小規模宅地等の特例|実家を壊す・貸す・売る前に読んでください

【PR】本ページには広告(PR)を含みます。条文は租税特別措置法・同施行令をe-Gov法令検索で全文開いて確認し、国税庁タックスアンサーNo.4124(令和7年4月1日現在法令等)と突き合わせました(2026年8月17日確認)。孫引きはしていません。

最終更新:2026年8月17日

結論だけ先に

実家の土地の相続税評価額が、330㎡まで8割引きになる制度です。1億円の土地なら2,000万円として計算されます。実家じまいで一番金額が動くのは、たぶんこの制度です。

ただし、条件を満たさなくなる行動が4つあります。①相続前に建物を壊す/②親が施設に入ったあと他人に貸す/③申告期限より前に売る/④相続税がゼロだからと申告しない。どれも「よかれと思ってやること」です。

この記事は、条文(租税特別措置法69条の4)と政令(同施行令40条の2)を開いて組み立てています。金額の判定と申告は税理士の仕事です。当サイトは税理士ではありません。ここで読めるのは「何をすると使えなくなるか」までです。

条文は「8割引き」とは書いていません

ほとんどの解説が「80%減額」と書きます。間違いではありませんが、条文の書き方は逆です。

相続税法第十一条の二に規定する相続税の課税価格に算入すべき価額は、当該小規模宅地等の価額に次の各号に掲げる小規模宅地等の区分に応じ当該各号に定める割合を乗じて計算した金額とする。
一 特定事業用宅地等である小規模宅地等、特定居住用宅地等である小規模宅地等及び特定同族会社事業用宅地等である小規模宅地等 百分の二十
二 貸付事業用宅地等である小規模宅地等 百分の五十

出典:租税特別措置法第69条の4第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

「20%を課税価格に入れる」という書き方です。引き算ではなく掛け算で、残る2割のほうを条文は指定しています。この違いは、複数の土地を持っているときに効いてきます。あとで出てくる面積の計算式が、すべて「掛け算」で書かれているからです。

区分 限度面積 課税価格に入る割合 よくある言い方
特定居住用宅地等(実家) 330㎡ 20% 80%減額
特定事業用宅地等(店・工場) 400㎡ 20% 80%減額
特定同族会社事業用宅地等 400㎡ 20% 80%減額
貸付事業用宅地等(アパート・駐車場) 200㎡ 50% 50%減額

出典:租税特別措置法第69条の4第1項・第2項/国税庁タックスアンサーNo.4124

実家じまいで関係するのは、ほぼ一番上の行です。330㎡は約100坪。戸建ての敷地なら、たいてい全部が枠に収まります。

この4つで、8割引きが消えます 相続の前に建物を壊す 建物・構築物の敷地でなくなる 敷地の要件 施設入所後に他人へ貸す 被相続人等以外の者の居住の用 居住の要件 申告期限より前に売る 保有継続を満たさなくなります 保有の要件 税がゼロだからと申告せず 69条の4第7項。申告が要件です 申告の要件 どれも「よかれと思ってやること」です

★ 相続の前に建物を壊すと、使えません

これが、この記事でいちばん先に伝えたいことです。

条文は、対象になる土地をこう限定しています。

…被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。)で財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるもの…

出典:租税特別措置法第69条の4第1項

「建物又は構築物の敷地」であることが条件です。国税庁も「宅地等のうち一定のもの」とは建物または構築物の敷地の用に供されている宅地等だと注記しています。

つまり、親が生きているうちに実家を解体して更地にすると、その土地はこの特例の対象から外れます。空き家の管理が大変だから、固定資産税の話を聞いたから、近所に迷惑をかけたくないから——理由はどれも正当ですが、税額は動きます。

順番の話です

相続が起きる前に壊すと、特例は使えません。相続が起きたあとに壊すなら、相続開始の時点で建物があったので、居住用としての判定はその時点で行われます(ただし申告期限までの保有継続要件は別途かかります)。

解体を先にすると、固定資産税の住宅用地特例も外れます。そちらは解体すると固定資産税が6倍になるのかで計算しました。相続税と固定資産税で、同じ方向に不利が重なる形です。

解体そのものの費用と手順は実家の解体費用はいくらかに、アスベストの調査義務は解体とアスベストにまとめています。急いで壊す前に、相続の時期と税理士への相談を先に置いてください。

親が施設に入っていた場合は、どうなるか

実家じまいで一番多いのがこのケースです。「相続開始の直前に居住の用に供されていた」という条件を、親はもう満たしていません。施設にいるからです。

条文は、これを明示的に救っています。第1項のカッコ書きです。

…居住の用(居住の用に供することができない事由として政令で定める事由により相続の開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていなかつた場合(政令で定める用途に供されている場合を除く。)における当該事由により居住の用に供されなくなる直前の当該被相続人の居住の用を含む)…

出典:租税特別措置法第69条の4第1項

その「政令で定める事由」が、施行令に列挙されています。

必要なこと 内容
★ 認定 要介護認定または要支援認定を受けていたこと(介護保険法19条1項・2項)。障害者の場合は障害支援区分の認定
施設の種類 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(グループホーム)/養護老人ホーム/特別養護老人ホーム/軽費老人ホーム/有料老人ホーム
介護老人保健施設/介護医療院
サービス付き高齢者向け住宅(有料老人ホームに当たるものを除く)

出典:租税特別措置法施行令第40条の2第2項(e-Gov法令検索で全文を確認)

認定が先、入所が後です

条文は「要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人…が入居又は入所をしていたこと」と書いています。認定を受けないまま施設に入り、そのまま亡くなった場合、この救済に当てはまるかは条文の文言だけでは読み切れません。

認定の申請をしていないなら、それは税金以前に介護保険の給付を受け損ねている状態でもあります。施設を探す段階で、地域包括支援センターに認定申請の相談をしてください。認知症の親の家は売れるのかに、判断能力が落ちてからでは何ができなくなるかを書いています。

★★ 空けておくか、貸すか。ここで数百万円が動きます

親が施設に入って、実家が空きました。「傷むから、誰かに貸そう」——自然な発想です。そして、この特例を消す行動です。

さきほどの第1項のカッコ書きに、除外規定がありました。「政令で定める用途に供されている場合を除く」。その用途が、これです。

法第六十九条の四第一項に規定する政令で定める用途は、同項に規定する事業の用又は同項に規定する被相続人等(被相続人と前項各号の入居又は入所の直前において生計を一にし、かつ、同条第一項の建物に引き続き居住している当該被相続人の親族を含む。)以外の者の居住の用とする。

出典:租税特別措置法施行令第40条の2第3項

施設入所後の実家の状態 特例 理由
空き家のままにしておく 使える 事業の用でも他人の居住の用でもない
入所直前から生計を一にしていた親族が住み続ける 使える 施行令40条の2第3項カッコ書きで除外されない
第三者に賃貸する 使えない 被相続人等以外の者の居住の用
店舗・事務所に貸す/自分で事業に使う 使えない 事業の用
解体して更地にする 使えない 建物又は構築物の敷地でなくなる
親族が無償で住む(生計別・入所後に転入) 条文だけでは判定できない 「被相続人等」に当たるかの判断が要る

空き家にしておくほうが有利、という結論が出てしまう制度です。これは空き家対策の方向と逆を向いていますが、条文はそう書いてあります。

ただし、空き家のまま置くことにも費用とリスクがあります。維持費は空き家の維持費は年間いくらかに、放置して行政から指導が入る流れは特定空家に指定されるとどうなるかに、売る・貸す・持ち続けるの比較は相続した実家は売る・貸す・持ち続ける?にまとめています。「貸すと特例が消える」という事実を、その比較表に足して考えてください。

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特例が使えるかを詰める前に、売った場合の手取りを見ておく

小規模宅地等の特例は、要件を1つ外すと一気に効かなくなります。減額が効かなかったときに手元にいくら残るのかを先に知っておくと、申告期限まで持ち続けるかどうかを落ち着いて選べます。

先に断っておきます。買取は、仲介で売れた場合より手取りが下がります。それでも見る価値があるのは、比較対象の数字が手に入るからです。運営は株式会社ネクサスプロパティマネジメント(宅地建物取引業免許:国土交通大臣(1)第10311号)。同社は「個人情報の入力は不要、匿名のまま利用でき、営業電話もありません」という匿名のAI査定も公開しています(入力3項目・最短30秒/2026年6月20日 同社発表)。まだ売ると決めていない段階なら、まず匿名のほうで桁だけ確かめてください。ただし匿名で出るのは機械的な概算です。実際の金額を知るには、連絡先を入れて査定を申し込む必要があります(申し込めば担当者から連絡が来ます)。

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売ると決めてから調べるものではありません。決めるために調べるものです。年間の維持費は空き家の維持費を実額で積み上げた記事にまとめました。

誰が相続するかで、使えるかどうかが変わります

土地の条件だけでは決まりません。取得する人ごとに要件があります。実家(特定居住用宅地等)の場合、道は3本です。

取得する人 要件 申告期限まで
配偶者 要件なし 売っても住まなくてもよい
同居していた親族 相続開始の直前から同居 住み続ける+持ち続ける
それ以外の親族(いわゆる家なき子) 下の6要件をすべて満たす 持ち続ける(住む必要はない)

出典:租税特別措置法第69条の4第3項第2号/国税庁タックスアンサーNo.4124

配偶者だけが別格です。取得者ごとの要件がありません。母が父の家を相続して、そのまま売っても特例は使えます。「誰が相続するか」を決める前に、この差を知っておいてください。

取得する人によって、要件が違います 配偶者 要件はありません。売っても可 別格です 同居していた親族 相続開始の直前から同居 住む+持つ それ以外の親族 いわゆる家なき子。6要件すべて 持ち続ける 家なき子は住まなくてよい。ただし10か月売れません

そして、家なき子は「住まなくていい」代わりに「持ち続けろ」です。申告期限(相続開始を知った日の翌日から10か月)まで売れません。ここが後半の話につながります。

「家なき子」は、名前ほどゆるくありません

実家を出て持ち家に住んでいない子が使える、というのが通称の由来です。ただし条文の要件は6つあり、抜け道を塞ぐために細かく書かれています。

要件 つまずきやすい点
(1) 居住制限納税義務者・非居住制限納税義務者のうち日本国籍を有しない者ではないこと 海外在住のケース
(2) 被相続人に配偶者がいないこと 母が健在なら、子はこの道を使えません
(3) 相続開始の直前に被相続人の居住家屋に住んでいた被相続人の相続人がいないこと(相続放棄があった場合は、なかったものとする) 同居の兄弟がいると使えません。放棄しても消えません
(4) 相続開始前3年以内に、日本国内にある自分・配偶者・三親等内の親族・自分と特別の関係がある法人が所有する家屋に居住したことがないこと 親戚の持ち家や自分の会社名義の社宅に住んでいると外れます
(5) 相続開始時に住んでいる家屋を、過去のいずれの時にも所有していたことがないこと 自宅を売って買主から借りて住み続ける形は塞がれています
(6) その宅地等を相続開始時から申告期限まで保有していること 10か月は売れません

出典:租税特別措置法第69条の4第3項第2号ロ/国税庁タックスアンサーNo.4124

(4)の「三親等内の親族」と「特別の関係がある法人」に注目してください

ここが条文に書き込まれているということは、「親戚の家に住民票を移して持ち家なしにする」「自分の会社に自宅を買わせてそこに住む」という形が、かつて存在したということです。いまは、どちらも要件から外れます。

相続の直前に住まいを動かして特例に当てはめにいく、という発想は捨ててください。3年遡って見られます。

(3)の「相続放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人」という書き方も重要です。同居している兄弟が相続放棄しても、家なき子の道は開きません。相続放棄そのものの効果と期限は相続放棄は3か月以内にまとめています。

330㎡を超える土地は、どうなるか

超えた分がダメになるだけで、全部がダメになるわけではありません。400㎡の敷地なら、330㎡分が8割引き、残り70㎡は通常評価です。

ただし「どの330㎡を選ぶか」は選択できます。路線価が高い側を選べば、減額される金額は大きくなります。ここは税理士が計算する領域です。

また、居住用の宅地が2か所以上ある場合、「主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限る」と国税庁は書いています。別荘やセカンドハウスは対象になりません。

★ アパートを混ぜると、実家の枠が縮みます

親が実家のほかにアパートや駐車場を持っていた場合、ここを間違えると損をします。

条文の限度面積要件は、こう書かれています。

三 貸付事業用宅地等である選択特例対象宅地等 次のイ、ロ及びハの規定により計算した面積の合計が二百平方メートル以下であること。
イ 特定事業用等宅地等である選択特例対象宅地等がある場合の当該選択特例対象宅地等の面積を合計した面積に四百分の二百を乗じて得た面積
ロ 特定居住用宅地等である選択特例対象宅地等がある場合の当該選択特例対象宅地等の面積を合計した面積に三百三十分の二百を乗じて得た面積
ハ 貸付事業用宅地等である選択特例対象宅地等の面積を合計した面積

出典:租税特別措置法第69条の4第2項第3号

選ぶもの 限度面積の判定
貸付事業用を選ばない(実家+店舗など) 特定事業用等 400㎡ と 特定居住用 330㎡ をそれぞれ満額。合計730㎡
貸付事業用を1㎡でも選ぶ 全部が200㎡ベースの按分計算に落ちます

出典:国税庁タックスアンサーNo.4124の限度面積判定表

数字で見ます

実家の敷地200㎡(特定居住用)と、アパートの敷地100㎡(貸付事業用)がある場合。

①実家だけを選ぶ:200㎡ ≦ 330㎡ なので全部が8割引き。

②両方を選ぶ:200 ×(200 ÷ 330)+ 100 = 121.2 + 100 = 221.2㎡。200㎡を超えるので、この組み合わせは要件を満たしません。どちらかを減らして選び直すことになります。

「両方使えばお得」ではありません。実家の8割引きと、アパートの5割引き。1㎡あたりいくら減るかを両方計算して、大きいほうから枠を埋めます。これは税理士の計算です。ここでは「選択を間違えると損をする」ことだけ覚えて帰ってください。

アパートを混ぜると、実家の枠が縮みます 貸付事業用を選ばない 特定事業用 400㎡ 特定居住用 330㎡ それぞれ満額 合計 730㎡ 1㎡でも選ぶ 全部が200㎡ベース の按分計算に 落ちます 実家の枠が縮む 「両方使えばお得」ではありません

親のアパートや駐車場をどうするかは、土地活用プラン一括請求サービス徹底比較と相続した土地を活用するか売るかにまとめています。相続税の申告が終わるまでは、貸付をやめる・始めるの判断を急がないでください。貸付事業用宅地等には「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は除く」という制限もあります(3年を超えて特定貸付事業を行っていた場合を除く)。

★ 相続税がゼロでも、申告しないと使えません

これが一番もったいない事故です。

第一項の規定は、…相続税法第二十七条又は第二十九条の規定による申告書…に第一項の規定の適用を受けようとする旨を記載し、同項の規定による計算に関する明細書その他の財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。

出典:租税特別措置法第69条の4第7項

「適用を受けようとする旨を記載し」「添付がある場合に限り」。つまり特例を使った結果として相続税がゼロになる場合でも、申告書を出さなければ特例は適用されません。適用されなければ、評価額は8割引きになりません。ゼロだったはずの税額が発生します。

国税庁も手続きとして、申告書への記載・小規模宅地等に係る計算の明細書・遺産分割協議書の写しなどが必要だと書いています。

救済規定はあります。ただし「やむを得ない事情」が要ります

第8項に、申告書の提出や記載がなかった場合でも「やむを得ない事情があると認めるとき」は、書類の提出があれば適用できるという規定があります。

知らなかった、が「やむを得ない事情」に当たるとは条文に書いていません。当てにしないでください。

遺産分割が終わっていないと、使えません

兄弟でもめている場合の話です。条文は、はっきり適用しないと書いています。

第一項の規定は、…申告書の提出期限…までに共同相続人又は包括受遺者によつて分割されていない特例対象宅地等については、適用しない。ただし、その分割されていない特例対象宅地等が申告期限から三年以内…に分割された場合…には、その分割された当該特例対象宅地等については、この限りでない。

出典:租税特別措置法第69条の4第4項

状況 扱い
申告期限(10か月)までに分割できた そのまま適用
申告期限までに分割できない いったん特例なしで申告して納税。申告期限から3年以内に分割できれば、あとから適用を受けられます
訴訟などのやむを得ない事情がある 税務署長の承認を受ければ、分割できることとなった日の翌日から4か月以内まで延びます

いったん払う現金が要る、というのが実務上の痛点です。8割引きが効かない状態の相続税を、期限までに納めなければなりません。

そしてもうひとつ。国税庁は手続きの説明で、宅地等を取得した相続人等が2人以上いる場合、どの宅地を選ぶかについて「その全員が同意」していることが必要だと書いています。選択そのものに全員の合意が要ります。共有で相続した場合の扱いは共有名義の実家に、名義変更の期限は相続登記の義務化にまとめています。

いつ売るか——3つの期限が、逆を向いています

実家じまいで「いつ売るか」を決めるとき、期限が3つあります。そして、方向がそろっていません。

制度 期限 売却への圧力
小規模宅地等の特例(同居親族・家なき子) 申告期限(10か月)まで保有 売るな
小規模宅地等の特例(配偶者が取得) 保有継続要件なし どちらでもよい
空き家の3,000万円特別控除 相続から3年を経過する日の属する年の12月31日まで 3年以内に売れ
取得費加算の特例 相続税の申告期限の翌日から3年以内 3年10か月以内に売れ

10か月は持ち、そのあと3年以内に売る。これが、期限だけを見たときの形です。

10か月は持つ。それから売る 相続開始の時点 建物があること。更地では対象外 10か月 申告期限 申告しないと使えません。売らない 10か月を過ぎたら 保有継続の縛りは終わります 申告期限から3年 未分割なら、ここまでに分割すれば可

ただし空き家の3,000万円特別控除には、小規模宅地の特例とは別の要件(昭和56年5月31日以前の建築、区分所有建物でないこと、相続直前に被相続人が一人で住んでいたことなど)があります。空き家の3,000万円特別控除と適用できるか判定するツールを用意しています。

売ったときの税金そのものは実家を売ったときの譲渡所得税に、取得費が分からない場合は取得費が分からないときにまとめています。売却価格の見当をつけるところから始めるなら実家の売却相場を自分で調べる3つの方法を先に読んでください。

相続税がかからない人には、関係のない話です

相続税の基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。相続財産の総額がこれを下回るなら、そもそも相続税の申告は要りません。小規模宅地の特例を気にする必要もありません。

ただし、この特例を使った結果として基礎控除を下回る場合は、申告が必要です。「特例を使う前の金額」で判定してください。ここを取り違えると、前の見出しの事故が起きます。

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使えるかどうかは、申告書と登記簿を見ないと決まりません

この記事では、条文と政令から「何をすると使えなくなるか」までを整理しました。ただし、実際に使えるかどうかの判定はできません。家なき子の6要件に当てはまるか、施設入所後に貸していた期間があるか、申告期限まで保有できるか——どれも書類を見ないと答えが出ないものです。そしてこの特例は、申告しなければ適用されません(措置法69条の4第7項)。
税理士ドットコムは弁護士ドットコム株式会社が運営する税理士紹介サービスです。全国対応で、相談も紹介も無料。「実家を相続したので、小規模宅地等の特例が使えるか見てほしい」と条件を伝えて、相続税申告に対応できる税理士を探してもらう形になります。

①申し込むと、30日以内に電話またはメールで確認の連絡が来ます。知らない番号でも出てください。ここで内容が確認できないと、税理士の紹介そのものが進みません。
②「税理士を紹介してほしい」と伝えるためのサービスです。税務相談そのものに答える窓口ではありません。相続税申告をお願いしたい、という前提で申し込んでください。
③過去1年以内にこのサービスを使ったことがある方は対象外です。ご家族が先に申し込んでいないか、確認してから使ってください。
お住まいの地域の税理士会や、相続税を扱う近所の事務所にも1件あたって見比べてください。
それによって紹介料や税理士報酬が変わることはありません(紹介自体は無料です)。

相続税申告での信頼できる税理士選び

期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月です。この特例を使うには、その日までに申告書を出す必要があります。そして同居親族・家なき子で取得した場合は、その日まで売れません。売却を先に進めてしまうと、あとから取り返せません。
売ったあとの税金については取得費加算の特例と空き家の3,000万円特別控除にまとめました。この2つは選択制です。相談するときは、まとめて聞いてしまうほうが早く進みます。

よくある質問

Q. 実家の土地が330㎡ちょうどでした。全部8割引きですか。

A. 面積の要件は満たしています。ただし面積は入口のひとつで、取得者の要件(配偶者・同居親族・家なき子のどれか)と、申告の要件を別に満たす必要があります。

また、その土地に建物または構築物が建っていることも条件です。相続開始の時点で更地なら、面積にかかわらず対象外です。

Q. 母が施設に入っています。実家を貸したら、いくら損しますか。

A. 金額は土地の評価額で決まるので、当サイトでは計算できません。ただし構造はこうです。貸すと特定居住用宅地等ではなくなり、8割引きが消えます。

代わりに貸付事業用宅地等として5割引きになる可能性はありますが、限度面積は200㎡に下がり、しかも「相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等」は除外されます(3年を超えて特定貸付事業を行っていた被相続人等の場合を除く)。施設入所後に貸し始めて3年以内に相続が起きると、5割引きも使えない可能性があります。

賃料収入とのどちらが大きいかは、土地の評価額と賃料の両方が要ります。税理士に土地の評価額を出してもらってください。

Q. 相続してすぐ売りたいのですが、待たないといけませんか。

A. 誰が相続したかで違います。

配偶者が取得した場合、保有継続要件はありません。売っても特例は使えます。同居親族と家なき子は、申告期限(10か月)まで保有が要件です。その前に売ると使えません。

そして相続税がかからない人には、そもそもこの制限がありません。基礎控除以下なら、いつ売っても構いません。まず基礎控除を超えるかどうかを確かめてください。

Q. 兄が実家に住んでいます。私は家なき子になれますか。

A. なれません。要件(3)が「相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた被相続人の相続人がいないこと」だからです。

兄が相続放棄をしても変わりません。条文は「相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合の相続人」と書いています。この場合は、兄が同居親族として特例を使う道を検討することになります。

Q. 亡くなる直前に、私が実家に住民票を移せば同居親族になりますか。

A. 住民票の話ではありません。条文が求めているのは「相続開始の直前において当該宅地等の上に存する当該被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物に居住していた者」であることです。

しかも相続開始時から申告期限まで、引き続きその建物に居住し、かつ宅地等を保有していることが要件です。形だけ移して10か月住まない、という形は成り立ちません。

Q. 相続税を払わなくていいなら、申告もしなくていいですか。

A. 「特例を使う前の金額」で判定してください。

特例を使う前は基礎控除を超えていて、特例を使った結果ゼロになる場合は、申告が必要です。第7項が「申告書に適用を受けようとする旨を記載し、明細書等の添付がある場合に限り適用する」と定めているためです。申告しなければ特例は適用されず、税額はゼロになりません。

Q. 遺産分割がまとまりません。特例は諦めるしかないですか。

A. 諦める必要はありませんが、いったん現金が要ります。

申告期限までに特例なしで申告・納税し、申告期限から3年以内に分割できれば、あとから適用を受けられます(第4項ただし書)。訴訟などのやむを得ない事情がある場合は、税務署長の承認を受けて分割できることとなった日の翌日から4か月以内まで延びます。

この「いったん払う」ぶんの現金を、どこから出すかは早めに考えてください。

Q. 実家とアパート、どちらに特例を使うべきですか。

A. 1㎡あたりいくら減るかを両方計算して、大きいほうから枠を埋めます。

実家は8割引きで330㎡、アパートは5割引きで200㎡。ただしアパートを選んだ瞬間に、全体が200㎡ベースの按分計算に落ちます。実家の路線価が高ければ実家だけを選ぶほうが有利、という結論になることが多いはずです。

ただし「多いはず」で決めないでください。土地ごとに答えが違います。この計算のために税理士に払う報酬は、動く税額に比べれば小さいことがほとんどです。

Q. 実家を壊してから相続が起きました。もう手遅れですか。

A. 小規模宅地等の特例については、対象外です。相続開始の時点で建物または構築物の敷地でなければ、この特例は使えません。

ただし、更地にしたことで有利になる制度もあります。売却時の空き家の3,000万円特別控除は、一定の要件のもとで取壊し後の敷地の譲渡も対象にしています。相続税で不利になり、譲渡所得税で有利になる、という交差が起きます。どちらの金額が大きいかは、土地の評価額と売却価格の両方を並べないと出ません。

Q. この記事を読んで、まず何をすればいいですか。

A. 順番はこうです。

①相続財産の総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかを概算する。超えないなら、この記事の話は基本的に関係ありません。
②超えそうなら、実家を「壊さない・貸さない・売らない」で止める。3つとも、あとから取り返せません。
③税理士に土地の評価額を出してもらう。選択の判断は、そこからです。

当サイトは税理士ではありません。ここで書けるのは条文の中身までで、あなたの土地にいくら効くかは計算できません。全体の段取りは実家じまい完全ガイドにまとめています。

確認できなかったこと

この記事で書けなかったことを、正直に置いておきます。

  • 要介護認定の申請中に亡くなった場合の扱い。条文は「認定を受けていた被相続人」と書いており、申請中の扱いは文言からは読み取れませんでした
  • 入所後に生計別の親族が無償で住んだ場合。施行令40条の2第3項のカッコ書きは「入居又は入所の直前において生計を一にし、かつ、引き続き居住している親族」を含むと書いており、入所後に転入した親族の扱いは条文だけでは判定できませんでした
  • 選択の有利判定の具体的な計算。路線価と地積が要るため、記事では扱えません
  • 配偶者居住権が設定されている場合の面積のみなし計算。国税庁の注記に算式がありますが、当サイトでは検証していません
  • 「やむを得ない事情」(第8項)の実際の認定範囲。条文には基準が書かれていません

まとめ

  1. 実家の土地は330㎡まで、課税価格が20%になります(=8割引き)。条文は「百分の二十を乗じる」と書いています
  2. ★ 相続前に建物を壊すと使えません。「建物又は構築物の敷地」であることが条件です
  3. 親が施設に入っていても使えます。ただし要介護認定または要支援認定を受けていたことが要件です
  4. ★★ 施設入所後に貸すと消えます。空き家のままなら維持されます(施行令40条の2第3項)
  5. 配偶者が取得した場合は、保有継続要件がありません。同居親族と家なき子は申告期限まで保有が必要です
  6. 家なき子は6要件。三親等内の親族の家、自分の会社名義の家に住んでいると外れます
  7. アパートを1㎡でも選ぶと、全体が200㎡ベースの按分計算に落ちます
  8. ★ 税額ゼロでも申告しないと適用されません(第7項)
  9. 未分割だと使えません。申告期限から3年以内に分割すれば取り戻せます(第4項ただし書)
  10. 相続財産が基礎控除以下なら、この記事の話は関係ありません。まずそこから確かめてください

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