再建築不可の実家|条文で確かめる、できることとできないこと

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【PR】本ページはプロモーションを含みます。条文はすべて e-Gov法令検索で全文を開いて確認したものです(2026年8月17日確認)。孫引きはしていません。

最終更新:2026年8月17日

結論だけ先に

「再建築不可」は、建築基準法43条1項の接道義務(道路に2m以上接すること)を満たしていないという状態を指します。法律にこの言葉はありません。

まず確かめてほしいことが1つあります。前面の道が4m未満でも、「2項道路」に指定されていれば道路です。その場合は再建築不可ではなく、セットバックすれば建て替えられます。ここを取り違えている人がかなりいます。

そして、2025年4月から変わったことがあります。木造2階建ての実家は、大規模なリフォームにも建築確認が必要になりました。ただし「だからリフォームできない」は正確ではありません。接道義務については、用途を変えず、特定行政庁が支障がないと認めれば、引き続き適用されないという条文があります(施行令137条の12第11項)。

根拠と条文は本文にあります。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。

まず、本当に再建築不可かを確かめてください

不動産会社に「ここは再建築不可です」と言われた。あるいは自分で調べてそう思っている。その判断が正しいかどうかは、条文に当てて確かめられます。

建築基準法43条1項は、こう定めています。

建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。)に二メートル以上接しなければならない。

出典:建築基準法第43条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

問題は「道路」の中身です。ここは42条が定義していて、幅員4m以上(特定行政庁が指定する区域では6m以上)のもののうち、次のいずれかに当たるものを指します。

号 中身 実家でよくあるもの
1号 道路法による道路 市道・県道・国道。いちばん多い
2号 都市計画法・土地区画整理法などによる道路 開発分譲地の道
3号 この章の規定が適用されるに至った際、現に存在した道 古い集落の道。既存道路と呼ばれます
4号 2年以内に事業が執行される予定として特定行政庁が指定した道路 計画道路
5号 位置指定道路(私人が築造し、特定行政庁から位置の指定を受けた道) 私道。分譲地の袋小路に多い

出典:建築基準法第42条第1項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

4m未満でも「道路」のことがあります

ここがいちばん誤解されるところです。42条2項は、こう定めています。

現に建築物が立ち並んでいる幅員四メートル未満の道で、特定行政庁の指定したものは、前項の規定にかかわらず、同項の道路とみなし、その中心線からの水平距離二メートル…の線をその道路の境界線とみなす。

出典:建築基準法第42条第2項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

これが「2項道路」「みなし道路」です。幅が4mなくても、指定されていれば道路。敷地を後退させて(セットバックして)道路の中心から2mを空ければ、建て替えられます。

つまり「前の道が狭い=再建築不可」ではありません。狭いけれど2項道路なのか、そもそも道路ですらないのか。この2つはまったく違います。

狭い道でも、指定されていれば道路です 2項道路 4m未満でも道路 中心から2m後退 セットバックして 建て替えられます 道路ではない 42条のどれでもない 接道義務を満たさず 43条2項の認定か 許可の可能性を聞く 「道が狭い=再建築不可」ではありません

役所での確かめ方(そのまま読み上げてください)

やること
1 市区町村の建築指導課(建築審査課・都市計画課などの場合もあります)に行くか、電話する
2 そのまま読み上げてください。「◯◯町◯丁目◯番の土地について伺います。前面道路は建築基準法上の道路にあたりますか。あたる場合、42条の何号ですか。2項道路の指定はありますか」
3 合わせて聞く。「この敷地の接道の長さは足りていますか。足りない場合、43条2項1号の認定または2号の許可の対象になる可能性はありますか」
4 建築計画概要書を閲覧する。過去に確認申請が通っていれば、そのときの接道の状況が書かれています

ここまでは無料で、電話でもかなり分かります。買取業者に相談する前に、まずこれをやってください。自分の土地の状態を知らないまま交渉すると、必ず不利になります。

「43条但し書き」という条文は、いまはありません

ネットで調べると「43条但し書き道路」「但し書き申請」という言葉が必ず出てきます。これは古い呼び方です。2018年(平成30年)の改正で、但し書きは43条2項という独立した項に整理されました。

そして2項には1号と2号があって、手続きの重さがまったく違います。ここを分けて書いている記事は、あまり多くありません。

43条2項1号(認定) 43条2項2号(許可)
条文の中身 その敷地が幅員4m以上の道(道路に該当するものを除く)に2m以上接する建築物のうち、利用者が少数であるものとして国土交通省令で定める基準に適合するもの その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物
判断する人 特定行政庁が認めるもの 特定行政庁が認め、建築審査会の同意を得て許可したもの
建築審査会の同意 不要 必要
手続きの重さ 相対的に軽い 重い。審査会の開催に合わせることになる

出典:建築基準法第43条第2項第1号・第2号(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

「利用者が少数であるもの」という言葉が1号にあります。一戸建ての住宅は、まさにこれに当たり得ます。つまり実家の建て替えは、審査会にかけずに認定で処理できる可能性がある。

ただし、当サイトは1号の省令基準(規則で定める具体的な要件)の中身までは確認できていません。そして1号にも2号にも「特定行政庁が認めるもの」という条件が付いています。認められる保証はありません。

窓口ではこう聞いてください。「この敷地は43条2項1号の認定の対象になりますか。ならない場合、2号の許可を申請することはできますか。おたくの包括同意基準はどうなっていますか」。「包括同意基準」という言葉を出せると、話が早く進むことがあります。(多くの特定行政庁が、審査会に個別に諮らなくても処理できる基準を定めていますが、その内容も、どこが定めているかも、当サイトは確認できていません。)

但し書きは、いま2つに分かれています 43条2項1号 特定行政庁の認定 審査会にかけない 一戸建ても対象に 手続きは軽い 43条2項2号 特定行政庁の許可 建築審査会の同意 包括同意基準がある 手続きは重い どちらも「認められる保証はありません」

2025年4月から、大規模なリフォームにも建築確認が要ります

建て替えが難しいなら、リフォームで住み続ける、あるいは貸す。その道が、2025年4月に少し狭くなりました。

建築基準法6条1項は、こう定めています。

建築主は、第一号若しくは第二号に掲げる建築物を建築しようとする場合…これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合…確認の申請書を提出して…確認済証の交付を受けなければならない。
二 …二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物

出典:建築基準法第6条第1項第2号(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

「二以上の階数を有し」です。木造2階建ての実家は、面積に関係なくここに入ります。2025年4月1日以降に工事に着手するものから適用されます(いわゆる4号特例の縮小)。

では「大規模の修繕・模様替」とは何か。国土交通省の資料では、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の1種以上について行う、過半の改修とされています。

工事 確認申請
屋根ふき材だけの葺き替え/カバー工法 不要
垂木にまで及び、水平投影面積の過半の屋根工事 必要
外装材だけの張り替え/カバー工法 不要
外壁全体の改修で、過半に及ぶもの 必要

出典:国土交通省「木造戸建の大規模なリフォームに関する建築確認手続」(2026年8月16日確認)

フルリフォーム、スケルトンリフォームと呼ばれる工事は、まず確認申請の対象になります。

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建て替えられない土地でも、建てない使い道なら残ります

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それでも「リフォームできない」とは限りません

ここから先が、この記事でいちばん書きたかったところです。

「2025年4月の改正で、再建築不可の家はリフォームもできなくなった」——そう書いている記事を見かけます。条文を追うと、そうとは言い切れません。

つながっている条文は3本です。

1本目:法3条2項(既存不適格)

この法律…の規定の施行又は適用の際現に存する建築物若しくはその敷地…がこれらの規定に適合せず…する場合においては、当該建築物、建築物の敷地…に対しては、当該規定は、適用しない。

2本目:法86条の7第1項(既存の建築物に対する制限の緩和)

3条2項によって適用を受けない建築物について、政令で定める範囲内で増築・改築・大規模の修繕・大規模の模様替をする場合には、これらの規定は適用しない、と定めています。そして緩和の対象として並べられた条文のなかに、43条1項が入っています。

3本目:施行令137条の12第11項(範囲を決めている政令)

法第三条第二項の規定により法第四十三条第一項の規定の適用を受けない建築物についての法第八十六条の七第一項の政令で定める範囲は、大規模の修繕又は大規模の模様替については、当該建築物における当該建築物の用途の変更(当該変更後に当該建築物の利用者の増加が見込まれないものを除く。)を伴わない大規模の修繕又は大規模の模様替であつて、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるものとする。

出典:建築基準法第3条第2項・第86条の7第1項/建築基準法施行令第137条の12第11項(いずれもe-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

読める内容をまとめます。

よく書かれていること 条文から言えること
2025年4月から、再建築不可はリフォームもできなくなった 正確ではありません。接道義務(43条1項)は、用途を変えず、特定行政庁が支障がないと認めれば、引き続き適用されません
確認申請が要るようになっただけで、実質は変わらない 手続きは確実に重くなりました。自動的に緩和されるのではなく、特定行政庁の判断を通す必要があります

つまり「詰み」でも「無風」でもありません。役所を1つ通す必要が増えた、というのが正確なところです。そしてこれは、設計者に相談する前に、自分で窓口に確認できる話でもあります。

2025年4月から、確認申請が要る工事 屋根ふき材だけの葺き替え カバー工法も同じです 確認は不要 屋根が垂木にまで及ぶ 水平投影面積の過半のもの 確認が必要 外装材だけの張り替え カバー工法も同じです 確認は不要 外壁全体で過半に及ぶ 主要構造部の過半の改修 確認が必要 接道義務は、支障がないと認められれば適用外です

なお、道路内の建築制限(44条1項)についても、同じ条の12項に同種の規定があります。

「既存不適格」と「違法建築」は、まったく別のものです

前の章の話には、大きな前提があります。法3条2項が使えるのは「現に存する建築物」——建てたときには適法だった建物だけです。

既存不適格 違法建築
建てたとき 適法だった。あとから法律や指定が変わって、いまの基準に合わなくなった そのときから違反していた
よくある例 道路の指定が変わった/後から幅員の要件が付いた/用途地域が変わった 確認申請を出さずに増築した/建ぺい率を超えて建てた
法3条2項 使える 使えない
前章の緩和 受けられる可能性がある 受けられない

実家で多いのは、増築です。昭和の終わりから平成にかけて、確認申請を出さずに離れや車庫を建て増した家は珍しくありません。登記されている床面積と、実際の建物の大きさが違う。ここが食い違っていると、「既存不適格」ではなく「違法建築」の側に落ちることがあります。

確かめ方は2つです。①建築計画概要書(役所で閲覧)と、②検査済証。検査済証があれば、少なくとも建てたときは適法だったことの強い証拠になります。実家の書類を探すとき、権利証や売買契約書と一緒に、これも探してください。書類の探し方は取得費が分からないときにまとめています。

相続税では、最大40%引けます

国も、接道義務を満たさない土地は価値が下がると認めています。相続税・贈与税の土地評価のルールにそう書いてあります。

無道路地とは、道路に接していない宅地(接道義務を満たしていない宅地を含みます。)をいいます。

無道路地の価額は、実際に利用している路線の路線価に基づき不整形地の評価または地積規模の大きな宅地の評価によって計算した価額から、その価額の40パーセントの範囲内において相当と認める金額を控除した価額によって評価します。

出典:国税庁 タックスアンサー No.4620「無道路地の評価」(財産評価基本通達20-3/2026年8月17日確認)

控除するのは、接道義務に基づいて最小限度の通路を開設する場合の、その通路に相当する部分の金額です。無制限に4割引けるわけではなく、4割が上限です。

ここで一度、手を止めてほしいことがあります。すでに相続税の申告を済ませている場合、この評価をしていない可能性があります。「道路に接していない」だけでなく「接道義務を満たしていない」土地も含むと国税庁がはっきり書いているのに、路線価をそのまま使って計算されていることがあるからです。

申告書を出してきて、土地の評価明細書を見てください。無道路地としての控除が入っていなければ、税理士か税務署に確認する価値があります。ただしやり直しを求められる期限があります。当サイトはその期限を確認していないので、書きません。確認するなら早いほうがいい、とだけ言えます。

出口は4つあります

再建築不可のまま持ち続けるのか、手放すのか。取り得る道は、大きく4つです。

出口 向いている場合 注意
1 隣の人に買ってもらう いちばん現実的です。隣地と一体になれば接道を満たすことがあり、隣にとっては価値が上がる 相手にとっての価値が高いぶん、相場より高く売れることもあります。逆に、足元を見られることもあります
2 隣の土地を買って、接道を作る 通路になる部分だけを買えるなら。買った瞬間に土地の価値が跳ね上がることがある 売ってもらえるかどうかがすべて。お金の問題ではなく、人間関係の問題になりがち
3 43条2項の認定・許可を取る 前面が4m以上の「道」(道路ではない)に2m以上接している場合など 認められる保証はありません。まず窓口で可能性を聞いてから
4 訳あり物件を専門に買い取る会社に売る 上の3つが動かないとき。仲介では買い手が現れないことが多い 安くなります。ただし「安く買われる」のではなく「そこにしか売り先がない」というのが実態です
出口は4つ。順番があります 隣の人に買ってもらう 一体になれば接道を満たすことも いちばん現実的 隣の土地を買う 通路になる部分だけでも 人間関係の問題 43条2項の認定・許可 4m以上の「道」に2m以上接する 保証はない 専門の買取会社に売る 上の3つが動かないとき 最後の手段 まず窓口で可能性を聞いてから、業者に相談します

順番が大事です。1と2を先に当たってください。買取の相談は、そのあとでも遅くありません。逆にすると、いちばん高く買ってくれたかもしれない相手を試さないまま終わります。

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申し込む前に、役所で前面道路の種別だけは確かめておいてください。この記事の最初の章に、そのまま読み上げられる聞き方を置いています。自分の土地の状態を知らないまま交渉すると、必ず不利になります。

逆に、条例で厳しくしている地域があります

43条を満たせばどこでも建つ、というわけでもありません。43条3項が、上乗せを認めています。

地方公共団体は、次の各号のいずれかに該当する建築物について、その用途、規模又は位置の特殊性により、第一項の規定によつては避難又は通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他…必要な制限を付加することができる。

出典:建築基準法第43条第3項(e-Gov法令検索で全文を確認/2026年8月17日)

同項が挙げているもののうち、住宅に関係しそうなのは次の2つです。

号 対象
2号 階数が三以上である建築物
5号 敷地が袋路状道路(その一端のみが他の道路に接続したもの)にのみ接する建築物で、延べ面積が150平方メートルを超えるもの(同項の文言による)

行き止まりの道にだけ接している土地は、条例で追加の制限がかかっていることがあります。「43条は満たしている」で終わらせず、条例の有無も窓口で聞いてください。

よくある質問

Q. 「再建築不可」は登記簿に書いてありますか。

A. 書いてありません。登記簿(登記事項証明書)に載るのは所在・地番・地目・地積と権利関係で、接道の状況は記載されません。

調べる先は登記簿ではなく役所の建築指導課です。公図や測量図があれば話が早いのですが、無くても地番を伝えれば調べてもらえます。「うちの土地は再建築不可ですか」と聞くのではなく、「前面道路は建築基準法上の道路にあたりますか。42条の何号ですか」と聞いてください。前者は答えにくく、後者は答えやすい質問です。

名義がまだ故人のままなら、先に相続登記が必要です。手続きは相続登記の義務化にまとめています。

Q. セットバックすれば、必ず建て替えられますか。

A. 2項道路に指定されている場合の話です。指定されていない4m未満の道は、セットバックしても道路にはなりません。ここが分かれ目です。

指定されている場合でも、後退した部分は敷地面積に算入されません。つまり建ぺい率・容積率を計算するときの分母が減ります。建てられる家は小さくなります。

さらに、向かいも同時に後退するとは限りません。片側だけが後退している状態は、実際によくあります。

Q. リフォームなら確認申請は要らないと聞きましたが。

A. 工事の規模によります。2025年4月1日以降に着手する工事から、木造2階建て(=二以上の階数)の大規模の修繕・模様替は建築確認の対象です。

「大規模」とは、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の1種以上について行う、過半の改修です。屋根ふき材だけの葺き替えや、外装材だけの張り替えは対象外とされています。キッチンや浴室の入れ替え、内装のやり直しも、主要構造部の過半に及ばなければ対象になりません。

迷うのは、屋根と外壁です。「垂木にまで及び、水平投影面積の過半」なら必要になります。見積書に「野地板」「垂木」「構造用合板」といった言葉が出てきたら、施工会社に「これは大規模の修繕にあたりますか」と直接聞いてください。

Q. 確認申請が必要になったら、もうリフォームできないのですか。

A. そうとは限りません。本文の4章に書いたとおり、接道義務(43条1項)は、用途を変えず、特定行政庁が支障がないと認めれば、引き続き適用されません(法3条2項→法86条の7第1項→施行令137条の12第11項)。

ただし自動ではありません。「特定行政庁が…認めるもの」が条件なので、役所の判断を通す必要があります。そして建てたときに適法だったこと(既存不適格であること)が前提です。違法建築には使えません。

設計事務所や工務店に相談する前に、自分で窓口に聞けます。「この建物は既存不適格として、施行令137条の12第11項の対象になりますか」——条文番号を出せると、話が早いです。

Q. 固定資産税は安くなりますか。

A. 相続税評価とは別の話です。相続税では無道路地として最大40%の控除がありますが、固定資産税の評価は市区町村が行うもので、仕組みが違います。当サイトは、固定資産税の評価における接道の扱いを確認できていないので、断定しません。

ただし、建物が建っている限り、住宅用地の特例が効いているはずです。これは再建築不可かどうかとは関係ありません。逆に、解体して更地にすると特例が外れて税額が上がります。再建築不可の土地では、建物を壊すと二度と建てられないうえに、税金も上がるという二重の不利益になります。詳しくは解体すると固定資産税はどうなるかに書きました。

だから、再建築不可の家は「とりあえず解体」をしてはいけません。この判断は古家付きで売るか、更地にして売るかにも書いています。

Q. 住宅ローンは組めますか。

A. 当サイトは金融機関の審査基準を確認していないので、通る・通らないを断定できません。ただし、担保として評価されにくい土地であることは、相続税評価の考え方(最大40%の控除)からも見当がつきます。

買い手にローンが付かないと、売るときの相手が「現金で買える人」に限られます。これが、再建築不可が仲介では動きにくいいちばんの理由です。価格の問題というより、買える人の数の問題です。

Q. 隣の人に買ってもらう場合、いくらで売ればいいですか。

A. 先に、隣にとっての価値を考えてください。一体になれば接道を満たす、建ぺい率に余裕ができる、駐車場が取れる——買い手にとっての価値が、あなたにとっての価値より高いことがあります。これを「限定価格」と呼ぶことがあります。

やることは3つです。

やること
1 路線価と、近隣の取引事例を調べる。方法は売却相場を自分で調べるに
2 隣地と一体になった場合に、その土地がいくらになるかを考える。ここが交渉の上限の目安
3 不動産会社を1社入れる。境界・分筆・登記が絡むので、当事者だけで進めると後で揉めます

「隣だから安く」と言われても、応じる必要はありません。相手にとっての価値が高いから、その話が来ています。

Q. 買取業者に頼むと、どのくらい安くなりますか。

A. 再建築不可について、公的な統計はありません。一般の物件で「買取は相場の7割」と言われますが、その数字の出どころを探した結果は別記事にまとめています。再建築不可はさらに条件が悪いので、7割よりも下がると考えるのが自然です。

数字より先に、確かめることがあります。「なぜこの金額なのか」を説明できる業者かどうかです。再建築不可の土地をどう活用するつもりなのか(隣地とまとめる/貸家として持つ/43条2項を取りに行く)を聞いてください。答えられる業者は、根拠を持って値を付けています。

そして1社では判断できません。2社以上に当たって、金額そのものより、説明の中身を比べてください。

Q. そのまま放置したら、どうなりますか。

A. 再建築不可であることと、放置してよいことは別です。空家等対策特別措置法の対象になるかどうかは、建物の状態で決まります。再建築不可の家ほど古いことが多いので、むしろ指定されやすい側にいます。

管理不全空家等・特定空家等に指定されると、住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がるところまで進みます。何がどの順で起きるかは空き家を放置するとどうなるかに、持ち続けた場合の費用は空き家の維持費にまとめています。

建てられないから何もできない、ではありません。固定資産税も、管理の義務も、通常どおりかかります。

Q. 何から手を付ければいいですか。

A. この順番です。上に行くほど、お金がかからず、取り返しがつきます。

やること 費用
1 役所の建築指導課に電話して、前面道路の種別を聞く(本文1章の聞き方) 無料
2 建築計画概要書と検査済証を確認する(既存不適格か違法建築かの分かれ目) 数百円
3 43条2項1号の認定・2号の許可の可能性を窓口で聞く 無料
4 相続税の申告書を見て、無道路地の控除が入っているか確認する 無料
5 隣地の所有者に、買う意思・売る意思があるか当たる 無料
6 買取業者に査定を頼む 無料(ただし金額は下がる前提で)
7 解体する ここだけは戻れません

7番だけは、絶対に最後です。再建築不可の土地で建物を壊すと、二度と建てられません。解体費の相場は実家の解体費用、補助金は自治体の解体補助金一覧にありますが、この記事を読んでいる方は、まず1番から始めてください。

この記事で確認できなかったこと

正直に書いておきます。

  • 全国に再建築不可の住宅がいくつあるか。住宅・土地統計調査には「敷地に接している道路の幅員」という調査事項がありますが、令和5年調査の公表資料に、その集計表を見つけられませんでした。だから当サイトは「◯万戸あります」という数字を書きません
  • 43条2項1号の認定の、国土交通省令が定める具体的な基準(規則の中身)
  • 43条2項の認定・許可が、年間どのくらい出ているか。国の統計を見つけられませんでした
  • 各特定行政庁の「包括同意基準」の有無と中身。自治体ごとに違うため、窓口で聞いてください
  • 施行令137条の12第11項が、実際にどの程度認められているか。運用の実績は確認できていません
  • 相続税の申告をやり直せる期限。期限があることは確かですが、当サイトは確認していないので書きません
  • 固定資産税の評価で、接道の状況がどう扱われるか
  • 金融機関の融資の審査基準

この記事は、条文と国税庁の公表資料を読んで整理したものです。個別の土地について建てられるかどうかを判断できるのは、その土地を管轄する特定行政庁(市区町村または都道府県の建築部局)だけです。最後は必ず窓口で確かめてください。

まとめ

  1. 「前の道が狭い」と「道路ではない」は違う。2項道路ならセットバックで建て替えられる
  2. 「43条但し書き」はもう無い。いまは2項1号(認定・審査会の同意が不要)と2号(許可・同意が必要)
  3. 2025年4月から、木造2階建ての大規模リフォームには建築確認が必要になった
  4. ただし接道義務は、用途を変えず特定行政庁が認めれば適用されない(令137条の12第11項)。詰みではなく、役所を1つ通す話
  5. ただし既存不適格に限る。違法建築には使えない
  6. 相続税では最大40%引ける(無道路地・評基通20-3)。申告済みなら明細書を確認する
  7. 出口は隣地・43条2項・買取の順に当たる。解体だけは最後

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