実家じまいは、結局いくらかかるのか|法令で金額が決まっている費用と、公的な相場が存在しない費用を分けました

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実家じまいの費用を調べると、「総額200万〜300万円」といった数字がすぐ出てきます。その出典を探しました。見つかりませんでした。

ただし、金額が1円単位で決まっている費用もあります。法令や告示に書いてあるからです。それは調べれば必ず分かります。

この記事は、実家じまいで出ていくお金を「法令で決まっている」「分布が公表されている」「公的な相場が存在しない」の3つに仕分けます。そのうえで、決まっている分だけを積み上げたらいくらになるかを出します。

最終更新:2026年8月28日

結論だけ先に

  • ★実家じまいの「総額の相場」に一次情報はありません。ただし法令で金額が決まっている費用は7種類あり、これは自分で計算できます。
  • モデルケース(評価額1,400万円の実家を相続して1,500万円で売る)で、法令から確定できる費用は630,800円でした。内訳の89%は仲介手数料です。
  • ★同じケースで、空き家の3,000万円特別控除を使えるかどうかは最大609万円動きます。確定費用の総額よりひと桁大きい。
  • 解体費の坪単価と、遺品整理の間取り別相場表には、公的な統計がありません。当サイトが探しても一次情報にたどり着けませんでした。
  • 登記事項証明書は600円です。「480円」と書いてあるページは古い。令和7年4月1日に改定されています。

この記事の金額は、法務省・国税庁・国土交通省・総務省行政評価局の公表資料と、当サイトが自分で集めたデータベースだけを根拠にしています。当サイトに税理士・司法書士はいません。モデルケースは計算例であって、あなたの実家の金額ではありません。税額と手数料は個別の事情で変わります。

1. 「総額いくら」に、出典がない

当サイトは、これまで87本の記事で費用を扱ってきました。そのたびに同じ壁に当たっています。

調べたもの ネットでよく見る数字 探した結果
解体費の坪単価 木造なら坪3万円 国土交通省にも環境省にも公的統計なし
遺品整理の費用 3LDKなら17万〜50万円 間取り別の表に一次情報なし
買取価格 相場の7割 出どころ不明。決算から逆算した
当サイトが各記事で実際に出典をたどった結果

3つとも、各社が互いに引用し合っているだけでした。だから当サイトは、これらを「相場」として書きません。

ただ、「分からない」で終わらせると、読む人は何も決められません。そこで分けます。

2. ★法令で金額が決まっている費用

ここに挙げるものは、誰が計算しても同じ額になります。条文か告示に書いてあるからです。

費用 金額 根拠
相続登記の登録免許税 不動産の価額 × 0.4% 登録免許税法別表第一
価額100万円以下の土地 免税(0円) 令和9年3月31日まで
抵当権の抹消 不動産1個につき1,000円 同上
登記事項証明書 書面600円/オンライン送付520円/オンライン窓口490円 令和7年4月1日〜
仲介手数料の上限 400万円超は3.3%(税込) 建設省告示第1552号
800万円以下の空家等 33万円が上限 令和6年6月21日改正
売買契約書の印紙 1千万円超5千万円以下は1万円(軽減後) 令和9年3月31日まで
相続税の基礎控除 3,000万円+600万円×法定相続人 相続税法15条1項
法務省「登録免許税の計算」、法務局「登記手数料」(情報番号1109)、国土交通省告示、国税庁「印紙税額」(令和8年5月22日現在)から作成

登録免許税は、端数の処理まで決まっています

法務省の資料はこう書いています。

(課税標準は)1,000円未満の端数は切り捨てます。価格が1,000円未満である場合は、1,000円になります。(税額は)計算した額に100円未満の端数があるときはこれを切り捨て、計算した額が1,000円未満であるときは1,000円とします。

つまり自分で電卓を叩けば、1円まで一致します。見積書に「登記費用一式」と書かれていたら、この額と、その差額が司法書士の報酬です。分けて聞いてください。

★「登記事項証明書600円」を知らないと、古い記事に気づけません

登記事項証明書の手数料は、令和7年4月1日に改定されています。

請求方法 現在 よく書かれている古い額
書面請求 600円 600円
オンライン請求・送付 520円 500円
オンライン請求・窓口交付 490円 480円
法務局「登記手数料はどのようになっていますか?」(情報番号1109・令和7年4月1日〜)

「480円」と書いてあるページは、令和7年4月1日より前の情報のままです。金額そのものは10円20円の差ですが、そのページの他の数字も同じだけ古いと考えたほうがいい。

出典:法務局「登記手数料はどのようになっていますか?」(情報番号1109)/法務省「登録免許税の計算」

売るときの税率は、令和11年3月31日まで延びました

土地を売買で移転する登記の登録免許税は、本則2.0%のところ1.5%に軽減されています。この軽減は令和8年3月31日で切れる予定でしたが、令和8年度の税制改正で3年延長され、令和11年3月31日までになりました(国税庁・令和8年4月)。

売買の登記費用は買主が負担するのが通例ですが、値段の交渉材料になります。

3. 分布が公表されている費用

「相場」はなくても、国や当サイトが実際に集めた数字の散らばりなら分かります。1点の金額ではなく、幅として読んでください。

遺品整理──国が集めた見積書75例

総務省行政評価局が、遺品整理サービスの実際の見積書75例の金額分布を公表しています。

遺品整理サービスの見積書75例の金額分布 遺品整理の見積書75例 総務省行政評価局の調査・令和2年3月 〜10万 7例 〜20万 19例 〜30万 23例 〜40万 12例 〜50万 5例 〜60万 3例 〜100万 4例 100万超 2例 49例(65.3%)が30万円以下。最多は20万〜30万円
総務省行政評価局「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」(令和2年3月)表7から作成

75例のうち49例(65.3%)が30万円以下。いちばん多いのは20万円超30万円以下の23例でした。一方で100万円を超える見積りも2例あります。

ただしこの調査には、費用より重い数字があります。調査対象の69社のうち35社が、一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていませんでした。詳しくは遺品整理の費用に書きました。

水道の加入金──0円から125万円

建て替えや、長く止めていた水道を引き直すときにかかります。同じ口径13mmでも、0円の自治体から125万円の自治体まであります。当サイトが調べた全国の中央値は66,000円、1,229事業体のうち232(18.9%)は制度そのものがありません。東京都の本土53市区町村は全域0円です。

解体の補助金──501市区町村のうち81件は制度なし

当サイトは全国501市区町村の解体補助制度を1件ずつ公式ページで調べています。制度がなかったのは81件(16.2%)。素直に使える「空き家特化」型は256件(51.1%)でした。県によってはっきり分かれます。

仏壇の処分──自治体でまったく違う

粗大ごみとして出せるかどうかから違います。大阪市は1,000円、名古屋市は2,000円、明石市は「収集できません」と分別区分に書いています。

出典:総務省行政評価局の報告書、各自治体の公式ページ、当サイトの補助金データベース(501件)・水道加入金データベース

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相場が存在しない費用は、相見積りでしか分かりません

この記事で見たとおり、解体費の坪単価には公的な統計がありません。当サイトが金額を書かないのはそのためです。代わりにできるのは、同じ物件について複数社に出してもらうことです。補助金の申請にも見積書が要ります。複数社の相見積りを一度に取れます。

解体する意思がある方が対象です。相場だけ知りたい段階なら、その旨を伝えてください。申し込むと解体業者から連絡が入るので、所在地・建物の構造・おおよその延べ床面積を答えられるようにしておくと早く終わります。補助金は契約・着工の前に申請してください。順番を逆にすると補助はゼロです。

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見積りが出たら、この記事の630,800円に何がいくら乗るのかを計算できます。

4. 公的な相場が存在しない費用

ここは相見積りでしか分かりません。だから当サイトは金額を書きません。

費用 なぜ書けないか どうするか
解体工事費 坪単価の公的統計がない。地域差は最大1.5倍、前面道路が狭ければさらに2〜3倍 複数社から見積りを取り、「別途」の中身を聞く
遺品整理費 間取り別の表に出典がない 75例の分布を目安に、許可の有無を先に確認
司法書士の報酬 当サイトでは全国的な統計を確認できなかった 登録免許税と分けて見積りを出してもらう
譲渡所得税 取得費が分かるかどうかで税額が数倍変わる 親の購入時の契約書を先に探す
買取価格 「7掛け」に一次情報がない 最大手の決算からは販売価格の73.5%が原価
当サイトが各記事で出典をたどった結果

★このうち、金額がいちばん大きく動くのは譲渡所得税です。取得時の契約書が見つからないと売却代金の5%しか取得費に入れられず、税額が跳ね上がります。実家の片付けで最初に探すべきは、通帳でも権利証でもなく、購入時の契約書です。

5. ★決まっている分だけ積み上げると、63万円でした

モデルケースで計算します。これは計算例であって、相場ではありません。

前提 値
実家の固定資産税評価額 土地1,200万円+建物200万円=1,400万円
法定相続人 2人(基礎控除4,200万円)
抵当権 完済済みだが登記が残っている(土地1筆+建物1棟=2個)
売却 相続登記のうえ1,500万円で仲介売却
計算例の前提。実際の金額は個別に変わります
法令から確定できる費用の内訳(モデルケース) 確定できる費用 630,800円 評価額1,400万円を相続し1,500万円で売る場合 仲介手数料 561,000 登録免許税 56,000 印紙税 10,000 抵当権抹消 2,000 証明書3通 1,800 89%が仲介手数料。税金は10% 解体費・遺品整理費・司法書士報酬は含みません
当サイトが法令・告示から計算した金額。司法書士に依頼した場合の報酬は別です
費用 計算 金額
相続登記の登録免許税 1,400万円 × 0.4% 56,000円
抵当権抹消の登録免許税 1,000円 × 2個 2,000円
登記事項証明書 600円 × 3通(書面請求) 1,800円
売買契約書の印紙 1千万円超5千万円以下・軽減後 10,000円
仲介手数料(上限) 1,500万円 × 3.3% + 66,000円 561,000円
相続税 1,400万円 < 基礎控除4,200万円 0円
合計 — 630,800円
法令・告示から機械的に計算した金額。実額は個別事情で変わります

★内訳の89%は仲介手数料です。税金は合わせて68,000円しかありません。「実家じまいは税金が高い」というより、動くのは仲介と工事の側です。

もしこの実家が800万円だったら

売買代金が800万円以下なら、仲介手数料の上限は33万円です(低廉な空家等の特例)。ただし通常の計算式なら800万円×3.3%+66,000円=330,000円で、実は同額です。

効いてくるのはもっと安い実家です。400万円なら通常の上限は198,000円ですが、この特例では33万円まで受け取れます。安い実家ほど、手数料の実質負担は重くなります。

6. ★確定費用より、控除ひとつのほうが大きい

ここが、この記事でいちばん言いたいところです。

項目 動く金額
法令から確定できる費用の合計 630,800円
空き家の3,000万円特別控除が使えるかどうか 最大609万円
解体補助金があるかないか 自治体により0円〜数十万円
取得時の契約書が見つかるかどうか 譲渡所得税が数倍変わる
当サイトの各記事で確認した金額

確定費用の総額より、控除ひとつのほうがひと桁大きい。だから「総額はいくらか」を当てにいくより、動く額が大きいところから順に決めたほうがいい。

そして3,000万円控除には条件があります。一度でも貸すと、永久に使えなくなります。2025年以降に相続した人の実質的な期限は2027年12月31日です。貸すかどうかを決める前に、こちらを先に確認してください。

出典:空き家の3,000万円特別控除/相続した実家を売ったときの譲渡所得税/当サイトの補助金データベース

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確定費用の89%は、仲介手数料でした

この記事で計算したとおり、法令から確定できた630,800円のうち561,000円が仲介手数料です。総額を左右するのは、税金ではなく売却価格のほうです。まず今いくらで売れるのかを把握してください。複数社の査定額を一度に取り寄せられます。

入力後は各社から個別に連絡が来ます。査定額は各社の見立てであって、固定資産税の評価額とは別物です。売却の意思が固まっていない段階では、連絡が負担になることがあります。

不動産SHOPナカジツに無料査定を依頼する(愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本)

査定額が出たら、仲介手数料の上限も自分で計算できます。

やってはいけないこと

  • 「総額◯◯万円」と書いてある記事の数字で予算を立てる。出典をたどると、どこにも一次情報がありません。
  • 「登記費用一式」の見積りをそのまま受け取る。登録免許税は法令で決まっているので、自分で計算すれば報酬部分が分かります。
  • 業者を決めてから補助金を調べる。市内業者限定の制度が129件あります。順番が逆だと使えません。
  • 片付けで、購入時の契約書を捨てる。取得費が分からないと売却代金の5%しか引けません。
  • 3,000万円控除を確かめる前に貸す。一度貸すと永久に使えなくなります。
  • 相続登記を後回しにする。2024年4月1日から義務で、3年以内、10万円以下の過料です。
  • 遺品整理業者に許可を確認しないで頼む。調査対象69社のうち35社が一般廃棄物収集運搬業の許可を持っていませんでした。

よくある質問

Q. 結局、実家じまいの総額はいくらですか?

当サイトは答えを持っていません。解体費と遺品整理費に公的な相場が存在しないからです。代わりに、法令で決まっている部分だけなら計算できます。モデルケース(評価額1,400万円を相続して1,500万円で売却)で630,800円でした。工事を伴うなら、ここに見積り次第の金額が乗ります。

Q. 登記は自分でできますか?

登録免許税と証明書代は法令で決まっているので、金額の面では自分でやれば報酬分が浮きます。ただし相続人が多い、祖父名義のまま、といった事情があると難易度が変わります。相続登記の義務化と祖父名義のままの実家を先に読んでください。

Q. 仲介手数料は値切れますか?

告示が定めているのは上限です。400万円超なら3.3%(税込)が上限で、それ以下で合意することは可能です。ただし800万円以下の空家等については、あらかじめ説明と合意があれば33万円まで受け取れる特例があります。媒介契約を結ぶ前に確認してください。

Q. 相続税はかかりますか?

基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数です(相続税法15条1項)。相続人2人なら4,200万円。ただし「特例を使ってゼロ」の場合は申告が要ります。実家を相続したら相続税はかかるかに境目を書きました。

Q. 解体してから売ったほうが高く売れますか?

解体すると翌年から固定資産税が上がります。住宅用地の特例が外れるためです。ただし「6倍」ではなく、計算すると最大でも4.2倍でした。古家付き土地として売るか、更地にして売るかで比較しています。

Q. 費用を抑える順番はありますか?

金額が大きく動くところからです。①3,000万円控除が使えるか、②取得時の契約書があるか、③解体補助金があるか、④解体と遺品整理の相見積り。登録免許税や印紙税は動かせないので、最後で構いません。

まとめ

  • ★「総額の相場」に一次情報はありません。解体費の坪単価も、遺品整理の間取り別表も、公的統計が存在しません。
  • 法令で決まっている費用は計算できます。登録免許税0.4%、抵当権抹消1個1,000円、証明書600円、仲介手数料の上限3.3%、印紙税、基礎控除。
  • ★モデルケースで確定できたのは630,800円。うち89%が仲介手数料でした。
  • それより大きいのが控除です。3,000万円特別控除の有無で最大609万円。確定費用の総額よりひと桁大きい。
  • 登記事項証明書は令和7年4月1日に改定されています。「480円」と書いてあるページは古い。

この記事で確認できなかったこと

  • 司法書士・税理士の報酬について、全国的な統計を確認できませんでした。公表資料に当たろうとしましたが、当サイトからは取得できていません。そのため本記事には報酬の金額を書いていません。見積りを取るときは、登録免許税と報酬を分けて出してもらってください。
  • 「実家じまいの総額」を集計した公的統計は見つかりませんでした。相続財産に関する統計は国税庁にありますが、処分にかかった費用の統計ではありません。
  • モデルケースの前提は当サイトが置いたものです。評価額・売却価格・相続人の数が変われば、すべての金額が変わります。特に譲渡所得税は含めていません。
  • 不動産取得税・固定資産税の精算金・測量費・境界確定費用は入れていません。発生するかどうかが物件によって変わるためです。
  • 仲介手数料は上限で計算しています。実際にいくらで合意するかは当事者次第です。
  • 登録免許税の免税措置(価額100万円以下の土地)が、あなたの土地に当たるかは確認していません。固定資産課税台帳の価格で判定します。

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