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実家を売ろうとして、仲介業者にこう言われる。「前の道が私道ですね。持分はお持ちですか」「接道が2mに足りないかもしれません」。この瞬間から、話が止まります。
ここでまず知っておいてほしいことがあります。「私道だから建てられない」わけではありません。建築基準法42条1項の道路には、私人が所有していても該当するものがいくつもあります。位置指定道路(5号)はほぼ私道ですし、法施行時からある道(3号)は公私を問いません。三鷹市も公式に「公私を問わない」と説明しています。
問題は別のところにあります。①その道が建築基準法上の道路なのか、②敷地が2m以上接しているか、③掘削と通行の承諾が取れるか。この3つは、それぞれ別の法律・別の窓口で決まります。この記事は、その3つを役所と法務局で確かめる順番を、条文つきで並べます。全部、売りに出す前に、あなた自身で調べられます。
結論だけ先に
- 接道義務は「道路に2m以上接する」です(建築基準法43条1項)。条文に「幅員4m以上」とは書かれていません。4mは42条1項の「道路」の定義側にある数字で、よく見る「幅員4m以上の道路に2m以上」は、2つの条文を合わせた要約です。
- 接道が足りなくても、43条2項1号の認定と2号の許可という道があります。令和5年度の実績は、認定1,232件・許可6,579件。「未接道=絶対に建てられない」ではありません。
- 令和5年4月1日から、民法213条の2(継続的給付を受けるための設備の設置権)が施行されました。他人の土地に水道管・ガス管を通す権利が条文になっています。ただし「承諾がなくても必ず掘れる」ではありません。要件つきの権利です。
- 私道の固定資産税は非課税になりえます(地方税法348条2項5号)。ただし申告制です。相続した実家の私道が課税されたままになっていることは、珍しくありません。
条文は2026年8月24日にe-Gov法令検索で、運用は国土交通省・各自治体の公式ページで確認しました。道路の判定と許可の基準は自治体ごとに違います。実行前に必ず、実家の所在地の特定行政庁(市区町村または都道府県の建築指導部局)にご確認ください。
1. 接道義務の条文を、正確に読む
建築基準法第43条第1項
建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。……)に二メートル以上接しなければならない。
この条文には「4m」が出てきません
「幅員4m以上」は、42条1項の「道路」の定義側に書かれています。つまり接道義務の構造は「〔42条にいう〕道路に2m以上接する」です。この違いは些細に見えて、調べる順番を決めます。まず「その道が42条の道路か」、次に「2m接しているか」の順です。
「2m接している」の中身についても、注意点があります。島根県の解説はこう書いています。接道は「平面的に道路と敷地が接しているだけでなく、一般的には人が通行できることが必要」。擁壁で遮られていれば接道になりませんが、「階段があり人が通行出来る場合は接道となります」。敷地と道路の間に河川や水路がある場合、農道や河川管理道の場合は、認定または許可の申請が必要になります。
足りないときの2つの出口
| 43条2項1号(認定) | 43条2項2号(許可) | |
|---|---|---|
| 要件 | 幅員4m以上の道(道路に該当しないもの)に2m以上接し、利用者が少数であるものとして省令の基準に適合 | 敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他省令の基準に適合するもの |
| 建築審査会の同意 | 条文上の要件になっていません(不要) | 必要(条文に明記) |
| 規模・用途の制限 | 延べ面積500㎡以内。道の区分に応じた用途制限あり | 省令4項1〜3号のいずれか(公園等の空地/農道等に2m以上接する/十分な幅員の通路に有効に接する) |
| 令和5年度の全国実績 | 1,232件 | 6,579件 |
2号許可は、かつて「43条ただし書」と呼ばれていたものです。平成30年の改正で条文の位置が変わりました。古い資料や業者の説明で「ただし書」と言われたら、いまの43条2項2号のことです。
2. その道は、42条の何号なのか
建築基準法第42条第1項(柱書)
この章の規定において「道路」とは、次の各号のいずれかに該当する幅員四メートル(特定行政庁が……指定する区域内においては、六メートル……)以上のもの(地下におけるものを除く。)をいう。
| 号 | 通称 | 私道でありうるか |
|---|---|---|
| 1項1号 | 道路法による道路(公道) | 公道 |
| 1項2号 | 都市計画法・土地区画整理法等による道路(開発道路など) | ありえます(市に移管されず私道のまま残ることがあります) |
| 1項3号 | 法施行時に現に存在する道(既存道) | 公私を問いません |
| 1項4号 | 2年以内に事業執行予定として特定行政庁が指定した道路 | — |
| 1項5号 | 位置指定道路 | ほぼ私道です |
| 2項 | みなし道路(2項道路)。法適用時に建築物が立ち並んでいた幅員4m未満の道で特定行政庁が指定したもの | 公私を問いません |
「私道=建築基準法上の道路でない」は誤りです
三鷹市は公式ページで、1項2号について「個人管理の私道でも該当する場合があります」、1項3号について「公私を問わない」と明記しています。
所有者が誰かと、建築基準法上の道路かどうかは、別の問題です。登記簿を見て「個人名義だからだめだ」と早合点しないでください。
2項道路のセットバック──中心線から2mです
建築基準法第42条第2項(抜粋)
……幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、……道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル(……6m区域内においては、三メートル……)の線をその道路の境界線とみなす。
ただし、当該道がその中心線からの水平距離二メートル未満で崖地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該崖地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離四メートルの線をその道路の境界線とみなす。
| 状況 | みなし境界線 |
|---|---|
| 通常(両側に宅地) | 道の中心線から水平距離2m |
| 反対側が崖地・川・線路敷地等 | 崖地等の道の側の境界線から道の側に4m(=片側だけで4m確保する「一方後退」) |
| 土地の状況によりやむを得ない場合(42条3項) | 中心線から1.35m以上2m未満、崖地等からは2.7m以上4m未満で特定行政庁が別に指定できます |
★中心線は、自動的に決まっているわけではありません
新宿区はこう説明しています。「中心が明確でない場合は、道路またはその道路に接して権利を有している方々で話し合い、中心線の位置を確認した後、現地に『中心杭』の設置をすることができます」。同区は中心杭を支給しています。
つまり、あなたの敷地がどこまで下がるかは、隣の人たちとの合意で決まる部分があります。売る前に杭があるか見てください。なければ、そこが交渉ごとになります。
3. 位置指定道路(5号)は、勝手に廃止できません
位置指定道路は、道路法などによらずに築造され、特定行政庁から位置の指定を受けた道です。その基準は建築基準法施行令144条の4に定められています。
そして重要なのは、いったん指定された私道は、所有者の一存で廃止できないことです(建築基準法45条)。「うちの土地だから、通らせないようにしよう」は通りません。逆に言えば、買主にとっては安心材料になります。
位置指定道路の指定番号と指定年月日は、多くの自治体がインターネットで公開しています。横浜市は「行政地図提供システム(i-マッピー)」で指定道路図を公開し、位置指定道路は「指定番号と指定年月日も表示される」としています。神戸市も位置指定図をインターネットで閲覧できます。
4. 私道の所有関係──3つの型があります
| 型 | 登記の形 | 工事のとき |
|---|---|---|
| 単独所有型 | 1人が私道全体を所有 | その1人の承諾が必要 |
| 共同所有型(共有) | 1筆を複数人で共有(持分) | 法務省ガイドラインによれば、補修など現状維持は「保存行為」で各共有者が単独で実施可能。新規設置や大規模改修は管理事項または軽微変更として持分の過半数で決することができます |
| 相互持ち合い型 | 私道を分筆して各自が別々の筆を所有 | 法務省ガイドラインは「各土地所有者間に黙示の通行地役権が成立」と整理しています |
どの型かは、法務局の公図と登記事項証明書で分かります。公図で私道部分が細長く何本にも分かれていれば相互持ち合い型、1本の筆に何人もの名前が並んでいれば共有型です。
まず課税明細書を見てください
私道持分を相続しているのに、本人が気づいていないことがあります。固定資産税の課税明細書に、宅地とは別に「公衆用道路」などの筆が載っていないか確認してください。
逆に、私道持分を持っていないのに、その道からしか出入りできないケースもあります。その場合は、通行と掘削を他人の土地に頼ることになります。
5. ★通行と掘削──令和5年に条文ができました
実務でいちばんもめるのは、「水道管を引き直したいが、私道の所有者が承諾してくれない」という場面です。ここに、比較的新しい条文があります。
民法第213条の2第1項(令和5年4月1日施行)
土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
| 項 | 内容 |
|---|---|
| 2項 | 設備の設置・使用の場所と方法は、他の土地等のために損害が最も少ないものを選ばなければならない |
| 3項(通知義務) | あらかじめ、その目的、場所及び方法を、他の土地等の所有者及び現に使用している者に通知しなければならない |
| 4項 | 設置・使用のために、他の土地を使用することができる |
| 5項(設置の償金) | 他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし1年ごとに支払うことができる |
| 6項 | 他人の設備を使用する者は、使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払う |
| 7項 | 他人の設備を使用する者は、利益を受ける割合に応じて設置・改築・修繕・維持の費用を負担する |
法務省は、相手方が不特定または所在不明の場合について、「簡易裁判所の公示による意思表示(民法98条)を活用」できるとしています。相続で共有者が増え、誰がどこにいるか分からない私道でも、手続の道筋があるということです。
「承諾がなくても必ず掘れる」とは書けません
213条の2は「他の土地に設備を設置しなければ……継続的給付を受けることができないとき」という要件付きの権利です。承諾書が不要になったわけではなく、実務上は水道事業者・ガス事業者が工事の際に所有者の承諾書を求めることが多いままです。
この条文の意味は、承諾が得られないときの法的な足場が明確になった、という点にあります。売却の場面では、承諾書を先に取っておけるならそのほうが早いことに変わりはありません。
通行そのものは、もっと古い条文で守られています
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 210条1項 | 他の土地に囲まれて公道に通じない土地(袋地)の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる |
| 210条2項 | 池沼・河川・水路・海を通らなければ公道に至れないとき、崖があって著しい高低差があるときも同じ |
| 211条1項 | 通行の場所と方法は、通行権者に必要で、かつ他の土地のために損害が最も少ないものを選ぶ |
| 211条2項 | 必要があるときは通路を開設することができる |
| 212条 | 通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない(通路開設分を除き、1年ごとの支払も可) |
| 213条1項 | 分割によって袋地が生じたときは、他の分割者の所有地のみを通行できる。この場合償金は不要 |
210条の通行権は、承諾書がなくても法律上当然に発生します。ただし「通行できる」ことと「建築基準法の接道義務を満たす」ことは、まったく別です。接道義務は42条・43条の問題で、民法の通行権では代替できません。ここを混同した説明が非常に多いので、注意してください。
6. 私道の固定資産税は、申告すれば非課税になりえます
地方税法第348条第2項第5号
固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。……公共の用に供する道路、運河用地及び水道用地
条文には幅員も申請手続も書かれていません。「公共の用に供する」に当たるかの判断と申告手続は、各自治体の運用です。
| 自治体 | 主な要件 |
|---|---|
| 東京都 | ①不特定多数の人の利用に供されている(植木・車の設置、門扉による遮断がない)②客観的に道路として認定できる形態③通り抜け私道は両端が別の公道に接し幅員1.8m以上/行き止まり・コの字型は複数家屋に供し幅員4.0m以上(既存道路は1.8m以上)。セットバック部分・隅切り部分も対象ですが「塀、縁石、目地などで明確に区分」が必要 |
| 大阪市 | 「道路幅員がおおむね1.8m以上」「一の公道から他の公道へ通じていること」「有料で貸し付けたり利用料を徴収していない」「通行を禁止する表示物がない」「門扉、さくまたはこれに類する通行の障害物がない」等 |
| 北九州市 | ①一般人の通行に制約を設けず不特定多数人の利用に供する②両端が公道に直接または間接に接続③原則として1.8m以上の幅員④地積測量図等により道路区画が明確 |
自治体をまたいで共通するのは4点です。①不特定多数が自由に通れる ②道路の形態がある ③幅員おおむね1.8m以上 ④申告が要る。
申告制なので、相続した実家の私道が課税されたままになっていることは珍しくありません。東京都は「年内に申告すると、その翌年の4月に始まる年度から非課税」としています。売る前に確認する価値があります。
7. 調べる順番と、かかるお金
法務局で取るもの(誰でも取れます)
| 資料 | 何が分かるか | 手数料(書面請求) |
|---|---|---|
| 登記事項証明書(土地) | 私道の所有者、共有者と持分、抵当権など | 600円/通 |
| 公図(地図・地図に準ずる図面の証明書) | 私道の筆の形と区切り(=共有型か相互持ち合い型か) | 500円 |
| 地積測量図等 | 分筆時の測量結果、道路部分の求積 | 500円 |
| 登記事項要約書・閲覧 | — | 500円 |
登記事項証明書も図面証明書も、所有者でなくても請求できます。盛岡地方法務局は「印鑑や身分証明等は不要」としています。相続の手続が終わる前でも、調査だけは先に進められます。
特定行政庁(市区町村・都道府県の建築指導部局)で調べるもの
| 自治体 | 公開のしかた | 電話での回答 |
|---|---|---|
| 横浜市 | 「行政地図提供システム(i-マッピー)」でインターネット閲覧・印刷可 | 不可(インターネット受付フォームあり) |
| 大阪市 | 「マップナビおおさか」で色分け公開。ただし「各種申請資料として使用はできません」 | 不可(「錯誤が生じるおそれがあるため、回答はお断りしています」) |
| 新宿区 | 「新宿区みんなのGIS」。「本情報には調査中の道路が含まれています」との注意書きあり | 不可 |
| 三鷹市 | 窓口に道路種別図を備え付け | 不可。建築指導課では「公道・私道の判別はできません」(判別は道路交通課または法務局) |
| 神戸市 | インターネットと窓口で同一の情報を公開。位置指定図もインターネット閲覧可 | 記載なし |
「地図に載っていない=道路でない」とは限りません
国土交通省の資料によれば、指定道路図の作成済は約8割、指定道路調書の作成済は約4割です。新宿区も「調査中の道路が含まれています」「42条第1項第1号・第3号でも現況幅員が4m未満の場合がある」と注記しています。
インターネットの地図で確認できなかった場合は、必ず窓口で正式な道路判定を求めてください。大阪市の場合、判定受付用紙・付近見取図・公図・現況図などを各2部提出する形で、申請者は「どなたでもできます」。
★建築計画概要書──「建てたときの接道」が分かります
建築基準法93条の2と施行規則11条の3により、建築計画概要書は特定行政庁が閲覧させなければならない書類です。しかも同規則2項は、「当該建築物が滅失し、又は除却されるまで、閲覧に供さなければならない」としています。
神戸市の作成要領によれば、概要書の第二面「第6欄(道路)」に「イ.幅員」と「ロ.敷地と接している部分の長さ」の記入欄があり、第三面の配置図には道路種別・幅員・接道長さ、さらに43条2項の認定・許可を受けた道に接する場合の詳細を明示することとされています。
つまり、概要書を取れば「その建物が建てられたとき、どの道路に何m接していると申告されたか」が分かります。ただし、様式と記載の運用は自治体・年代で差があり、古いものほど記載は薄くなります。大阪市は建築計画概要書の保存開始を「昭和48年4月1日以降に確認申請が受け付けられた建築物」としており、閲覧は無料、写しの交付は250円/件です。
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道路判定の申請は、誰でもできます。大阪市は「どなたでもできます」と明記しています。相続の手続が終わる前でも、調査だけは先に進められます。
8. 接道が足りないとき、実際に何が起きるか
43条2項2号の許可は、多くの自治体が「一括同意基準」「包括同意基準」を持っています。典型的な案件は、個別に建築審査会にかけずに処理する運用です。つまり、基準に当てはまるかどうかは事前相談の段階で見当がつきます。
| 自治体 | 基準の例 |
|---|---|
| 東京都 | 基準3-1(両側後退):「幅員2.7m以上4m未満の道」に2m以上接する敷地。道の両側で後退させ、「地目を公衆用道路として登記することについて、所有権者全員の承諾」。用途は地上2階以下・地階1階以下の専用住宅または二戸長屋/基準4:「幅員4m以上の道」に2m以上接し、幅員4m確保について所有権者の1/2以上の承諾 |
| 埼玉県 | 第1類型:農道・林道・河川管理用の道等で幅員4m以上/第2類型:通路幅員1.8m以上。用途は原則として住宅、規模は2階建て程度、外壁は耐火・準耐火または防火構造 |
| 横浜市 | 第1号認定2種+包括同意基準。3-3A:空地幅員1.8m以上・中心後退2m以上/3-3B:空地幅員2.7m以上・中心後退2m以上。適合すれば審査会への附議を省略。事前相談2〜4週間+本申請約2週間 |
| 福岡市 | 3類型(公園等/農道等/通路)。許可申請手数料33,000円。標準処理期間10〜14日、個別審査案件は1〜2か月 |
許可は建築計画とセットです
43条2項2号の許可は、その建築計画についての処分です。次の建て替えのときに同じ許可が下りる保証はありません。
この点について条文上の明文までは確認できていませんが、東京都・埼玉県・横浜市の基準がいずれも用途・階数・規模を限定していることからも、「一度許可が出たから、この土地は自由に建てられる」という理解は危険です。
他の出口
| 選択肢 | 押さえどころ |
|---|---|
| 43条2項1号の認定 | 建築審査会の同意が不要な分ハードルは低いですが、幅員4m以上の道であることと延べ面積500㎡以内・用途制限がかかります |
| 位置指定道路を新設する | 土地所有者・権利者全員の承諾書が必要。手数料の例は横浜市50,000円、京都市51,000円、大阪市77,000円。築造工事の費用は別です |
| セットバックして4mにする | 後退部分は敷地面積に算入されません(施行令2条1項1号)。角地の「喉元敷地」の後退が進まないことは、国交省資料も課題として指摘しています |
| 隣地の所有者に売る/隣地と一体で売る | 接道を満たす隣地と合わせれば要件を満たせる場合があります。ただし、この点について公的な一次情報は確認できませんでした |
| 低未利用土地等の100万円特別控除 | 譲渡価額500万円以下(市街化区域・用途地域内などは800万円以下)、所有期間5年超、都市計画区域内、市区町村長の確認書が必要。国税庁ページ記載の適用期間は令和2年7月1日〜令和7年12月31日で、延長の有無は確認できていません |
| 相続土地国庫帰属制度 | 私道はほぼ使えません。法務省は却下要件の政令類型に「現に道路として利用されている土地」を明示し、不承認要件にも「袋地で通行妨害がある場合」等が挙がっています |
9. セットバック部分の扱い
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 敷地面積に算入されない | 建築基準法施行令2条1項1号ただし書。「建築面積」ではなく「敷地面積」に算入されないのが正確です(=建蔽率・容積率の分母から外れます) |
| 建築物・擁壁を建てられない | 建築基準法44条1項。セットバック部分は「道路」とみなされるため、塀・門・擁壁も建てられません |
| 固定資産税 | 非課税になりえます。東京都はセットバック部分・隅切り部分を対象に挙げますが、「塀、縁石、目地などで明確に区分」を求めます。申告制です |
| 売買での面積表示 | 実務では「私道負担面積」「セットバック要・面積○㎡」と表示されますが、その根拠を公的サイトで確認できませんでした |
セットバックは「登記」ではなく「事実」です。42条2項のみなし境界線は法律上当然に決まり、分筆や地目変更をしなくても効力があります。ただし、固定資産税の非課税や、東京都の43条2項2号基準3-1が「地目を公衆用道路として登記することについて所有権者全員の承諾」を求めるなど、登記まで求められる場面があります。
10. 売る前に、この順番で
| 順 | やること | どこで |
|---|---|---|
| 1 | 課税明細書で、宅地のほかに「公衆用道路」等の筆がないか確認 | 手元の書類 |
| 2 | 登記事項証明書+公図で、私道の所有形態を確定する | 法務局(600円/500円) |
| 3 | 道路種別を確認する(42条何号か、2項道路か、位置指定道路なら指定番号と指定年月日) | 特定行政庁(電話回答不可の自治体が多数) |
| 4 | セットバックの要否と位置を確認(2項道路なら中心線はどこか、中心杭はあるか) | 特定行政庁 |
| 5 | 建築計画概要書・台帳記載事項証明書を取る(建築当時の接道と検査済証の有無) | 特定行政庁(大阪市の例で写し250円/件) |
| 6 | 接道が足りないなら、43条2項1号認定/2号許可の可能性を事前相談 | 特定行政庁 |
| 7 | 通行・掘削の承諾書が過去に交わされていないか探す。なければ現在の共有者・隣接所有者を洗い出す | 売主の手元/登記事項証明書 |
| 8 | 私道が固定資産税で非課税になっているか確認し、なっていなければ申告を検討 | 市区町村(東京23区は都税事務所) |
| 9 | これらを重要事項説明(宅建業法35条1項3号)の資料として整理して仲介業者に渡す | — |
重要事項説明の条文は、意外と短いです
宅地建物取引業法第35条第1項第3号
当該契約が建物の貸借の契約以外のものであるときは、私道に関する負担に関する事項
条文は「私道に関する負担」としか書いておらず、面積・位置・負担金・承諾の有無といった具体的項目は特定されていません。説明義務を負うのは宅建業者ですが、資料がなければ業者は説明できません。だから、上の9項目を売主が先に揃えておくことに意味があります。
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43条2項の許可が下りないと分かったときに
再建築できない土地は、仲介では買い手が見つかりにくく、価格も下がります。ラクウル(株式会社ネクサスプロパティマネジメント/国土交通大臣(1)第10311号)は、再建築不可・共有持分・借地権・底地といった物件を日本全国で買い取っている会社です。自社で買い取るため仲介手数料はかかりません。
①買取価格は、仲介で売れる価格より低くなります。再建築不可でこれは避けられません。この記事の8章の出口(43条2項1号の認定、2号の許可、位置指定道路の新設、セットバック、隣地への売却)を先に確認してください。順番を逆にすると、取れたはずの金額を取り逃します。②申し込むと担当者から連絡が入り、物件の状況を聞かれます。売却を考えていない相談は対象外です。③当サイトはこの会社の査定額や対応を確認していません。④このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによって買取価格が下がることはありません。
申し込む前に、役所で前面道路の種別だけは確かめておいてください。この記事の7章に、そのまま窓口で使える調べ方を置いています。
よくある質問
前の道が私道です。売れないのでしょうか
私道であること自体は、売れない理由になりません。建築基準法42条1項の道路には、私人が所有していても該当するものがあります。位置指定道路(5号)はほぼ私道ですし、法施行時からある道(3号)は公私を問いません。三鷹市も公式に「公私を問わない」と説明しています。確認すべきは「所有者が誰か」ではなく「42条の何号の道路か」です。特定行政庁で判定してもらえます。
接道が2mありません。もう建て替えられませんか
43条2項に、認定(1号)と許可(2号)という2つの道があります。令和5年度の全国実績は、認定1,232件・許可6,579件です。多くの自治体が「一括同意基準」「包括同意基準」を持っていて、典型的な案件は個別に建築審査会にかけずに処理されます。基準に当てはまるかどうかは、事前相談の段階で見当がつきます。ただし用途・階数・規模の制限がつくのが通常です。
「43条ただし書」と言われました。今はどうなっていますか
平成30年の改正で、条文の位置が変わりました。旧43条1項ただし書は、現在の43条2項2号の許可にあたります。建築審査会の同意が必要な点は変わっていません。古い資料や業者の説明で「ただし書」と言われたら、43条2項2号のことだと読み替えてください。なお2項1号の「認定」は、条文上、建築審査会の同意が要件になっていません。
私道の共有者が承諾してくれません。水道管を引き直せませんか
令和5年4月1日施行の民法213条の2があります。「他の土地に設備を設置しなければ電気・ガス・水道水の供給等を受けられないとき」に、必要な範囲で他人の土地に設備を設置できる権利です。相手方が不特定または所在不明の場合、法務省は「簡易裁判所の公示による意思表示(民法98条)を活用」できるとしています。ただし「承諾がなくても必ず掘れる」ではありません。要件つきの権利で、実務上は事業者が承諾書を求めることが多いままです。事前の通知義務(3項)と償金(5項〜7項)もあります。
袋地なので通行権があります。それで接道義務も満たしますか
満たしません。ここは絶対に混同しないでください。民法210条の通行権は、袋地の所有者に法律上当然に発生する私法上の権利です。一方、接道義務は建築基準法43条1項の公法上の規制で、「42条にいう道路に2m以上接する」ことを求めます。「通れる」ことと「建てられる」ことは、別の法律で別々に決まります。民法の通行権があっても、建築確認は下りません。
2項道路と言われました。どこまで下がるのですか
原則は道の中心線から2mです(特定行政庁が指定した6m区域では3m)。ただし、反対側が崖地・川・線路敷地等の場合は、その境界線から道の側に4mです(一方後退)。また42条3項により、やむを得ない場合は中心線から1.35m以上2m未満に緩和されることもあります。そして中心線は自動的に決まっていません。新宿区は「中心が明確でない場合は、権利を有する方々で話し合い、中心杭を設置できる」としています。売る前に杭があるか見てください。
セットバック部分にも固定資産税がかかっていますか
かかっている可能性があります。非課税は申告制だからです。地方税法348条2項5号の「公共の用に供する道路」に当たれば非課税ですが、東京都は「年内に申告すると、その翌年の4月に始まる年度から非課税」としており、申告しないかぎり自動的には非課税になりません。東京都はセットバック部分・隅切り部分も対象としますが、「塀、縁石、目地などで明確に区分」されていることを求めます。相続した実家の私道が課税されたままになっていることは珍しくありません。
私道部分に塀を建ててもいいですか
セットバック部分については、建てられません。建築基準法44条1項は「建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない」と定めており、セットバック部分は「道路」とみなされるため、塀・門・擁壁も対象になります。また固定資産税の非課税の場面でも、東京都・大阪市はいずれも「門扉、さく、通行の障害物がないこと」を要件にしています。物を置くと、非課税から外れる可能性もあります。
建てたときの接道が何mだったか、調べられますか
建築計画概要書で分かります。建築基準法93条の2と施行規則11条の3により、特定行政庁が閲覧させなければならない書類で、同規則2項は「当該建築物が滅失し、又は除却されるまで、閲覧に供さなければならない」としています。神戸市の作成要領によれば、第二面の第6欄に「幅員」と「敷地と接している部分の長さ」の記入欄があり、第三面の配置図に道路種別と接道長さを明示することとされています。ただし、様式と記載の運用は自治体・年代で差があり、古いものほど記載は薄くなります。大阪市は昭和48年4月1日以降の受付分から保存しています。
道路の種別を電話で教えてもらえますか
ほとんどの自治体が電話回答をしていません。大阪市は「錯誤が生じるおそれがあるため、回答はお断りしています」と明記しており、横浜市・新宿区・三鷹市も不可です。インターネットで地図を公開している自治体は増えていますが、大阪市は「各種申請資料として使用はできません」、新宿区は「調査中の道路が含まれています」と注記しています。正式には窓口で道路判定を申請してください。大阪市の場合、申請者は「どなたでもできます」。
調べていないまま売りに出したらどうなりますか
買主側が調べて、そこで話が止まります。私道に関する負担は宅建業法35条1項3号の重要事項説明の対象で、説明義務を負うのは宅建業者ですが、資料がなければ業者は説明できません。「調べていない」は、買主にとっては「調べたら建てられないかもしれない」と同じ意味になります。この記事の10章の9項目を先に揃えておくと、価格の交渉材料が減ります。そして、揃えるのにかかる実費は数千円です。
この記事で確認できなかったこと
- 平成30年法律第67号(43条ただし書→43条2項2号の改正)の施行日。条文の現在の位置は確認しましたが、施行日そのものを一次情報で確認していません。
- 建築基準法43条3項1号〜4号の完全な文言。条例による接道規制の上乗せ対象について、見出し語(特殊建築物/階数3以上/無窓居室/延べ面積1,000㎡超)は確認しましたが、各号の逐語は確認していません。
- 登記の図面証明書のオンライン請求手数料。盛岡地方法務局のページでは地図等と同じ470円/440円と読めた一方、法務局本局掲載の一覧では450円/420円と読み取れました。本文には書面請求の額(500円)のみを記載しています。オンラインで請求する場合は事前にご確認ください。
- 道路台帳の閲覧方法・手数料の全国的な整理。道路法の道路については道路管理者が台帳を備えていますが、閲覧方法・手数料の一次情報は確認できませんでした。
- 宅建業法35条1項3号の具体的な記載項目。国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」に、同号についての記述は見当たりませんでした。本文の「売主が用意すべき資料」は、法令が直接要求しているものではなく、この記事の整理です。
- 43条2項2号の許可が「一代限り」であることの条文上の明文。各自治体の基準が用途・階数・規模を限定していることから実質的にそう読めますが、条文レベルでは確認していません。
- 売買での「私道負担面積」「セットバック要」の表示根拠。実務では表示されますが、その根拠とされる不動産の表示に関する公正競争規約の本文を、公的サイトで確認できませんでした。
- 低未利用土地等の100万円特別控除の適用期間の延長の有無。国税庁ページ記載の適用期間は令和2年7月1日〜令和7年12月31日です。延長されているかは確認していません。使う場合は必ず税務署にご確認ください。
- 隣地への売却・隣地との一体売却について。接道要件を満たせる場合があるとされますが、公的な一次情報は確認できませんでした。
まとめ
- 「私道だから売れない」は誤りです。建築基準法42条1項の道路には、私人所有のものが含まれます(2号・3号・5号)。
- 接道義務は「道路に2m以上接する」(43条1項)。「幅員4m以上」は42条1項の定義側の数字です。
- 足りなくても、43条2項1号の認定と2号の許可があります。令和5年度で認定1,232件・許可6,579件。
- 2項道路のセットバックは中心線から2m。反対側が崖地・川・線路なら、そこから道の側に4m。中心線は自動では決まりません。
- 令和5年4月1日から民法213条の2ができました。他人の土地に水道管等を通す権利です。ただし承諾書が不要になったわけではありません。
- 民法の通行権(210条)と建築基準法の接道義務は、まったく別です。通れても建てられません。
- 私道の固定資産税は非課税になりえますが、申告制です。相続した実家で課税されたままのことがあります。
- 登記事項証明書600円・公図500円・地積測量図500円。所有者でなくても取れます。
- 建築計画概要書は、建物が滅失・除却されるまで閲覧に供されます。建てたときの接道が分かります。
- 道路種別は電話で教えてもらえない自治体がほとんどです。窓口で正式な判定を。申請は誰でもできます。
- 調べるのにかかる実費は数千円です。調べずに売りに出すと、買主が調べた時点で話が止まります。
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