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最終更新:2026年8月15日
結論だけ先に
- 相続から3年に、3つの期限が集中している(相続登記/3,000万円控除/取得費加算)
- 3,000万円控除を逃すと、最大609万円の差(譲渡所得3,000万円の場合)
- 相続した月によって、猶予は3年〜3年11ヶ月と1年近く違う
根拠と出典は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。
「そのうち考えよう」が、いちばん高くつきます
親の家を相続した人の多くが、こう考えます。
「まだ気持ちの整理がついていない」
「兄弟と話す時間が取れない」
「急いで決めることでもないだろう」
気持ちとしては、まったく自然です。 四十九日も済んでいないうちに実家の値段を調べる気にはなれない。それが普通だと思います。
ただ、事実として知っておいていただきたいことがあります。
相続した不動産の判断には、「3年」という期限が3つあります。
そして、そのうち1つを逃すと、最大609万円を失います。
これは脅しではなく、税制上の計算です。順に説明します。
「相続から3年」に集中する、3つの期限
| 期限 | 制度 | 逃すとどうなるか |
|---|---|---|
| 3年以内 | 相続登記の申請義務(2024年4月1日施行) | 正当な理由なく申請しないと10万円以下の過料 |
| 3年〜3年11ヶ月 | 空き家の3,000万円特別控除 | 譲渡所得税で最大609万円の差 |
| 約3年10ヶ月 | 取得費加算の特例 | 相続税を払った人は取得費を増やせなくなる |
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」/国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」/国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
① 相続登記は、もう義務です
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。
- 期限:自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内
- 過料:正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下
そして見落とされがちなのが、2024年4月1日より前に相続した不動産も対象だということです。こちらは2027年3月31日までが期限です。
「20年前に父が亡くなったとき、実家の名義を変えていなかった」——このケースも義務の対象で、期限は2027年3月末です。
出典:法務省「相続登記の申請義務化について」
② 3,000万円の特別控除には、明確な期限があります
正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」。譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。
期限は「相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」。
具体的に計算すると、こうなります。
| 相続開始日 | 売却の期限 | 猶予期間 |
|---|---|---|
| 2026年1月10日 | 2029年12月31日 | 約3年11ヶ月 |
| 2026年6月30日 | 2029年12月31日 | 約3年6ヶ月 |
| 2026年12月20日 | 2029年12月31日 | ちょうど3年 |
相続した月によって、猶予が1年近く違います。 年末に相続した人は、年始に相続した人より1年短い。ここを知らずに「3年あるから大丈夫」と思っていると、間に合いません。
この期限を逃すといくら損か
譲渡所得が3,000万円出た場合で計算します。
相続した不動産の所有期間は、被相続人(親)の取得時期をそのまま引き継ぎます(国税庁 No.3270)。親が20年前に買った家なら、相続した翌日に売っても長期譲渡所得です。
長期譲渡所得の税率は20.315%(所得税15% + 復興特別所得税0.315% + 住民税5%)。
| 特例あり | 特例なし | |
|---|---|---|
| 譲渡所得 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 特別控除 | −3,000万円 | 0円 |
| 課税譲渡所得 | 0円 | 3,000万円 |
| 税額(20.315%) | 0円 | 609万4,500円 |
期限を1日過ぎるだけで、609万円。
これが「そのうち考えよう」の値段です。
※譲渡所得が3,000万円に満たない場合、差はその分小さくなります。ご自身のケースでの試算は、当サイトの譲渡所得税シミュレーターをご利用ください。
なお、この特例自体の適用期限は令和9年(2027年)12月31日までの譲渡です。 過去に何度も延長されてきましたが、次も延長される保証はありません。
出典:国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
3,000万円控除の主な要件
期限だけでなく、要件もあります。ひとつでも外れると使えません。
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 相続の直前において被相続人が居住しており、かつ被相続人以外に居住者がいなかったこと
- 相続時から譲渡時まで、事業用・貸付用・居住用に供されていないこと(=人に貸すと使えなくなります)
- 売却代金が1億円以下であること
- 譲渡時に耐震基準を満たしているか、家屋の全部を取り壊していること
2024年1月1日以後の譲渡では、2つの改正が入っています。
- 従来は売主が売却前に耐震改修または解体する必要がありましたが、買主が譲渡後(翌年2月15日まで)に耐震改修または取壊しを行った場合も対象になりました
- 家屋・敷地を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上の場合、控除額は1人あたり2,000万円に引き下げられました
また、取得費加算の特例とは併用できません(どちらかを選択)。
⚠️ ここが決定的に重要です
「相続時から譲渡時まで貸付用に供されていないこと」 という要件があります。
つまり——一度でも人に貸してしまうと、3,000万円控除は使えなくなります。「とりあえず賃貸に出して、ダメだったら売ろう」という順番は、609万円を捨ててから売ることになります。
貸すか売るかは、貸す前に決めなければなりません。
これが、この記事でいちばんお伝えしたいことです。
→ 空き家の3,000万円特別控除|要件チェックリストと判定ツール
3つの選択肢を、10年の手取りで比べる
期限の話をしたうえで、本題に入ります。
前提:地方都市郊外、土地200㎡(時価2,000万円)、築45年の木造戸建、相続人1人、親が30年前に取得
① 売る
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売却代金 | +2,000万円 |
| 取得費(概算取得費5%) | −100万円 ※1 |
| 譲渡費用(仲介手数料など) | −72万円 |
| 譲渡所得 | 1,828万円 |
| 空き家3,000万円特別控除 | −1,828万円(控除しきる) |
| 課税譲渡所得 | 0円 |
| 譲渡所得税 | 0円 |
| 手取り | 約1,928万円 |
※1 取得費が不明な場合、売却代金の5%を取得費とみなせます(国税庁 No.3258)。親が買ったときの契約書が残っていないケースは非常に多いです。
10年後に残るもの:現金1,928万円(運用すればさらに増える)。土地はない。
② 貸す(リフォームして賃貸)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| リフォーム費用(初期投資) | −400万円 |
| 年間家賃収入(月6万円×12ヶ月) | +72万円 |
| 年間コスト(固定資産税・保険・管理費・修繕積立) | −28万円 |
| 年間手残り(税引前) | +44万円 |
| 10年間の累計 | +440万円 |
| 初期投資を差し引いた10年後の累計 | +40万円 |
10年後に残るもの:土地建物(時価は下落している可能性が高い)+現金40万円。
そして、3,000万円控除の権利は失われています。
※空室リスク・家賃下落・入退去時の原状回復費は計上していません。実際にはさらに下振れします。
③ 持ち続ける(何もしない)
| 項目 | 年間 | 10年間 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | −6万円 | −60万円 |
| 火災保険(空き家料率) | −4万円 | −40万円 |
| 管理(草刈り・見回り 年4回) | −5万円 | −50万円 |
| 水道・電気の基本料金 | −1.5万円 | −15万円 |
| 合計 | −16.5万円 | −165万円 |
10年後に残るもの:土地建物(築55年。建物価値はゼロ、解体費が必要)+支出165万円。
3,000万円控除の権利も失われています。
この比較の、正しい読み方
数字だけ見れば売却が圧勝に見えます。でも、それは正しい結論ではありません。
3つの試算には、次のものが計上されていないからです。
計上されていないもの① あなたの時間
賃貸経営も、持ち続けるのも、あなたの時間を毎年消費します。 遠方の実家なら、年に2回帰るだけで交通費と丸2日が消えます。10年で20日。
計上されていないもの② 土地価格の変動
地方の地価は下落基調です。10年後に2,000万円で売れる保証はありません。逆に、都市部なら上昇の可能性もあります。あなたの実家がどちらかで、話はまったく変わります。
計上されていないもの③ 次の相続
10年後、その土地を今度はあなたの子が相続します。問題を先送りしているだけかもしれません。 そして次の代では、3,000万円控除はもう使えません。
計上されていないもの④ 気持ち
これがいちばん大きいかもしれません。
生まれ育った家を、数字だけで手放す決断ができる人ばかりではありません。「あと数年は残しておきたい」という気持ちには、609万円を払う価値があるかもしれない。それはあなたが決めることで、税制が決めることではありません。
ただ、「いくら払っているのか知らずに払い続ける」のと「609万円だと知ったうえで、それでも残す」のは、まったく別のことです。 この記事は、後者になるための材料を提供しています。
売ると決めたなら、順番があります。まず仲介で普通に売れるかを確かめて、それでも動かないときに買取を考えるほうが、手取りは大きくなります。買取は早く確実な代わりに、価格が市場価格の6〜8割になるのが一般的だからです。
先に場所を確認してください。不動産SHOPナカジツが受け付けられるのは愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本とその周辺だけです(全40店舗のうち39店舗がこの7県。同社の店舗一覧で確認/2026年8月19日)。それ以外の道府県にある実家は、申し込んでも査定は返ってきません。対象外の方は、ラクウルの買取査定のほうをご覧ください。
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「売る」の欄に入れる数字だけ、実測に差し替えてください
この記事の10年比較は、仮の売却額で組み立てています。そこが数百万円ずれると、結論そのものがひっくり返ります。貸すか持つかを迷っている方ほど、「売る」の数字を1つだけ実測に置き換えて、もう一度この表を見てください。
先に断っておきます。買取は、仲介で売れた場合より手取りが下がります。それでも見る価値があるのは、比較対象の数字が手に入るからです。運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許:国土交通大臣(1)第10311号)。同社は「個人情報の入力は不要、匿名のまま利用でき、営業電話もありません」という匿名のAI査定も公開しています(入力3項目・最短30秒/2026年6月20日 同社発表)。まだ売ると決めていない段階なら、まず匿名のほうで桁だけ確かめてください。ただし匿名で出るのは機械的な概算です。実際の金額を知るには、連絡先を入れて査定を申し込む必要があります(申し込めば担当者から連絡が来ます)。
相続から3年の期限が効いてくるのは、この判断です。3,000万円の特別控除を使えるかどうかで手取りが数百万円変わります(要件はこちら)。期限は待ってくれないので、数字を集めるのだけは先にやっておいてください。
判断のフローチャート
実家を相続した
Q1家屋は昭和56年5月31日以前の建築か?
3,000万円特別控除が使える可能性があります。期限は相続から3年〜3年11ヶ月。★人に貸す前に、売るかどうかを決めてください。一度でも貸すと、この控除は使えなくなります。
Q2実家まで、日帰りで行けるか?
Q3兄弟など、共有者がいるか?
売るには全員の同意が必要です。ただし貸すだけなら持分の過半数で決められます(民法252条1項)。しかも長く持つほど、次の相続で関係者が増えていきます。早めに売って分けるほうが、揉めにくくなります。同意の要否は実家が兄弟の共有になっているにまとめました。
Q4駅から徒歩15分以内か/賃貸需要があるか?
賃貸・土地活用の収支を確認する価値があります。ただし、複数社のプランを比べてからにしてください。1社だけの試算は、必ず良く見えます。
「持ち続ける」を選ぶ場合の注意点
何もしないことは、静かに選択肢を減らしていきます。
管理不全空家に指定されると、税金が上がります
2023年の空家等対策特別措置法の改正で「管理不全空家」という区分ができました。窓が割れている、雑草が繁茂しているといった状態で市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例が適用対象から除外されます。
出典:国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」
「固定資産税が6倍になる」は、正確ではありません
よく見かける表現ですが、実務上は不正確です。正確にはこうです。
| 特例あり | 特例なし | 倍率 | |
|---|---|---|---|
| 固定資産税(小規模住宅用地200㎡以下) | 課税標準 1/6 | 課税標準 1/1 | 6倍 |
| 都市計画税(同上) | 課税標準 1/3 | 課税標準 2/3 | 2倍 |
| 家屋分(解体した場合) | 課税あり | ゼロ | — |
出典:総務省「固定資産税の概要」
つまり——
- 「6倍」が正しいのは、土地の固定資産税部分だけです
- 都市計画税は2倍にとどまります
- 建物を解体すれば家屋分の税金はゼロになり、土地の増加分と一部相殺されます
- さらに、課税標準額の急上昇を緩和する負担調整措置が働く場合もあります
総額としての実務上の増加は、概ね3〜4倍と見ておくのが現実的です。 年5万円が年15〜20万円になるイメージです。
「6倍」ほどではないにせよ、年10万円以上の増加が毎年続くことに変わりはありません。
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持ち続けるなら、その土地で何ができるかを先に見る
年10万円以上の増加が毎年続くなら、土地に稼がせる道があるかどうかで判断が変わります。その土地で成り立つ活用があるかは、条件しだいで大きく違います。複数社の提案を並べないと分かりません。
①一括で複数社に依頼する形です。1社だけ選ぶと提案書は届きません。成果条件がそう決められています。
②地域や物件の条件によっては、提案できる会社が見つからないことがあります。その場合は提案書が届きません。
③届くのは「提案書」であって、売れる価格でも確定した金額でもありません。
④申し込むと、各社から連絡が入ります。連絡の受け方を先に決めておいてください。
⑤すでに方針が決まっているなら、請求しなくてかまいません。迷っている段階の材料です。
壊す場合の費用は実家の解体費用と全国の解体補助金一覧で、税金の側は空き家の3,000万円特別控除で確認できます。持ち続ける場合の年額は空き家の維持費にまとめました。
補助はあっても、対象が限られる自治体があります
「解体して売る」を選ぶ前に、補助が実際に使えるかを確かめてください。全国501自治体のうち55自治体は、補助はあるものの特定空家の認定が要るなど対象が一部に限られる型でした。使えるつもりで計算していると、あとで前提が崩れます。
| 自治体 | 上限額 |
|---|---|
| 北海道室蘭市 | 350万円(老朽空家等活用支援の非木… |
| 東京都文京区 | 上限200万円 |
| 高知県高知市 | 164万5千円 |
| 新潟県長岡市 | 160万円 |
| 香川県さぬき市 | 160万円 |
| 香川県丸亀市 | 160万円 |
| 香川県坂出市 | 160万円 |
| 福島県福島市 | 150万円 |
| 兵庫県尼崎市 | 128万円 |
| 兵庫県西宮市 | 120万円 |
| 愛知県岡崎市 | 120万円 |
| 栃木県大田原市 | 110万円(耐震建て替えが前提で、解… |
該当は全部で55自治体です。全国の一覧表で実家のある市区町村を確認してください。
制度の名前があることと、相続した実家で実際に使えることは別です。実家のある市区町村のページで、落ちやすい条件まで読んでから判断してください。
いま、やるべきこと(順番が大事です)
判断そのものは急がなくていい。でも、判断材料を集めるのは今すぐやってください。
ステップ1:期限を確認する(今日・5分)
- 相続開始日はいつか
- 3,000万円控除の期限=相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日
- 家屋の建築時期は昭和56年5月31日以前か(登記簿で確認できます)
- 相続登記は済んでいるか
ステップ2:売った場合の手取りを知る(1週間・無料)
査定を取ります。「売る」と決めるためではなく、「売らない」と決めるためにも必要な数字です。
3社以上に出してください。1社では高いか安いか判断できません。
ステップ3:活用した場合の収支を知る(1週間・無料)
土地活用プランを取り寄せます。これも「活用する」という決断ではありません。 収支計算を見て「割に合わない」と分かれば、迷いなく売却に進めます。
ステップ4:解体費と補助金を確認する(1週間)
解体する場合の費用と、お住まいの市区町村の補助金を確認します。補助金は着工前に申請しないと1円も出ません。 広島市のように受付が年1回2週間だけ、という自治体もあります。
ステップ5:数字を並べて、家族で決める
ステップ2〜4が揃って、はじめて比較できます。ここまでは全部無料です。
そして、この4つの数字を集めるのに、どれも1〜2週間しかかかりません。 3年の期限に対して、準備は1ヶ月で終わります。
よくある質問
Q. まだ気持ちの整理がつきません。急がないといけませんか?
A. 決断は急がなくて大丈夫です。急ぐ必要があるのは「調べること」だけです。
そして調べることは、手放す決心とは切り離して進められます。お金がかからず、誰にも会わなくていいものからやってください。
- 固定資産税の課税明細書を探す(0円)。構造・床面積・建築年・評価額が全部載っています
- 公的なデータで相場を自分で調べる(0円)。査定を頼む前にできます
- 持ち続けると年間いくらかかるかを積み上げる(0円)
- 控除が使えるか、税額はいくらかを試算する(0円)
ここまで誰とも話さずに終わります。それでも「売ったらいくら/持ち続けるといくら/税金はいくら」の見当がつきます。数字が手元にあると、気持ちが整った瞬間に動けます。何も持たずに整うのを待つと、そこからさらに数ヶ月かかります。
Q. とりあえず賃貸に出して、様子を見るのはどうですか?
A. 3,000万円特別控除を使う可能性が少しでもあるなら、絶対にやめてください。「相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていたことがないこと」が要件なので、数ヶ月でも貸した時点で、権利が消えます。
譲渡所得が3,000万円あれば、失う金額は約609万円です。数ヶ月の家賃で取り返せる額ではありません。
貸すかどうかは、この順番で決めてください
| 1 | 控除が使えるかを先に判定する。使えないと分かれば、賃貸を自由に検討できます |
|---|---|
| 2 | 使える場合は、売った場合の手取りを出す |
| 3 | それでも貸したいなら、「609万円を払ってでも残す」という判断だと自覚したうえで決める |
いちばん悪いのは、知らないまま貸してしまうことです。要件は空き家の3,000万円特別控除に6つ全部書いてあります。
Q. 兄弟で意見が割れています。
A. 時間が経つほど不利になります。相続人の1人が亡くなれば、その配偶者や子が新たな共有者になります。共有者が5人を超えると、実務上ほぼ売却できなくなります。
やる順番は決まっています。いきなり話し合いに行かないでください。①この記事の10年比較を共有する → ②意見ではなく数字だけ送る → ③それでも決まらなければ遺産分割調停。調停は収入印紙1,200円と切手だけで、弁護士なしでも申し立てられます。
申立先・必要書類・書式の入手先まで含めた手順は、実家じまい完全ガイドのよくある質問に書きました。
そして「とりあえず共有名義」は、いちばんやってはいけない選択です。問題を先送りしているのではなく、解決を不可能に近づけています。
Q. 相続登記をしていませんが、査定は取れますか?
A. 査定は取れます。登記と査定は並行して進めてください。ただし実際に引き渡すまでには登記が必要です。
相続登記はオンライン申請ができるので、遠方でも近所の司法書士に頼めます(報酬は5〜15万円程度が相場、登録免許税は固定資産税評価額×0.4%が別途)。2027年3月31日という期限があり、義務です。分割がまとまらない場合の逃げ道(相続人申告登記・登録免許税0円)も含めて相続登記の義務化にまとめました。
Q. 3,000万円控除の対象外でした。どうすればいいですか?
A. 期限のプレッシャーが消えるので、むしろじっくり比較できます。賃貸・土地活用を含めて時間をかけて検討してかまいません。
ただし、放っておいてよいわけではありません。
- 管理不全空家に指定されて勧告を受けると、住宅用地特例が外れて土地の固定資産税が上がります。税金が上がるのは「指定」ではなく「勧告」からです。段階と実際の件数は特定空家に指定されるとどうなるかに書きました
- 相続税を納めた方なら、取得費加算の特例がまだ使える可能性があります(相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで)
- 親の売買契約書が見つからないと、取得費が売値の5%扱いになります。契約書がないとどうなるかを先に読んでおいてください
まとめ
- 相続から3年に、3つの期限が集中している(相続登記/3,000万円控除/取得費加算)
- 3,000万円控除を逃すと、最大609万円の差(譲渡所得3,000万円の場合)
- 相続した月によって、猶予は3年〜3年11ヶ月と1年近く違う
- 一度でも人に貸すと、3,000万円控除は使えなくなる。 貸す前に決める
- 「固定資産税6倍」は不正確。 実務上は概ね3〜4倍。それでも年10万円以上の増加
- 判断は急がなくていい。判断材料を集めるのは今すぐ
- 最後は数字ではなく——「10年後も、この家と関われるか」 で決める
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