「最大○○万円」という数字だけを見て、自分の実家でもその額が出ると思っていませんか。501自治体を1件ずつ開いて上限額の欄を読んだところ、その多くは「1つの数字」ではありませんでした。
この記事の数字がどこから来ているか
当サイトが収録している501市区町村の解体補助金データベースから、上限額と補助率の欄を全件そのまま数えたものです。金額は各自治体の公式ページに書かれていた表記をそのまま拾っています。推計や平均で埋めた数字は使っていません。
数えた結果はこうでした。
- 上限額が公表されていたのは 391件(残りの110件は金額が公表されていないか、制度がありません)
- そのうち金額が1つだけで済むのは267件
- 残り124件は、条件によって上限額が枝分かれします
上限額が書いてある自治体のおよそ3件に1件が、条件つきだということです。
何によって枝分かれするのか
124件の上限額の欄を読み、条件の種類がはっきり読み取れたものを数えました。1つの自治体が複数の条件を持つことがあるので、合計は124にはなりません。また、124件のうち58件は書き方が独特で、この分類には収まりませんでした。
所得で変わる
山形県米沢市は、市町村民税の所得割が非課税なら最大120万円、所得320万円未満なら最大60万円と書かれています。同じ家を壊しても、世帯の所得で2倍違います。
埼玉県深谷市も30万円ですが、住民税非課税世帯は80万円です。神奈川県横浜市は建築年で分けたうえで、一般世帯と非課税世帯で別の額を置いています。
区域で変わる
千葉県千葉市は20万円。ただし密集住宅市街地なら30万円です。愛知県豊川市は老朽空家20万円・密集市街地内なら30万円、倒壊危険空家30万円・密集市街地内なら40万円と、二段構えになっています。
危険度の判定点数で変わる
いちばん多かった型です。兵庫県丹波市は判定100点以上なら160万円、50点以上100点未満なら50万円。茨城県神栖市は特定空家等100万円・不良住宅70万円・管理不全状態の空家等50万円と、状態で三段階に分かれます。
この判定は申請してから自治体が行います。申請前の時点では、自分がどの段階に入るかは分かりません。
誰に頼むかで変わる
埼玉県東松山市は20万円、市内業者を利用する場合は25万円。愛知県大府市は基本20万円に市街化区域加算10万円と市内業者利用加算10万円を積んで最大40万円です。
この型は業者選びの前に知っておく必要があります。相見積もりを取ってから「市外の業者のほうが安かった」となっても、加算分を引くと逆転していることがあります。
建物の種類・構造で変わる
東京都福生市は戸建て1戸あたり30万円、長屋・共同住宅は1棟100万円。新潟県三条市は50万円ですが、3階以上の非木造建築物は400万円です。
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契約より先に、見積書だけを手元に置く
補助金の申請には見積書が要ります。そして501自治体すべてが、契約前の申請を求めています。つまり必要なのは「見積りは取ったが、まだ契約していない」状態です。ここを取り違えて先に契約すると、金額に関係なく補助はゼロになります。
①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。
上限額の欄に条件が書かれていないかを、実家の市区町村のページで先に確かめてください。受付期間と予算枠も同じページに載せています。
開きは中央値で2倍、いちばん大きいところで11倍
枝分かれする124件のうち、金額が2つ以上はっきり読み取れた86件について、いちばん小さい額といちばん大きい額の比を出しました。
中央値は2.0倍でした。つまり条件つきの自治体では、半数以上で「条件を満たすかどうかで上限が2倍以上動く」ということです。
開きが大きかった順に並べると、こうなります。
| 自治体 | 下 | 上 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 栃木県大田原市 | 10万円 | 110万円 | 11.0倍 |
| 愛知県大府市 | 5万円 | 40万円 | 8.0倍 |
| 新潟県三条市 | 50万円 | 400万円 | 8.0倍 |
| 北海道室蘭市 | 50万円 | 350万円 | 7.0倍 |
| 北海道恵庭市 | 30万円 | 200万円 | 6.7倍 |
| 大阪府富田林市 | 30万円 | 200万円 | 6.7倍 |
| 秋田県大仙市 | 30万円 | 200万円 | 6.7倍 |
| 山形県米沢市 | 60万円 | 320万円 | 5.3倍 |
そもそも解体に使えない額が、一覧に並んでいることがある
ここがいちばん注意してほしいところです。上限額の欄に大きな数字が書かれていても、その額は解体単体では使えないことがあります。
栃木県大田原市の110万円には、耐震建て替えが前提で、解体だけでは使えませんと書かれています。岐阜県瑞穂市の97万8千円には、現に居住している住宅が前提で、空き家では使えませんとあります。
どちらも金額だけを一覧で見れば「手厚い自治体」に見えます。実家が空き家で、壊すだけなら、この数字は自分には関係がありません。
大分県佐伯市のように、離島かどうかで変わる例もあります。本土50万円に対して、大入島60万円・大島75万円・屋形島と深島は90万円です。
当サイトの一覧表にも、同じ限界があります
正直に書きます。当サイトの全国一覧も、上限額の列には1自治体につき1つの数字を出しています。表として並べるために、代表的な額を置いているからです。
いま説明した124件については、その1つの数字だけでは足りません。市区町村のページを開くと、上限額の欄に条件つきの原文をそのまま載せています。気になる自治体が見つかったら、一覧の数字で判断せず、必ずその自治体のページまで進んでください。
上限額の下に、もう一段の上限がある
上限額をクリアしても、もう一つ壁があります。補助率です。
補助率が公表されていたのは423件でした。そして、その書き方を空白を除いて数えたところ、330通りありました。423件のうち330通りですから、ほとんどの自治体が違う書き方をしているということです。
たとえば熊本県熊本市は「除却費(税抜)×8/10×2/3、または延床面積×単価×8/10×2/3のいずれか低い額」。北海道旭川市は「除却工事費の3分の1以内の額、又は標準除却費のうちの除却工事費に10分の8を乗じて得た金額の2分の1以内の額のいずれか低い方」。
読み方の要点は「いずれか低い額」です。金額の上限と割合の上限の両方があり、低いほうが適用されます。上限が40万円でも、補助率が3分の1なら、120万円の工事をして初めて40万円に届きます。
なお31件は「補助率は公式ページに具体的な割合の記載なし」と書かれていました。この場合は窓口に聞くしかありません。当サイトも、書かれていないものを推測で埋めることはしていません。
上限額の横に、もっと小さい数字が置いてある
金額と割合をクリアしても、まだ残っている数字があります。その年度に何件ぶんの予算があるかです。
予算枠や件数について何か書かれていたのは409件でした。内訳はこうです。
- 「予算がなくなり次第終了」と書いてあるもの 106件
- 「先着順」と書いてあるもの 74件
- 件数がはっきり書いてあるもの 70件
- 抽選と書いてあるもの 7件
- 枠について書かれていないもの 203件
そして、件数がはっきり書いてあった70件の中央値は「14件」でした。
山形県山形市は「1戸程度」。奈良県香芝市は「募集件数1件(配分予算に達し次第終了)」。群馬県大泉町は「2戸」。三重県桑名市は「予定件数8件(先着順で予算がなくなり次第終了)」です。
上限額が100万円でも、枠が数件なら、その額は「取れた人にとっての額」です。金額の大きさを比べる前に、枠と締切の運用を見てください。
なお、全部が先着順というわけではありません。佐賀県唐津市は「先着順ではありません。判定結果は順次連絡します」と明記していますし、北海道旭川市は当初受付分を危険度の高い順に決めて、延長期間分だけ先着順にしています。「早い者勝ちかどうか」も自治体ごとに違います。
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枠に入れなかったときのために、壊さない場合の金額も見ておく
件数を公表している自治体では、予算枠の中央値は14件でした。申請しても枠に入れないことがあります。壊さずに売れば、先に出ていくお金はありません。どちらが手取りで多いかは、売れる金額が分からないと比べられません。まず桁を掴んでください。
先に断っておきます。買取は、仲介で売れた場合より手取りが下がります。それでも見る価値があるのは、比較対象の数字が手に入るからです。運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許:国土交通大臣(1)第10311号)。同社は「個人情報の入力は不要、匿名のまま利用でき、営業電話もありません」という匿名のAI査定も公開しています(入力3項目・最短30秒/2026年6月20日 同社発表)。まだ売ると決めていない段階なら、まず匿名のほうで桁だけ確かめてください。ただし匿名で出るのは機械的な概算です。実際の金額を知るには、連絡先を入れて査定を申し込む必要があります(申し込めば担当者から連絡が来ます)。
匿名の査定は「自分で調べる」段階の道具です。出た数字は1つだけ信じず幅で捉えてください。解体費と補助金を引いた手取りで並べるのは、そのあとです。
この数字を、自分の実家に当てはめる手順
- 一覧ではなく、実家の市区町村のページを開く。上限額の欄に条件つきの原文を載せています。
- その額が「解体単体」で使えるかを確かめる。建て替えや居住が前提の制度が混ざっています。
- 自分がどの枝に入るかを確かめる。所得・区域・建物の種類・業者は、申請前に自分で分かります。危険度の判定だけは申請後です。
- 補助率を見て、上限に届くための工事費を逆算する。「いずれか低い額」が効きます。
- 予算枠と、先着順かどうかを確かめる。件数が書いてある自治体は中央値で14件です。
- そのうえで、解体費の見積もりを取る。補助額より工事費の差のほうが大きく動くことがあります。
順番が大事です。補助金の額から決めると、条件を満たすために不要な工事を足してしまうことがあります。
このデータの限界
- 501自治体は全国1,741市区町村の一部です。ここに出てくる比率は、当サイトが収録した範囲での比率です。
- 上限額の欄は、公式ページの表記をそのまま拾っています。公式ページに書かれていない条件までは分かりません。
- 「条件つきかどうか」の判定は、金額の個数と条件を表す語の有無で機械的に分けました。124件のうち58件は書き方が独特で、条件の種類までは分類できていません。
- 倍率は、欄の中に読み取れた金額の最小と最大の比です。制度が複数あって別枠の場合も、同じ欄に書かれていれば1件として扱っています。
- 予算枠の「件数」は、書き方がそろっていません。戸・棟・件が混ざっているものをそのまま数えています。また203件は枠について何も書かれておらず、この中央値14件は「件数を公表している70件の中での中央値」です。
- 年度で変わります。予算枠や上限額は年度ごとに見直されます。確認日は各自治体のページに書いています。
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