実家じまい完全ガイド|親の家をどうするか、その全部

    本ページはプロモーションを含みます


    最終更新:2026年8月15日


    結論だけ先に

    • 実家じまいには6つの期限がある。 3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年・3年10ヶ月・3年〜3年11ヶ月
    • 金額インパクトが最大なのは3,000万円特別控除。 逃すと最大609万円
    • 一度でも貸すと、その控除は使えなくなる。 貸す前に決める

    根拠と出典は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。

    この記事について

    親が施設に入った。あるいは、亡くなった。実家が残った。

    そこから始まるのが「実家じまい」です。相続手続き、名義変更、家財の片付け、そして売るか貸すか解体するかの判断。全部で20を超える工程があり、それぞれ別の場所に情報が散らばっています。

    相続の話は士業のサイトに。売却の話は不動産ポータルに。解体の話は解体業者のサイトに。補助金の話は自治体のサイトに。

    このページは、その全部を一本の道筋としてつないだものです。 上から順に読めば、何をいつまでにやればいいかが分かります。詳しい手順が必要なところには、個別の記事へのリンクを置いています。

    長いので、まずは次の「6つの期限」の表だけでも見ていってください。 ここを知らないまま数年過ごしてしまう人が、いちばん損をします。


    【最重要】実家じまいには、6つの期限があります

    期限 何の期限か 起算点 逃すとどうなるか
    3ヶ月 相続放棄・限定承認 自己のために相続の開始があったことを知った時 借金も含めて相続が確定する
    4ヶ月 準確定申告 相続の開始があったことを知った日の翌日 延滞税・加算税
    10ヶ月 相続税の申告・納付 被相続人が死亡したことを知った日の翌日 延滞税・加算税。小規模宅地等の特例も使えなくなる
    3年 相続登記の申請義務 その不動産の所有権を取得したことを知った日 10万円以下の過料
    3年〜3年11ヶ月 空き家の3,000万円特別控除 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日 譲渡所得税が最大609万円増える
    約3年10ヶ月 取得費加算の特例 相続の開始があった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日 相続税を取得費に加算できなくなる

    出典:民法915条/国税庁 No.2022・No.4102・No.3306・No.3267/法務省「相続登記の申請義務化について」

    実家じまいの6つの期限 3ヶ月 相続放棄・限定承認 4ヶ月 準確定申告 10ヶ月 相続税の申告・納付 3年 相続登記の義務(過料10万円以下) 3年〜3年11ヶ月 空き家の3,000万円特別控除 約3年10ヶ月 取得費加算の特例

    このうち、金額のインパクトが桁違いに大きいのが「3,000万円の特別控除」です。

    譲渡所得が3,000万円出るケースなら、税率20.315%で計算して609万4,500円。期限を1日過ぎるだけで、この額が消えます。

    そして厄介なのが、相続した月によって猶予が1年近く違うことです。

    相続開始日 売却の期限 実際の猶予
    2026年1月10日 2029年12月31日 約3年11ヶ月
    2026年12月20日 2029年12月31日 ちょうど3年

    「3年あるから大丈夫」と思っていると、年末に相続した人は間に合いません。

    相続した月で、猶予が1年近く違う 2026年1月10日に相続 47ヶ月 2026年12月20日に相続 36ヶ月 売却の期限はどちらも2029年12月31日

    → 相続した実家は売る・貸す・持ち続ける?損益分岐を年数で出す完全比較


    実家じまいの全体像

    親が亡くなる/施設に入る

    STEP 1 現状を把握する〜1ヶ月

    死亡届・保険・年金、遺言書の有無、相続人の確定、財産の洗い出し。

    実家を持ち続けると年間いくらかかるか

    STEP 2 相続するかどうかを決める〜3ヶ月・期限あり

    負債を調べて、単純承認・限定承認・相続放棄のどれかを選びます。

    相続放棄すべきかの判断基準

    STEP 3 税務手続き〜10ヶ月・期限あり

    準確定申告(4ヶ月)→ 遺産分割協議 → 相続税申告(10ヶ月)。

    この時期に「親が買ったときの契約書」を探す

    STEP 4 名義を変える〜3年・義務/過料あり

    相続登記。済ませていないと売ることも貸すこともできません。

    2027年3月31日に3つの期限が同時に来ます

    STEP 5 家財を片付ける

    遺品整理・不用品処分・仏壇・写真。

    捨ててはいけない書類(数百万円の差が出ます)

    STEP 7 実行する

    査定 → 媒介契約 → 販売活動 → 決済 → 確定申告。

    まず自分で相場を調べる
    不動産一括査定サイトを比べる
    売ったあとの譲渡所得税

    STEP 6が最大の分岐点ですが、STEP 1〜5を飛ばして先に進むことはできません。 名義が変わっていない不動産は売れないからです。


    STEP 1|現状を把握する(〜1ヶ月)

    やること

    • 死亡届の提出(7日以内)、火葬許可
    • 健康保険・年金の手続き
    • 遺言書があるか確認する
    • 相続人が誰かを確定する
    • 財産と負債を洗い出す

    遺言書があった場合

    自筆の遺言書が見つかったら、勝手に開封してはいけません。 家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。

    「遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、その『検認』を請求しなければなりません」
    出典:裁判所「遺言書の検認」

    日数の期限は定められておらず、「遅滞なく」とされています。

    ただし例外があります。 公正証書遺言と、法務局の自筆証書遺言書保管制度を使って保管されていた遺言書(遺言書情報証明書が交付されるもの)は、検認が不要です。

    相続人を確定する

    被相続人の出生から死亡までの戸籍を全部集めます。ここで想定外の相続人が出てくることがあります。 前婚の子、認知した子など。

    戸籍集めは実務上いちばん時間がかかる作業のひとつで、本籍地が何度も変わっている場合は数ヶ月かかることもあります。

    「法定相続情報一覧図」を作っておくと、その後の手続きが劇的に楽になります。 銀行、法務局、税務署に、戸籍の束を何度も出さずに済みます。無料で作れます。


    STEP 2|相続するかどうかを決める(〜3ヶ月)★期限あり

    3ヶ月の熟慮期間

    「相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない」
    民法915条1項

    この3ヶ月を過ぎると、自動的に「単純承認」——つまり、プラスの財産も借金も全部引き継ぐことが確定します。

    ただし、この期間は家庭裁判所に請求すれば伸長できます。 財産の調査が終わらない場合は、期限が来る前に伸長の申立てをしてください。

    実家が「負動産」だった場合

    地方の実家で、売れる見込みが薄く、解体費だけがかかる——そういうケースは実際にあります。

    選択肢は3つです。

    選択肢 内容 注意点
    相続放棄 一切を相続しない 預金や他の財産も放棄することになる。実家だけ放棄はできない
    限定承認 プラスの範囲でのみ負債を承継 相続人全員で申立てが必要。手続きが煩雑で利用は少ない
    相続土地国庫帰属制度 相続した土地を国に引き取ってもらう 建物があると不可(先に解体が必要)。負担金が原則20万円

    相続土地国庫帰属制度の実際

    2023年4月に始まった制度です。法務省の統計(令和8年6月30日時点の速報値)では、

    件数
    申請 5,698件
    帰属(国が引き取った) 2,885件
    却下 83件
    不承認 93件
    取下げ 1,063件

    出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」(速報値)

    却下・不承認は合わせて176件と少ない一方、取下げが1,063件と多いのが特徴です。相談の過程で「これは要件を満たさない」と分かって取り下げるケースが多いと推測されます。

    負担金は原則20万円(一部の土地は面積に応じて算定)。建物が建っていると申請できないため、先に解体する必要があります。 解体費が数百万円かかることを考えると、「タダで国が引き取ってくれる」制度ではありません。

    → 相続放棄すべきケース|実家が負動産だったときの判断基準


    片付けや解体にいくらかけるかを決める前に、売った場合にいくら戻るかを知っておいてください。戻る金額が分かって初めて、どこまで手をかける価値があるかが決まります。査定は無料で、出したあとに売らなくても費用はかかりません。

    先に場所を確認してください。不動産SHOPナカジツが受け付けられるのは愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本とその周辺だけです(全40店舗のうち39店舗がこの7県。同社の店舗一覧で確認/2026年8月19日)。それ以外の道府県にある実家は、申し込んでも査定は返ってきません。対象外の方は、ラクウルの買取査定のほうをご覧ください。

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    愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本の実家なら、もう1社あります

    不動産SHOPナカジツは、40店舗すべてを直営で運営している会社です。そのうち39店舗が、上の表の7県にあります(残る1店舗は東京都小平市ですが、査定の受付エリアに東京は入っていません)。ノムコムが対応していない岐阜・静岡・福岡・熊本と、名古屋市以外の愛知県は、こちらなら受け付けられます。仲介・買取・買取保証付き仲介・任意売却・リースバックの5つの売り方を自社で扱っているので、「囲い込まれても困らない売り方があるか」を、契約の前に1社の中で聞けます。

    申し込む前に、4つだけ確認してください。①対応しているのは上の表の市区町村とその周辺だけです。県が合っていても、店舗から遠い地域は受け付けられないことがあります。②申し込むと30日以内に電話またはメールで連絡が入り、物件の状況を聞かれます。所在地・築年数・間取りを答えられるようにしておくと早く終わります。③申し込めるのは名義人か、そのご親族だけです。相続した実家なら、相続人であるあなたが申し込めます。名義人と関係のない方からの問い合わせは受け付けられません。④売却を考えていない相談は対象外です。迷っている段階なら「まだ決めていませんが、金額を知りたい」と伝えてください。

    不動産SHOPナカジツに無料査定を依頼する(愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本)

    査定を出したあとは、媒介契約の種類を決める段階です。この記事で書いたレインズの登録証明書の確認と、仲介と買取の違いを、契約書に判を押す前に済ませておいてください。

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    国も引き取らない、放棄もできない。その前に、値段が付くかどうかを確かめる

    国庫帰属は建物があると申請できず、先に解体が要ります。放棄すれば実家以外の財産も失います。どちらを選ぶ前にも、「そもそも売れるのか、いくらなのか」という数字が要ります。値段が付くなら、この2つを検討する必要そのものが消えます。

    先に断っておきます。買取は、仲介で売れた場合より手取りが下がります。それでも見る価値があるのは、比較対象の数字が手に入るからです。運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許:国土交通大臣(1)第10311号)。同社は「個人情報の入力は不要、匿名のまま利用でき、営業電話もありません」という匿名のAI査定も公開しています(入力3項目・最短30秒/2026年6月20日 同社発表)。まだ売ると決めていない段階なら、まず匿名のほうで桁だけ確かめてください。ただし匿名で出るのは機械的な概算です。実際の金額を知るには、連絡先を入れて査定を申し込む必要があります(申し込めば担当者から連絡が来ます)。

    ラクウルで買取価格を出してもらう(無料)

    売ると決めてから調べるものではありません。決めるために調べるものです。年間の維持費は空き家の維持費を実額で積み上げた記事にまとめました。

    STEP 3|税務手続き(〜10ヶ月)★期限あり

    準確定申告(4ヶ月)

    亡くなった方に一定の所得があった場合、相続人が代わりに確定申告をします。

    • 期限:相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内
    • 必要になる主なケース:事業所得や不動産所得があった、給与2,000万円超、公的年金400万円超、医療費控除で還付を受けたい

    出典:国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」

    実家を人に貸していた場合は、ほぼ確実に必要になります。

    相続税の申告(10ヶ月)

    • 期限:被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内
    • 基礎控除:3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

    出典:国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」「No.4205 相続税の申告と納税」

    つまり、相続人が3人なら4,800万円まで相続税はかかりません。実家1軒と預金だけなら、申告不要のケースが多数です。

    ただし「特例を使うなら申告が必要」です

    小規模宅地等の特例を使うと、実家の敷地の評価額を330㎡まで80%減額できます。

    出典:国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」

    この特例は、実家じまいで一番金額が動きます。そして「よかれと思ってやること」で消えます。相続の前に解体する、施設入所後に貸す、申告期限より前に売る、相続税がゼロだからと申告しない——どれも使えなくなる行動です。→ 小規模宅地等の特例|実家を壊す・貸す・売る前に読んでくださいで、条文と政令を開いて整理しました。

    そして、相続税を払ったあとに実家を売るなら、もう一つ期限があります。払った相続税の一部を売却時の取得費に足せる制度で、期限は相続税の申告期限の翌日以後3年(通称3年10か月)。最初の10か月は「売るな」、そのあとの3年は「売れ」という順番になります。→ 取得費加算の特例|実家を売るなら「3年10か月」の中身を先に確認してくださいで、4つの期限を1つの表にまとめました。

    主な適用パターン:

    取得する人 要件
    配偶者 無条件
    同居していた親族 相続開始直前から申告期限まで居住継続、かつ申告期限まで保有
    別居の親族(家なき子特例) 被相続人に配偶者・同居親族がいない、過去3年間持ち家等に居住していない、など複数要件

    この特例を使った結果、相続税がゼロになる場合でも、申告そのものは必要です。 「税額ゼロだから申告しなくていい」と思って期限を過ぎ、特例が使えなくなるのは、実務でよくある失敗です。

    遺産分割協議

    相続人全員で、誰が何を相続するかを決めます。全員の同意が必要で、1人でも欠けると成立しません。

    不動産がある場合の分け方は4つ。

    方法 内容 向いている場合
    現物分割 そのまま誰か1人が取得 他の財産で調整できる
    代償分割 1人が取得し、他の相続人に金銭を払う 実家に住み続ける人がいる
    換価分割 売却して現金で分ける 誰も住まない実家。実家じまいではこれが最多
    共有分割 共有名義にする 原則おすすめしません(下記)

    共有名義は、問題を先送りするだけです

    「とりあえず兄弟で共有にしておこう」——これが後で最も揉めます。

    売却には共有者全員の同意が必要です。そして時間が経つと、共有者の1人が亡くなり、その配偶者や子が新たな共有者になります。5人を超えると、実務上ほぼ売却できなくなります。


    STEP 4|名義を変える(〜3年)★義務・過料あり

    相続登記は2024年から義務です

    • 期限:自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
    • 過料:正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下

    出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

    2024年4月1日より前の相続も対象です

    ここが最も見落とされています。

    「20年前に父が亡くなったとき、実家の名義を変えていなかった」——このケースも義務の対象で、期限は2027年3月31日です(不動産の取得を知った日が施行後の場合は、その日から3年とのいずれか遅い日)。

    祖父名義のまま何十年も放置されている不動産は、実は珍しくありません。そういう物件は相続人が10人以上に膨れ上がっていることもあり、解決に年単位かかります。 心当たりがあるなら、今日から動いてください。

    → 相続登記の義務化|3年以内にやるべきこと全手順

    自分でやるか、司法書士に頼むか

    自分でやる 司法書士に依頼
    費用 登録免許税のみ(固定資産税評価額 × 0.4%) 上記 + 報酬5〜15万円程度
    期間 1〜3ヶ月(戸籍集め含む) 1〜2ヶ月
    向いている場合 相続人が少なく、遺産分割が済んでいる 相続人が多い、数次相続、遠方の物件が複数

    シンプルなケースなら、自分でも十分できます。 法務局は事前相談を受け付けています。


    STEP 5|家財を片付ける

    どこから手をつけるか

    実家の片付けは、多くの人が想像の3倍時間がかかります。物量よりも、判断に時間がかかるからです。

    実務的には、この順番が最も早く終わります。

    1. 貴重品・重要書類を先に確保する(権利証、通帳、印鑑、保険証券、購入時の契約書)
    2. 明らかなゴミを出す(判断が要らないものから)
    3. 売れるものを分ける(家電、家具、着物、骨董)
    4. 迷うものは1箇所に集める(写真、手紙、思い出の品)
    5. 残りを業者に任せる

    4が最大の関門です。 ここで手が止まって、片付けが半年延びる。先に「迷うものボックス」を作って物理的に隔離してしまうのがコツです。

    購入時の契約書は、絶対に捨てないでください

    売却時の税金が数百万円変わります。

    取得費が不明な場合、売却代金の5%を取得費とみなすルール(概算取得費)があります。2,000万円で売れた家なら取得費100万円。実際には1,500万円で買っていたとしても、証明できなければ100万円扱いです。

    出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

    差額1,400万円が課税対象に加わり、税額で約284万円違います。

    片付けの最初に、権利証・売買契約書・領収書を探してください。


    STEP 6|出口を決める

    ここが実家じまいの本題です。選択肢は5つあります。

    選択肢 手元に残るもの 向いている場合
    売る 現金 遠方で管理できない/3,000万円控除が使える
    貸す 土地建物+家賃収入 賃貸需要があり、管理できる距離
    活用する(駐車場・アパート等) 土地+収益 立地が良く、初期投資ができる
    解体して更地にする 土地 建物が危険な状態/解体補助金が使える
    国に返す なし(負担金20万円) 売れる見込みがまったくない

    判断の前に、必ず確認すべき3点

    ① 3,000万円控除が使えるか(金額インパクト最大)

    「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」。譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。

    主な要件:

    • 家屋が昭和56年5月31日以前の建築
    • 相続の直前に被相続人が居住しており、他に居住者がいなかった
    • 相続時から譲渡時まで事業用・貸付用・居住用に供されていない
    • 売却代金1億円以下
    • 譲渡時に耐震基準を満たすか、家屋の全部を取り壊している
    • 期限:相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
    • 特例自体の適用期限:令和9年(2027年)12月31日までの譲渡

    出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

    ⚠️ 一度でも人に貸すと、この控除は使えなくなります

    「相続時から譲渡時まで貸付用に供されていないこと」が要件です。
    「とりあえず賃貸に出して、ダメなら売ろう」という順番は、609万円を捨ててから売ることになります。
    貸すか売るかは、貸す前に決めてください。

    2024年1月1日以後の譲渡では2つの改正が入りました。買主が譲渡後(翌年2月15日まで)に耐震改修または取壊しを行う場合も対象になった一方、相続人が3人以上の場合は控除額が1人2,000万円に下がりました。

    なお、取得費加算の特例とは併用できません(どちらかを選択)。

    → 空き家の3,000万円特別控除|要件チェックリストと判定ツール

    ② 売ったらいくらになるか

    「売る」と決めるためではなく、「売らない」と決めるためにも必要な数字です。

    査定額をそのまま信じないでください。東日本不動産流通機構の2026年1〜3月期の首都圏データでは、

    売り出し価格 成約価格 差
    中古マンション 6,398万円 5,492万円 −14.2%
    中古戸建 4,681万円 4,093万円 −12.6%

    出典:東日本不動産流通機構「季報Market Watch 2026年1〜3月期」

    査定額の85%前後を現実的な着地点として計画を立ててください。

    → 不動産一括査定サイト おすすめ比較ランキング

    ③ 解体費と補助金はいくらか

    解体費用は木造30坪で150万円前後、付帯工事を含めると190万円前後が目安です。

    そして市区町村の補助金が使える場合があります。 ただし金額の差が非常に大きい。

    自治体 上限額 補助率
    札幌市(通常型) 850万円 1/3
    岡山市(地域活性化除却) 200万円 4/5
    熊本市 40万円 計算式による
    北九州市 30万円 1/3以内

    出典:各自治体公式ページ(2026年8月14日確認)

    同じ日本で28倍の差があります。 そして注意点が3つ。

    1. 着工前に申請しないと1円も出ません
    2. 多くが先着順で年度途中に終わります(広島市は受付が年1回、5月中旬の2週間だけ)
    3. 相続登記が済んでいないと申請できない自治体が多数あります

    さらに——「空き家の解体補助金」という名前でなくても使える制度があります。 横浜市・千葉市・堺市などには空き家限定の制度がありませんが、耐震性が不足する住宅の除却補助が市内全域で使え、こちらは空き家であることを要件としていません。

    → あなたの市区町村の補助金を調べる(全国データベース)
    → 土地活用プラン一括請求サービス徹底比較


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    補助金を調べる前に、解体そのものがいくらかを知る

    補助金は着工前に申請、多くが先着順、相続登記が済んでいないと申請できない——と条件が重なります。そもそもの解体費が分からないと、補助金が効くのかどうかも判断できません。

    ①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
    ②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
    ③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
    ④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
    ⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
    ⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。

    解体の窓口で、無料シミュレーションを試す

    見積書のどこを見るかは、この記事の見積書の章に戻って確認してください。お住まいの自治体の制度を先に調べておくと、受付期間に間に合うかどうかも一緒に分かります。

    STEP 7|実行する

    売却の場合の流れです。遠方の実家でも、現地に行くのは実質1〜2回で済みます。

    順番 やること 期間の目安
    1 一括査定で3社以上に依頼 1週間
    2 訪問査定・根拠の確認 1〜2週間
    3 媒介契約(専任/専属専任/一般) 1日
    4 販売活動・内見対応 1〜6ヶ月
    5 売買契約 1日(現地1回)
    6 決済・引渡し 1日(司法書士立会)
    7 翌年3月15日までに確定申告 —

    7を忘れる人がいます。 3,000万円控除を使う場合、申告しなければ適用されません。 税額ゼロでも申告が必要です。


    つまずきやすい5つの場面

    ① とりあえず賃貸に出して、3,000万円控除を失う

    最も金額の大きい失敗です。 数ヶ月でも貸すと権利が消えます。最大609万円。

    ② 共有名義にして、10年後に売れなくなる

    相続人の1人が亡くなるたびに共有者が増えます。5人を超えると実務上売却困難。

    ③ 購入時の契約書を捨ててしまう

    取得費が証明できず、概算取得費5%が適用されます。2,000万円の売却で税額が約284万円変わることも。

    ④ 解体してから補助金を申請する

    ほぼすべての自治体で「交付決定前の着工は対象外」。1円も出ません。

    ⑤ 「3年あるから」と思って、年末相続の3年を見落とす

    期限は「相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日」。12月に相続した人の猶予はちょうど3年です。


    よくある質問

    ここは「調べ方まで書く」ことにしています。結論だけ言われても動けないことのほうが、実際には多いからです。

    Q. まず何から始めればいいですか?

    A. 今日できるのは3つだけです。どれも家から出ずにできます。

    調べること どうやって 費用と時間
    ①相続がいつ始まったか 亡くなった日です。除籍謄本か、死亡届の控えで確認できます 0円・5分
    ②家屋がいつ建ったか 毎年4〜6月に届く固定資産税の課税明細書に、構造・床面積・建築年が載っています。見当たらなければ登記事項証明書で分かります 0円・10分
    ③相続登記が済んでいるか 登記事項証明書の権利部(甲区)を見て、所有者が親のままかを確認します オンライン請求・郵送受取で520円

    登記事項証明書は法務省の「登記・供託オンライン申請システム」から請求できます。全国どこの物件でも、どこからでも取れます。他人の名義の不動産でも誰でも取得できるので、「相続人であることの証明」は要りません。

    この3つが分かると、あなたに残された時間と、使える制度が決まります。②が昭和56年5月31日以前なら、3,000万円特別控除の対象になりうる家です。③がまだなら、相続登記を先に済ませないと売ることも貸すこともできません。

    3つの数字を入れて、控除が使えるか判定する

    Q. 気持ちの整理がつかず、動けません。

    A. 決断は急がなくて大丈夫です。急ぐ必要があるのは「調べること」だけです。そして調べることは、実家を手放す決心とは関係なく進められます。

    気持ちが重いときは、お金がかからず、誰にも会わなくていい順にやってください。この順番なら、途中でやめても何も失いません。

    やること 費用 人に会うか
    1 固定資産税の課税明細書を探す 0円 会わない
    2 登記事項証明書をオンラインで取る 520円 会わない
    3 公的なデータで相場を自分で調べる 0円 会わない
    4 解体費を試算する/税額を試算する 0円 会わない
    5 ここではじめて、査定を1社に頼むか考える 0円 会う(電話・メールのみも可)

    1〜4までは、誰とも話さずに終わります。それでも、売ったらいくらか・持ち続けるといくらかかるか・税金はいくらか、の見当がつきます。数字が手元にあると、気持ちが整った瞬間にすぐ動けます。なにも持たずに整うのを待つと、そこからさらに数ヶ月かかります。

    それと、ひとつだけ先にお願いがあります。片付けを始める前に、親の売買契約書とローンの書類だけは探して確保してください。これが無いと税額が数百万円変わります。理由は相続した実家の取得費が分からないに書きました。

    Q. 費用は全部でいくらかかりますか?

    A. 目安は下の表のとおりです(地域・規模で大きく変わります)。ただし金額そのものより、「いつ払うか」のほうが重要です。

    項目 目安 いつ払うか
    相続登記(司法書士報酬) 5〜15万円 手続き時
    登録免許税 固定資産税評価額 × 0.4% 登記申請時
    遺品整理 15〜60万円(間取りによる) 売る前・先払い
    解体 150〜250万円(木造30坪+付帯) 売る前・先払い
    仲介手数料 売却価格 × 3% + 6万円 + 消費税 決済時(売却代金から)
    譲渡所得税 課税譲渡所得 × 20.315%(長期の場合) 翌年の確定申告

    手元の現金が要るのは、遺品整理と解体だけです。ほかは売却代金から引かれるか、売れたあとに払います。つまり「先に出ていくお金」をどう抑えるかが、資金繰りの全部です。

    その2つには、どちらにも下げる手があります。

    • 解体費は補助金で下がることがあります。ただし契約・着工の前に申請しないとほぼ認められません。順番を間違えると補助はゼロです
    • 更地にしてから売るとは限りません。古家付きのまま売ったほうが手取りが多くなる場合があります

    自分の市に解体補助金があるか調べる(全国501自治体)解体費を幅で試算する古家付きで売るか、更地にするか

    Q. 兄弟と意見が合いません。

    A. まず知っておいてほしいのは、時間が経つほど確実に不利になるということです。相続人が亡くなれば、その子どもが相続人に加わって関係者が増えます。控除の期限も、相続登記の期限も、待ってはくれません。

    そのうえで、順番があります。いきなり話し合いに行かないでください。

    ステップ1:数字を1枚にまとめて、先に共有する

    感情の対立に見えるものが、実は「いくらになるのか誰も知らない」ことによる不安である、というケースはとても多いです。「売りたい」「残したい」の対立は、金額が分からないうちは、ただの立場の表明にしかなりません。

    共有するのは、この3つの数字だけで足ります。

    共有する数字 調べ方
    ①売ったら、いくらになるか 公的な成約データで自分で調べる。査定を頼む前にできます
    ②持ち続けると、毎年いくらかかるか 固定資産税・保険・管理費を積み上げる。「実家を残す」の値札がここで見えます
    ③税金はいくらか、期限はいつか 判定ツールで試算する。期限を過ぎると失う金額が出るので、話が具体的になります

    この3つを、意見を言わずに、数字だけ送ってください。「どうするか」ではなく「こうなっているらしい」から始めると、話が進みやすくなります。

    ステップ2:選択肢を並べて、金額で比べる

    売る・貸す・持ち続けるを10年の手取りで比較したものが売る・貸す・持ち続けるを、金額で比べるにあります。「誰かの意見」ではなく「共通の資料」を真ん中に置くのが目的です。

    ステップ3:それでもまとまらないときは、遺産分割調停

    裁判と聞くと身構えますが、調停は話し合いの場です。裁判官と調停委員が間に入って、当事者が直接やり合わずに済むようにする手続きです。弁護士を立てなくても、自分で申し立てられます。

    どこに申し立てるか 相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定める家庭裁判所
    費用 被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手(郵便料は裁判所ごとに異なるので、申立先に確認します)
    主な必要書類 申立書1通とその写しを相手方の人数分/被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本/相続人全員の戸籍謄本/相続人全員の住民票または戸籍附票/遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書など)

    出典:裁判所「遺産分割調停」(2026年8月16日確認)。申立書の書式と記載例は、裁判所のウェブサイトからダウンロードできます。

    費用が1,200円と切手だけ、というのは知っておく価値があります。「調停なんて大げさだし、お金もかかる」と思って何年も止まっている家は、めずらしくありません。

    やってはいけないこと:とりあえず共有名義にする

    これがいちばん多い失敗です。共有にすると、売るにも貸すにも全員の同意が必要になります。そして次の相続が起きるたびに、共有者はねずみ算式に増えます。「今は決められないから、とりあえず共有」は、問題を先送りしているのではなく、解決を不可能に近づけています。

    それから、相続登記は2027年3月31日という期限があり、義務です。話し合いがまとまらなくても、期限は来ます。まとまらない場合の逃げ道(相続人申告登記)も含めて相続登記の義務化にまとめています。

    Q. 実家が遠くて、何度も行けません。

    A. 結論から言うと、現地に行く必要があるのは実質1〜2回です。ただ「オンラインでできます」だけでは動けないと思うので、工程ごとに分けて書きます。

    工程 現地に行く必要 遠隔でやる方法
    登記事項証明書を取る 不要 法務省の「登記・供託オンライン申請システム」で請求。全国どこの物件でも取れます。郵送受取520円、法務局の窓口受取490円
    相続登記 不要 同じシステムでオンライン申請できます(申請の受付は平日8:30〜17:15)。戸籍などの紙の添付書類は、登記所に郵送や持参で提出します(特例方式)。郵送だけで申請することもできます。司法書士に頼む場合も、オンライン申請なので近所の司法書士が遠方の物件を扱えます
    固定資産税の情報を知る 不要 課税明細書が毎年届きます。見当たらない場合は、物件のある市区町村の資産税担当課に郵送で請求できることが多いです(名寄帳・評価証明書)
    相場を調べる 不要 公的なデータで自分で調べられます
    査定を取る 不要 机上査定(簡易査定)はオンラインで完結します。訪問査定も、鍵を預けて立ち会わずに行ってもらうことができます
    内見の対応 不要 不動産会社に鍵を預けるか、キーボックスを設置します。媒介契約のときに「立ち会えない」と伝えておけば、そのように段取りしてもらえます
    片付け 1回は行ったほうがいい 業者に任せられますが、書類と写真だけは自分の目で探してください。売買契約書が見つかるかどうかで税額が数百万円変わります
    売買契約・決済 1回 売主・買主が別々に署名する「持ち回り契約」という方法もあります。ただし決済では司法書士が本人確認をするので、本人が出るのがいちばん確実です。事前に不動産会社へ相談してください

    出典:法務省「不動産登記の電子申請(オンライン申請)について」、盛岡地方法務局「主な手数料一覧【令和7年4月1日〜】」(いずれも2026年8月16日確認)。固定資産税関係の郵送請求の可否と手数料は市区町村によって異なります

    遠方ならではの落とし穴が2つあります。

    遠方の実家は、行けないことより「行けないから決められない」と止まってしまうことのほうがずっと高くつきます。ここまで見たとおり、決めるための材料は、行かなくてもほぼ全部そろいます。

    持ち続けると年間いくらかかるかまず売却価格の目安を知る

    【PR】タウンライフ

    売る・貸す・持ち続ける。3つ目まで数字で並べておく

    持ち続けた場合の年額と、売った場合の目安は、ここまでで調べられます。残っているのは「貸す・活用する」の数字だけです。3つ並べて初めて、どれが一番マシかが決まります。

    ①一括で複数社に依頼する形です。1社だけ選ぶと提案書は届きません。成果条件がそう決められています。
    ②地域や物件の条件によっては、提案できる会社が見つからないことがあります。その場合は提案書が届きません。
    ③届くのは「提案書」であって、売れる価格でも確定した金額でもありません。
    ④申し込むと、各社から連絡が入ります。連絡の受け方を先に決めておいてください。
    ⑤すでに方針が決まっているなら、請求しなくてかまいません。迷っている段階の材料です。

    複数社にまとめて空き家の提案書を請求する(無料)

    壊す場合の費用は実家の解体費用と全国の解体補助金一覧で、税金の側は空き家の3,000万円特別控除で確認できます。持ち続ける場合の年額は空き家の維持費にまとめました。

    まとめ

    1. 実家じまいには6つの期限がある。 3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月・3年・3年10ヶ月・3年〜3年11ヶ月
    2. 金額インパクトが最大なのは3,000万円特別控除。 逃すと最大609万円
    3. 一度でも貸すと、その控除は使えなくなる。 貸す前に決める
    4. 相続登記は義務。 2024年4月1日より前の相続も対象で、期限は2027年3月31日
    5. 購入時の契約書を捨てない。 税額が数百万円変わる
    6. 補助金は着工前申請。 自治体で最大28倍の差
    7. 判断は急がなくていい。判断材料を集めるのは今すぐ

    この記事の各パートを、詳しく読む

    ここから先は、判断のひとつひとつを掘り下げた記事です。全部読む必要はありません。いまの自分に関係のある見出しだけ開いてください。

    相続手続き(まず名義を自分にする)

    空き家の管理(決まるまで、どう持つか)

    片付け・遺品整理(家財を出す)

    • 遺品整理の費用と、業者の選び方
      国が集めた見積書75例の金額分布。調査対象69社のうち35社が、家庭ごみを運ぶ許可を持っていませんでした。
    • 仏壇じまいの費用と手順
      粗大ごみで出せる市と、受け付けない市があります。残したまま解体すると、処分の責任は所有者に残ります。
    • 実家の片付けの手順
      粗大ごみの手数料は自治体で6倍以上ちがいます。10市の実額表と、環境省が示す無許可業者の見分け方。

    売る

    貸す・活用する

    解体する