空き家バンクは売れるのか|調べて分かった「補助金の入口」という使い道

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本ページには広告(PR)を含みます。条文は空家等対策の推進に関する特別措置法をe-Gov法令検索で全文開いて確認し、統計は国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」(令和8年7月末時点)と総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」の公表資料に当たりました。自治体の制度は当サイトが独自に調査した501自治体のデータベースから集計しています(2026年8月17日確認)。孫引きはしていません。

最終更新:2026年8月17日

結論だけ先に

空き家バンクは、法律にない制度です。空家等対策の推進に関する特別措置法を全文検索しても、「バンク」という語は一度も出てきません。市町村が自主的にやっている取り組みなので、あるかないかも、登録できるかも、載せて売れるかも、自治体ごとに全部違います。

そして、思っているほど売れていません。国が運営する全国版バンクの成約は、本格運用から約8年で累計およそ26,000件。一方、放置されている空き家(その他の住宅)は385万6千戸あります。

ただし、売る場所として見るから期待外れになるのだと思います。この記事の後半で、当サイトが501自治体の解体補助金を1件ずつ調べて分かったことを出します。空き家バンクは「売る場所」ではなく「補助金の入口」として機能している自治体があります。

★ 空家法に「バンク」という言葉はありません

空き家の解説記事は、たいてい「空家等対策特別措置法に基づく空き家バンク」と書きます。これは正確ではありません。e-Gov法令検索で空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)の全文を開いて「バンク」で検索すると、ヒットは0件です。

法律が定義しているのは、まず「空家等」そのものです。

この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法第2条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

バンクに一番近い条文は、第11条です。

市町村は、空家等…に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

出典:同法第11条

「データベース」であって「バンク」ではありません。しかも第11条のデータベースは、行政が空き家の場所と状態を把握するためのものです。売買情報を公開して買い手を探す仕組みのことではありません。さらに条文には、不動産業者が販売・賃貸のために所有・管理している物件は除くという括弧書きが入っています。

所有者に向けた支援を定めているのは第12条です。

市町村は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。

出典:同法第12条

空き家バンクは、この「情報の提供、助言その他必要な援助」の枠でやられている、市町村の自主事業です。努力義務ですから、やらなくても違法ではありません。だから隣の市にはあってこちらの市にはない、登録できる築年数が違う、掲載の期限が違う——といったことが平気で起こります。

ここを間違えると全部ずれます

「国の制度だから全国どこでも同じルール」ではありません。全国版空き家・空き地バンクという国交省の横断検索サイトは存在しますが、それは各自治体のバンクの情報を集めて表示しているサイトであって、登録の可否も条件も、決めているのは市町村です。まず、あなたの実家がある市町村にバンクがあるかどうかから調べてください。

数字で見ると、どのくらいの規模なのか

国土交通省が公表している全国版空き家・空き地バンクの実績です。

項目 数値
参加自治体数 1,148自治体
実際に物件を掲載している自治体 744自治体
現在掲載されている物件数 19,626戸(2社合計・重複あり)
成約済み物件(累計) 約26,000件
運営 株式会社LIFULL/アットホーム株式会社の2社
試行運用の開始 平成29年10月
本格運用の開始 平成30年4月

出典:国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」(令和8年7月末時点)

比べる相手が要ります。総務省統計局の住宅・土地統計調査です。

区分 2023年(令和5年) 2018年からの増減
空き家 総数 900万2千戸(空き家率13.8%) +51万3千戸
賃貸用の空き家 443万6千戸 —
売却用の空き家 32万6千戸 —
二次的住宅(別荘等) 38万4千戸 —
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家
(いわゆる放置空き家)
385万6千戸 +36万9千戸

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果」

実家じまいで問題になるのは、一番下の385万6千戸です。賃貸に出しているわけでも、売りに出しているわけでも、別荘でもない。ただ誰も住んでいない家。親が亡くなった実家、施設に入ったあとの実家は、ここに入ります。

★★ 放置空き家の99.5%は、そもそも載っていません

「載せても売れないのでは」と考える前に、確かめておくべき数字があります。国交省の資料によれば、全国版バンクに現在掲載されている物件は19,626戸です(2社合計・重複あり・各月末日時点の掲載中件数)。

戸数 放置空き家に対する割合
放置空き家(その他の住宅) 3,856,000戸 100%
全国版バンクに今、載っている物件 19,626戸 約0.5%
載っていない 約3,836,000戸 約99.5%

出典:国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」参加自治体数・物件掲載件数推移/総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」。割合は当サイトによる計算です。

載っているのは200戸に1戸 19,626 戸 / 全国385万6千戸 載っている 19,626戸(0.5%) 載っていない 約3,836,000戸

200戸に1戸しか載っていません。空き家バンクは「売れない場所」だと言われがちですが、その前に「誰も使っていない仕組み」だというのが実態に近いです。

なぜ載せないのか。理由は分けて考えられます。①自治体にバンクがない(掲載している自治体は744/1,741です)/②所有者が制度を知らない/③登録の手間に見合わないと判断している/④そもそも売る決断ができていない(国交省の調査では「将来、自分や親族が使うかもしれない」が33.8%)。

競合の少なさは、使う側から見れば有利です

0.5%という数字は、裏から読むこともできます。掲載件数が19,626戸ということは、ひとつの自治体あたり平均26戸ほどしか載っていない計算になります(19,626 ÷ 744自治体)。ページに並ぶ物件が数十件しかない、ということです。

移住や二拠点生活を考えている人が「この町の空き家」を探すとき、候補がそれだけしかないなら、載っていること自体の露出は小さくありません。数万件が並ぶ大手ポータルの中で埋もれるのとは、見え方が違います。

ただしそれは「探しに来る人がいれば」の話です。成約が年3,100件程度にとどまっているのは、物件が少ないのと同じくらい、探しに来る人も少ないということでもあります。

★ 8年かけて26,000件。放置空き家148戸に1件です

この2つを並べると、規模感がはっきりします。

数
放置空き家(その他の住宅) 3,856,000戸
全国版バンクの累計成約(約8年4か月分) 約26,000件
比率 約148戸に1件
1年あたりに直すと 約3,100件/年(放置空き家の約0.08%)

※当サイトによる計算です。3,856,000 ÷ 26,000 ≒ 148。本格運用開始(平成30年4月)から令和8年7月末までを約8年4か月として年換算しました。

正直に注記します。この約26,000件は全国版を通じた成約の累計です。自治体が独自サイトだけで運用していて全国版に載せていないケースや、バンクをきっかけに直接取引になった分は、この数字に入っていない可能性があります。だから実際の成約はもう少し多いはずです。それでも、385万戸に対する桁が変わるほどではありません。

この数字の読み方

「空き家バンクに載せれば売れる」という前提は、いったん外してください。そのうえで、載せること自体には別の意味があります。後半で出す自治体の補助金要件が、その理由です。

逆に、売ることが目的で、実家がまだ普通に住める状態なら、仲介や買取のほうが早いです。バンクは「不動産会社が扱ってくれない物件の受け皿」として設計されている面が強く、市場で売れる家をわざわざ載せる理由は薄いと考えたほうが現実に合います。

参加自治体の3分の1は、物件を1件も載せていません

もう一度、国交省の数字を見てください。

自治体数 全1,741市区町村に対する割合
全国版バンクへの参加 1,148 約66%
実際に物件を掲載 744 約43%
参加表明はしたが掲載なし 404 約23%

出典:国土交通省(令和8年7月末時点)/市区町村数は総務省資料の1,718市町村+東京23特別区=1,741を分母としました(2017年4月1日時点の市町村数)。割合は当サイトによる計算です。

参加しても、載せているのは4割 全市区町村 1,741自治体 バンクに参加 1,148自治体 実際に掲載 744自治体 参加した1,148のうち404は、物件が1件もありません

参加表明した1,148自治体のうち404、つまり3分の1以上が、物件を1件も載せていません。ページはあるが中身が空、という状態です。

これは怠慢というより、構造的な話だと思います。バンクに載せるには、所有者が自分で申し込み、自治体が現地や書類を確認し、多くの場合は宅建業者につなぐ手順が要ります。職員が数人で兼務している部署に、その手数をかける余力があるかどうか。空き家対策の担当課は、特定空家の指導や苦情対応で手一杯になっていることが珍しくありません。

だから、あなたの実家の自治体がバンクに「参加している」と書いてあっても、実際に動いているとは限りません。電話で「今、何件載っていますか」と聞くのが一番早いです。

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バンクが動いていないなら、壊す側の数字も持っておく

掲載しても動かないバンクは珍しくありません。売れるのを待つ間も維持費は出ていきます。壊した場合の費用を並べておくと、待つ期間の上限を自分で決められます。

①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。

解体の窓口で、無料シミュレーションを試す

見積書のどこを見るかは、この記事の見積書の章に戻って確認してください。お住まいの自治体の制度を先に調べておくと、受付期間に間に合うかどうかも一緒に分かります。

★★ 調べた範囲で、解体補助の入口がバンクだったのは4市でした

ここからは、当サイトが独自に調べたデータです。

当サイトは全国の解体補助金データベースを作るために、288自治体の空き家関連制度を1件ずつ公式ページで確認しています。その150件を「空き家バンク」という語で串刺しにしました。

集計項目 自治体数
調査した自治体 288
解体に使える制度がある 226
解体補助の要件そのものにバンク登録が入っている 3
バンク登録が条件の補助が別にある(家財処分・改修・跡地活用) 4(※最初の150自治体を調べた時点で見つけた数。残り138自治体では同じ確認をしていません)

出典:当サイト調べ(288自治体・2026年8月19日時点)※その後の追加収録により、データベースの収録数は501自治体になっています。上の集計は288自治体を調べた時点のものです。「解体に使える制度がある」=制度区分が「空き家特化」「耐震型」「部分的」「地区限定」のいずれか。「要件そのもの」は、その226自治体の「対象となる空き家の要件」欄に「バンク」の語が含まれるものを数えました。

解体補助の要件にバンク登録が入っていたのは、焼津市・戸田市・甲府市・可児市の4市でした。制度のある226自治体のうち1.8%です(可児市は2026年8月にデータベースへ追加した際に確認しました。空き家バンク登録またはインターネット掲載が補助の要件になっています)。残りの4市は、解体ではない補助(家財処分・改修・跡地活用)の条件としてバンク登録を求めています。つまり自治体の側も、バンクを「壊す人」ではなく「壊さない人」に向けた入口として設計しています。

タイプ 自治体 バンクの位置づけ
① 解体補助の要件がバンク登録 甲府市 バンクに6か月以上載せないと除却補助が出ない
② 家財処分・改修補助の条件がバンク登録 盛岡市・山口市・呉市 解体費は出ないが、残置物処分や改修の補助はバンク登録者向け(呉市は宅建業者との媒介契約でも可)
③ 跡地をバンクに載せると上乗せ 四日市市 解体後の土地を空き家・空き地バンクに3年以上登録すると20万円が加算される

出典:当サイト調べ(各市公式ページ/2026年8月確認)

★★ 甲府市——バンクに6か月載せないと、解体補助が出ません

調べた中で、いちばん設計が明快だったのが甲府市です。

項目 内容
制度名 甲府市空き家バンク活用促進助成制度(建物除却工事費用)
補助額 除却工事費の2分の1。上限は基本50万円、居住誘導区域内70万円、まちなかエリア内80万円
条件① 甲府市空き家バンクに登録し、6か月以上継続して掲載した物件であること
条件② 売買契約が成立していること(売主が申請)
条件③ 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
条件④ 申請は売買契約締結日から6か月以内/世帯全員が市区町村税を滞納していないこと/交付決定後に着工すること

出典:甲府市公式ページ(当サイト確認/2026年8月)

読み解くとこうなります。甲府市は「解体したい人」に金を出しているのではありません。「バンクに載せて、買い手を見つけて、売った人」にだけ解体費を出しています。

ふつうの実家じまいの動線——更地にしてから売りに出す、あるいは不動産会社に頼んで普通に売る——では、この補助は1円も出ません。順番が逆なのです。

甲府市で使うなら、こうなります

①空き家バンクに登録する(この時点で解体してはいけません。建物がないと登録できません)
②6か月以上、掲載を続ける
③買主を見つけて売買契約を結ぶ
④契約から6か月以内に申請し、交付決定を待ってから解体する

甲府市にはこのほか、空き家バンク登録物件の家財道具処分費補助(2分の1・上限10万円)もあります。遺品整理・残置物処分の費用は実家じまいで確実にかかるので、合わせ技が組めるなら効きます。

ただし建物が傷んでいる場合は、別枠の甲府市特定空家等除却費助成金(2分の1・上限100万円)のほうが大きいです。こちらは市が特定空家等に認定した物件が対象です。どちらを狙うかで、これから半年の動き方が完全に変わります。空き家対策課に現況を伝えて、先に整理してください。

盛岡市はもっと徹底しています。県庁所在地・中核市でありながら、解体費への補助が確認できませんでした。市の空き家補助は空き家等バンク登録物件を対象とした活用系のみで、改修事業補助金、購入費補助金、家財処分事業補助金(上限10万円・補助率2分の1)が並んでいます。壊すのではなく、載せて使え、という政策判断がはっきり出ています。

山口市も、解体補助(老朽危険空家等除却促進事業補助金・上限50万円)とは別に、空き家バンクに登録して売却・賃貸する場合の家財道具等処分事業補助金と改修事業補助金を用意しています。解体補助は危険度評点100点以上という厳しい条件があるので、そちらが空振りしたときの受け皿として機能します。

★★ 解体補助の条件と、バンクで売れる条件は、真逆を向いています

逆に、改修(リフォーム)の補助はバンク登録が入口になっている自治体が多数あります。静岡市・防府市・白山市はいずれも要綱に登録を条件として書いています。壊さずに直す側の制度は空き家を壊さずに直す補助金にまとめました。

これが、288自治体を調べていて一番はっきり見えたことです。

解体に使える制度がある226自治体の要件を数えました。

要件 該当自治体数 意味
特定空家等の認定が必要 63 倒壊の恐れがあるレベルまで放置されて初めて認定されます
危険度の評点(100点以上など)が必要 93 市の調査で「不良住宅」と判定される必要があります
旧耐震(昭和56年5月31日以前)の建物であること 83 平成以降に建てた実家は最初から対象外です

出典:当サイト調べ(288自治体のうち解体に使える制度がある226自治体・2026年8月19日時点)※その後の追加収録により、データベースの収録数は501自治体になっています。上の集計は288自治体を調べた時点のものです。対象要件の記載に「特定空家」「評点/不良度」「昭和56年」の語が含まれるものを数えました。1つの自治体が複数の要件に該当する場合があります。

解体補助の要件は「もう住めない家」 危険度の評点が必要 93自治体 旧耐震(昭和56年5月以前) 83自治体 特定空家等の認定が必要 63自治体 解体に使える制度がある226自治体の要件。重複あり

解体補助が出るのは「もう住めない家」です。一方、空き家バンクに載せて買い手がつくのは「まだ住める家」です。

実家の状態 解体補助 空き家バンク 普通に売る
まだ住める・多少の手入れで住める ×(要件を満たさない) ○(載せられる) ◎(仲介や買取のほうが早い)
傷んでいるが倒壊まではしない △(自治体次第) △(買い手は選ぶ) △(古家付きか更地かの判断)
倒壊の恐れがある・特定空家 ○(ここで初めて出る) ×(載せても動かない) ×

同じ実家が、両方を同時に満たすことはまずありません。だから「とりあえずバンクに載せて、ダメなら補助金で壊す」という順番は、多くの自治体で成立しません。バンクに載せられる状態の家は解体補助の要件に届かず、解体補助が出る状態まで傷めばバンクでは動かないからです。

同じ実家が、両方を満たすことはない 解体補助が出る家 もう住めない家 特定空家等の認定 危険度の評点 旧耐震の建物 バンクで動く家 まだ住める家 多少の手入れで 住める状態 傷むと動きません 「まず載せて、ダメなら壊す」は成立しません

先に決めるべきこと

「売る」か「壊す」かを、最初に決めてください。そのうえで、自分の自治体がどちらに金を出しているかを確認します。甲府市や盛岡市のように「載せて売る」側に振っている自治体もあれば、危険家屋の除却にだけ出す自治体もあります。

実家がある自治体の制度は、こちらで調べられます。→ 全国の空き家解体補助金データベース

ちなみに、金額が公表されていた216自治体の補助上限額は、最小20万円・中央値50万円・最大1,550万円でした。木造戸建ての解体費は100万〜200万円が中心なので、中央値の50万円では半分も埋まりません。補助金を前提に計画を立てないほうが安全です。

載せる前に確認しておくこと

バンクに載せると決めたなら、先に押さえておくと後戻りが減ります。

確認すること なぜ
名義は変わっているか 登録は所有者が申し込みます。相続登記は3年以内が義務ですが、登記が済んでいないと登録も売買もできません
共有になっていないか 共有名義なら全員の同意が要ります。1人でも反対すると登録も売却も止まります
宅建業者が入るか、直接取引か 自治体によって扱いが違います。直接取引だと契約書の作成も引き渡しも自分でやることになります
掲載に期限があるか 更新制の自治体があります。放っておくと掲載が切れます
残置物をどうするか 家財が残ったままでは内覧になりません。遺品整理の費用は先に見ておいてください
再建築できる土地か 再建築不可だと買い手はほぼ現金の投資家に限られます
境界は確定しているか 未確定だと引き渡しの直前で止まります。測量には数十万円と数か月かかります
売れたら税金はどうなるか 空き家の3,000万円特別控除や譲渡所得税の確認を、売る前にしてください

とくに3つ目です。宅建業者が入らない直接取引の場合、契約不適合責任(買主に引き渡した後で欠陥が見つかったときの責任)を誰がどう負うのかが曖昧になりがちです。「安く手放せたと思ったら、あとから雨漏りで揉めた」という事態を避けるために、自治体が宅建協会と提携しているかどうかは、登録前に必ず聞いてください。

売れない理由は、価格だけではありません

国土交通省が所有者に聞いた「空き家を活用しない理由」の上位です。

理由 割合
買い手・借り手の少なさ 46.9%
取り壊すと固定資産税が高くなる 36.7%
将来、自分や親族が使うかもしれない 33.8%

出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」

同じ資料に、空き家の取得経緯は「相続」が54.6%という数字も出ています。空き家問題の半分以上は、実家じまいの話です。

2番目の36.7%に注目してください。「取り壊すと固定資産税が高くなる」——これは住宅用地の特例が外れる話です。壊すと税金が上がるから壊さない。壊さないから傷む。傷むから売れない。この循環に入っている家が、385万戸のかなりの部分を占めていると考えられます。

ただし、放置していれば税金が安いままとは限りません。令和5年の法改正で、管理不全空家等という区分ができました。

令和5年改正で追加された「管理不全空家等」

市町村長は、空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認めるときは、当該状態にあると認められる空家等(以下「管理不全空家等」という。)の所有者等に対し、…当該管理不全空家等が特定空家等に該当することとなることを防止するために必要な措置をとるよう指導をすることができる。

出典:空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項

これまでは「特定空家」になって初めて行政が動けました。令和5年の改正で、その一歩手前の段階で指導・勧告ができるようになりました。

段階 行政の動き 固定資産税
普通の空き家 — 住宅用地の特例あり
管理不全空家等(令和5年新設) 指導 → 勧告 勧告を受けると特例が外れます
特定空家等 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 代執行 勧告で特例が外れます

「壊すと税金が上がるから放っておく」という判断の前提が、崩れつつあります。放置していても、勧告を受ければ同じことになるからです。しかも建物は残っているので、解体費は依然として自分持ちです。

令和5年改正では、ほかにも空家等管理活用支援法人(市町村がNPO法人等を指定して所有者の相談や活用を担わせる仕組み)や、空家等活用促進区域(区域を定めて用途規制を緩和する仕組み)が新設されています。バンクだけが窓口ではなくなってきています。

バンク・仲介・買取をどう使い分けるか

空き家バンク 仲介 買取
向いている家 市場では扱いにくいが住める家 普通に売れる家 状態が悪い・急ぐ・訳あり
スピード 遅い(年単位もある) 3〜6か月が目安 速い
価格 安くなりがち 相場 相場より低い
手数料 自治体次第(無料の場合も) 仲介手数料 原則かからない
補助金との関係 登録が条件の補助がある自治体も 関係なし 関係なし
期限との相性 △ 時間がかかる ○ ◎

期限との相性は、思っている以上に効きます。空き家の3,000万円特別控除は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、取得費加算の特例は相続税の申告期限の翌日以後3年まで。バンクに載せて何年も待っているうちに、控除のほうが先に消えます。

順番として現実的なのは、こうだと思います。

  1. まず相場を調べる。売れる家なのかどうかがここで分かります
  2. 売れそうなら仲介で出す。バンクに載せる理由がありません
  3. 反応がない・そもそも扱ってもらえないなら、バンクを検討する。同時に自治体の補助金要件を見て、バンク登録が条件になっていないかを確認します
  4. 建物が危険な水準なら、売る話をいったん外して解体補助を取りにいく

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バンクに載せる前に、買取の金額だけ先に見ておく

この記事で見たとおり、空き家バンクに載せて売れる確率は高くありません。載せたまま動かず、維持費と固定資産税だけを何年も払い続けるのがいちばん多い結末です。ラクウルは自社で買い取る会社なので、仲介と違って買主を探す期間がありません。「いくらなら今すぐ終わるか」という数字が1つあると、バンクに載せて待つ判断も、待たない判断も、根拠を持ってできます。

申し込む前に、4つだけ確認してください。①買取は仲介より手取りが下がります。買主を探す手間とリスクを業者が引き受ける分が、価格から引かれます。ただし維持費・固定資産税・草刈りが何年も続く場合は、待つより手元に残ることもあります。金額を見てから決めてください。②問い合わせ後、電話またはメールで物件の状況を聞かれます。メールでも手続きは進むので、電話が苦手な方でも構いません。③LINEからの相談は対象外です。この記事のリンクから進んでください。④売却を考えていない相談は対象外です。迷っている段階なら「まだ決めていませんが、金額を知りたい」と伝えてください。

空き家・中古戸建ての買取価格を聞く(無料・全国対応)

金額が出たら、空き家の維持費は年間いくらかと並べてください。あと何年待てるのかが、そこで初めて数字になります。解体して更地にする道を考えるなら、先に全国288自治体の解体補助金データベースで、実家のある市区町村に補助があるかを確かめてください。申請は工事の契約・着工より前でないと使えません。

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「バンク経由でないと解体補助が出ない」型があります

この記事で書いたとおり、当サイトが調べた自治体のなかには、空き家バンクに一定期間載せてからでないと解体補助が使えないところがありました。甲府市がその例です。順番を間違えると、使えたはずの補助が消えます。逆に、バンクで売れる見込みが薄いなら、待っている間の維持費と固定資産税だけが積み上がります。解体費がいくらか分かっていれば、「載せて待つ」か「壊す」かを金額で決められます。

①★自治体によって順番が逆になります。バンク登録が先の自治体と、解体が先でも構わない自治体があります。動く前に必ず自治体へ確認してください。
補助金を使う予定があるなら、見積りより先に自治体へ連絡してください。当サイトが調べた288自治体では、ほぼすべての制度が「交付決定の前に契約・着工したら対象外」です。
複数の業者から連絡が来る仕組みです。電話を受ける時間が取れないなら、希望する連絡手段を備考欄に書いてください。
いちばん安い1社をそのまま選ばないでください。マニフェスト(産業廃棄物管理票)の写しを出せるか、建設リサイクル法の届出を代行するか。安すぎる見積りは、ここを省いていることがあります。
サービス内容の説明は同社サイトの記載であって、当サイトが確かめた事実ではありません。

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この記事で分からないこと

正直に書きます。調べても答えが出なかったこと、当サイトの限界です。

  • あなたの自治体にバンクがあるか、今何件載っているか。当サイトが確認したのは288自治体で、全国1,741市区町村の一部でしかありません
  • バンクに載せて実際に売れる確率。国交省が公表しているのは累計成約数であって、登録件数に対する成約率ではありません
  • 自治体独自サイトのみの成約がどれだけあるか。全国版に載らない取引は、公表数値から漏れます
  • 直接取引でトラブルになったときの実際の解決の仕方。契約不適合責任の範囲は個別の契約書によります
  • バンク経由で売った場合の価格が、仲介と比べてどれだけ低いか。比較できる公表データを見つけられませんでした

当サイトは宅地建物取引業・司法書士・税理士のいずれの登録もない情報サイトです。この記事の役割は、市役所や不動産会社に相談しに行く前に「何を聞けばいいか」が分かる状態にすることです。

よくある質問

Q. 空き家バンクに載せると、固定資産税は安くなりますか。

変わりません。固定資産税の住宅用地特例は「住宅が建っているかどうか」で決まるもので、バンクに載せているかどうかは関係ありません。

ただし逆方向のリスクはあります。放置して特定空家等や管理不全空家等に該当し、勧告を受けると住宅用地特例が外れます(空家法第13条・第22条)。バンクに載せること自体が税金を左右するわけではありませんが、「載せて誰かに見てもらう状態」を保つことは、放置していないという実態づくりにはなります。

Q. 遠方に住んでいます。バンクの登録は郵送やオンラインでできますか。

自治体によります。これは統一されていません。空き家バンクは法律に基づく制度ではなく市町村の自主事業なので、申込様式も手続きも全部バラバラです。

ただ、多くの自治体で現地の確認や写真の提出が要ります。実家が遠い場合、ここが最初の壁になります。空き家対策の担当課に電話して、「県外に住んでいるが登録できるか」「現地立ち会いは必要か」を先に確認してください。写真だけで済む自治体もあります。

Q. バンクに載せている間、家の管理はどうすればいいですか。

あなたの責任のままです。空家法第5条は所有者等の責務をこう定めています。「空家等の所有者又は管理者は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する空家等に関する施策に協力するよう努めなければならない」。バンクに載せても、この責務は自治体に移りません。

草刈り、通風、郵便物の処理は続ける必要があります。放置すると、売れる前に管理不全空家等の指導対象になりかねません。空き家の維持費と放置した場合に起きることを、先に見ておいてください。管理代行サービスを使うなら、その費用も売却までの総コストに入れて計算してください。

Q. 甲府市のような「バンク登録が条件の補助金」は、他の自治体にもありますか。

当サイトが調べた288自治体のうち、解体補助そのものの要件にバンク登録が入っていたのは焼津市・戸田市・甲府市の3市でした。ほかに盛岡市・山口市・呉市は家財処分や改修の補助に、四日市市は跡地をバンクに3年以上載せた場合の上乗せ20万円に、それぞれバンク登録を条件として付けています。多数派ではありませんが、ゼロでもありません。288市中の数としては小さいですが、該当する自治体に実家がある人にとっては、数十万円が動く話です。

そしてこの条件は、市の「補助金」ページではなく「空き家バンク」ページに書かれていることが多いです。解体補助を探して補助金ページだけ見ていると、見落とします。市の空き家関連ページは、補助金・バンク・相談窓口を全部開いて読んでください。当サイトの解体補助金データベースでは、その周辺制度も備考に書き込んでいます。

Q. 買い手がついたら、価格の交渉は自分でやるのですか。

宅建業者が入るかどうかで変わります。自治体が地元の宅建協会と協定を結んでいる場合は、業者が間に入って交渉・契約書作成・重要事項説明までやります(この場合は仲介手数料がかかります)。一方、自治体が「当事者同士でどうぞ」という運用なら、交渉も契約書も自分たちです。

後者はおすすめしません。不動産の売買契約は、境界・設備の不具合・契約不適合責任・引き渡し時期など、決めることが多くあります。数十万円を惜しんで、あとから数百万円の紛争になるのは割に合いません。「宅建業者が入りますか」は、登録前に必ず確認してください。

Q. 空き家バンクに載せたまま、不動産会社にも売却を頼めますか。

これも自治体によります。「他で売りに出していないこと」を登録要件にしている自治体があります。一方、併用を認めている自治体もあります。登録申込書の要件欄を必ず読んでください。

また、不動産会社と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結んでいる場合は、そちらの契約でバンク掲載が制限されることがあります。一般媒介なら問題になりにくいですが、契約前に不動産会社にも確認してください。囲い込みの問題とも関係する話なので、媒介契約の種類は理解しておいて損はありません。

Q. 土地だけ(更地)でもバンクに載せられますか。

「空き家・空き地バンク」という名前のとおり、空き地を扱っている自治体もあります。国交省の全国版も名称に「空き地」が入っています。

ただし、順番には注意してください。甲府市のように「建物があるうちにバンクに登録すること」が補助の条件になっている場合、先に解体してしまうと登録も補助も不可能になります。そして解体すると固定資産税の住宅用地特例が外れます。更地にするのは、売り先か補助金の道筋が決まってからにしてください。

Q. 何年も載せていますが、問い合わせが1件も来ません。

珍しいことではありません。参加自治体1,148のうち404は物件を1件も載せていない状態で、成約は8年で累計約26,000件です。載せれば動く仕組みではありません。

止まっているなら、次の3つを確認してください。
①掲載情報が古くないか。写真が数年前のまま、家財が写ったまま、という物件は動きません
②価格が相場から離れていないか。複数社に査定を取れば、いくらならという線が見えます
③そもそも掲載が切れていないか。更新制の自治体では、気づかないうちに落ちています

そのうえで動かないなら、買取や貸すという選択肢に切り替える判断も要ります。待っている間も維持費はかかり続けますし、税金の特例には期限があります。

Q. 「0円物件」として出すのはどうですか。

選択肢としてはありますが、0円でも簡単には決まりません。買い手から見れば、取得後は固定資産税・管理費・将来の解体費を引き受けることになるからです。建物の状態が悪いほど、0円でも引き取り手がつきにくくなります。

税金の面でも確認が要ります。個人から個人への著しく低い価額での譲渡は、贈与とみなされて買主側に贈与税がかかる可能性があります。また売主側は、売却損が出ても取得費加算は使えません(譲渡益がないと加算額はゼロです)。0円で手放す前に、税理士に一度当ててください。

Q. 結局、空き家バンクは使う価値がありますか。

目的によります。当サイトの整理はこうです。

使う価値が高い:①自治体の補助金がバンク登録を条件にしている場合(甲府市型。数十万円が動きます)/②不動産会社に「うちでは扱えません」と言われた物件(市場に出口がないので、バンクが唯一の窓口になります)/③移住希望者に使ってほしいという気持ちがある場合(バンクは移住施策と一体で運用されていることが多く、買い手の顔が見えやすい仕組みです)

使う価値が低い:①普通に売れる家(仲介のほうが速く高いです)/②期限が迫っている場合(3,000万円控除や取得費加算の期限のほうが先に来ます)/③倒壊しかけている家(載せても動きません。解体補助を取りにいく話になります)

「載せておけば、そのうち誰か」は成立しません。ただし「載せることで補助金が開く」なら、それは十分な理由です。まず自分の自治体の制度を見てください。

まとめ

  1. ★ 空家法に「バンク」という語は0回。法定制度ではなく、第12条「情報の提供、助言その他必要な援助」の枠でやられている市町村の自主事業です
  2. 全国版バンクの参加は1,148自治体。うち実際に物件を掲載しているのは744自治体(令和8年7月末・国交省)
  3. ★★ 現在の掲載は19,626戸。放置空き家385万6千戸の約0.5%しか載っていません
  4. ★ 成約は約8年で累計約26,000件。放置空き家385万6千戸に対して、約148戸に1件です
  5. ★★ 当サイトが288自治体を調べたところ、解体補助の要件そのものにバンク登録が入っていたのは焼津市・戸田市・甲府市の3市だけ。最初の150自治体を調べた時点では、ほかに4市が家財処分・改修・跡地活用の補助にバンク登録を条件として付けていました
  6. ★★ 甲府市は「バンクに6か月以上掲載し、売買契約が成立した物件」にだけ除却補助(最大80万円)を出しています
  7. 盛岡市には解体費の補助がなく、バンク登録物件向けの活用系補助だけがあります
  8. ★★ 解体補助の要件は特定空家63/危険度評点93/旧耐震83。バンクで売れる条件とは真逆を向いています
  9. 金額が公表されていた216自治体の補助上限は、最小20万円・中央値50万円・最大1,550万円。解体費の全額は埋まりません
  10. 令和5年改正で管理不全空家等が新設され、勧告を受けると住宅用地特例が外れます。「壊さなければ税金が安いまま」とは限らなくなりました
  11. 普通に売れる家なら、バンクより仲介のほうが速く高い。バンクを使う理由は「補助金の条件」か「市場に出口がない」かのどちらかです

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