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実家の登記事項証明書を取ったら、乙区に抵当権が残っていた。親は10年前に亡くなっている。団信で借金は消えたはずなのに、なぜ登記が残っているのか。
答えは単純です。団体信用生命保険で消えるのは「借金」であって、「抵当権の登記」ではありません。登記は自動では消えません。自分で法務局に申請して消します。
この記事は、実家に住宅ローンが残っていたときに何を確かめ、どの順番で手続きするのかを、民法・不動産登記法・登録免許税法・法務局の公表資料・国税庁の資料だけで組み立てます。相続税の債務控除で最も間違いやすい論点も含みます。
結論だけ先に
- ★団信で完済されても、抵当権の登記は残ります。抹消は共同申請(不動産登記法60条)で、金融機関から書類を受け取って自分で申請します。登録免許税は不動産1個につき1,000円(登録免許税法別表第一・一(十五))。
- ★団信で消える住宅ローンは、相続税の債務控除にできません。国税庁の「誤りやすい事例」が、「被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません」と明記しています。
- 根抵当権は6か月が期限です(民法398条の8第4項)。相続開始後6か月以内に合意の登記をしないと、元本は相続開始の時に確定したものとみなされます。事業をしていた親の家は必ず確認してください。
- ローンだけを放棄することはできません。民法896条が「一切の権利義務を承継する」と定め、939条が放棄した者は「初めから相続人とならなかったものとみなす」としています。放棄すれば実家も手に入りません。
この記事は e-Gov法令検索の条文、法務局・法務省の公表資料、住宅金融支援機構(フラット35)の公式ページ、国税庁の資料、総務省統計局の家計調査だけで書いています。当サイトに司法書士・税理士・弁護士はいません。金融商品の助言もしません。最終確認日:2026年8月25日。
1. 最初に確かめる3つ
| 確かめること | どこで | 見るところ |
|---|---|---|
| 抵当権が付いているか | 法務局(登記事項証明書) | 乙区。抵当権者・債権額・登記の日付 |
| 抵当権か、根抵当権か | 同上 | 「抵当権設定」か「根抵当権設定」か。根抵当権なら6か月の期限があります |
| 団信に入っていたか | 金融機関 | 借入時の契約書類、返済用口座の引落し履歴 |
乙区に何も書かれていなければ、抵当権はもう抹消されています。「抵当権設定」の記載が残っていて下線が引かれていない場合は、まだ生きている登記です。
2. 団信で完済されたら、残るのは登記だけ
団信は「保険金で債務を弁済する」仕組みです。住宅金融支援機構の場合、独立行政法人住宅金融支援機構法13条1項12号が根拠で、「その者が死亡した場合に支払われる生命保険の保険金(略)を当該貸付けに係る債務の弁済に充当すること」と定めています。
債務は弁済で消えます。しかし登記は残ります。法務局は次のように案内しています。
抵当権の登記の抹消に必要な書類を金融機関等から受け取られた際には、紛失・汚損等しないようにして、できるだけ速やかに法務局(登記所)に登記申請されることをおすすめします。
10年放置すると、手続きが重くなります
金融機関から送られてくる書類(登記識別情報または登記済証、解除証書・弁済証書、委任状)を紛失していると、再発行の依頼から始まります。さらにその金融機関が合併・商号変更していれば、変更の経過が分かる登記事項証明書(履歴事項証明書・閉鎖事項証明書・閉鎖謄本等)が必要になります。放置している年数だけ、手間が増えます。
3. 団信で消えるローンは、相続税の債務控除にできません
ここが最も間違いやすい論点です。国税庁の「相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集」に、そのままの事例が載っています。
| 内容 | |
|---|---|
| 誤った例 | 団体信用生命保険契約により返済が免除される住宅ローン残高800万円を、第13表の債務の明細に記入した |
| 正しい取扱い | 第13表には記入しない |
| 理由 | 「団体信用生命保険契約に基づき返済が免除される住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません」 |
条文の側から見ても筋は通っています。相続税法13条1項1号が控除できる債務を「被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの」とし、14条1項が「前条の規定によりその金額を控除すべき債務は、確実と認められるものに限る」としています。団信で消えることが確実な債務は、相続人が負担する債務ではありません。
東京国税局の文書回答事例も、団信で債務が免除される場合について「相続税の課税上は相続人によって承継される債務がないものとし、被保険者である顧客及びその相続人について所得税の課税関係は生じない」としています(※こちらは住宅の請負・売買代金債務に付保範囲を拡大した事例についての回答です)。
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団信つきの実家を相続したときの申告を確認する
団信で消える住宅ローンを債務控除に入れると、相続税を過少に申告することになります。国税庁が「誤りやすい事例」として第13表関係に挙げているほど、間違いが多い論点です。逆に、団信に入っていなかった場合は、その残債は債務控除の対象になり得ます。どちらなのかで課税価格が数百万円動くので、契約書類を持って確認してもらってください。ここは相続税を扱う税理士を紹介してもらう窓口で、紹介自体は無料です。
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相続税の申告期限は「知った日の翌日から10か月」です。抵当権抹消の書類を金融機関から取り寄せる時間も要るので、早めに動いてください。
4. 団信に入っていなかった場合
団信は必ず入るものではありません。フラット35の公式ページは、はっきりこう書いています。
健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合も、【フラット35】をご利用いただけます。
| 項目 | 新機構団信 |
|---|---|
| 加入 | 任意(未加入でもフラット35は利用可能) |
| 申込可能年齢 | 告知日現在、満15歳以上満70歳未満 |
| 加入要件 | 上記年齢+幹事生命保険会社の加入承諾があること |
| 金利 | 「加入する団体信用生命保険に応じて、【フラット35】の借入金利は異なります」 |
| プラン | 新機構団信/新3大疾病付機構団信/ペア連生団信 |
団信がなければ、ローンは相続されます
民法の条文で言えるのはここまでです。
- 民法896条「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」
- 民法899条「各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」
- 民法920条「相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。」
ここは正直に書きます。「金銭債務は遺産分割の対象にならず、相続開始と同時に法定相続分どおりに当然分割される」という説明をよく見ますが、これを定めた明文の条文は見つけられませんでした。判例によるものと思われますが、当サイトでは一次情報を確認できていません。金融機関との交渉が必要になる場面なので、必ず専門家に相談してください。
5. 抵当権抹消登記の実務
不動産登記法60条です。
権利に関する登記の申請は、法令に別段の定めがある場合を除き、登記権利者及び登記義務者が共同してしなければならない。
抵当権抹消の場合、権利者=現在の所有者、義務者=抵当権者(金融機関等)です。金融機関が書類を出してくれないと申請できません。
集める書類(すべて金融機関から送られてきます)
| 書類 | 法務局の説明 |
|---|---|
| 登記識別情報 または 登記済証 | 抵当権設定契約書に「登記済」の押印がされたもの。債務の完済後、抵当権者である金融機関等から送付されます |
| 登記原因証明情報 | 「解除証書」や「弁済証書」といった内容。日付や不動産の表示等の記載漏れがないか確認してください |
| 会社法人等番号 | 登記申請書の義務者欄に金融機関名と併せて記載。作成後3か月以内の登記事項証明書を添付する場合は記載不要 |
| 代理権限証明情報(委任状) | 債務の完済後、金融機関等から送付されます。日付等の記載漏れの確認を |
登録免許税は不動産1個につき1,000円
登録免許税法の別表第一・一(十五)です。
| 登記事項 | 課税標準 | 税率 |
|---|---|---|
| 登記の抹消(土地又は建物の表題部の登記の抹消を除く。) | 不動産の個数 | 一個につき千円(同一の申請書により二十個を超える不動産について登記の抹消を受ける場合には、申請件数一件につき二万円) |
土地1筆と建物1棟なら2,000円です。司法書士に頼まず自分で申請することもできます。法務局は「抵当権抹消登記申請書」(様式3-1)と記載例を公表しています。
金融機関が合併・商号変更しているとき
法務局の記載例解説はこう説明しています。
この記載が登記記録(登記事項証明書)に記録(記載)された内容と一致していない場合は、登記記録(登記事項証明書)上の住所及び名称から現在のものまでの変更の経過が分かる当該金融機関等の登記事項証明書(履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、閉鎖謄本等)を添付します。
6. 抵当権者が見つからない・解散しているとき
明治・大正の抵当権が残っている実家もあります。不動産登記法70条・70条の2が、単独で抹消できる場合を定めています。
| 状況 | できること | 条文 |
|---|---|---|
| 抵当権者の所在が知れない | 公示催告の申立て → 除権決定があれば単独で抹消申請 | 不登70条1項・3項 |
| 被担保債権が消滅したことを証する情報がある | 単独で抹消申請 | 不登70条4項前段 |
| 弁済期から20年経過+全額を供託 | 単独で抹消申請 | 不登70条4項後段 |
| 抵当権者が解散した法人で、清算人の所在が判明しない | 弁済期から30年かつ解散から30年経過で単独で抹消申請 | 不登70条の2 |
7. 根抵当権は6か月が期限です
事業をしていた親の家には、抵当権ではなく根抵当権が付いていることがあります。これは別物です。
民法398条の8です。
第2項 元本の確定前にその債務者について相続が開始したときは、根抵当権は、相続開始の時に存する債務のほか、根抵当権者と根抵当権設定者との合意により定めた相続人が相続の開始後に負担する債務を担保する。
第4項 第一項及び第二項の合意について相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす。
6か月を過ぎると、さかのぼって確定します
「6か月経過時に確定する」ではありません。「相続開始の時に確定したものとみなす」です。事業を引き継いで融資枠を使い続けたいなら、相続開始後6か月以内に合意の登記まで済ませる必要があります。逆に、事業をたたむのであれば、放っておけば確定します。
なお、民法398条の20が定める元本の確定事由の列挙に「相続」は入っていません。相続による確定は398条の8第4項の「みなし確定」によるものです。
根抵当権を抹消する場合の申請書は、法務局が「根抵当権抹消登記申請書」(様式3-2)として別に公表しています。
8. 売るとき
抵当権が付いたままでも所有権は移せます。ただ、買う人がいません
民法は「抵当不動産の第三取得者」を前提にした制度をわざわざ置いています。代価弁済(378条)と抵当権消滅請求(379条)です。つまり、抵当権が残ったまま所有権が移ることは法律上あり得ます。
ただし買主は、その抵当権が実行されれば家を失います。実務では、決済の場で残債を返済して同時に抵当権を抹消する形になります。
残債のほうが売却価格より大きいとき
抵当権抹消は共同申請です(不動産登記法60条)。金融機関が登記原因証明情報と委任状を出さない限り、登記は消せません。法務局の資料もこれらの書類を「債務の完済後、抵当権者である金融機関等から送付されます」と説明しています。
完済に届かない金額で抹消してもらうには、抵当権者の同意が要ります。単独で申請できるのは不動産登記法70条・70条の2の場合に限られます。
9. ローンだけを放棄することはできません
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 民法896条 | 相続人は「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」 |
| 民法920条 | 単純承認をすると「無限に被相続人の権利義務を承継する」 |
| 民法939条 | 相続の放棄をした者は「初めから相続人とならなかったものとみなす」 |
| 民法915条1項 | 承認・放棄の期限は「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」 |
承継の単位は「一切の権利義務」です。個別の債務だけを切り離して放棄する規定は、民法にありません。放棄すれば実家も手に入りません。
債務が財産を上回るかどうか分からないときの選択肢が限定承認ですが、こちらは相続人全員の同意と、含み益のある実家に発生するみなし譲渡所得税という壁があります。
10. 数字で見る——高齢期の住宅ローン
| 世帯主の年齢 | 負債現在高 | うち住宅・土地のための負債 | 負債保有世帯の割合 |
|---|---|---|---|
| 60〜69歳 | 270万円 | 227万円 | 29.2% |
| 70歳以上 | 56万円 | 44万円 | 10.6% |
60代の世帯の約3割が負債を抱えており、その大半が住宅・土地のためのものです。
そして住宅金融支援機構の「2024年度フラット35利用者調査」によると、利用者の平均年齢は44.5歳で、2017年度以降上昇傾向が続いています。返済が終わる前に相続が起きるケースは、これから増えます。
残債と売却価格を、先に並べる
団信がなかった場合、判断に必要なのは2つの数字だけです。
- 残債の額——金融機関に残高証明書を出してもらいます
- 実家がいくらで売れるか——これが残債を上回れば、売って完済するという選択肢が残ります
熟慮期間は3か月です(民法915条1項)。この2つの数字が出るまでは、承認するか放棄するかを決められません。
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残債と突き合わせるために、実家の価格を出す
団信がなかった場合、判断に必要なのは「残債の額」と「実家がいくらで売れるか」の2つだけです。売却価格が残債を上回れば、売って完済するという道が残ります。下回るなら、抵当権の抹消に債権者の同意が要ります(不動産登記法60条)。そして熟慮期間は3か月です(民法915条1項)。ラクウルは訳あり物件・空き家・共有持分などを全国で買い取っている会社で、自社買取なので仲介手数料はかかりません。
①買取価格は、仲介で売れる価格より低くなります。査定額は、売れる価格ではありません。
②匿名のAI査定では成果になりません。同社は個人情報の入力が不要な匿名査定も出していますが、実際の金額を知るには連絡先を入れて申し込み、電話かメールでのヒアリングを受ける必要があります。「桁を確かめるだけ」なら匿名査定で足ります。
③1世帯で2回以上の申込は無効になります。ご家族が先に申し込んでいないか確認してください。
④売却を目的としない問い合わせは対象外です。相場を知りたいだけ、という使い方は想定されていません。
⑤運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許 国土交通大臣(1)第10311号)。必ず他社の査定と並べて見比べてください。
⑥このリンク経由の申込で当サイトは広告収入を受け取りますが、それによってあなたの査定額が下がることはありません。
査定を受けることは相続財産の「処分」ではありません。ただし実際に売る契約をすれば法定単純承認(民法921条1号)に当たり得ます。承認するか放棄するかを決める前は、金額を知るところで止めてください。
よくある質問
Q. 団信で完済されたのに、なぜ抵当権が残っているのですか?
登記は自動では消えないからです。抵当権抹消は共同申請(不動産登記法60条)で、所有者が金融機関から書類を受け取って法務局に申請します。法務局も「必要な書類を金融機関等から受け取られた際には、できるだけ速やかに登記申請されることをおすすめします」と案内しています。
Q. 抵当権抹消の登録免許税はいくらですか?
不動産1個につき1,000円です(登録免許税法別表第一・一(十五))。土地1筆と建物1棟なら2,000円。同一の申請書で20個を超える不動産について抹消を受ける場合は、申請件数1件につき2万円が上限になります。
Q. 団信で消えた住宅ローンを、相続税の債務控除にできますか?
できません。国税庁の「誤りやすい事例」が、「被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であって、相続人が支払う必要のない債務ですので、相続税の課税価格の計算上、債務として差し引くことはできません」と明記しています。相続税法14条1項も、控除できる債務を「確実と認められるものに限る」としています。
Q. 団信に入っていない住宅ローンはどうなりますか?
相続人が承継します。民法896条が「一切の権利義務を承継する」、899条が「その相続分に応じて」承継すると定めています。ただし「金銭債務は当然に法定相続分どおり分割される」という説明の明文の根拠は、当サイトでは確認できませんでした。金融機関との交渉が必要になるので、専門家に相談してください。
Q. フラット35は団信への加入が必須ですか?
任意です。住宅金融支援機構は「健康上の理由その他の事情で団体信用生命保険に加入されない場合も、【フラット35】をご利用いただけます」と明記しています。申込可能年齢は告知日現在で満15歳以上満70歳未満、加入には幹事生命保険会社の承諾が必要です。
Q. 抵当権者の金融機関が合併しています。
変更の経過が分かる登記事項証明書を添付します。法務局は「登記記録上の住所及び名称から現在のものまでの変更の経過が分かる当該金融機関等の登記事項証明書(履歴事項証明書、閉鎖事項証明書、閉鎖謄本等)を添付します」と説明しています。放置期間が長いほど、たどる回数が増えます。
Q. 明治時代の抵当権が残っています。抵当権者はもういません。
単独で抹消できる場合があります。不動産登記法70条は、①所在不明なら公示催告と除権決定を経て単独申請、②被担保債権の消滅を証する情報があれば単独申請、③弁済期から20年経過し全額を供託すれば単独申請、と定めています。抵当権者が解散した法人で清算人の所在が判明しない場合は、弁済期から30年かつ解散から30年で単独申請できます。(不動産登記法70条の2)
Q. 根抵当権と抵当権は何が違いますか?
期限の有無が決定的に違います。民法398条の8第4項が、相続開始後の債務も担保させるための合意について「相続の開始後六箇月以内に登記をしないときは、担保すべき元本は、相続開始の時に確定したものとみなす」と定めています。「6か月経過時」ではなく「相続開始の時に」さかのぼって確定します。事業をしていた親の家では必ず確認してください。
Q. 抵当権が付いたままでも売れますか?
法律上は所有権を移せます。民法378条(代価弁済)・379条(抵当権消滅請求)が「抵当不動産の第三取得者」を前提にした制度を置いていることが、その証拠です。ただし買主は抵当権が実行されれば家を失うので、実務では決済時に残債を返済して同時に抹消します。
Q. 残債のほうが売却価格より大きいときは?
抵当権者の同意が必要になります。抹消は共同申請(不動産登記法60条)で、法務局の資料も登記原因証明情報や委任状を「債務の完済後、抵当権者である金融機関等から送付されます」としています。単独で申請できるのは不動産登記法70条・70条の2の場合に限られます。
Q. 実家はいらないので、ローンだけ放棄できますか?
できません。民法896条が「一切の権利義務を承継する」と定め、939条が放棄した者を「初めから相続人とならなかったものとみなす」としています。個別の債務だけを切り離す規定は民法にありません。放棄すれば実家も手に入りません。期限は知った時から3か月です(915条1項)。
この記事で確認できなかったこと
- 「金銭債務は遺産分割の対象にならず、相続開始と同時に法定相続分に応じて当然分割承継される」ことの明文の根拠。民法896条・899条・427条からは「相続分に応じた承継」までしか読めませんでした。判例によるものと思われますが、一次情報を確認していません。
- 遺産分割協議で債務の負担者を決めても債権者に対抗できない、という明文規定。確認できませんでした。
- 担保物権の付従性(債務が消えれば抵当権も消える)を定めた民法の一般規定。396条・397条は消滅時効の規定で、付従性そのものの明文ではありません。
- 所有権の登記名義人が被相続人のままでも抵当権抹消登記ができるかどうか。法務局・法務省の公表資料に明示を確認できませんでした。不動産登記法62条が「相続その他の一般承継があったときは、相続人その他の一般承継人は、当該権利に関する登記を申請することができる」と定めているのが手がかりです。順番は法務局の登記手続案内(無料・予約制)か司法書士に確認してください。
- 団信に加入しない場合のフラット35の金利の引下げ幅。公式ページは「加入する団体信用生命保険に応じて借入金利は異なります」としか書いていません。
- 抵当権抹消登記の年間件数。法務省の登記統計に「登記の抹消」という分類があることまでは確認しましたが、抵当権に限った内訳と数値は取れませんでした。
- 抵当権者に「合併」があった場合の取扱いを、その語で明示した資料。確認できたのは「住所及び名称の変更の経過が分かる登記事項証明書」の要求までです。
まとめ
- ★団信で消えるのは借金であって、抵当権の登記ではありません。抹消は共同申請(不動産登記法60条)で、自分で法務局に申請します。
- 登録免許税は不動産1個につき1,000円(登録免許税法別表第一・一(十五))。土地1筆と建物1棟なら2,000円です。
- ★団信で消える住宅ローンは相続税の債務控除にできません。国税庁が「相続人が支払う必要のない債務ですので、債務として差し引くことはできません」と明記しています。
- 団信は任意です。住宅金融支援機構は「健康上の理由その他の事情で加入されない場合も【フラット35】をご利用いただけます」としています。
- 団信がなければ、ローンは相続人が承継します(民法896条・899条・920条)。ただし当然分割の明文の根拠は確認できませんでした。
- 金融機関が合併・商号変更していれば、変更の経過が分かる登記事項証明書が要ります。放置年数だけ手間が増えます。
- 抵当権者が見つからないときは、不動産登記法70条・70条の2で単独申請できる場合があります(弁済期から20年+供託/解散法人なら30年)。
- ★根抵当権は相続開始後6か月です(民法398条の8第4項)。「6か月経過時」ではなく「相続開始の時に」さかのぼって元本が確定します。
- 抵当権が付いたままでも所有権は移せますが(民法378条・379条)、実務では決済時に完済して同時に抹消します。残債が売却価格を上回るときは抵当権者の同意が必要です。
- ローンだけの放棄はできません(民法896条・939条)。3か月の熟慮期間のうちに、残債と実家の価格という2つの数字を揃えてください。
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