【PR】本ページはプロモーションを含みます。条文はすべて e-Gov法令検索で全文を開いて確認したものです(2026年8月17日確認)。孫引きはしていません。
最終更新:2026年8月19日
結論だけ先に
相続に、地主の承諾は要りません。承諾が必要なのは「譲渡」と「転貸」であって、相続はどちらでもないからです。名義書換料を請求されても、法律上の根拠はありません。
売るときは承諾が要ります。ただし、断られても道は残っています。借地借家法19条が、裁判所が地主の承諾に代わる許可を与えられると定めています。建替えや増改築も同じ形です(17条2項)。「地主が首を縦に振らないから何もできない」は、正確ではありません。
そして、借地権は財産です。相続税では、更地としての価額に借地権割合を掛けて評価されます。「土地は借り物だから価値ゼロ」ではありません。
根拠と条文は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。
まず、何を相続したのかを正確につかむ
借地の実家を相続したとき、あなたが受け継いだものは2つです。
| 受け継いだもの | どこで確認するか | |
|---|---|---|
| 1 | 建物の所有権 | 法務局で建物の登記事項証明書を取る |
| 2 | 借地権(土地を使う権利) | 土地の賃貸借契約書。登記されていないことのほうが多い |
借地借家法2条1号は、借地権をこう定義しています。
借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。
出典:借地借家法第2条第1号(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
「建物の所有を目的とする」がポイントです。駐車場として借りている土地は、この法律の借地権ではありません。実家が建っているなら、借地権です。
借地権は、登記がなくても守られます
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
出典:借地借家法第10条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
だから、建物の登記がいちばん重要です。土地が第三者に売られても、建物が自分名義で登記されていれば、新しい地主にも借地権を主張できます。
逆に、建物の登記が親のままだと危ういのです。相続登記は3年以内が義務になりました(相続登記の義務化)。借地では、義務だからという以上の理由があります。
そしてもう1つ、10条2項に例外があります。建物が滅失しても、必要な事項を土地の上の見やすい場所に掲示すれば、対抗力が続くという規定です。実家を解体するなら、この掲示を先にしてください。(ただし期間の制限があります。解体前に必ず専門家に確認してください。)
相続に、地主の承諾は要りません
ここがいちばん誤解されているところです。
賃借権の譲渡・転貸に地主の承諾が必要なのは、民法612条1項がこう定めているからです。
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
出典:民法第612条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
条文が挙げているのは「譲渡」と「転貸」だけです。相続は、どちらでもありません。相続は、亡くなった人の権利義務がそのまま相続人に移ることであって、当事者の意思で権利を移す「譲渡」とは別のものです。
だから、地主に「承諾料」「名義書換料」を求められても、法令上の支払義務はありません。
これは調べた結果としても言えます。e-Gov法令検索で全法令を横断してキーワード検索すると、「承諾料」を含む法令は0件、「名義書換料」も0件でした。「更新料」を含む法令は3件だけで、所得税法施行令・法人税法施行令・公認会計士法施行規則——いずれも税務や会計の取扱いを定めたもので、支払義務を作る規定ではありません。借地借家法にも民法にも「更新料」という語は登場しません。
ただし、契約書に特約があるときは話が別です。賃貸借契約書に「相続や名義変更のときは名義書換料を支払う」と書かれていることがあります。この特約が有効かどうかについては、条文からは何も言えません。借地借家法9条・16条は「この節の規定に反する特約で借地権者に不利なもの」を無効としますが、名義書換料の特約がこれに当たるとは条文上直ちには言えないからです。交渉を始める前に、まず契約書を探してください。
| 場面 | 地主の承諾 | 根拠 |
|---|---|---|
| 相続する | 不要 | 譲渡でも転貸でもない |
| 第三者に売る(借地権の譲渡) | 必要 | 民法612条1項 |
| 建物を人に貸す | 不要(借地権の転貸ではない) | 貸すのは建物であって土地ではない |
| 借地を人に又貸しする | 必要 | 民法612条1項 |
ただし、やっておくことが2つあります
| やること | なぜ | |
|---|---|---|
| 1 | 地主に相続したことを通知する(承諾を求めるのではなく、報告) | 地代の振込先や名義が変わります。連絡がないまま地代が止まると、賃料不払いを理由に解除を主張される余地を作ります |
| 2 | 建物の相続登記をする | 10条1項の対抗力は「登記されている建物を所有するとき」に働きます |
「承諾は要らない」ことと「黙っていていい」ことは別です。通知は、法律上の義務というより、揉めないための手当てです。
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借地権つきの家は、買う側が「地主の承諾を取れるか」を読めないので、一般の買主にはまず売れません。ここは借地権を専門に扱う不動産会社の窓口で、無料相談から現地調査・査定・売買契約・地主との代理交渉までを一括で対応すると案内しています。借地非訟にも対応するとしています。
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その前に、契約が定期借地権かどうかを確かめてください。定期借地権だと、この記事で書いた出口そのものが変わります。1都3県以外の実家なら、この記事の後半で紹介しているラクウル(全国対応)のほうが対応できる範囲が広いです。
売るときは承諾が要る。ただし、断られても道があります
借地権付きの建物を売るには、地主の承諾が必要です。そして実務では、承諾料(名義書換料)を求められます。その相場に公的な統計はないので、当サイトは金額を書きません。
問題は、地主が承諾しない場合です。ここに条文があります。
借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
出典:借地借家法第19条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
裁判所が、地主の承諾の代わりをしてくれる制度です。同条2項は、判断にあたって賃借権の残存期間・借地に関する従前の経過・譲渡を必要とする事情その他一切の事情を考慮しなければならない、としています。
ただし、地主には「自分が買う」と言う権利があります
19条3項です。あなたが申し立てたあと、裁判所が定める期間内に、地主が「自分が建物と借地権を買い取る」と申し立てることができます。その場合、裁判所は相当の対価を定めて、それを命じることができます。
つまり、19条を使うと「第三者に売る」か「地主に売る」かのどちらかに進みます。どちらでも、塩漬けよりは前に進みます。
そして6項は、裁判所は特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴かなければならないとしています。価格は、当事者の言い値ではなく、鑑定を通ります。
建替え・増改築も、同じ構造です
契約書に「増改築禁止」「木造に限る」といった条件が入っていることがあります。これも、地主が首を縦に振らなければ裁判所に持ち込めます。
増改築を制限する旨の借地条件がある場合において、土地の通常の利用上相当とすべき増改築につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、その増改築についての借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。
出典:借地借家法第17条第2項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
同条1項は、建物の種類・構造・規模・用途を制限する借地条件についても、事情の変更があれば裁判所が変更できると定めています。「木造2階建てまで」という古い条件が、いまの建築基準に合わないような場合です。
3項は、裁判所が財産上の給付を命じることができるとしています。タダで通るわけではありません。裁判所が決めた額を払う形になります。
建替えそのものの費用は実家を建て替えるに、解体してから考える場合は実家の解体費用にまとめています。
更新できなければ、建物を買い取れと言えます
更地にして返さなければならない、と思い込んでいる人がいます。条文は違います。
借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
出典:借地借家法第13条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
これが建物買取請求権です。更新されないなら、建物を時価で買い取れと請求できます。解体費を自分で払って更地にする必要は、原則としてありません。
そもそも、更新はかなり強く守られています
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 3条 | 借地権の存続期間は30年(契約でこれより長く定めたときはその期間) |
| 4条 | 更新後の期間は10年。ただし最初の更新は20年 |
| 5条1項 | 存続期間が満了し、借地権者が更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前と同一の条件で更新したものとみなす(地主が遅滞なく異議を述べたときを除く) |
| 5条2項 | 期間満了後も土地の使用を継続するときも、建物があれば同じ |
| 6条 | 地主の異議は、双方が土地の使用を必要とする事情のほか、従前の経過・利用状況・立退料の申出などを考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ述べられない |
出典:借地借家法第3条・第4条・第5条・第6条(いずれもe-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
「建物がある場合に限り」が2回出てきます。更新の力は、建物があることに支えられています。だから、更新の話が済む前に実家を解体してはいけません。解体は、いちばん最後です。
ただし、契約が「定期借地権」なら、ここまでの話は当てはまりません
ここまでの「更新できる」「建物を買い取れと言える」は、ふつうの借地権(普通借地権)の話です。借地借家法には、それとは別に更新のない借地権が用意されています。実家の契約がそれに当たる場合、期間が来たら本当に終わります。ここだけは、先に確かめてください。
| 条文 | 種類 | どうなるか |
|---|---|---|
| 22条 | 定期借地権(存続期間50年以上) | 契約の更新がなく、建物の築造による存続期間の延長もなく、13条の買取請求もしないと定められる。この特約は「公正証書による等書面によって」しなければならない(電磁的記録も可) |
| 23条1項 | 事業用定期借地権(30年以上50年未満・専ら事業用。居住用は除く) | 22条と同じ内容を定められる |
| 23条2項 | 事業用(10年以上30年未満) | 3条から8条まで・13条・18条がそもそも適用されない |
| 23条3項 | 上の2つに共通 | 契約は公正証書によってしなければならない |
| 24条1項 | 建物譲渡特約付借地権 | 設定後30年以上を経過した日に、建物を地主へ相当の対価で譲渡すると定められる。その譲渡で借地権が消滅する |
| 24条2項 | 同上 | 消滅後も建物を使い続けている人が請求すれば、期間の定めのない建物賃貸借がされたものとみなす。家賃は当事者の請求により裁判所が定める |
| 25条 | 一時使用目的の借地権 | 3条から8条まで・13条・17条・18条・22条から24条までが適用されない |
出典:借地借家法第22条・第23条・第24条・第25条(いずれもe-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
24条2項は、覚えておく価値があります。建物を地主に渡すことになっても、そこに住み続けたいなら、借家人として残る道が条文に用意されています。家賃で折り合わなければ裁判所が決めます。
実家の契約がどちらなのか、契約書で見分ける
定期借地権は、書面がなければ成立しません。22条は「公正証書による等書面によってしなければならない」、23条3項は「公正証書によってしなければならない」と定めています。口約束や、更新を重ねてきただけの古い借地に、定期借地権はありません。
契約書を開いて、この3つを見てください。
- 公正証書か。公証人の署名と役場名が入っていれば、その可能性があります
- 「契約の更新をしない」「建物の買取請求をしない」の2つが書いてあるか。揃っていれば22条か23条です
- 存続期間が何年か。50年以上なら22条、30年と書いてあるだけなら普通借地権の可能性が高い(3条の期間そのものです)
親が何十年も住んできた借地なら、まず普通借地権です。定期借地権は借地借家法とともに生まれた仕組みなので、それ以前に結ばれた契約には存在しません。次の章で見る「旧法か新法か」とは別の話なので、混ぜないでください。
もうひとつ、13条が使えなくなる場面
13条1項は「存続期間が満了した場合において、契約の更新がないとき」と書いています。地代を滞納して契約を解除された場合は、期間の満了ではありません。条文が想定する場面に当たらないので、建物買取請求はその前提を欠きます。地代の支払いを止めることだけは、絶対に避けてください。誰が払うかで兄弟がもめている間も、地代は払い続ける。名義がまだ親のままでも、地主の口座に振り込み続けてください。
ただし、いつ借りたかでルールが変わります
借地借家法は、旧・借地法(大正10年法律第49号)を廃止してできた法律です(附則2条2号)。そして、それ以前に設定された借地権には、古いルールが残っています。
| 附則 | 内容 |
|---|---|
| 4条 | この法律の規定は、附則に特別の定めがある場合を除き、施行前に生じた事項にも適用する。ただし旧法により生じた効力を妨げない |
| 5条 | 施行前に設定された借地権について、建物の朽廃による消滅に関しては、なお従前の例による |
| 6条 | 施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による |
| 7条 | 施行前に設定された借地権について、建物の滅失後の再築による期間の延長に関しては、なお従前の例による |
| 11条 | 18条(更新後の再築の許可の裁判)は、施行前に設定された借地権には適用しない |
出典:借地借家法 附則第4条〜第7条・第11条(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
いちばん効くのは6条です。更新のルールが、旧法のまま残ります。実家の借地は、親や祖父母の代に設定されていることが多い。つまり、この記事に書いた3条・4条の年数が、そのまま当てはまらない可能性があります。
ここは正直に書きます。分かれ目の日(施行日)を、当サイトは条文から確認できませんでした。附則1条は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」としか書いておらず、その政令を確認していないからです。
やることは1つです。土地の賃貸借契約書を探して、最初に設定された日を確認してください。その日付を持って、弁護士か司法書士に「旧法か新法か」を聞けば、10分で分かります。年数の話は、それが分かってからです。
借地権は、相続税では財産として評価されます
「土地は借り物だから、うちに土地の財産はない」——これは誤りです。
借地権の価額は、借地権の目的となっている宅地の自用地としての価額に借地権割合を乗じて求めます。
この借地権割合は、借地事情が似ている地域ごとに定められており、路線価図や評価倍率表に表示されています。
出典:国税庁 タックスアンサー No.4611「借地権の評価」(2026年8月17日確認)
借地権割合は、路線価図に A から G の記号で書かれています。路線価図は国税庁のサイトで誰でも見られます。更地としての評価額に、その割合を掛けたものが、借地権の評価額です。
つまり、相続税の申告では借地権が財産に含まれます。逆に言えば、売るときにも、それだけの価値があるということです。
ただし、ここに大きな例外があります。親の土地に子が家を建てていて地代を払っていない、あるいは固定資産税・都市計画税の相当額以下しか払っていない場合は使用貸借にあたり、借地権の価額はゼロとして取り扱われます。
……当該土地の使用貸借に係る使用権の価額は、零として取り扱う。
この場合において、使用貸借とは、民法第593条に規定する契約をいう。したがって、例えば、土地の借受者と所有者との間に当該借受けに係る土地の公租公課に相当する金額以下の金額の授受があるにすぎないものはこれに該当し、当該土地の借受けについて地代の授受がないものであっても権利金その他地代に代わるべき経済的利益の授受のあるものはこれに該当しない。
出典:国税庁 昭和48年11月1日 直資2-189「使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて」第1項(2026年8月25日確認)
この場合、その土地は貸宅地ではなく「自用地としての価額」で相続財産に載ります(同 第3項)。借地権割合ぶんの減額がありません。建てたときに贈与税がかからない代わりに、相続のときは満額で載る、という構造です。計算のしかたと、小規模宅地等の特例で330㎡まで80%減らせる場面は借地権の相続税評価にまとめました。
ただし国税庁は、一時使用目的の借地権については通常の借地権割合を使うのは適当ではないとしています。また定期借地権等は別の評価になります。当サイトは、定期借地権の評価方法までは確認していません。
売却したときの税金は譲渡所得税、取得費が分からない場合は取得費が分からないときにまとめています。
出口は4つあります
| 出口 | 向いている場合 | 注意 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 地主に買ってもらう | 地主がその土地を自分で使いたい場合。話が早い | 相手にとっては借地権が消えて完全な所有権に戻るので、価値が上がります。安く買い叩かれる理由はありません |
| 2 | 地主から底地を買う | 資金があり、完全な所有権にしたい場合 | 買えれば、普通の土地として売れるようになります。ただし地主が売るとは限りません |
| 3 | 第三者に売る | 1と2が動かないとき | 地主の承諾が要ります。断られたら19条の裁判。時間はかかりますが、道は閉じていません |
| 4 | 訳あり物件を専門に買い取る会社に売る | 急ぐとき/権利関係が複雑なとき | 安くなります。ただし借地権のまま買い取れる先は限られます |
1と2を先に当たってください。地主との交渉は、当事者どうしのほうが早いことが多いからです。そして必ず、地代の支払いを止めないでください。交渉がこじれても、地代の不払いは解除の理由になり得ます。ここだけは切り離してください。
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借地権のまま、いくらで買われるのかを知っておく
地主との交渉に入る前に、借地権のままだといくらなのかを知っておくと、話の基準ができます。ラクウル(株式会社ネクサスプロパティマネジメント/国土交通大臣(1)第10311号)は、借地権・底地・共有持分・再建築不可といった物件を日本全国で買い取っている会社です。自社で買い取るため仲介手数料はかかりません。WEBのフォームから査定を申し込めます。
①申し込むと、担当者から連絡が入り、物件の状況を聞かれます。知らない番号でも出てください。間取り・築年数・現況を答えられるようにしておくと、話が早く終わります。売却を考えていない相談は対象外なので、迷っている段階なら「まだ決めていませんが、金額を知りたい」と伝えてください。②第三者に売るには地主の承諾が要ります。査定額が出ても、そこから承諾の交渉、断られれば19条の裁判という段取りが残ります。すぐ現金になる話ではありません。③地主に買ってもらうほうが高くなることがあります。本文の出口1と2を先に当たってください。④当サイトはこの会社の査定額や対応を確認していません。1社の金額を鵜呑みにしないでください。⑤このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによってあなたの査定額が下がることはありません。
査定を頼む前に、土地の賃貸借契約書を探してください。最初に設定された日・存続期間・増改築や譲渡に関する条件——この3つが分からないと、いくらで売れるかの前提が決まりません。見つからない場合の探し方は取得費が分からないときに書いた手順が使えます。
売ったときの税金:借地でも、空き家の3,000万円控除は条文上の対象です
借地権を売ると譲渡所得の話になります。「土地は借り物だから特例は関係ない」と思われがちですが、条文はそう書いていません。
相続した空き家を売るときの大きな特例が、いわゆる空き家の3,000万円特別控除(租税特別措置法35条3項)です。この特例の対象になる「被相続人居住用家屋の敷地等」は、条文でこう定義されています。
被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地として政令で定めるもの又は当該土地の上に存する権利をいう。
出典:租税特別措置法35条第5項(e-Gov法令検索で本文を確認/2026年8月19日)
「土地の上に存する権利」——借地権はここに当たります。建物を取り壊してから売る場合も、35条3項2号が譲渡の目的物を「被相続人居住用家屋の敷地等」と書いているので、条文の構造としては読み込めます。
細かいことを1つ。この定義は現行条文では第5項です。令和6年の改正で「相続人が3人以上のときは2,000万円」という読替規定が4項に入り、定義の項が繰り下がりました。「35条4項が敷地等を定義している」と書いてある解説は、改正前の条番号です。
ただし、ここは正直に書きます。国税庁が「借地権もこの特例の対象になる」と名指しした記述は、見つけられませんでした。タックスアンサーNo.3306の本文にも「借地権」の語は出てきません。条文が「土地の上に存する権利」という抽象的な文言にとどまっているためです。申告の前に、必ず税務署か税理士に確認してください。
期限は3年。そして、取得費加算とは併用できません
譲渡の期限は条文にそのまま書かれています。
当該相続の開始があつた日から同日以後三年を経過する日の属する年の十二月三十一日までの間にしたもの
そして同じ括弧書きの中に、読み落とすと損をする一文があります。
第三十九条の規定の適用を受けるもの及びその譲渡の対価の額が一億円を超えるものを除く
39条は取得費加算の特例です。取得費加算を使った譲渡は、そもそも空き家特例の「対象譲渡」から外れます。つまり併用できません。どちらか一方を選ぶことになります。これは条文に書かれていることで、国税庁のタックスアンサー側には併用可否の記載を確認できませんでした。
地主に払ったお金は、取得費ではなく譲渡費用です
ここは間違えやすいところです。
売るときに地主へ払う名義書換料(譲渡承諾料)は、取得費ではなく「譲渡費用」に入ります。国税庁のタックスアンサーNo.3255が、譲渡費用の例として「借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など」を挙げています。
更新料については、所得税法施行令182条に「借地権等の更新料を支払つた場合の必要経費算入」という見出しの規定があります。ただし自宅の借地(業務用ではない場合)に更新料が全額そのまま取得費として残るのかどうかを、平易に説明した国税庁のページは見つけられませんでした。
地代はどうか。No.3255は譲渡費用にならないものとして「修繕費や固定資産税などその資産の維持や管理のためにかかった費用」を挙げていますが、「地代」という語は列挙されていません。取得費の側(No.3252)にも記載がありません。地代の扱いを直接述べた国税庁の記述は、確認できませんでした。
取得費が分からないときの5%も、借地権に及びます
取得費が分からないときに使う概算取得費5%(措置法31条の4)は、対象を「土地等又は建物等」としています。そして31条1項の定義は「土地若しくは土地の上に存する権利」です。借地権はこの「土地等」に含まれます。タックスアンサーNo.3105も、分離課税の対象を「土地(借地権等の土地の上に存する権利を含みます。)および建物等」と説明しています。
ただし「借地権にも5%が使える」と国税庁が名指しした記述は確認できませんでした。上は条文の定義をたどった結果です。詳しくは相続した実家の取得費が分からないにまとめています。
なお、相続税の側では小規模宅地等の特例(措置法69条の4)も、条文の定義が「宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいう)」となっているので、借地権が対象になり得ます。特定居住用宅地等としての要件を満たすかどうかは別の話です。
よくある質問
Q. 空き家の3,000万円特別控除は、借地でも使えますか。
A. 条文の「敷地等」の定義に「土地の上に存する権利」という文言があるので、借地権も対象に読めます(租税特別措置法35条5項)。ただし国税庁が借地権を名指しした記述は見つけられませんでした。また取得費加算の特例(39条)とは併用できません。条文が明文で除外しています。詳しくは空き家の3,000万円特別控除を読んでください。
Q. 売るときに地主へ払った承諾料は、税金の計算でどう扱いますか。
A. 取得費ではなく「譲渡費用」です。国税庁のタックスアンサーNo.3255が、譲渡費用の例として「借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など」を挙げています。取得費に入れて計算すると税額を間違えます。
Q. 地主から「相続したなら名義書換料を払え」と言われました。
A. 払う法律上の義務はありません。民法612条1項が承諾を求めているのは「譲渡」と「転貸」で、相続はどちらでもありません。
ただし、その場で「払いません」と言い切るのは得策ではありません。このあと何十年も付き合う相手です。「相続なので承諾は不要と聞いています。書面で根拠を示していただけますか」と、確認の形で返してください。
金額の話になる前に、弁護士か司法書士に一度相談してください。払ったあとで取り戻すのは、払わないより難しくなります。
Q. 地代を値上げすると言われました。応じないといけませんか。
A. 当サイトは、地代の増減額請求の条文まで確認していないので、断定しません。ただし、一方的に決められるものではないことは確かです。
やってはいけないのは、納得できないからと支払いを止めることです。地代の不払いは、契約解除の理由になり得ます。争うなら、従来額を払い続けながら争ってください。受け取りを拒否された場合の手続き(供託)もあります。弁護士に確認してください。
Q. 建物が古すぎて、住むことも貸すこともできません。
A. それでも、解体は最後にしてください。更新の力(5条)も、建物買取請求権(13条)も、建物があることが前提だからです。
順番はこうです。
| やること | |
|---|---|
| 1 | 契約書を探して、設定日・期間・条件を確認する |
| 2 | 地主に、売る意思・買う意思があるか当たる(出口1と2) |
| 3 | 借地権付き建物として売れるか、業者に聞く |
| 4 | それでも動かないときに、解体を検討する |
解体すると、10条1項の対抗力の前提(登記された建物)も失われます。10条2項の掲示という手当てはありますが、期間の制限があります。解体前に、必ず専門家に確認してください。
Q. 地主が「更新しない」と言っています。
A. 地主の異議には「正当の事由」が必要です(6条)。条文は、双方が土地の使用を必要とする事情のほか、借地に関する従前の経過・土地の利用状況・立退料の申出などを考慮する、としています。
「更新しないと言われた」だけでは、更新されないことになりません。そして仮に更新されないとしても、13条の建物買取請求権が残ります。更地にして返す話ではありません。
ただし、旧法のもとで設定された借地権では更新のルールが違います(附則6条)。契約書の日付を持って、弁護士に確認してください。
Q. 契約書に「更新はしない」「建物の買取請求はしない」と書いてあります。有効ですか。
A. 定期借地権の要件を満たしていれば有効、満たしていなければ無効です。この2つは、書いてあるだけでは効きません。
借地借家法には、借地権者を守る強行規定が2つあります。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 9条 | この節の規定(3条から8条=存続期間と更新)に反する特約で借地権者に不利なものは、無効とする |
| 16条 | 10条(対抗力)・13条(建物買取請求権)・14条の規定に反する特約で借地権者または転借地権者に不利なものは、無効とする |
ふつうの借地権では、「更新しない」は9条で、「買取請求しない」は16条で、それぞれ無効になります。
その例外が22条と23条です。22条は「第九条及び第十六条の規定にかかわらず」と、この2つの強行規定を外すことを明記したうえで、存続期間50年以上と公正証書による等の書面という条件を付けています。23条も同じ形で、契約は公正証書によらなければなりません(23条3項)。
だから、見るところは3つです。存続期間が何年か。書面の形式が条文どおりか。契約がいつ結ばれたか。どれかが欠ければ、その特約は効きません。契約書を持って、弁護士か司法書士に確認してください。
出典:借地借家法第9条・第16条・第22条・第23条(いずれもe-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)
Q. 借地権を売るのと、地主に買ってもらうのと、どちらが高いですか。
A. 公的な統計はありません。当サイトは金額の比較を書けません。
ただし構造として言えることがあります。地主にとっては、借地権が消えると完全な所有権に戻ります。底地のままより価値が上がるので、第三者より高く買う理由がある立場です。
「地主だから安く売る」必要はありません。先に第三者の査定を取っておくと、話の基準ができます。
Q. 地主が承諾してくれません。裁判は大変ですか。
A. 当サイトは、19条の申立ての費用・期間・実際の認容率を確認していないので、書きません。
条文から言えることだけ書きます。裁判所は、特に必要がないと認める場合を除き、鑑定委員会の意見を聴かなければならないとされています(19条6項)。価格は当事者の言い値では決まりません。
そして地主側が「自分が買う」と申し立てる道が用意されています(19条3項)。申し立てた結果、第三者ではなく地主に売ることになる可能性がある——これは知っておいてください。
Q. 借地の実家を、人に貸すことはできますか。
A. 建物を貸すだけなら、地主の承諾は要りません。民法612条が承諾を求めているのは賃借権(土地を借りる権利)の譲渡・転貸であって、建物を貸すことは土地の転貸ではないからです。
ただし、契約書に特約がある場合は別です。「建物を第三者に賃貸するときは書面による承諾を要する」といった条項が入っていないか、契約書を必ず読んでください。
貸すか売るか持ち続けるかの損益分岐は3つの選択肢にまとめています。
Q. 兄弟の共有になっている借地の実家です。
A. 共有のルールと借地のルールが、両方かかります。
売るには共有者全員の同意(民法251条)と地主の承諾(民法612条)の両方が必要です。一方で、貸すだけなら共有者の持分の過半数で決められます。共有の側の整理は実家が兄弟の共有になっているに書きました。
共有+借地は、いちばん動かなくなる組み合わせです。相続開始から10年という別の期限(民法904条の3)もかかってきます。早めに手をつけるほど、選択肢が残ります。
Q. 固定資産税はかかりますか。
A. 土地の固定資産税は、地主が払います。所有者に課される税だからです。建物の固定資産税は、あなたが払います。
ただし地代には、地主が負担する固定資産税が織り込まれているのが通常です。実質的には払っている、と考えるほうが実態に近い。
建物を解体すると、建物の固定資産税は無くなります。ただし前のとおり、解体は最後です。解体と固定資産税の関係は解体すると固定資産税はどうなるかにあります。
Q. 何から手を付ければいいですか。
A. この順番です。上に行くほど、お金がかからず、取り返しがつきます。
| やること | 費用 | |
|---|---|---|
| 1 | 土地の賃貸借契約書を探す。設定日・存続期間・増改築や譲渡の条件 | 無料 |
| 2 | 建物の登記事項証明書を取る。名義が親のままなら相続登記へ | 数百円 |
| 3 | 地主に相続を通知する(承諾を求めるのではなく報告) | 無料 |
| 4 | 路線価図で借地権割合を確認する | 無料 |
| 5 | 地主に売る意思・買う意思があるか当たる | 無料 |
| 6 | 借地権付き建物として、第三者向けの査定を取る | 無料 |
| 7 | 承諾が得られないなら、19条の申立てを弁護士に相談 | 相談料 |
| 8 | 解体 | ここだけは戻れません |
1が全部の前提です。契約書が無いと、旧法か新法かも、条件があるかどうかも分かりません。探すのは、いちばん最初です。全体の流れは実家じまい完全ガイドにあります。
この記事で確認できなかったこと
正直に書いておきます。
- 空き家の3,000万円特別控除を借地権に当てはめた国税庁の質疑応答事例。国税庁の質疑応答事例のページは文字コードの問題で本文を読み取れませんでした。存在しないと断定はできません。該当しそうな事例のタイトルは確認できています
- 借地権の設定時に払った権利金が取得費になることを明示した国税庁のページ。タックスアンサーNo.3252(取得費となるもの)の列挙に、借地権に関する記載はありません
- 地代が譲渡所得の計算でどう扱われるか。取得費(No.3252)にも譲渡費用(No.3255)にも「地代」の語がなく、明示の記載を確認できませんでした
- 借地の更新料に関する最高裁判例。裁判所のサイトで確認できた更新料の判決は建物賃貸借(借家)の事案で、借地にそのまま当てはまるとは判決文からは言えません。しかもそのPDFに言渡日の記載がなく、事件番号と裁判年月日を特定できませんでした
- 借地借家法の施行日。附則1条は「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」としか書いておらず、その政令を確認していません。旧法か新法かの分かれ目の日は、専門家に確認してください
- 旧・借地法の存続期間や更新の具体的なルール。廃止された法律なので、条文を確認していません
- 承諾料(名義書換料)・建替承諾料の相場。公的な統計はありません
- 地代の増減額請求に関する条文(借地借家法11条)。今回は確認していません
- 19条の申立ての費用・期間・認容率。統計を見つけられませんでした
- 定期借地権等の相続税評価。通常の借地権割合とは別の方法になります
- 10条2項の掲示による対抗力が、いつまで続くか
この記事は条文と国税庁の公表資料を読んで整理したものです。借地は、契約書に何が書いてあるかで結論が変わります。金額が動く判断をする前に、必ず弁護士・司法書士・税理士に確認してください。
まとめ
- 相続に地主の承諾は要らない。民法612条が求めているのは譲渡と転貸だけ
- ただし相続の通知と、建物の相続登記はする。対抗力は「登記された建物」に支えられている(10条1項)
- 売るには承諾が要るが、断られても19条の裁判がある。地主が「自分が買う」と言う道もある(19条3項)
- 増改築の制限も、17条2項で裁判所に持ち込める
- 更新は強く守られている。地主の異議には正当の事由が要る(6条)
- 更新されなくても、建物を時価で買い取れと言える(13条)。更地にして返す話ではない。ただし定期借地権(22条・23条)なら、更新も買取請求も外されている
- 旧法のもとで設定された借地権は、更新のルールが違う(附則6条)。まず契約書の日付
- 借地権は相続税で財産として評価される。路線価図の借地権割合を掛ける
- 地代だけは、何があっても払い続ける。滞納による解除は「期間の満了」ではないので、13条の買取請求も前提を失う
- 解体は、いちばん最後
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