実家の土地が生産緑地だったら|親の死亡なら、30年を待たずに買取り申出ができます

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相続した実家の敷地に、畑が付いていた。登記を見たら地目が「田」で、市役所に聞いたら「生産緑地地区です」と言われた。

ここで多くの人が「30年経たないと何もできない」と説明されます。それは半分だけ正しい説明です。生産緑地法10条1項は、買取りの申出ができる場合を2つ書いています。ひとつは告示から30年の経過。もうひとつが「主たる従事者の死亡」です。つまり親が亡くなったこと自体が、30年を待たずに動かせる理由になります。

ただし、動かせば失うものもあります。固定資産税は農地課税から宅地並み課税に変わり、相続税の納税猶予は次の代で受けられなくなります。この記事は、生産緑地法・租税特別措置法・地方税法と、国土交通省・農林水産省・財務省・自治体の公表資料だけで、その損得を組み立てます。

最終更新:2026年8月25日

結論だけ先に

  • ★主たる従事者が亡くなったなら、30年を待たずに買取り申出ができます。生産緑地法10条1項の事由は「告示から30年経過」だけではありません。特定生産緑地に指定済みでも同じです(国土交通省「特定生産緑地指定の手引き」)。
  • 申出を出しても、市町村はまず買いません。1か月以内に買うか買わないかの通知、2か月のあっせん、そして申出から3か月以内に所有権の移転が成立しなければ、行為制限が外れます(生産緑地法14条)。ここから宅地として使えます。
  • ★特定生産緑地の指定は、申出基準日までしかできません。1日でも過ぎたら二度と指定できません(生産緑地法10条の2第2項)。全国では面積ベースで89.0%が指定済み、1,060haが指定しない選択をしています。
  • 指定しなかった場合、いま受けている納税猶予は続きます。ただし次の相続人は納税猶予を受けられません。国土交通省の手引きにそう書いてあります。損得が出るのは自分の代ではなく、子の代です。

この記事は生産緑地法・地方税法・租税特別措置法と、国土交通省・農林水産省・財務省・都県市の公表資料だけで書いています。当サイトに税理士も行政書士もいません。実際の可否と税額は、必ず市町村の都市計画担当課・農業委員会・税理士にご確認ください。条文の逐語が取れなかったものは、記事末尾に全部並べてあります。

1. 生産緑地とは、何を差し出して何をもらう仕組みか

生産緑地は、市街化区域の中にある農地を、農地のまま残すための都市計画です。根拠は生産緑地法(昭和四十九年法律第六十八号)で、平成3年に全面的に改められ、平成29年の改正で「特定生産緑地」が加わりました。

市街化区域は本来「おおむね10年以内に市街化を図る区域」です。そこに農地を残すのだから、所有者には制限がかかり、代わりに税制上の扱いが変わります。制限と見返りがセットになった仕組みだ、と理解すると全体が読めます。

生産緑地 生産緑地でない市街化区域内農地
建物を建てる 原則できない(市町村長の許可が要る) できる
管理の義務 農地等として管理する義務がある なし
固定資産税 農地評価・農地課税 宅地並評価
相続税の納税猶予 使える(終身営農が条件) 三大都市圏特定市では使えない
国土交通省「生産緑地制度について」および農林水産省「農地の保有に対する税金(固定資産税)」から作成

指定の要件は500㎡。条例で300㎡まで下げられます

国土交通省が内閣府に提出した資料は、指定要件を条番号つきで「公共施設等の敷地として適する・500㎡以上・農林漁業の継続が可能 等」(法第3条第1項)、「土地所有者等の同意が必要」(法第3条第2項)と説明しています。

平成29年の改正で、この面積要件は条例で300㎡まで引き下げられるようになりました。実際にどれだけ使われているかというと、令和7年12月末現在、生産緑地を持つ240都市のうち147都市(6割)が引下げ条例を制定し、制定した都市はすべて300㎡まで下げています。

出典:国土交通省「生産緑地制度の概要」/「生産緑地法等の改正について」/「生産緑地地区の面積要件引下げ条例制定状況」

課される義務——農地として管理し、勝手に建てられない

同じ資料が、法第7条を「農地等としての管理」(管理の義務)、法第8条第1項を「建築等の行為制限」、法第8条第2項を「許可できる施設の範囲」と整理しています。

平成29年の改正では、この8条関係の制限が緩められ、農産物の加工施設・直売所・農家レストランの設置が可能になりました。ただしこれは「農業を続ける前提での緩和」であって、住宅やアパートを建てられるようになったわけではありません。

もらえるもの——農地課税と、相続税の納税猶予

見返りは2つです。国土交通省の資料は「固定資産税が農地課税(生産緑地以外は宅地並み課税)」「相続税の納税猶予制度が適用」と書いています。農林水産省の資料も「農地評価・農地課税」「終身営農を条件に納税猶予の適用」と同じ整理です。

この2つが、生産緑地を持ち続ける理由のほぼすべてです。逆に言えば、この2つを手放してよいなら、生産緑地を続ける理由はありません。

出典:国土交通省「生産緑地制度について」/農林水産省「都市農地に係る土地利用計画制度について」

2. 相続が起きたら、30年を待たずに買取り申出ができます

ここがこの記事の核心です。

生産緑地法10条は、買取りの申出ができる場合を定めています。船橋市が条文を引用している部分はこうです。

生産緑地所有者は、当該生産緑地に係る生産緑地地区に関する都市計画についての都市計画法第20条第1項の規定による告示の日から起算して30年を経過する日以後において

この「30年」が、いわゆる2022年問題の正体です。平成4年(1992年)に指定が集中したため、その30年後にあたる2022年に一斉に申出可能時期が来ました。国土交通省によれば、平成4年に定められた生産緑地は全生産緑地面積の約8割、9,273haに相当します。

もうひとつの事由——主たる従事者の死亡・故障

ところが10条1項の事由は30年経過だけではありません。船橋市の同じ資料は条文の引用に続けて「また死亡や故障の場合も申出可能です」と書いています。岸和田市の資料はもっと踏み込んでいて、特定生産緑地に指定した場合の買取り申出事由を「主たる従事者の死亡又は農林漁業に従事することを不可能にさせる故障に至った場合のみです」としています。

国土交通省の「特定生産緑地指定の手引き」も、「相続の発生等により、特定生産緑地指定中であってもいつでも買取り申出が可能」としています。

つまり、親が主たる従事者だったなら、その死亡そのものが買取り申出の理由になります。指定から30年経っているかどうかも、特定生産緑地に指定済みかどうかも関係ありません。

「主たる従事者」は農業委員会が証明します

誰が主たる従事者だったかは、自己申告では決まりません。京都市の処理基準は、根拠を生産緑地法第10条および生産緑地法施行規則第2条とし、「農地基本台帳に登載されている従事者及びその従事日数等を参考に、農業の主たる従事者等に該当するか否かについて判断するもの」と定めています。窓口は市町村の農業委員会です。

親が高齢で、実際には別の家族が耕していた場合、親が「主たる従事者」と認められないことがあります。ここは市町村ごとの運用差が出るところなので、亡くなった直後に農業委員会へ確認してください。

「故障」とは何か

死亡していなくても、農業を続けられない状態になれば申出ができます。横浜市は「故障」を「農業を続けられないような重度の障害や1年以上の期間を要する入院など」と説明しています。ただし、これは横浜市の運用上の説明であって、法令上の定義ではありません。親が施設に入った、というだけで当てはまるとは限りません。

出典:船橋市「生産緑地の行為制限の解除について」/岸和田市/横浜市/京都市/国土交通省報道発表

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解除したあと、その土地に何ができるかを先に見ておく

買取り申出をすると、3か月後には行為制限が外れます。外れた時点から固定資産税は宅地並みです。先に「何をいくらで作れるか」を数字で持っていないと、税金だけが先に来ます。複数社の提案を並べると、同じ土地でも前提の置き方で金額が変わることが見えます。

提案書の数字は、その会社が「そう置いた前提」です。空室率・稼働率・修繕費の置き方は会社ごとに違います。生産緑地は解除しないと建てられないので、解除を決める前に取り寄せて比べるのが順番です。申込後に電話が来ます。

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当サイトは提案内容の妥当性を保証しません。数字の前提は必ずご自身で確認してください。

3. 買取り申出を出すと、何が起きるか

「買取りの申出」という名前ですが、実際に市町村が買うことはほとんどありません。手続の実態は「3か月かけて行為制限を外す手続」です。

時期 何が起きるか
申出 市町村長に買取りの申出をする(農業委員会の証明が必要)
1か月以内 市町村が買い取るか買い取らないかを通知する
2か月 買い取らない場合、農林漁業を希望する人へのあっせんが行われる
申出から3か月 所有権の移転が成立しなければ、行為制限が外れる
国土交通省資料およびさいたま市・京都市・横浜市の公表フローから作成

3か月で外れる、と条文に書いてあります

生産緑地法14条の文言はこうです。

申出があつた場合において、その申出の日から起算して3月以内に当該生産緑地の所有権の移転が行われなかつたときは(行為の制限の規定は適用されない)

さいたま市はこの流れを「買取申出日から1ヶ月以内に市で買取るか否かを買取申出者あてに回答」「農業委員会にて2ヶ月間のあっせん」「3ヶ月後(市1ヶ月間、農業委員会2ヶ月間)、生産緑地の行為制限解除」と説明しています。京都市・横浜市も「申出日から3か月以内」にあっせんが不成立なら「開発行為の制限が解除され転用可能」としています。

3か月というのは、行政手続としてはかなり短い部類です。相続税の申告期限が10か月であることを考えると、申告の前に結論が出せる長さです。

出典:さいたま市/船橋市(前掲)/横浜市(前掲)

4. 行為制限が外れると、固定資産税はこう変わります

ここが、この判断でいちばん大きい金額です。

農林水産省の資料によれば、市街化区域内の農地は課税上3つに分かれます。生産緑地は「一般農地と同様の農地評価」、それ以外の三大都市圏特定市の農地は「宅地並評価+宅地の負担調整」です。行為制限が外れると、後者に移ります。

移った直後にいきなり満額になるわけではなく、初年度0.2・2年度0.4・3年度0.6・4年度0.8という軽減率が掛かり、5年目から本則になります。

奈良市の公式試算で見ると

奈良市が同じ条件で並べた試算を公表しています。前提は、面積500㎡・一般農地評価100円/㎡・固定資産税路線価50,000円/㎡・造成費6,200円/㎡・固定資産税1.4%・都市計画税0.25%、形状補正なし・負担水準を考慮せず本則で算出したものです。

ケース 年税額(固定資産税+都市計画税)
特定生産緑地のまま 825円
指定されなかった場合 初年度(0.2) 27,740円
2年目(0.4) 55,480円
3年目(0.6) 83,220円
4年目(0.8) 110,960円
5年目以降(本則) 138,700円
奈良市「農地課税と宅地並み課税との違いについて(令和3年度版)」の試算例。上記の前提条件つきの数字です

この条件では年825円が5年目に138,700円になります。ただしこれは奈良市が示した特定の前提での試算であって、全国一律の倍率ではありません。路線価が違えば金額は変わりますし、面積が違えば当然変わります。ご自身の土地で知りたいときは、固定資産税の課税明細書に載っている「価格」と、市町村の窓口で聞ける近傍宅地の路線価を使って計算してください。

出典:奈良市/農林水産省「農地の保有に対する税金(固定資産税)」/静岡市

5. 特定生産緑地——申出基準日を過ぎたら、二度と指定できません

解除ではなく「続ける」を選ぶ場合の話です。

申出基準日とは、生産緑地地区の都市計画決定の告示の日から30年が経過する日のことです。1992年4月1日に告示された地区なら、申出基準日は2022年4月1日になります。

10条の2第2項の文言

国土交通省「特定生産緑地指定の手引き(令和8年4月版)」が引用している条文はこうです。

指定は、申出基準日までに行うものとし、その指定の期限は、当該申出基準日から起算して十年を経過する日とする。

同じ手引きの17ページには「申出基準日以後は特定生産緑地として指定できない」と明記されています。1日でも過ぎたら、その土地は二度と特定生産緑地になれません。期限の延長も、後からの申請もありません。

指定できれば、10条の3により10年ごとに繰り返し延長できます。所有者側から指定を提案する制度(10条の4)もあります。

全国では89.0%が指定済み。1,060haが「しない」を選んだ

時点 対象面積 指定済み 指定率 未指定
令和4年12月末
(平成4年決定分)
9,273ha 8,282ha 89.3% 991ha
令和7年12月末
(平成4〜7年決定分・累計)
9,617ha 8,557ha 89.0% 1,060ha
国土交通省「特定生産緑地指定状況(累計)」ほか。面積ベースの数字です

9割が指定した、という事実は「みんな続けている」とも読めますが、1割は続けないことを選んだとも読めます。続けるか続けないかは、農業を続ける人がいるかどうかで決まります。相続で継ぐ人が農業をしないなら、指定しても終身営農の条件を満たせません。

参考までに、令和7年12月31日現在の生産緑地地区は全国52,955地区・10,612.77haです。都府県別では東京10,158地区・2,676.21ha、大阪8,576地区・1,661.08ha、埼玉6,084地区・1,397.09ha、愛知6,219地区・758.06haと続きます。

★指定しないと、次の相続人は納税猶予を受けられません

ここが、この記事でいちばん大事なところです。国土交通省の手引きの記述をそのまま並べます。

特定生産緑地に指定する 指定しない
買取り申出 10年後まで先送り(死亡・故障ならいつでも可) いつでも可能
固定資産税 農地課税のまま 宅地並み課税(4年間の激変緩和あり)
相続税の納税猶予 終身営農で免除。次世代も適用対象 現在受けている者に限り継続。次の相続人は適用されない
国土交通省「特定生産緑地指定の手引き(令和8年4月版)」および岸和田市の資料から作成

いま納税猶予を受けている人は、指定しなくても猶予が消えるわけではありません。手引きは「現在納税猶予の適用を受けている者に限り猶予が継続されますが、次の相続人については納税猶予が適用されません」と書いています。

つまり損をするのは自分ではなく、子です。いま指定しない判断をすると、その効果は次の相続まで表に出ません。子が農業を継ぐ可能性が少しでもあるなら、指定しておくほうが選択肢は広く残ります。指定しても、死亡・故障ならいつでも買取り申出ができるからです。

出典:国土交通省「特定生産緑地指定の手引き(令和8年4月版)」/「特定生産緑地指定状況(累計)」/「生産緑地地区の都市計画決定状況(R7.12.31現在)」/岸和田市(前掲)

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査定額は売れる価格ではありません。媒介契約を取るために高めに出す会社があります。また生産緑地は、買取り申出をして行為制限が外れるまで宅地として売れません。順番を間違えないでください。

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6. 相続税の納税猶予は、生産緑地では「終身営農」です

農地の相続税の納税猶予は、租税特別措置法70条の6が根拠です。財務省の資料で、免除される場合と打ち切られる場合を確認できます。

  • 免除——相続人の死亡時、または相続税の申告期限から20年を経過した場合等。ただし20年での免除は「生産緑地を除く」三大都市圏特定市の市街化区域内農地が対象です。生産緑地は終身営農が原則になります。
  • 打ち切り——20%を超える農地を譲渡等した場合、または農業経営を廃止した場合。このとき猶予税額の全額と利子税を納付することになります。
  • 例外——農地中間管理事業のための一定の貸付け、認定都市農地貸付け等は打ち切りの対象外です。

貸しても猶予が続く道がある

「自分では耕せないが、猶予は続けたい」という場合、都市農地の貸借の円滑化に関する法律(平成30年9月1日施行)があります。農林水産省の資料は「農地の相続税納税猶予の適用を受けている都市農地について、本法律により認定を受けた事業計画に基づく貸付けを行っても納税猶予が継続する」としています。

ここでいう「都市農地」は「生産緑地法第3条第1項の規定により定められた生産緑地地区の区域内の農地」と定義されています。つまり生産緑地であることが、この制度を使う条件です。解除してしまうと、この道も閉じます。

出典:財務省「農地に係る相続税の納税猶予の特例の概要」/農林水産省「都市農地の貸借の円滑化に関する法律の概要」

7. やってはいけないこと

  • 申出基準日を確かめないまま放置する。過ぎたら特定生産緑地には二度と指定できません。告示日は市町村の都市計画担当課で確認できます。相続が起きたら最初にここへ行ってください。
  • 「相続したから自動で解除された」と思い込む。相続は買取り申出ができる理由になるだけで、申出をしなければ生産緑地のままです。行為制限も管理義務も続きます。
  • 納税猶予を受けたまま、20%を超える面積を売る。猶予税額の全額と利子税が来ます。売る前に必ず税理士に確認してください。
  • 解除してから使い道を考える。行為制限が外れた時点で宅地並み課税のカウントが始まります。使い道を決めてから申出を出す順番にしてください。
  • 親が主たる従事者だったと決めつける。認定するのは農業委員会です。実際に耕していたのが別の家族なら、認められないことがあります。

8. 動く順番

  1. 市町村の都市計画担当課で、告示日と申出基準日を確認する。特定生産緑地に指定済みかどうかも同時に聞きます。
  2. 農業委員会で、亡くなった人が「主たる従事者」に当たるかを確認する。買取り申出には証明が要ります。
  3. 納税猶予を受けているかどうかを、申告書と納税通知で確認する。受けているなら、動かす前に税理士へ。
  4. 続けるなら、申出基準日までに特定生産緑地の指定を受ける。ここに期限があります。
  5. やめるなら、使い道を決めてから買取り申出を出す。3か月後に行為制限が外れ、その時点から宅地並み課税です。

よくある質問

Q. 相続してすぐ売りたいのですが、生産緑地のまま売れますか?

農地として売ることはできますが、宅地としては売れません。行為制限が外れていない土地は建物が建てられないので、買い手は農業をする人に限られます。宅地として売るなら、買取り申出をして3か月待ち、行為制限が外れてからになります(生産緑地法14条)。農地の売買には農業委員会の許可が別に必要な点にも注意してください。

Q. 30年経っていないので何もできない、と言われました

主たる従事者が亡くなっているなら、それは正確ではありません。生産緑地法10条1項は「告示から30年経過」と「主たる従事者の死亡・故障」の両方を買取り申出の事由にしています。国土交通省の手引きも「相続の発生等により、特定生産緑地指定中であってもいつでも買取り申出が可能」としています。窓口でこの点を確認してください。

Q. 特定生産緑地に指定しないと、すぐ税金が上がりますか?

すぐ満額にはなりません。初年度0.2、2年度0.4、3年度0.6、4年度0.8の軽減率が掛かり、5年目から本則になります。ただし上がること自体は避けられません。奈良市の試算例では、その条件で年825円が5年目に138,700円でした。

Q. 指定しなければ、いま受けている納税猶予も打ち切られますか?

打ち切られません。国土交通省の手引きは「現在納税猶予の適用を受けている者に限り猶予が継続されます」としています。影響が出るのは次の相続からです。次の相続人は納税猶予を受けられません。

Q. 申出を出したら、市町村は買ってくれますか?

実際に買い取られる例は多くありません。手続としては1か月以内に買うか買わないかの通知が来て、買わない場合は2か月のあっせんに進みます。国が引き取る制度とも別の仕組みです。買われることを前提に計画を立てないでください。

Q. 相続税の申告期限までに間に合いますか?

手続の長さだけを見れば間に合います。買取り申出から行為制限の解除まで3か月、相続税の申告期限は10か月です。ただし納税猶予を受けるかどうかの判断と、申出を出すかどうかの判断は連動します。そもそも相続税がかかるのかを先に確かめてから、順番を決めてください。

まとめ

  • 主たる従事者の死亡は、30年を待たずに買取り申出ができる理由です(生産緑地法10条1項)。特定生産緑地に指定済みでも同じです。
  • 申出から3か月で行為制限が外れます(同法14条)。市町村が買うことはほとんどありません。
  • 外れた時点から宅地並み課税です。4年間の軽減率のあと本則になります。奈良市の試算例では825円→138,700円でした(前提条件つき)。
  • 特定生産緑地の指定は申出基準日まで。過ぎたら二度と指定できません(同法10条の2第2項)。
  • ★指定しない判断の代償を払うのは、自分ではなく子です。次の相続人は納税猶予を受けられなくなります。

この記事で確認できなかったこと

  • 生産緑地法2条・3条・7条・8条の条文そのもの。国土交通省の資料が条番号つきで内容を示しているところまでは確認しました。逐語は確認していません。e-Gov法令検索は本文の取得に失敗し、衆議院の制定法律ページは文字化けして読めませんでした。
  • 買取り申出の可否通知が11条、あっせんが13条であることの根拠。「1か月以内の通知」「2か月のあっせん」という期間は複数の自治体資料で一致しましたが、条番号を明記した一次資料は見つかりませんでした。本文では条番号を書かず、期間だけを書いています。
  • 面積要件を条例で300㎡まで下げられる根拠条項。国土交通省の資料は「政令で規定」までしか書いていません。法3条2項なのか施行令3条なのかは特定できませんでした。
  • 「主たる従事者」の従事日数の具体的な基準。京都市の処理基準が生産緑地法施行規則2条を根拠に挙げていますが、何割以上といった数値は確認できませんでした。
  • 「故障」の法令上の定義。横浜市の運用説明(重度の障害、1年以上の入院等)は確認できましたが、法令・省令上の定義規定は見つかりませんでした。
  • 宅地並み課税の激変緩和措置(0.2→0.8)の地方税法上の条番号。軽減率の内容は農林水産省・国土交通省・自治体の資料で一致していますが、附則の条番号は特定できませんでした。
  • 租税特別措置法70条の6の条文そのもの、および打ち切り時の利子税の税率。財務省の資料で「猶予税額全額と利子税を納付」までは確認しましたが、税率は確認していません。
  • 特定生産緑地の指定率の地区数ベースの数字と、都道府県別の内訳。公表されているのは面積ベースのみでした。

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