実家ががけの上や下にある|がけ条例と擁壁で建て替えも売却も止まる理由

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相続した実家が高台や斜面にあり、敷地の中か隣に古い擁壁がある。そういう物件は、売ろうとした瞬間に止まります。

買主が住宅ローンを申し込むと、金融機関が擁壁の状態を見ます。仲介業者は重要事項説明で、がけ条例と土砂災害区域を説明しなければなりません。つまり、買主は必ず知ることになります。そして、建て替えようとすれば、いまの擁壁が構造耐力上安全だと示せるかどうかが最大の争点になります。

この記事は、擁壁工事の見積りを取る前に読むものです。「がけ条例」は法律ではなく都道府県の条例で、数値が自治体ごとに違います。2m超か3m超か、離す距離はがけの高さの2倍か1.5倍か——ここが違うと結論が変わります。8都府県ぶんの数値を条文から拾って並べました。

結論だけ先に

  • 「がけ条例」という法律はありません。各都道府県の建築基準条例で、根拠は建築基準法40条(条例による制限の付加)です。対象は「2m超」が多数派ですが、神奈川県は「3m超」。距離は「2倍」が多数派ですが、兵庫県は1.5倍、千葉県はがけの上1.5倍・下2倍と非対称です。
  • 規制の型が3つあります。擁壁設置義務型(東京・埼玉・神奈川・静岡)/建築禁止型(千葉)/離隔距離確保型(兵庫・愛知)。大阪府はがけ条例ではなく災害危険区域として規制しています。
  • どの自治体でも、免れる条件の中心は「既設の擁壁が構造耐力上安全と認められること」です。だから確認済証・検査済証があるかどうかが、建て替えの可否と売却価格を分けます。
  • 2023年5月26日に盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)が施行されました。旧・宅地造成等規制法からの改正で、規制区域が広がり、土地所有者の保全義務が入っています。

条文・条例は2026年8月24日にe-Gov法令検索と各都道府県の公式ページで確認しました。条例は改正されます。工事費の相場は官公庁の一次情報にないため書きません。必ず所在地の建築指導課でご確認ください。

1. まず、何が関係してくるのか

「がけがある」という一言に、性質の違う制度が4つ重なっています。

制度 何を決めるか 根拠
がけ条例 建物をどこに建てられるか/擁壁が要るか 各都道府県の建築基準条例(建築基準法40条)
盛土規制法 造成工事に許可が要るか/土地の保全義務 宅地造成及び特定盛土等規制法(2023年5月26日施行)
土砂災害防止法 警戒区域・特別警戒区域の指定と建築制限 土砂災害防止法
建築基準法88条 高さ2m超の擁壁は建築確認が必要な工作物 建築基準法88条・施行令138条

売れるかどうかを決めるのは、このうち「がけ条例」と「擁壁に確認済証があるか」の2つです。

2. ★がけ条例——自治体で数値がまるで違います

「がけ条例」は通称です。法律ではありません。建築基準法40条が、地方公共団体は条例で建築物の敷地・構造について制限を付加できると定めており、それに基づく各都道府県の建築基準条例のことを指します。

自治体 対象のがけ 規制の内容 型
東京都
建築安全条例6条
高さ2m超 がけ下端から水平距離ががけ高の2倍以内に建てるなら、高さ2m超の擁壁を設けること 擁壁設置義務
神奈川県
建築基準条例3条
高さ3m超 がけ下端(がけ下は上端)からがけ高の2倍以内に建てるなら、安全な擁壁を設けること 擁壁設置義務
千葉県
施行条例4条
30度超・高さ2m超 がけの上はがけ高の1.5倍、がけの下は2倍の距離内に、居室のある建築物を建てるのを禁止 建築禁止
埼玉県
施行条例6条
高さ2m超 がけ下端から2倍以内なら、高さ2m超の擁壁を設けること 擁壁設置義務
兵庫県
建築基準条例2条
30度超の土地 がけの表面の中心線から、がけ上・がけ下ともにがけ高の1.5倍(高さ2m以下または地質により支障なければ1倍)以上離すこと 離隔距離確保
愛知県
建築基準条例8条
高さ2m超 がけ上は下端から、がけ下は上端から、がけ高の2倍以上の水平距離を保つこと 離隔距離確保
静岡県
建築基準条例10条
2m超(30度の斜線基準) がけ下端から2倍以内なら、安全な擁壁を設けること 擁壁設置義務
大阪府
施行条例3条・4条
— がけ条例の形をとっていません。災害危険区域を指定し、急傾斜地崩壊危険区域内では住居の建築を禁止(知事の許可がある場合を除く) 災害危険区域

出典:各都道府県の建築基準条例・公式解説/2026年8月24日確認

この表から読めることを3つ。

  1. 対象の高さが違います。2m超が多数派ですが、神奈川県は3m超。同じ関東でも境界が違います。
  2. 距離の倍率も違います。2倍が多数派、兵庫県は1.5倍(条件により1倍)、千葉県はがけの上と下で非対称です。
  3. そもそも規制の型が違います。「擁壁を設けよ」なのか「建てるな」なのか「離せ」なのか。千葉県は建築禁止型なので、擁壁を作れば解決するとは限りません。

免れる条件は、どの自治体もほぼ同じ発想です

条例ごとに書き方は違いますが、例外の中身は4つに集約されます。

①がけ自体が安全(堅固な地盤・こう配が緩い・土質が良い)/②既設の擁壁が構造耐力上安全と認められる/③建物側を鉄筋コンクリート造等にする/④相当の距離をとる。

このうち実務でいちばん争われるのが②です。「いまある擁壁は安全だと言えるのか」——これが建て替えの可否を分けます。

3. ★だから確認済証・検査済証を探します

高さ2mを超える擁壁は、建築基準法88条と施行令138条により建築確認が必要な工作物です。確認を受けていれば、確認済証と検査済証があるはずです。

この2枚があるかどうかで、建て替えの難易度と売却価格が変わります。

調べる方法 どこで
建築計画概要書 建築確認を出した特定行政庁(市区町村または都道府県の建築指導課)。誰でも閲覧できます
台帳記載事項証明書 同上。確認・検査を受けた記録があるかを証明する書類
実家の権利証・書類箱 確認済証・検査済証の原本が残っていることがあります

無い場合、どうなるか

古い擁壁には、確認済証も検査済証もないことが珍しくありません。宅地造成が今ほど厳しく規制されていなかった時代のものだからです。

その場合、建て替えのときに「この擁壁は構造耐力上安全である」ことを示す必要が出てきます。示せなければ、擁壁の造り替えを求められることがあります。そして擁壁の工事は、建物の工事とは別に数百万円単位で動きます。

ただし、書類がないこと自体が「危険」を意味するわけではありません。あくまで「安全だと証明する材料が手元にない」という状態です。

4. 擁壁を自分で見るチェック項目

国土交通省が擁壁の健全度判定に関する資料を出しています。そこに挙げられている、専門知識がなくても見られる項目を並べます。

  • はらみ出し(壁面が前に膨らんでいる)
  • ひび割れ(とくに縦方向、幅の大きいもの)
  • 目地のずれ・開き
  • 傾き
  • 水抜き穴があるか、詰まっていないか
  • 水抜き穴から土が出ていないか(背面の土が流出しているサイン)
  • 擁壁の上に、後から盛土や工作物が載っていないか
  • 二段になっていないか(古い擁壁の上にブロックを積み増した状態)

写真を撮っておいてください。売るときも、業者に相談するときも、市役所で聞くときも、写真があると話が早く進みます。

5. 盛土規制法が2023年に変わりました

2021年の熱海の土石流を受けて、旧宅地造成等規制法が全面改正され、宅地造成及び特定盛土等規制法(通称:盛土規制法)として2023年5月26日に施行されました。

区域 内容
宅地造成等工事規制区域 市街地・集落など、人家等に被害を及ぼしうる区域。一定規模以上の造成に許可が必要
特定盛土等規制区域 市街地から離れていても、地形的に人家等に被害を及ぼしうる区域。2023年改正で新設
造成宅地防災区域 既に造成された宅地で、災害のおそれが大きい区域

改正の要点は、規制の対象が「宅地」から「土地」に広がったことと、土地所有者に保全の努力義務が課されたことです。

自分の土地が規制区域内かどうかは、都道府県が公表しているマップで確認できます。「◯◯県 盛土規制法 規制区域」で探せます。区域内だと、造成工事に許可が要るぶん、擁壁の造り替えの手続きが重くなります。

6. 土砂災害警戒区域と特別警戒区域

がけとは別に、土砂災害防止法による区域指定があります。この2つは意味がまったく違います。

土砂災害警戒区域
(イエローゾーン)
土砂災害特別警戒区域
(レッドゾーン)
意味 土砂災害のおそれがある区域 建築物に損壊が生じ、住民の生命・身体に著しい危害が生ずるおそれ
建築の制限 なし(警戒避難体制の整備が中心) あり。居室を有する建築物の構造規制、開発行為の許可
重要事項説明 対象 対象
売却への影響 説明義務があるので買主は必ず知る 建築制限があるぶん、影響が大きい

該当するかどうかは、ハザードマップポータルサイトや都道府県の土砂災害警戒区域図で確認できます。実家の住所を入れれば分かります。売る前に自分で見ておいてください。買主に説明されて初めて知る、という順番は避けたほうがいいです。

7. 擁壁の改修に補助を出している自治体があります

実額を公表している自治体があります。ただし全国の制度ではありません。ある自治体にはあり、ない自治体にはありません。

探し方は「◯◯市 擁壁 助成」「◯◯市 がけ地 補助」です。制度がある場合、次のような条件がついていることが多いので確認してください。

  • 着工前の申請が必須(工事を始めてからでは出ません)
  • 対象区域が限定されている(土砂災害特別警戒区域内など)
  • 擁壁の高さ・こう配の要件
  • 予算枠と受付期間

解体補助金と同じで、順番を間違えると出ません。この構造は全国の解体補助金一覧で扱った落とし穴とまったく同じです。

8. 売るときに何が起きるか

がけ・擁壁・土砂災害区域は、宅建業法35条の重要事項説明の対象です。つまり、買主は契約前に必ず知ります。

隠して売ることはできません。そして隠そうとすると、後で契約不適合責任(民法562条以下)の問題になります。民法572条は、売主が知りながら告げなかった事実については、免責の特約があっても責任を免れないと定めています。

売り方 起きること
仲介で売る 重要事項説明で買主に伝わる。住宅ローンの審査で擁壁が問題になることがある。買主が見つかるまで時間がかかりやすい
擁壁を直してから売る 数百万円単位の先行投資。売却価格がその分だけ上がる保証はありません
現況のまま買取業者に売る 価格は下がるが、擁壁の状態を織り込んだうえで買う相手なので、話が止まりにくい
持ち続ける 擁壁は劣化します。崩れて近隣に被害を出せば、所有者の責任です(民法717条1項)

「直してから売る」が正解とは限りません

擁壁の工事費が、そのまま売却価格に上乗せされるとは限らないからです。買主から見れば、擁壁が新しいことは「当たり前の状態になった」だけで、相場を超える金額は付きません。

比べるべきは「直す費用」と「直さずに売った場合の価格差」です。どちらの数字も、聞けば分かります。先に両方を出してから決めてください。

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この記事のとおり、がけ条例と擁壁の状態は、同じ広さの土地でも金額をまるごと変えます。不動産SHOPナカジツは、愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本で自社買取と仲介の両方を扱う会社です。2章の比較表に出てくる千葉・埼玉・愛知・静岡は、いずれもこの会社の営業エリアに入っています。無料で査定を依頼できます。

①上の7県以外の実家は対象外です。②査定額は「売れる価格」ではありません。とくにがけ地は、擁壁の検査済証があるかどうかで結果が変わります。査定を頼む前に、この記事の3章のとおり役所で建築計画概要書を取っておいてください。資料があるかないかで金額が動きます。③1社の金額を鵜呑みにせず、判断材料の1つとして使ってください。④このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによって査定額が下がることはありません。

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査定の前に、擁壁の高さだけは測っておいてください。2mを超えるかどうかで、建築確認が要る工作物かどうかが変わります(建築基準法88条・施行令138条)。

9. 動く順番

  1. 実家の住所で、ハザードマップと盛土規制法の規制区域を確認する(無料・すぐできます)
  2. 所在地の都道府県のがけ条例を読む。対象の高さと距離の倍率を確認(上の表の8都府県以外は、ご自身で確認してください)
  3. 建築指導課で建築計画概要書・台帳記載事項証明書を請求する。擁壁に確認済証・検査済証があるか
  4. 擁壁の写真を撮る。はらみ出し・ひび割れ・水抜き穴
  5. 擁壁を直す場合の見積りを取る
  6. 直さずに売った場合の金額を知る
  7. 5と6を並べて決める

1〜4は無料で、今日からできます。この4つが揃っていると、業者との話がまったく違う速さで進みます。

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仲介で断られた、値段がつかないと言われたときに

擁壁に検査済証がない、特別警戒区域にかかっている、建て替えると今より小さい家しか建たない。こうした土地は、仲介では買い手が見つかりにくく、価格も下がります。ラクウル(株式会社ネクサスプロパティマネジメント/国土交通大臣(1)第10311号)は、再建築不可・旧耐震・築古・違反建築といった物件を日本全国で買い取っている会社です。自社で買い取るため仲介手数料はかかりません。

①買取価格は、仲介で売れる価格より低くなります。これは避けられません。先に仲介の査定を取って、その差を見てから決めてください。②申し込むと担当者から連絡が入り、物件の状況を聞かれます。売却を考えていない相談は対象外なので、迷っている段階なら「まだ決めていませんが、金額を知りたい」と伝えてください。③当サイトはこの会社の査定額や対応を確認していません。④このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによって買取価格が下がることはありません。

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連絡を受ける前に、この記事の4章のチェック項目を1枚にまとめておいてください。擁壁の高さ・水抜き穴・ひび割れ・建築年。答えられるかどうかで、話の速さが変わります。

よくある質問

がけ条例は全国共通ですか

違います。「がけ条例」という法律はありません。各都道府県の建築基準条例で、根拠は建築基準法40条です。対象の高さは2m超が多数派ですが神奈川県は3m超、距離は2倍が多数派ですが兵庫県は1.5倍、千葉県はがけの上1.5倍・下2倍と非対称です。さらに規制の型も3種類あります。実家のある都道府県の条例を必ず読んでください。

擁壁があれば大丈夫ですか

「擁壁がある」ことと「安全だと認められる」ことは別です。どの自治体の条例も、免れる条件の中心に「既設の擁壁が構造耐力上支障がないと認められること」を置いています。高さ2mを超える擁壁は建築確認が必要な工作物(建築基準法88条・施行令138条)なので、確認済証・検査済証があるかを先に調べてください。

確認済証も検査済証も見つかりません

古い擁壁では珍しくありません。特定行政庁(市区町村または都道府県の建築指導課)で建築計画概要書と台帳記載事項証明書を請求すれば、記録があるかどうかが分かります。無いこと自体が「危険」を意味するわけではありません。「安全だと証明する材料が手元にない」という状態です。建て替えのときに、造り替えを求められる可能性が上がります。

擁壁の工事はいくらかかりますか

この記事では金額を書きません。官公庁の一次情報に相場が存在しないためです。高さ・長さ・工法・重機が入るか・道路付けで、桁が変わります。見積りを取るしかありません。ただし、取る前に「擁壁に確認済証があるか」「がけ条例で何が要求されるか」を確認しておくと、見積りの前提が定まって精度が上がります。

直してから売るべきですか

直す費用と、直さずに売った場合の価格差を比べてください。擁壁の工事費が、そのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。買主から見れば「当たり前の状態になった」だけだからです。先に両方の数字を出してから決めてください。どちらも聞けば分かります。

土砂災害警戒区域だと売れませんか

売れます。ただし重要事項説明の対象なので、買主は必ず知ります。警戒区域(イエロー)には建築制限がありませんが、特別警戒区域(レッド)には建築物の構造規制と開発許可の制限があります。この2つは意味が大きく違うので、まず自分の土地がどちらなのかをハザードマップで確認してください。

隣の家のがけが心配です。こちらに責任はありますか

がけが隣地にあるなら、崩れたときの責任は隣地の所有者です(民法717条1項)。ただし、あなたが建て替えるときには、がけ条例の制限を受けるのはあなたのほうです。隣のがけであっても、そのがけの高さと距離で、あなたの敷地に建てられる位置が決まります。この非対称は覚えておいてください。

盛土規制法で何が変わりましたか

2023年5月26日施行です。旧・宅地造成等規制法の全面改正で、規制対象が「宅地」から「土地」に広がり、市街地から離れた場所も対象になる「特定盛土等規制区域」が新設されました。あわせて土地所有者等に保全の努力義務が入っています。自分の土地が規制区域内だと、擁壁を造り替えるときの手続きが重くなります。都道府県のマップで確認してください。

擁壁の補助金はありますか

ある自治体とない自治体があります。全国の制度ではありません。「◯◯市 擁壁 助成」「◯◯市 がけ地 補助」で探してください。制度がある場合、着工前の申請が必須なのが通常です。工事を始めてから申請しても出ません。この順番の落とし穴は解体補助金とまったく同じです。

建て替えたいのですが、可能ですか

4つを順に確認してください。①がけ条例の対象になるがけか(高さ)②距離の制限にかかる位置か③既設の擁壁に確認済証・検査済証があるか④土砂災害特別警戒区域か。①②は都道府県の条例、③は建築指導課、④はハザードマップで分かります。すべて無料です。設計を頼む前に確認しておくと、後から計画が覆るのを避けられます。建て替え全体の費用は実家の建て替え費用にまとめました。

売るのが難しいと言われました

仲介で買主を探すのが難しい物件であることは事実です。住宅ローンの審査で擁壁が問題になることがあり、買主が付くまで時間がかかります。選択肢は3つです。①直してから仲介で売る②現況のまま買取業者に売る③持ち続ける。③は擁壁が劣化し続けるうえ、崩れて近隣に被害を出せば所有者の責任です(民法717条1項)。まず①と②の金額を両方出して比べてください。

この記事で確認できなかったこと

  • 擁壁工事の費用相場。官公庁の一次情報に存在しません。当サイトは相場の数字を書きません。
  • 47都道府県すべてのがけ条例。本文の表は8都府県ぶんです。それ以外はご自身で確認してください。
  • 擁壁の補助制度の全国的な整理。自治体ごとに制度の有無・名称・金額が異なり、網羅した公的な一覧は確認できませんでした。
  • 確認済証・検査済証のない擁壁を、建て替え時にどう扱うかの統一基準。特定行政庁ごとの判断になり、全国共通の基準は確認できませんでした。
  • 「現況有姿」という言葉の公的な定義。売買契約でよく使われますが、法令上の定義規定は確認できませんでした。
  • 盛土規制法の規制区域の指定状況(全国でどれだけ指定が進んでいるか)。都道府県ごとに進捗が異なり、全国集計は確認できませんでした。
  • 擁壁の状態が住宅ローンの審査にどう影響するかの基準。各金融機関の内部基準であり、公表資料は確認できませんでした。

まとめ

  1. 「がけ条例」という法律はありません。各都道府県の建築基準条例です(建築基準法40条)。
  2. 数値が自治体で違います。対象は2m超が多数派ですが神奈川県は3m超。距離は2倍が多数派ですが兵庫県は1.5倍、千葉県は上下で非対称です。
  3. 規制の型が3つあります。擁壁設置義務型/建築禁止型/離隔距離確保型。千葉県は建築禁止型なので、擁壁を作れば解決するとは限りません。
  4. どの条例でも、免れる条件の中心は「既設の擁壁が構造耐力上安全と認められること」です。
  5. だから確認済証・検査済証を探します。高さ2m超の擁壁は建築確認が必要な工作物です(建築基準法88条・施行令138条)。建築計画概要書と台帳記載事項証明書は誰でも請求できます。
  6. 2023年5月26日に盛土規制法が施行されました。規制区域が広がり、土地所有者に保全の努力義務が入っています。
  7. がけ・擁壁・土砂災害区域は重要事項説明の対象です。買主は必ず知ります。隠せません。
  8. 「直してから売る」が正解とは限りません。工事費がそのまま価格に乗る保証はないからです。両方の数字を出して比べてください。

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