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最終更新:2026年8月16日
結論だけ先に
- 判断を分けるのは解体費ではありません。空き家の3,000万円特別控除が使えるかどうかで、手取りが最大数百万円変わります。
- 2024年の改正で、買主が引渡し後に解体する場合でも特例が使えるようになりました。ただし売買契約に特約が必要です。媒介契約の前に確認してください。
- 期限は2つあり、早いほうが実質的な締切です。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日と、令和9年(2027年)12月31日。
根拠と出典は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。
判断を分けるのは、解体費ではありません
「解体費が200万円かかる。その分値引きして古家付きで売ったほうが得では?」
金額だけを並べるとそう見えます。しかし、税金を計算に入れると結論がひっくり返ることがあります。
理由は1つ。空き家の3,000万円特別控除です。この特例が使えるかどうかで、手取りが数百万円変わります。そして、この特例には「家屋をどうするか」が要件に組み込まれています。
この記事では、①特例の要件、②2024年の重要な改正、③再建築不可という別の論点、④契約不適合責任、⑤判断の順序——を整理します。
1. 空き家の3,000万円特別控除は、家屋の扱いで適用が決まります
相続した実家を売って利益が出た場合、譲渡所得に約20%(長期の場合)の税金がかかります。この譲渡所得から最大3,000万円を控除できるのが、被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除です(租税特別措置法35条3項)。
この特例が対象とするのは、次の2パターンです。
| パターン | 要件 |
|---|---|
| A. 取り壊して土地を売る | 「被相続人居住用家屋の全部の取壊し等をした後に、被相続人居住用家屋の敷地等を売ること」 |
| B. 家屋ごと売る | 「譲渡の時において一定の耐震基準を満たすものであること」 |
出典:国税庁 タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(2026年8月15日確認)
ここが決定的です
昭和56年5月31日以前に建築された家屋(この特例の対象となる家屋は原則としてこの時期以前の建築です)を、そのまま古家付きで売ると、原則として特例は使えません。
Bのルートを使うには、耐震基準に適合させる必要があります。旧耐震の木造住宅を耐震改修するとなれば、解体費と変わらない金額がかかることも珍しくありません。
つまり、多くのケースで実質的な選択肢は次の2つです。
- 取り壊して更地で売る(Aルート)→ 特例が使える
- 何もせず古家付きで売る → 特例が使えない
差額は最大で、3,000万円 × 約20.315% = 約609万円です。
2. 2024年の改正で、第3の道ができました
令和6年(2024年)1月1日以後の譲渡について、重要な改正が入りました。
売主が引渡し時点で取壊し・耐震改修をしていなくても——
「譲渡の時からその譲渡の日の属する年の翌年2月15日までの間に、一定の耐震基準を満たすこととなったこと」または「被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったこと」
があれば、特例の対象になります。
出典:国税庁 No.3306(※令和6年1月1日以後に行う譲渡に限る)(2026年8月15日確認)
つまり、買主に解体してもらっても特例が使えるようになりました。
これは実務上とても大きな変更です。売主が先に200万円を出して解体するリスクを負わなくても、買主が翌年2月15日までに解体すれば要件を満たします。
ただし、契約に書かなければ機能しません
買主が本当に期限内に解体してくれる保証はありません。そこで国土交通省は、この特例を前提とした売買契約の特約条項の記載例を公表しています。
売主・買主が「特例の適用を受けることを前提に価格を決定した」ことを確認し合い、買主に取壊し・耐震改修の実施義務を課す内容です。買主の責めに帰さない事由で履行できなかった場合の免責も例示されています。
出典:国土交通省「売買契約書の特約条項の記載例」(PDF)(2026年8月15日確認)
不動産会社にこの特約を入れられるか、媒介契約の前に確認してください。 「知らない」と言われたら、この国交省のPDFを見せれば話が早いはずです。
3. 期限は2つあり、早いほうが効きます
この特例には期限が2つあります。
| 期限 | 内容 |
|---|---|
| ① 制度そのものの期限 | 平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡 |
| ② 個別の期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
出典:国税庁 No.3306(2026年8月15日確認)
両方を満たす必要があるので、早いほうが実質的な締切になります。
2025年以降に相続した方は、個別の3年期限(2028年12月31日以降)より、制度の期限(2027年12月31日)のほうが先に来ます。つまり実質的な期限は2027年12月31日です。
これは意外と知られていません。詳しくは空き家の3,000万円特別控除で、判定チェックリストとともに整理しています。
控除額が2,000万円になる場合があります
令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋および敷地を相続・遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合、控除は2,000万円までに縮小されます。
出典:国税庁 No.3306
兄弟3人で共有相続した実家は、この改正の直撃を受けます。
4. 更地にしてはいけない土地があります
税金だけで「解体して更地」と決めると、取り返しがつかなくなるケースがあります。再建築不可の土地です。
建築基準法第43条第1項は、建築物の敷地について次を求めています。
建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
出典:建築基準法第43条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
ここでいう「道路」は、原則として幅員4m以上のもの(建築基準法42条の定義)です。この条件を満たさない土地は、いま建っている建物を壊すと、二度と建物を建てられません。
同条第2項には、特定行政庁の認定や、建築審査会の同意を得た許可(いわゆる43条2項2号許可)という例外規定がありますが、許可される保証はありません。
再建築不可だと分かった場合に、何ができて何ができないかは再建築不可の実家にまとめました。2項道路なら建て替えられること、2025年4月から大規模リフォームに建築確認が要ること、相続税で最大40%引けることまで、条文で確かめています。
実務上の順序
解体を決める前に、必ず接道状況を確認してください。
- 建築計画概要書(役所の建築指導課で閲覧できます)
- 公図・測量図で前面道路の幅員と接道長さを確認
- 不安があれば、役所の建築指導課の窓口で相談
再建築不可の土地は、古家付きのまま(=現存する建物ごと)売ったほうが買主が付くことがあります。この場合、3,000万円控除を諦めてでも古家付きで売る、という判断があり得ます。
5. 古家付きで売る場合の、もう1つのリスク
民法第562条以下の契約不適合責任です。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。
古い建物を売ると、雨漏り・シロアリ・給排水の不具合などが後から見つかる可能性があります。実務では、契約書で「建物については契約不適合責任を負わない」旨の免責特約を入れることが一般的です。
注意点:宅建業者が売主の場合は、宅地建物取引業法により免責特約に制限がありますが、相続人(個人)が売主の場合はこの制限は適用されません。 ただし、売主が知っていて告げなかった事実については免責されないのが原則です。知っている不具合は必ず告知してください。
更地にすれば、建物についての契約不適合責任はそもそも発生しません。これは更地売却のメリットの1つです。
6. いくらで売れるかを先に把握する
判断には、売却価格の見込みが要ります。査定を出す前に、自分で調べられます。
国土交通省 不動産情報ライブラリ
実際の取引価格を地図・一覧で検索できる公式システムです。土地総合情報システムの後継として統合されました。
レインズの市況データ
公益財団法人 東日本不動産流通機構が公表している首都圏の中古戸建住宅の数字です。
2026年7月度(月例)
| 項目 | 金額 | 前年同月比 |
|---|---|---|
| 成約価格 | 3,933万円 | +0.6%(7か月連続上昇) |
| 新規登録価格(売出価格) | 4,846万円 | +11.4%(12か月連続上昇) |
| 成約件数 | 1,738件 | ▲1.9% |
2026年4〜6月期(季報)
| 項目 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 成約価格 | 4,129万円 | +6.5%(3四半期連続上昇) |
| 新規登録価格 | 4,676万円 | +6.6%(6四半期連続上昇) |
出典:東日本レインズ Market Watch 2026年7月度/季報 2026年4〜6月期(2026年8月15日確認)
ここから読めること
売出価格と成約価格には、明確な差があります。2026年7月度で 4,846万円 → 3,933万円。
しかも売出価格の上昇率(+11.4%)が成約価格の上昇率(+0.6%)を大きく上回っています。売り手の希望と、実際に成立する価格の乖離が広がっているという読み方ができます。
査定額をそのまま手取りの計算に使うと、見込みを外します。この構造は実家の売却相場を調べる3つの方法で詳しく扱っています。
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解体費を自腹で出す前に、「古家付きのまま買う先」があるか確かめてください
更地にしてから売るという判断は、150〜250万円を先に自分で払うということです。売れ残れば、その解体費は丸ごと損になります。再建築不可・旧耐震・築古・違反建築のように一般の買主が付きにくい物件ほど、この賭けは危険です。そういう物件を現況のまま買い取る先が実在します。
買取価格は、仲介で売れた場合より下がります。ただし比べるべきは「仲介で売れた場合」ではなく、「解体費を払ったうえで、それでも売れなかった場合」です。そこまで含めて並べてください。
先に解体してしまうと、この選択肢は消えます。順番として、現況のままいくらかを聞くのは解体を発注する前にしかできません。解体費の目安は解体費シミュレーターで幅を出せます。
そもそも補助金が出ない自治体かどうか
更地にするかどうかを決める前に、解体費の補助が使えるかを確認してください。全国394自治体のうち81自治体は、公式ページを確認したうえで解体費の補助が無いと判断できた自治体です。
| 自治体 | 上限額 |
|---|---|
| 京都府亀岡市 | 制度なし |
| 京都府八幡市 | 制度なし |
| 京都府城陽市 | 制度なし |
| 京都府木津川市 | 制度なし |
| 京都府福知山市 | 制度なし |
| 京都府長岡京市 | 制度なし |
| 兵庫県三田市 | 制度なし |
| 兵庫県宝塚市 | 制度なし |
| 兵庫県川西市 | 制度なし |
| 兵庫県明石市 | 制度なし |
| 北海道北広島市 | 制度なし |
| 千葉県八千代市 | 制度なし |
該当は全部で81自治体です。全国の一覧表で実家のある市区町村を確認してください。
補助が無いと分かっている自治体なら、解体費は全額自己負担が前提になります。その分だけ古家付きで売る選択肢が有利に傾きます。逆に上限50万円や100万円の補助が使えるなら、更地にして売るほうが手取りで上回ることがあります。実家のある市区町村を先に確認してから、この記事の計算に戻ってください。
7. 判断の順序
上から順に確認してください。途中で答えが確定することがあります。
ステップ1:再建築が可能かどうか
→ 不可なら、古家付きで売る(更地にすると価値が激減します)。ここで終了です。
再建築不可は査定額の幅が大きい。複数社に当たる
ステップ2:空き家の3,000万円特別控除の要件を満たすかどうか
被相続人が一人で住んでいたか、昭和56年5月31日以前の建築か、相続後に貸したり住んだりしていないか——判定はこちら。
→ 満たさないなら、税金の要素は消えます。 解体費 vs 値引き額の単純比較で決めてください。
まず解体費を幅で試算する
ステップ3:期限に間に合うかどうか
制度の期限は2027年12月31日。相続から3年の期限も確認。
→ 間に合わないなら、ステップ2と同じく単純比較に戻ります。
補助金で解体費を下げられるか確認する
ステップ4:解体費と補助金を確認する
- 相場と内訳 → 実家の解体費用はいくら?
- 自治体の補助金 → 解体補助金データベース(着工前申請が必須です)
ステップ5:3つのルートを比べる
| ルート | 3,000万円控除 | 解体費の負担 | 備考 |
|---|---|---|---|
| A. 自分で解体して更地で売る | ○ | 売主 | 補助金が使える可能性。固定資産税は翌年1月1日から上がる |
| B. 買主に解体してもらう(2024年改正) | ○(翌年2/15までに実施が条件) | 買主 | 特約条項が必須。国交省の記載例あり |
| C. 古家付きでそのまま売る | ×(耐震改修しない限り) | — | 再建築不可なら実質これ一択 |
Bは2024年に使えるようになったばかりのルートです。 不動産会社が慣れていない可能性があります。媒介契約の前に、特約を入れられるか確認してください。
よくある質問
ここは「不動産会社に何と言えばいいか」まで書きます。2024年に増えたルートは、契約書に書かなければ機能しません。そして、それを不動産会社が知らないことがあります。
Q. 更地にしたほうが、高く売れますか。
A. 売りやすさは上がることが多いです。ただし、それだけで決めないでください。
判断を分けているのは解体費ではなく、空き家の3,000万円特別控除が使えるかどうかです。差は最大で 3,000万円 × 約20.315% = 約609万円。解体費150〜250万円を大きく超えます。
そして順番が大切です。いちばん先に確かめるのは税金ではなく、「壊しても建て直せる土地か」です。調べ方は、このあとの「再建築ができる土地かどうかは、どうやって調べればいいですか」に書きました。ここを飛ばして壊すと、取り返しがつきません。
Q. 古家付きのまま売ると、3,000万円控除は使えませんか。
A. 2024年から、使えるようになりました。ここは、まだあまり知られていません。
令和6年1月1日以後の譲渡なら、引渡しの時点で壊していなくても、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに取壊しまたは耐震改修が行われれば、特例の対象になります。
出典:国税庁 タックスアンサー No.3306(2026年8月16日確認)
つまり、売主が先に200万円を払って解体するリスクを負わなくてよくなりました。
ただし、契約書に書かなければ機能しません
買主が期限内に解体してくれる保証はどこにもありません。国土交通省が、この特例を前提とした売買契約の特約条項の記載例を公表しています。入れるべき中身は3つです。
| 特約に入れる内容 | |
|---|---|
| 1 | 売主・買主が「特例の適用を受けることを前提に売買価格を決めた」ことを、双方で確認する |
| 2 | 買主に、取壊し(または耐震改修)を「翌年2月15日まで」に行う義務を負わせる |
| 3 | 買主の責めに帰さない事由で履行できなかった場合の免責をどうするかを決めておく |
申告の書類も、先に押さえてください
確定申告には「被相続人居住用家屋等確認書」が要ります。これは市区町村長が交付する書類で、税務署ではもらえません。交付には日数がかかります。申告期限の直前に慌てる人がいちばん多い書類なので、売買契約を結ぶころには、市区町村の担当課に必要書類を確認しておいてください。
Q. 不動産会社に「その特約は分かりません」と言われました。どうすればいいですか。
A. 珍しいことではありません。2024年に使えるようになったばかりのルートです。この順で進めてください。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 国土交通省の「売買契約書の特約条項の記載例」を見せる。国交省サイトでPDFとして公表されています。役所の作った雛形があると分かれば、話が早く進みます |
| 2 | 媒介契約を結ぶ「前」に確認する。契約後に「できません」となると、会社を替えるだけで手間と時間を失います |
| 3 | それでも渋られたら、ほかの会社にも同じ質問をする。査定を複数社に出す目的は、金額を比べることだけではありません。この質問に答えられるかどうかが、そのまま実力の差になります |
| 4 | 税額そのものは税務署か税理士に確認する。不動産会社は税の専門家ではありません |
この質問は、会社選びの試金石として使えます。複数社に当たるときの手順と注意点は一括査定サイトの比較にまとめました。
Q. 期限はいつですか。
A. 2つあって、早いほうが実質的な締切です。
| 期限 | |
|---|---|
| ① 制度そのもの | 平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの譲渡 |
| ② 個別の期限 | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
出典:国税庁 タックスアンサー No.3306(2026年8月16日確認)
2025年以降に相続した方は、②より①のほうが先に来ます。つまり実質的な期限は2027年12月31日です。ここは意外と知られていません。
そして「2027年末までに売る」は、そんなに先の話ではありません。査定・媒介契約・買主探し・契約・引渡しで、順調でも数か月、条件が難しい物件なら1年以上かかります。要件を満たしているかの判定は空き家の3,000万円特別控除のチェックリストでできます。
Q. 相続人が3人います。控除はどうなりますか。
A. 令和6年1月1日以後の譲渡では、上限が2,000万円に下がります。家屋と敷地を相続・遺贈で取得した相続人の数が3人以上である場合が対象です(出典:国税庁 タックスアンサー No.3306/2026年8月16日確認)。
ここから先は、正直に書きます
この2,000万円が「相続人1人あたりの上限」なのか「全員の合計」なのかは、国税庁のタックスアンサーにも、国土交通省の制度説明ページにも明記を見つけられませんでした。
3人で相続した場合、前者なら合計6,000万円、後者なら2,000万円。譲渡益が十分にあれば、税額にして800万円前後の差になります。推測で書ける金額ではないので、書きません。
代わりに、聞き方を渡します。譲渡する前に確認してください。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 実家の所在地を管轄する税務署に電話して、こう聞く。 「措置法35条3項の空き家の特別控除について、相続人が3人以上の場合の2,000万円は、共有者1人ごとの上限ですか、それとも相続人全員の合計ですか」 |
| 2 | そのとき、相続人の人数・それぞれの持分・想定している譲渡価額を伝えて、自分のケースで答えをもらう |
| 3 | 金額が大きいと感じたら、譲渡所得に慣れた税理士に、契約前の段階で相談する。売ってからでは、手の打ちようがありません |
兄弟3人で共有相続した実家は、この改正の直撃を受けます。そして共有だと、売却そのものに全員の同意が要ります。止まってしまったときの進め方は仲介と買取の違いの共有持分の項にあります。
Q. 更地にすると、固定資産税はどうなりますか。
A. 住宅用地の特例が外れます。ただし「6倍」は不正確です。
土地の固定資産税だけを見れば最大約4.2倍ですが、建物分の税金が消えるので、実際に払う総額では約2倍程度に収まります。計算の中身は解体すると固定資産税は6倍になるのかで出しました。
解体する「時期」で、1年ぶん変わります
地方税法359条は「固定資産税の賦課期日は、当該年度の初日の属する年の1月1日とする」と定めています(e-Gov法令検索で条文を確認/2026年8月16日)。1月1日の時点で建物が建っているかどうかだけで、その年度が決まります。
| 解体した時期 | 翌年度の土地の税額 |
|---|---|
| 12月中に解体を終えた | 翌年度から特例が外れます(高くなる) |
| 1月中に解体した | その年度は特例が残ります(1年ぶん得) |
年末に工事が寄ると、この差が出ます。ただしこれは「解体を遅らせましょう」という話ではありません。売却の段取りのほうが金額として大きいので、年末に解体を予定しているなら、業者に「年内完了と年明け完了で選べますか」と一度聞いてみる——その程度に使ってください。なお、解体したら建物の滅失登記が必要です。不動産登記法57条は「その滅失の日から一月以内に」申請しなければならないと定めています(申請先は法務局で、市区町村ではありません)。固定資産課税台帳にいつ反映されるかは、市区町村の資産税課に確認してください。
Q. 再建築ができる土地かどうかは、どうやって調べればいいですか。
A. 解体より前に、必ずこれをやってください。建築基準法43条1項は「建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない」と定めています。そしてここでいう「道路」は原則として幅員4m以上のものです。
この条件を満たさない土地は、いま建っている建物を壊すと、二度と建てられません。
| 調べること | どこで | |
|---|---|---|
| 1 | 建築計画概要書(その建物がどの道路に接して建てられたかが分かります) | 市区町村・都道府県の建築指導課で閲覧・写しの交付 |
| 2 | 公図・地積測量図(前面道路の幅と、接している長さ) | 法務局の窓口、または登記情報提供サービス(オンライン) |
| 3 | ★ 前面道路が「建築基準法上の道路」かどうか、その種別 | 建築指導課の窓口。ここがいちばん大事です |
「幅4m未満=即アウト」ではありません
幅員4m未満でも、建築基準法42条2項のいわゆる「みなし道路」に指定されていれば、道路の中心線から2m下がる(セットバックする)ことを条件に建て替えられます。この指定を受けているかどうかは、地図を見ても分かりません。建築指導課に聞くしかありません。
また43条2項には、特定行政庁の認定や、建築審査会の同意を得た許可という例外規定もあります。ただし許可される保証はありません。「たぶん大丈夫だろう」で壊さないでください。
再建築不可と分かった場合、古家付きのまま売るほうが買主が付くことがあります。その場合は3,000万円控除を諦めてでも古家付きで売るという判断があり得ます。ここだけは、税金より先に来ます。
Q. 古家付きで売るとき、あとから雨漏りが見つかったらどうなりますか。
A. 契約不適合責任の問題です(民法562条以下)。ここは「免責特約」と「告知」の2つで守ります。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 契約書に「建物については契約不適合責任を負わない」旨の免責特約を入れる。築古の個人間売買では一般的な扱いです。売主が宅建業者の場合は宅建業法で制限がありますが、相続人(個人)が売主ならこの制限は適用されません |
| 2 | 知っている不具合は、必ず告知する。売主が知っていて告げなかった事実は、免責されないのが原則です。不動産会社が用意する物件状況等報告書に、雨漏り・シロアリ・給排水の不具合・過去の修繕を書き残してください |
| 3 | 「たぶん大丈夫」で空欄にしない。分からないことは「不明」と書くのが正しい書き方です。相続した家は、住んでいた人がもういません。知らないことを知らないと書くのは、隠したことになりません |
更地にすれば、建物についての契約不適合責任はそもそも発生しません。これは、金額に表れない更地売却のメリットです。
Q. 解体費に補助金は使えますか。
A. 自治体によります。そして「ある/ない」の二択で考えると外します。
当サイトでは全国501自治体の公式ページを1件ずつ確認して一覧にしました。金額の差は最大28倍(北九州市30万円 〜 札幌市850万円)。練馬区のように公式FAQで「空き家を対象にした解体費の助成制度はありません」と明言している自治体もあります。
「制度はあるのに使えない」が、いちばん多い落とし穴です
| 条件 | 何が起きるか |
|---|---|
| 居住要件 | 「自ら居住し、建替え後も住み続けること」が条件だと、売るために壊す人は対象外です |
| 売却禁止 | 「助成後に売却の予定がないもの」が条件の自治体があります |
| 跡地の提供 | 金額が大きい制度ほど、跡地を長期間 自治体に無償で貸すことが条件のことがあります |
そして共通の鉄則が1つあります。補助金は、着工前に申請しないと1円も出ません。契約してから、壊してから気づいても、遡って申請することはできません。解体業者を決めるより先に、担当課に電話してください。
自治体の解体補助金を調べる3,000万円控除が使えるか確かめる解体費の相場と内訳を見る
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更地にすると決めたなら、壊す費用は必ず複数社で比べる
解体費は、同じ家でも会社によって数十万円単位で変わります。1社だけで決めた分は、そのまま手取りから減ります。更地にしてから売ると決めた人ほど、ここで差が出ます。
①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。
見積書のどこを見るかは、この記事の見積書の章に戻って確認してください。お住まいの自治体の制度を先に調べておくと、受付期間に間に合うかどうかも一緒に分かります。
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更地にすると決めたなら、2つ目の見積りも取ってください
古家付きで売るか、更地にして売るか。この判断は解体費がいくらかで変わります。1社の見積りだけでは、その金額が高いのか安いのか判断できません。解体工事比較ナビは、複数社の見積りを比べる形のサービスです。上のサービスとは集め方が違うので、声のかかる業者も変わります。
①更地にした時点で住宅用地特例が外れます。売れるまでの期間が長引くと、上がった固定資産税を払い続けることになります。「更地にすれば売れる」という前提が外れたときの負担まで見てから決めてください。
②補助金を使う予定があるなら、見積りより先に自治体へ連絡してください。ほとんどの制度が「交付決定の前に契約したら対象外」です。
複数の業者から連絡が来る仕組みです。電話を受ける時間が取れないなら、希望する連絡手段を備考欄に書いてください。
いちばん安い1社をそのまま選ばないでください。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の写しを出せるか、建設リサイクル法の届出を代行するか。安すぎる見積りは、ここを省いていることがあります。
サービス内容の説明は同社サイトの記載であって、当サイトが確かめた事実ではありません。
この記事で確認できなかったこと
- 解体費用の相場の公的統計は存在しません。 検索で出てくる「坪◯万円」はすべて民間事業者の自社調査です
- レインズの「成約までの平均日数」:参照した月例・季報レポートには記載がありませんでした
- 再建築不可物件の定義に関する国土交通省の一次資料:自治体・民間の解説にとどまり、国交省自身の公式説明文書は確認できませんでした
- 古家付き土地の免責特約に関する公的な解説:国交省の標準媒介契約約款を確認しましたが、契約不適合責任の条項は含まれていませんでした(媒介契約と売買契約は別物のため)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務判断ではありません。空き家の3,000万円特別控除の適用可否は要件が細かく、実際の適用にあたっては税理士または所轄の税務署にご確認ください。
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- 解体補助金に「締切」はありません|423制度を数えたら、3分の2に締切日がありませんでした。
- 実家じまいは、結局いくらかかるのか|解体するかどうかの前に、確定できる費用を並べました。
- 相続した実家を売ったあと、雨漏りが見つかったら|更地にすれば建物の不具合は消えます。土地は残ります。
800万円以下の実家を売ると、仲介手数料は最大33万円です——2024年7月に上限が変わりました。安くなる制度ではありません。売主からのみ、媒介契約の前に合意が必要です。