相続登記の義務化|2027年3月31日に、3つの期限が同時に来ます

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最終更新:2026年8月15日

結論だけ先に

  • 2024年4月1日から相続登記は義務。 取得を知った日から3年以内、10万円以下の過料
  • 2027年3月31日に3つの期限が重なる(施行前相続分の猶予・免税措置①・免税措置②)
  • 免税措置は土地のみ。 建物には適用されない

根拠と出典は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。

まず、いちばん急ぐ人から

2024年4月1日より前に相続した不動産で、まだ名義を変えていない方。
あなたの期限は、2027年3月31日です。

「20年前に父が亡くなったとき、実家の名義をそのままにしていた」——このケースが対象です。義務化は過去の相続にもさかのぼって適用され、猶予期間が2027年3月31日までと定められています。

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

そして、同じ2027年3月31日に、あと2つの期限が重なります。


2027年3月31日に重なる、3つの期限

# 期限の内容 逃すとどうなるか
1 施行前に相続した不動産の登記義務の猶予期限 10万円以下の過料の対象に
2 登録免許税の免税措置①(登記しないまま相続人が死亡した場合) 一次相続分の登録免許税がかかる
3 登録免許税の免税措置②(価額100万円以下の土地) 登録免許税がかかる

出典:法務省/法務局「相続登記の登録免許税の免税措置について」

免税措置①:祖父名義のまま、というケース

「祖父が亡くなり、その相続登記をしないうちに父も亡くなった」——数次相続と呼ばれる状態です。

この場合、本来は祖父→父の登記と、父→あなたの登記を2回する必要があり、登録免許税も2回かかります。しかし現在は、祖父→父の分(一次相続分)の登録免許税が免除されています。

「個人が相続により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは」その登記について登録免許税を課さない

適用期限は2027年3月31日。 祖父名義のまま放置されている不動産があるなら、この日までに登記すれば税金が1回分浮きます。

免税措置②:地方の実家なら該当することがあります

不動産の価額が100万円以下の土地については、相続による所有権移転登記の登録免許税が免除されます。

地方の実家の敷地や、山林・農地・私道の持分などは、固定資産税評価額が100万円を下回ることが珍しくありません。該当すれば、登録免許税はゼロです。

適用期限は同じく2027年3月31日。

⚠️ 2つの免税措置は「土地」だけです

法務局・国税庁の資料を確認した限り、どちらも土地に限定されており、建物に同種の免税措置は見当たりませんでした。実家の建物部分については、通常どおり登録免許税がかかります。

2027年3月31日に、3つが重なります 施行前に相続した不動産 登記義務の猶予がここで切れる 過料の対象に 免税措置①(数次相続) 一次相続分の登録免許税 税が2回分に 免税措置② 価額100万円以下の土地 税がかかる 免税措置は2つとも土地だけ。建物にはありません

そもそも、何が義務になったのか

  • 施行日:2024年(令和6年)4月1日
  • 期限:自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
  • 過料:正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下
  • 根拠:不動産登記法76条の2

出典:法務省「相続登記の申請義務化について」

起算点に注意してください

「相続開始(親が亡くなった日)から3年」ではありません。「その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年」です。

つまり、遺産分割協議で自分が実家を取得すると決まった日が起算点になり得ます。その遺産分割そのものに、相続開始から10年という線があります。10年を過ぎると、特別受益と寄与分——「弟は生前に多く受け取っている」「長男夫婦が介護した」——が主張できなくなります(民法904条の3)。詳しくは実家が兄弟の共有になっているに書きました。逆に、相続したことすら知らなかった不動産(親が持っていた地方の山林など)については、その存在を知った日から3年です。

実際に過料は科されているのか

正直にお伝えします。法務省が公表している資料の中に、施行後に過料が実際に科された件数の統計は見当たりませんでした。

一方で、相続登記の申請件数は明確に増えています。法務大臣の記者会見によると、

年度 相続登記の件数
令和2年度(改正法成立前) 約114万件
令和5年度 150万件超
令和6年度(12月末までの9ヶ月) 約120万件(前年同期比 約9%増)

出典:法務省「法務大臣閣議後記者会見の概要」

過料の運用実績が不明であることを理由に「やらなくていい」と考えるのは危険です。 過料は登記官が裁判所に通知して科されるもので、運用が本格化するのはこれからと考えるのが自然です。

そして実務的には、過料よりも「登記していないと売れない」ことのほうが切実です。


3年以内に間に合わないときの逃げ道:相続人申告登記

登記の3年とは別に、税のほうにも3年が走っています。そしてその直後には2か月しかない窓があります。遺産分割がまとまらないときの期限一覧で、7つの期限を1枚に並べました。

これが、この記事でいちばん知っていただきたい制度です。

遺産分割が兄弟でまとまらない。相続人が多すぎて戸籍が集まらない。そういう理由で3年以内に本来の登記ができないケースは、実際にあります。

そのために、2024年4月1日から「相続人申告登記」という制度が新設されました。

どういう制度か

法務省の説明では、

「期限内(3年以内)に相続登記の申請をすることが難しい場合に簡易に相続登記の申請義務を履行することができるようにする仕組み」

3つの決定的な利点

① 単独で申出できます

遺産分割がまとまっていなくても、相続人1人だけで申出できます。 他の相続人の同意は不要です。兄弟と連絡が取れない、話し合いが進まない——そういう状況でも、あなた1人で義務を果たせます。

② 登録免許税がかかりません

無料です。 費用面のハードルがありません。

③ 必要書類が少ない

  1. 申出書
  2. 申出人が登記記録上の所有者の相続人であることが分かる戸籍の証明書
  3. 申出人の住所を証する情報
  4. 委任状(代理人が行う場合のみ)

本来の相続登記に必要な「被相続人の出生から死亡までの戸籍一式」「相続人全員の戸籍・印鑑証明書」「遺産分割協議書」は不要です。

⚠️ ただし、3つの重大な注意点があります

① 申出をした人だけが義務を果たしたことになります

「相続人申告登記は、申出をした相続人についてのみ、相続登記の義務を履行したものとみなされます」
法務省Q&A

免除ではなく「履行したとみなす」制度です。兄弟全員の義務を消すには、全員がそれぞれ申出をするか、連名で申出書を作る必要があります。 あなた1人が申出しても、兄弟の義務は残ります。

② 遺産分割が成立したら、改めて登記が必要です

「遺産分割で不動産を取得した場合も、別途、遺産分割から3年以内に、遺産分割の内容に応じた登記をする必要があります」

つまり相続人申告登記は時間稼ぎであって、ゴールではありません。 遺産分割が成立した日から新たに3年のカウントが始まります。

③ 名義は変わりません。だから売れません

相続人申告登記は「この不動産の相続人はこの人です」という情報を登記に付記するだけで、所有権の名義は被相続人のままです。

この状態では、不動産を売却できません。 実家を売るつもりなら、結局は本来の相続登記が必要です。

使いどころ

「兄弟と揉めていて、3年以内に決着しそうにない」ときの緊急避難です。
過料を回避しつつ時間を稼ぐための制度で、売却を急ぐなら本来の登記に進んでください。

申告登記は、時間稼ぎです 1人で申出できる 遺産分割がまとまっていなくても 同意は不要 登録免許税 かかりません 無料です 必要な書類 協議書も全員の戸籍も要りません 3点だけ 義務が消えるのは 申出をした人についてだけです 全員が必要 所有権の名義 被相続人のままです 売れません 遺産分割が成立したら、その日から新たに3年です

出典:法務省「相続人申告登記について」/「相続登記の申請義務化に関するQ&A」


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登記のあと何をするかは、金額で決まります

相続登記は義務なので、売る売らないに関係なく必要です。ただ、登記を終えたあとに売るのか持つのかは、その家がいくらになるかで変わります。先に数字を持っておくと、次の一手が早くなります。

先に断っておきます。買取は、仲介で売れた場合より手取りが下がります。それでも見る価値があるのは、比較対象の数字が手に入るからです。運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許:国土交通大臣(1)第10311号)。同社は「個人情報の入力は不要、匿名のまま利用でき、営業電話もありません」という匿名のAI査定も公開しています(入力3項目・最短30秒/2026年6月20日 同社発表)。まだ売ると決めていない段階なら、まず匿名のほうで桁だけ確かめてください。ただし匿名で出るのは機械的な概算です。実際の金額を知るには、連絡先を入れて査定を申し込む必要があります(申し込めば担当者から連絡が来ます)。

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売ると決めてから調べるものではありません。決めるために調べるものです。年間の維持費は空き家の維持費を実額で積み上げた記事にまとめました。

「正当な理由」があれば、過料は科されません

法務省のQ&Aでは、過料の対象外となる「正当な理由」として5つの類型が挙げられています。

  1. 相続人が極めて多数に上り、かつ、戸籍関係書類等の収集や他の相続人の把握等に多くの時間を要する場合
  2. 遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているために相続不動産の帰属主体が明らかにならない場合
  3. 相続登記の義務を負う者自身に重病その他これに準ずる事情がある場合
  4. 義務を負う者がDV被害者等であり、生命・心身に危害が及ぶおそれがある状態で避難を余儀なくされている場合
  5. 義務を負う者が経済的に困窮しているために、登記の申請を行うために要する費用を負担する能力がない場合

出典:法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」

「忙しかった」「知らなかった」は含まれていません。 ①②に該当しそうな場合でも、相続人申告登記で確実に義務を果たしておくほうが安全です。


費用はいくらかかるか

登録免許税

固定資産税評価額 × 0.4%(1,000分の4)。土地・建物とも同率です。

出典:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

固定資産税評価額 登録免許税
500万円 20,000円
1,000万円 40,000円
2,000万円 80,000円
3,000万円 120,000円

※固定資産税評価額は、毎年送られてくる納税通知書に記載されています。実勢価格ではなく評価額なので、時価より低いのが通常です。

前述のとおり、100万円以下の土地と数次相続の一次相続分(土地)は、2027年3月31日まで免税です。

登録免許税は、評価額の0.4%です 評価額 500万円 20,000円 評価額 1,000万円 40,000円 評価額 2,000万円 80,000円 評価額 3,000万円 120,000円 100万円以下の土地は2027年3月31日まで免税

司法書士に依頼する場合

日本司法書士会連合会が「司法書士の報酬アンケート」を公表していますが、今回の調査では同サイトにアクセスできず、具体的な金額を一次情報で確認できませんでした。

そのため、当サイトでは具体的な報酬額を提示しません。 他サイトが掲げる「相場◯万円」という数字も、出典が明示されていないものが少なくありません。

確実な方法は、地元の司法書士2〜3人に見積りを取ることです。 相続人の人数、不動産の数、数次相続の有無で金額は大きく変わるため、そもそも「相場」で語れる性質のものではありません。


自分で申請する手順

シンプルなケースなら、十分に自分でできます。

必要書類(遺産分割協議による場合)

登記原因証明情報として

  • 被相続人の出生から死亡までの経緯が分かる戸籍の証明書
  • 遺産分割協議の当事者である相続人全員の戸籍の証明書
  • 遺産分割協議書(相続人全員の実印押印+印鑑証明書 各1通)
  • 被相続人の登記上の住所と戸籍の本籍が異なる場合は、住民票の写し等

住所証明情報として

  • 相続人全員の住民票の写し(マイナンバー記載なし)

出典:法務局「登記申請手続のご案内(相続登記①/遺産分割協議編)令和6年9月版」

いちばん時間がかかるのは、被相続人の出生から死亡までの戸籍集めです。 本籍を何度も移していると、複数の市区町村に請求することになり、数ヶ月かかることもあります。

「法定相続情報一覧図」を先に作っておくと、その後が劇的に楽になります。 一度作れば、銀行・法務局・税務署に戸籍の束を出さずに済みます。無料です。

申請書はダウンロードできます

法務局のサイトから、Word/PDF形式の様式と記載例を無料でダウンロードできます。

  • 法定相続の場合
  • 遺産分割協議の場合
  • 遺産分割(数次相続)の場合
  • 公正証書遺言の場合
  • 自筆証書遺言の場合
  • 相続人に対する遺贈の場合

ケース別に用意されているので、自分の状況に合うものを選んでください。

出典:法務局「不動産登記の申請書様式一覧」

法務局に相談できます(完全予約制・20分)

法務局には「登記手続案内」があります。

  • 完全予約制
  • 電話/窓口対面/ウェブ会議から選べる
  • 1回あたり20分以内
  • 対象は「登記手続に関する専門的な知識をお持ちでない方」(本人・親族等に限定する法務局が多い)

出典:法務局「登記手続案内」

20分は短いので、質問を紙に書いて臨んでください。 「この書類で足りていますか」と現物を見せるのが最も効率的です。なお、費用については法務局の案内ページに記載が見当たりませんでした。予約時にご確認ください。

遠方でも大丈夫です

  • 郵送申請が可能(書留郵便で送付)
  • オンライン申請も可能(登記・供託オンライン申請システム)

実家が遠方でも、現地の法務局に行く必要はありません。 これは意外と知られていません。

完了までの期間

法務局の案内では「申請がされてから登記が完了するまでには、申請の内容にもよりますが、数日から数週間」とされています。

出典:法務局「登記の申請を御検討されている皆さまへ」

「1週間程度」と書いているサイトもありますが、法務局自身は幅のある表現しかしていません。 繁忙期や不備があればさらにかかります。


相続登記が終わらないと、何もできません

実務上、これがいちばん重要です。

やりたいこと 相続登記が必要か
実家を売る 必須
実家を貸す 実務上ほぼ必須
実家を解体する 解体自体は可能だが、多くの自治体で補助金の申請要件になっている
土地を担保に入れる 必須
相続土地国庫帰属制度を使う 必須

解体補助金の申請要件になっている点は、特に見落とされます。 「補助金を使って解体しよう」と思っても、登記が済んでいなければ申請できません。そして補助金は先着順で年度途中に終わります。

登記が終わらないと、何も動きません 実家を売る 所有権が移っていません 売れません 実家を貸す 実務上ほぼ必須です 貸せません 実家を解体する 解体そのものはできます 補助金が出ない 土地を担保に入れる 抵当権を設定できません 借りられない 国庫帰属制度を使う 相続土地国庫帰属制度 使えません 解体補助金の申請要件になっているのが盲点です

→ あなたの市区町村の空き家解体補助金を調べる


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補助金の枠が終わる前に、解体費そのものを押さえておく

登記が済むのを待っている間にも、補助金の枠は減っていきます。申請できる状態になったときにすぐ動けるよう、解体費の見当だけ先に付けておく。これなら登記の完了を待たずに今日できます。

①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。

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見積書のどこを見るかは、この記事の見積書の章に戻って確認してください。お住まいの自治体の制度を先に調べておくと、受付期間に間に合うかどうかも一緒に分かります。

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登記の3年より先に、相続税の10か月が来ます

この記事は登記の話ですが、期限が先に来るのは相続税のほうです。相続税の申告期限は相続開始から10か月。登記の3年より、2年以上早く来ます。そして相続税には「申告しないと使えない特例」があります。小規模宅地等の特例がその代表で、これを使うと自宅の土地の評価が最大80%下がります。使えば税額がゼロになる人でも、期限内に申告しなければ適用されません。

基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えないなら、そもそも申告は要りません。実家と預貯金を足しても超えないと分かっているなら、この段落は読み飛ばしてください。
相談そのものは無料ですが、税理士に依頼すれば報酬がかかります。依頼するかどうかは、減る税額と報酬を比べてから決めてください。特例で税額がゼロになるなら、依頼する意味は薄くなります。
問い合わせは「相続の相談」として送ってください。過去1年以内に同サービスを使ったことがある場合と、1世帯で2回目の相談は、運営側で受け付けない扱いになると明記されています。
当サイトは税理士ではありません。ここに書いた税の話は制度の説明であって、あなたの申告についての判断ではありません。同サービスの内容も同社サイトの記載であって、当サイトが利用して確かめたものではありません。

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解体補助金も、相続登記が終わっていないと申請できません

相続登記を後回しにすると止まるのは売買だけではありません。全国394自治体を確認したところ、184自治体が対象者の要件に相続人であることや相続の状況を挙げていました。申請書に添える書類として登記事項証明書を求める自治体が多く、名義が親のままだとそこで止まります。

自治体上限額
秋田県大仙市危険型200万円/迷惑型100万円/…
高知県高知市164万5千円
愛媛県松山市160万円
香川県三豊市160万円
山形県米沢市市町村民税所得割が非課税なら最大12…
徳島県鳴門市120万円
鳥取県米子市120万円
三重県伊賀市100万円
佐賀県伊万里市100万円
兵庫県姫路市100万円
大分県大分市100万円
大阪府門真市最大100万円(空き家等除却補助・指…

該当は全部で184自治体です。全国の一覧表で実家のある市区町村を確認してください。

解体を考えているなら、補助金の受付期間から逆算して相続登記のスケジュールを組んでください。全国の一覧表で実家のある市区町村の受付期間を先に確認しておくと、順番を間違えずに済みます。

よくある質問

ここは「調べ方・やり方まで書く」ことにしています。相続登記は、手順さえ分かれば自分でできる部分がかなりあります。

Q. 相続人が誰か分からないのですが、どうすれば?

A. 被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集めれば確定します。前婚のお子さんなど、想定していなかった相続人が判明することもあります。

2024年3月から、戸籍集めが劇的にラクになりました

令和6年3月1日から「戸籍の広域交付」が始まりました。それまでは本籍地の市区町村に1か所ずつ郵送で請求する必要がありましたが、いまは本籍地以外の市区町村の窓口でも、まとめて請求できます。転籍を繰り返している家系ほど効きます。

どこで 本籍地以外の市区町村の窓口でも請求できます
誰が請求できるか 本人/配偶者/父母・祖父母など(直系尊属)/子・孫など(直系卑属)
持ち物 運転免許証・マイナンバーカード・パスポートなどの本人確認書類
注意① 郵送や代理人による請求はできません。本人が窓口に行く必要があります
注意② コンピュータ化されていない一部の戸籍・除籍は対象外です。古い戸籍は、結局その本籍地へ請求することになります

出典:法務省「戸籍法の一部を改正する法律について(令和6年3月1日施行)」(2026年8月16日確認)

集めた戸籍は「法定相続情報一覧図」にしておくと、以後がラクです

戸籍の束を持ち歩く代わりに、法務局が「この人たちが相続人です」と証明した1枚の図を発行してもらえる制度があります(法定相続情報証明制度)。銀行の名義変更でも、税務署でも、この1枚で足りることが多く、戸籍一式のコピーを何組も作らずに済みます。

  • 申出先は「被相続人の本籍地」「被相続人の最後の住所地」「申出人の住所地」「不動産の所在地」のいずれかを自分で選べます。自宅の近くの法務局を選べるということです
  • 一覧図は5年間(申出日の翌年から起算)保存されるので、この間なら再交付を受けられます。手続きが長引いても取り直せます

出典:法務局「法定相続情報証明制度の具体的な手続について」(2026年8月16日確認)

相続人が極めて多数で時間がかかる場合は「正当な理由」に当たり得ますが、下のQで説明する相続人申告登記で、確実に義務を果たしておくほうが安全です。

Q. 兄弟で揉めていて、遺産分割がまとまりません。

A. 相続人申告登記を使ってください。これは「まとまらない人のために作られた制度」です。

どこに出すか 申出対象の不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)
費用 登録免許税がかかりません
やり方 Webブラウザ上でも手続きできます(電子署名は不要)。専用ページで申出書を作成して送信します
誰が出せるか 特定の相続人が単独で出せます(他の相続人の分も含めた代理申出も可能)。兄弟の同意は要りません
主な書類 被相続人の死亡した日が分かる戸籍の証明書/申出人が相続人であることが分かる戸籍の証明書/被相続人の死亡日以後に発行された申出人の戸籍の証明書。住民票の写しは、申出書に氏名のふりがなと生年月日を書けば省略できます

出典:法務省民事局「相続人申告登記手続のご案内(令和8年3月版)」(2026年8月16日確認)

ただし勘違いしないでください。これで終わりではありません。相続人申告登記は義務を果たしたことにするための制度であって、名義が変わるわけではありません。

  • 売却したり、抵当権を設定したりするには、別途、相続登記が必要です
  • 遺産分割が成立したら、その日から3年以内に改めて登記する義務が生じます

揉めごとそのものの進め方(数字の共有のしかた、遺産分割調停の費用と書類)は、実家じまい完全ガイドのよくある質問にまとめました。調停は収入印紙1,200円と切手だけで、弁護士なしでも申し立てられます。

Q. 祖父名義のまま、何十年も放置されています。

A. 2027年3月31日までに登記すれば、一次相続分(土地)の登録免許税が免除されます。ただしこのケースは、費用より「相続人を確定する作業」がいちばん重いです。

祖父の代からだと、相続人が10人以上になっていることも珍しくありません。全員の戸籍を集め、全員の所在を確認し、全員から署名をもらう——これは年単位の仕事です。ここは司法書士に依頼することを強くおすすめします。

それでも自分で動くなら、順番はこうです。①戸籍の広域交付で自分の直系分を一気に取る → ②法定相続情報一覧図を作る → ③期限が迫っていれば先に相続人申告登記で義務だけ果たす。③を先に済ませておけば、時間切れの不安なく①②を進められます。

Q. 費用がなくて登記できません。

A. まず、免税に当たらないかを確認してください。

  • 土地の価額が100万円以下なら、登録免許税は免除されます(2027年3月31日まで)。評価額は毎年4〜6月に届く固定資産税の課税明細書で確認できます。見当たらなければ、物件のある市区町村の資産税担当課に問い合わせてください
  • 経済的困窮は、義務違反の「正当な理由」の一つに挙げられています
  • 相続人申告登記なら、登録免許税は0円です。お金の準備ができるまでの間、これで義務だけ果たしておく、という使い方ができます

司法書士に頼む場合の報酬は5〜15万円程度が相場です。登録免許税(固定資産税評価額×0.4%)は、これとは別にかかります。

Q. 自分でできますか。それとも司法書士に頼むべきですか。

A. 分かれ目は「相続人の数」と「遺産分割協議が要るか」です。

自分でやりやすい 頼んだほうがいい
相続人が1〜3人 相続人が5人以上、または面識のない相続人がいる
全員が協力的 連絡が取れない人がいる
不動産が1〜2件、同じ法務局の管轄 複数の市区町村にまたがる
祖父母の代を挟まない 何代か前の名義のまま(数次相続)
コンピュータ化された戸籍で足りる 手書きの古い除籍を読む必要がある

遠方に住んでいることは、頼む理由になりません。相続登記はオンライン申請ができるので、近所の司法書士に、遠方の実家の登記を任せられます。郵送だけで申請することもできます。詳しくは実家じまい完全ガイドの「実家が遠くて、何度も行けません」に工程ごとの一覧を載せました。

Q. 相続放棄をした場合も、登記の義務はありますか?

A. 相続放棄が受理されれば、初めから相続人でなかったことになるので、その不動産についての登記義務は生じません。

ただし放棄には「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月」という期限があります。そして2023年4月の民法改正で、放棄しても管理義務が残る場合があることがはっきりしました。「放棄すれば全部終わる」ではありません。判断基準は実家が「負動産」だったら相続放棄すべきかにまとめています。

放棄すべきかの判断基準を見る売る・貸す・持ち続けるを金額で比べる

まとめ

  1. 2024年4月1日から相続登記は義務。 取得を知った日から3年以内、10万円以下の過料
  2. 2027年3月31日に3つの期限が重なる(施行前相続分の猶予・免税措置①・免税措置②)
  3. 免税措置は土地のみ。 建物には適用されない
  4. 間に合わないなら相続人申告登記。 単独で申出でき、登録免許税は無料
  5. ただし相続人申告登記では売れない。 名義は変わらない
  6. 遺産分割が成立したら、その日から3年以内に改めて登記
  7. 郵送・オンライン申請が可能。 遠方でも現地に行く必要はない
  8. 登記が終わらないと、売却も解体補助金の申請もできない

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