解体補助金に「締切」はありません|全国423制度を調べたら、3分の2に締切日が書かれていませんでした

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連載「全国、ぜんぶ調べた。」第1回

実家の解体に補助金が出ると聞いて、こう考えていませんか。「年度内、つまり3月までに申請すれば間に合うだろう」と。

当サイトは、全国501の市区町村について、空き家の解体に使える補助制度を1件ずつ公式ページで調べています。そのうち制度があったのは423件。その423件の「申請期間」の欄に何が書かれているかを、全部数えました。

結果は、予想と違いました。締切の日付が書いてあったのは、146件だけです。残りの277件には、日付がありません。

最終更新:2026年8月27日

結論だけ先に

  • ★423制度のうち、締切日が書いてあるのは146件(35%)だけ。残り277件は日付がありません。
  • 「予算がなくなり次第終了」が89件。この型には、そもそも締切日が存在しません。早い者勝ちです。
  • 締切が公表されていないものが96件。公式ページを読んでも、いつまでかが分かりません。
  • ★日付が書いてある146件でも、最多は2月(34件)。11月から3月に111件(76%)が集中します。「3月に動けばいい」は成り立ちません。
  • 先着順と明記しているのが74件、抽選が7件。枠の件数を公表しているのは65件で、その中央値は14件です。

この記事の数字は、すべて当サイトが自分で集めた501自治体のデータベースから数えたものです。集計の方法と、数えられなかった分は本文と末尾に書いてあります。制度は年度ごとに変わります。実際に申請するときは、必ずお住まいの市区町村の当年の公式ページで確認してください。

1. 何を、どう数えたか

数字の話をする前に、方法を書きます。ここを書かない集計は、信じる根拠がありません。

項目 内容
対象 全国501市区町村(47都道府県すべてを含む)
調べ方 各自治体の公式ページを1件ずつ開いて、制度名・上限額・補助率・要件・申請期間・予算枠・担当課・電話番号を書き写した
制度があった 423件
制度がなかった 78件(別途、分類が確定できないものが3件)
今回数えたもの 423件の「申請期間」欄の記述
集計日 2026年8月27日時点のデータベースの内容
当サイトの補助金データベース(501件)から集計

501という数は、全国の市区町村(約1,700)の一部です。人口の多い自治体から優先して調べているため、この記事の数字は「全国平均」ではなく「調べた501件の中での分布」です。そこは正確に読んでください。

2. 締切日が書いてあるのは、3分の1

423件の「申請期間」欄を、「◯月◯日まで」という締切の日付が読み取れるかで二つに分けました。

423制度の申請期間欄に締切日が書かれているか 146 277 締切日あり 35% 締切日なし 65% n=423(当サイト調べ・2026年8月27日時点)
「◯月◯日まで」と読み取れる記述があったものを「締切日あり」とした

3分の2に、締切の日付がありません。これは自治体が不親切だという話ではなく、制度の設計がそもそもそうなっているという話です。次で中身を見ます。

3. 日付がない277件に、何が書かれていたか

書かれていたこと 件数 読者にとっての意味
締切が公表されていない 96 公式ページを読んでも、いつまでか分からない
予算がなくなり次第終了 89 締切日という概念がない。早い者勝ち
月は書いてあるが、締切の表現ではない 45 工事完了や実績報告の期限であって、申請期限ではない
その他 23 —
通年・随時受付 16 期限はないが、予算の制約は別にある
今年度は受付終了 6 調べた時点で、すでに閉まっていた
要問い合わせ 2 電話しないと分からない
締切日が読み取れなかった277件の内訳。当サイトの501自治体データベースから集計

いちばん多いのが「公表されていない」96件です。制度はある。金額も要件も書いてある。なのに、いつまでに出せばいいのかだけが書かれていません。

次が「予算がなくなり次第終了」89件。これは書き忘れではなく、そういう制度だということです。年度の予算に達したら、その時点で閉まります。4月に閉まることもあれば、3月まで残ることもあります。

実物を見てください

データベースに実際に書かれている記述から、そのまま引きます。

明記なし(申請は先着順、予算に限りがあります)。解体工事完了後、施工者への支払いを済ませたうえで申請した年度末(2月末)までに実績報告できる工事に限ります(千曲市)

申請の締切は書いていないのに、「2月末までに実績報告できる工事に限る」とは書いてあります。実績報告が2月末なら、工事はその前に終わっていなければならず、契約と着工はさらに前です。逆算すると、実質的な期限は書かれている日付よりずっと早い。

受付期間の明示なし(平成31年4月から通年で実施)。交付決定通知日から90日以内または申請年度の1月末日のいずれか早い日までに契約、工事完了日から30日以内または2月末日のいずれか早い日まで(常滑市)

「通年で実施」と書いてありますが、契約は1月末、完了報告は2月末という縛りがあります。通年だから急がなくていい、とは読めません。

出典:当サイトの補助金データベース(各自治体の公式ページから採録)。制度の詳細は空き家の解体補助金 全国一覧から各市区町村のページで確認できます。

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補助金の枠が残っているうちに、解体費そのものを押さえる

この記事で見たとおり、枠の中央値は年14件、先着順が74件です。動くと決めたなら、見積りは早いほど有利になります。タウンライフの解体一括見積りは、入力1回で複数の解体業者から見積りを取れるサービスです。補助金の申請には見積書が要るので、ここが揃わないと申請そのものができません。金額の幅が分かれば、補助金50万円で足りるのか足りないのかも判断できます。

申し込む前に4つだけ確認してください。①解体する意思がある方が対象です。相場だけ知りたい段階なら、その旨を伝えてください。
②申し込むと解体業者から電話またはメールで連絡が入ります。所在地・建物の構造・おおよその延べ床面積を答えられるようにしておくと早く終わります。
③補助金は契約・着工の前に申請してください。見積りを取ったあと、契約する前に市区町村へ。順番を逆にすると補助はゼロです。
④解体すると翌年から固定資産税が上がります。住宅用地の特例が外れるためです。

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4. 締切日がある146件でも、3月ではありません

では、締切日が明示されている146件は、いつ閉まるのか。制度ごとに最も遅い締切を1つだけ数えました。

締切日が明示されている146制度の締切月の分布 締切の月(n=146) 4月1 5月7 6月7 7月2 8月3 9月8 10月7 11月20 12月22 1月16 2月34 3月19 濃い色=11月〜3月。ここに111件(76%)が集まる
制度ごとに最も遅い締切を1件として集計。当サイトの501自治体データベースから

最多は2月の34件です。3月は19件しかありません。「年度末まで待ってくれる」制度のほうが少数派です。

そして11月から3月に111件、76%が集まります。秋のうちに動き出していないと、この山に間に合いません。解体は見積り・契約・近隣説明・着工と工程が長いので、申請の期限から逆算すると、動き始めるのは夏です。

5. 「先着順」74件、「抽選」7件

締切より怖いのが、埋まり方です。

  • 先着順と明記しているもの——74件
  • 抽選と明記しているもの——7件

先着順が抽選の10倍あります。つまり大半の制度で、早く出した人から順に埋まります。抽選なら締切まで待っても条件は同じですが、先着順は待つほど不利になります。

枠の件数を公表しているのは65件だけ

「予算枠・件数」の欄に件数が書かれていたのは65件でした。その分布です。

件数を公表している65件の分布 値
中央値 14件
上位25%の境目 20件
10件以下だったもの 43%
5件以下だったもの 12件
「予算枠・件数」欄から件数を読み取れた65件を集計

市の予算で用意されている枠が、年に14件。これが真ん中の姿です。10件以下の自治体が43%あります。人口10万人の市で、年に10件。空き家の数を考えれば、行き渡らないのは当然です。

残る202件は件数を公表していません。枠がいくつあるのかも、あと何件残っているのかも、外からは見えません。

6. 金額は「50万円」に横並びしています

ついでに上限額も数えました。「◯万円」と数値で書かれていた381件のうち——

補助上限額(381件) 値
中央値 50万円
ちょうど50万円だったもの 134件(35%)
下位25%の境目 30万円
上位25%の境目 70万円
100万円以上 65件
「万円」表記から数値化できた381件を集計。定額・上限・地区別など表記の形は自治体で異なる

3件に1件が、ぴったり50万円です。相場というより横並びです。解体費用そのものは木造30坪で100万円台後半から200万円台になることが多く、50万円では足りません。補助金は「足しになる」ものであって、「解体費が浮く」ものではありません。

一方で、密集市街地の対策として設けられた制度には桁の違うものがあります。品川区は床面積×31,000円/㎡(1,550万円を限度)、大阪市の重点対策地区は集合住宅2,000万円/棟。ただしどちらも地区限定で、区内・市内ならどこでも使えるわけではありません。

費用そのものは実家の解体費用に、税金への跳ね返りは解体すると固定資産税は何倍になるのかにまとめています。

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解体の見積りを、もう1社から取る

1社の見積りだけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。解体工事一括netは、同じ物件について別の業者からも見積りを取れるサービスです。この記事で見たとおり、補助金の中央値は50万円。解体費の総額が何十万円か変われば、補助金の有無より影響が大きくなります。2社目を当てておくと、金額の妥当性が自分で判断できます。

申し込む前に3つだけ確認してください。①解体する予定がない場合は申し込まないでください。
②申し込みには物件の情報が要ります。遠方の実家なら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
③補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。

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7. では、いつ動けばいいのか

ここまでの数字から言えることは、ひとつです。「締切を調べて、そこから逆算する」という考え方が、そもそも成立しません。3分の2の制度には締切がないからです。

代わりにやることは、これです。

  1. 年度が始まる4月に、自分の市区町村の担当課へ電話する。「今年度の受付は始まっていますか」「枠は何件ですか」の2つだけ聞けば足ります。担当課と電話番号は全国一覧の各ページに載せてあります。
  2. 「予算がなくなり次第終了」と言われたら、その年度のうちで最速で動く。89件がこの型です。
  3. 契約と着工の前に申請する。ここを逃すと、締切に間に合っていても補助はゼロです。ほぼすべての自治体で共通します。
  4. 秋までに見積りを取り終える。締切日がある制度の76%は11月〜3月に閉まります。工程を逆算すると夏が起点です。

やってはいけないこと

  • 「年度内だから3月まで大丈夫」と考える。締切日がある146件のうち、3月は19件だけです。最多は2月です。
  • 締切が書いていないのを見て「期限がない」と読む。96件は公表していないだけ、89件は予算が尽きた時点で閉まります。
  • 解体業者と契約してから申請する。順番が逆だと、ほぼ確実に対象外です。
  • 補助金の額だけで解体を決める。中央値50万円に対し、解体費は数倍です。さらに翌年から固定資産税が上がります。
  • 去年のページを見る。制度は年度ごとに変わります。上限額も枠も受付期間も動きます。

よくある質問

Q. 結局、いつまでに申請すればいいのですか?

制度によって違い、3分の2は日付が決まっていません。当サイトが調べた423制度のうち、締切日が明示されていたのは146件(35%)です。89件は「予算がなくなり次第終了」で、そもそも日付が存在しません。年度の早いうちに担当課へ電話するのが唯一確実な方法です。

Q. 3月末までに申請すれば間に合いますか?

多くの場合、間に合いません。締切日がある146件のうち、3月締切は19件だけ。最多は2月の34件で、11月〜3月に111件(76%)が集中します。さらに先着順が74件あるため、締切前に枠が埋まることがあります。

Q. 枠は何件くらいあるのですか?

件数を公表しているのは65件だけで、その中央値は14件です。10件以下が43%を占めます。残り202件は枠の件数を公表していません。担当課に電話すれば教えてもらえることがあります。

Q. いくらもらえますか?

中央値は50万円で、381件中134件(35%)がちょうど50万円です。下位25%の境目が30万円、上位25%の境目が70万円。100万円以上は65件です。解体費用の総額には届きません。

Q. うちの市には制度がありませんでした

501件のうち78件は制度がありませんでした。珍しいことではありません。ただし年度ごとに新設・廃止があるため、去年なかった自治体に今年できていることもあります。全国一覧で自分の市区町村を確認してください。

Q. この数字は全国平均ですか?

違います。調べた501市区町村の中での分布です。全国には約1,700の市区町村があり、当サイトは人口の多い自治体から順に調べています。全国を代表する標本ではありません。そのつもりで読んでください。

まとめ

  • ★423制度のうち、締切日が書いてあるのは146件(35%)だけ。
  • 96件は締切を公表しておらず、89件は「予算がなくなり次第終了」。
  • 日付がある146件でも最多は2月(34件)。3月は19件。11〜3月に76%が集中します。
  • ★先着順74件に対し抽選は7件。待つほど不利になる制度が大半です。
  • 枠の件数を公表しているのは65件、中央値14件。10件以下が43%。
  • 上限額の中央値は50万円。3件に1件がぴったり50万円。
  • やることは1つ。年度が始まったら担当課に電話する。

この記事で確認できなかったこと

  • 全国約1,700市区町村のうち、501件しか調べていません。人口の多い自治体を優先しているため、この記事の比率を全国の比率として読むことはできません。
  • 「締切日あり」の判定は、当サイトが機械的に文字列を読んで分類したものです。「◯月◯日まで」と読み取れるかを基準にしており、人が読めば締切と分かる別の表現を取りこぼしている可能性があります。
  • 各制度の実際の予算額(円)は集計していません。「予算枠・件数」欄に件数が書かれていた65件だけを数えました。
  • 先着順74件・抽選7件は、公式ページにその語が明記されていたものだけです。明記がなくても運用上は先着順という自治体があると考えられますが、確認していません。
  • 実際に何件申請され、何件が採択されたかという実績は、確認できませんでした。公表している自治体が少なく、全国での集計は見つけられませんでした。
  • 上限額の集計は「万円」表記から数値化できた381件のみです。「床面積×単価」型や地区別に額が分かれる制度は、代表値を1つ選べないため一部を除いています。
  • 年度をまたいだ変化は追えていません。今回は2026年8月27日時点の1時点のデータです。連載を続けるなかで、次年度との比較を出す予定です。

この連載について

「全国、ぜんぶ調べた。」は、当サイトが自分で集めたデータからしか書けないことだけを書く連載です。他サイトの引用も、推計も使いません。数えたものを数えたとおりに出し、数えられなかったものは数えられなかったと書きます。

現在のデータベースは解体補助金501市区町村と水道加入金326市区町村です。次回以降、こんなことを扱う予定です。

  • 制度がある県と、ない県。愛知県は調べた35市町村すべてに制度がありました。沖縄県は8件中6件にありませんでした。
  • 水道をつなぎ直すだけで、45万円。加入金は最安3万2千円から最高45万1千円まで、14倍の開きがあります。
  • 同じ金額が5つの市町に並ぶ理由。451,000円が5市町で完全に一致しています。

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