解体中に地中から何か出てきた|追加請求が正当かを見分ける8つの確認

執筆者:

カテゴリ:

【PR】本ページはプロモーションを含みます。

実家の解体が始まって数日後、業者から連絡が来ます。「地中から古いコンクリートの塊が出ました。撤去に追加で費用がかかります」。金額を聞いて、その場で判断できる人はほとんどいません。

このとき最初に知っておくべきことが、ひとつあります。「地中障害物」は、想定外の事故ではありません。国が用意した標準契約書に、あらかじめ名指しで書かれている事象です。民間建設工事標準請負契約約款(乙)第9条第1項第三号に、「土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発掘その他施工の支障となる予期することのできない事態」とあります。つまり、出てくること自体は織り込み済みで、国は「出たときにどうするか」の手順まで決めています。

この記事は、金額の相場を書きません。官公庁の一次情報に、民間住宅の地中障害物撤去の相場は存在しないからです。代わりに、その請求が正当かどうかを判断するための、条文にもとづく8つの確認を並べます。ついでに、多くの人が知らない「施主の側にも法律上の通知義務がある」という話もします。ここを知らないまま突っぱねると、立場が逆転します。

結論だけ先に

  • 「地中障害物が出たら施主が払う」というルールを定めた法律の条文は、存在しません。法律が決めているのは「誰が廃棄物処理の責任者か」「どんな手順を踏むべきか」までです。費用を誰が負担するかは、契約の問題です。
  • 追加工事は「着工前に書面で変更契約」が法定の手続です(建設業法19条2項・国土交通省ガイドライン第8版)。工事が終わってから請求書だけが来た、という順番は、この手続を踏んでいません。
  • あなたが「昔ここに浄化槽があった」「井戸を埋めた」と知っていたなら、契約前に業者へ伝える義務があります(建設業法20条の2第1項・令和6年12月13日施行)。知っていて黙っていた場合、追加費用を業者に押し付ける主張は弱くなります。
  • 決裂したら、建設工事紛争審査会が使えます。あっせんの手数料は10,000円から。令和7年度の全国116件のうち41件が「個人発注者から請負人への請求」でした。事業者専用の制度ではありません。

条文は2026年8月24日にe-Gov法令検索で、運用は国土交通省・環境省・各自治体の公式資料で確認しました。金額の相場は一次情報が存在しないため、本記事には一切書いていません。個別の紛争については弁護士・建設工事紛争審査会へご相談ください。

1. 何が出てくるのか、法的にどう扱われるのか

まず、出てくるものの種類と、それぞれの法的な扱いを整理します。「産業廃棄物かどうか」と「誰が費用を払うか」は別の問題です。ここを混同すると、業者の説明が正しいのか、それとも正しい説明から誤った結論を導いているのかが見分けられなくなります。

出てくるもの 根拠法 法的な扱い 費用負担
旧建物の基礎・杭・ガラ 廃掃法施行令2条9号(がれき類) 産業廃棄物 契約による
木くず(旧土台・杭) 同2条2号 産業廃棄物 契約による
浄化槽 浄化槽法11条の3 廃止届出義務あり(施主の義務) 契約による
井戸 条例・要綱(自治体により廃止届) 全国一律の埋戻し義務は確認できず 契約による
古い地下タンク 消防法12条の6・9条の4 数量により届出先が変わる 契約による
過去に埋められたゴミ 廃掃法16条・25条1項14号 廃棄物(責任の所在は解釈が分かれうる) 契約による
土壌汚染 土壌汚染対策法3条・4条 通常の戸建て解体では法の調査義務に非該当 契約による
埋蔵文化財 標準約款乙9条1項3号に明記 通知対象 契約による

「契約による」が並ぶのは、調査不足ではなく結論です

この表を見て「役に立たない」と思われたかもしれません。ですが、これがこの問題の本質です。法律は「誰が処理責任者か」(廃掃法)「誰が届け出るか」(浄化槽法など)を決めていますが、「誰が金を出すか」を直接定めた条文は、調べた範囲では存在しません。

したがって、判断材料は次の4点に集約されます。この4点を、1つずつ見ます。

  • 契約書(書面)に何と書いてあるか──建設業法19条1項各号
  • 契約前に、あなたが地中の情報を業者に伝えていたか──建設業法20条の2第1項
  • 業者は発見時に「直ちに書面で通知」し、着工前に変更契約をしたか──標準約款9条/16条
  • 出てきた物ごとの法定手続を業者は踏んでいるか──廃掃法・浄化槽法・消防法など

2. 「元請が排出事業者」は「元請が払う」ではない

業者からこう説明されることがあります。「これは産業廃棄物なので、処分に費用がかかります」。この説明自体は正しいのです。

誰が排出事業者かは、法律が決めている

廃棄物処理法第21条の3第1項
建設工事が複数の請負契約によって行われる場合、廃棄物処理法の適用について、当該建設工事の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする

建設工事から出た廃棄物の排出事業者は、元請業者です。下請ではなく、施主でもありません。環境省のQ&A集は、「契約によって下請負人を排出事業者とすることはできない」とも示しています。同省の「排出事業者責任の徹底について」も、処理業者に委託しても排出事業者の責任は変わらないという原則を明記しています。

ただし、この条文からは費用負担が出てこない

ここを取り違えると判断を誤ります

廃掃法21条の3が定めているのは、「行政法上、誰が排出事業者としての義務(適正処理、委託基準の遵守、マニフェスト交付、記録保存、報告)を負うか」です。この条文からは、その処分費を最終的に誰が負担するかは決まりません。

法的責任の所在を決めるのは廃掃法。費用を誰が払うかを決めるのは請負契約(民法632条以下、建設業法19条の書面)です。「産廃だから施主が追加で払う」は、法律からは出てきません。

「責任」と「費用」は別の法律で決まる 誰が義務を負うか 廃棄物処理法 21条の3第1項 → 元請業者 下請でも施主でもない 誰が費用を払うか 請負契約 (建設業法19条) → 契約の中身 条文からは出てこない 「元請が排出事業者」は「元請が払う」ではない

マニフェストは施主に交付されない。だが別のルートがある

産業廃棄物管理票(マニフェスト)の交付義務は排出事業者(=元請)にあり(廃掃法12条の3第1項)、施主に交付する義務は廃掃法にはありません。けれども、施主が処理状況を書面で確認できる法定のルートが、別の法律にあります。

建設リサイクル法第18条
第1項 対象建設工事の元請業者は、特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、当該工事の発注者に書面で報告し、記録を作成し、これを保存しなければならない
第2項 報告を受けた発注者は、再資源化等が適正に行われていないと認めるときは、都道府県知事に申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる

床面積80㎡以上の建物解体は「対象建設工事」です(建設リサイクル法施行令2条1項1号)。普通の一戸建てはほぼ確実に該当します。つまり完了報告の書面は、あなたが法律上受け取れるものです。受け取っていないなら請求してください。マニフェストの写しについては、契約書に「写しの提出」と書いておけば債権として請求できます。

「敷地の隅に埋め戻しておきますね」は危険です

廃掃法16条は「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と定めており、25条1項14号の罰則は5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその併科。しかも未遂も処罰されます(同条2項)。

16条の名宛人は「何人も」です。施主も含まれます。安さと引き換えにこれを黙認すると、あなた自身がリスクを負います。

3. 契約書のどこを見るか──建設業法19条

ここが施主にとって最も強い武器になります。

建設業法第19条第1項(柱書)
建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない

主語は「建設業者」ではなく「請負契約の当事者」

つまり、500万円未満の小さな解体工事でも、建設業許可のない業者との契約でも、この書面交付義務は適用されます。「小さい工事だから契約書はいらない」は、建設業法上は通りません。

19条1項は16の号を並べていますが、地中障害物の場面で効くのは次の号です。

号 記載事項 なぜ効くか
一 工事内容 出てきた物の撤去が「工事内容」に含まれるなら、追加代金は生じません
二 請負代金の額 当初いくらの合意だったか
六 設計変更等の場合における工期の変更、請負代金の額の変更又は損害の負担及びそれらの額の算定方法に関する定め 「算定方法」が書かれていれば、追加請求を検算できます
七 天災その他不可抗力による工期の変更又は損害の負担及びその額の算定方法 不可抗力かどうかの線引き
十三 契約不適合を担保すべき責任に関する定め 埋戻し不良で沈下したとき
十五 契約に関する紛争の解決方法 紛争審査会に行く前に読む欄
契約書のここを見る(建設業法19条1項) 一号 工事内容 撤去が含まれるなら追加代金は生じません 範囲 二号 請負代金の額 当初いくらの合意だったか 金額 六号 算定方法 書かれていれば追加請求を検算できます 検算 500万円未満でも、書面の交付義務はあります

そして19条2項が、追加工事の手続を決めている

建設業法第19条第2項
請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない

口頭やメッセージアプリでの「じゃあお願いします」だけで工事を進め、後から請求書を出すのは、この法定の手続を踏んでいません。国土交通省の「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン(第8版)」21ページは、さらに踏み込んでいます。

追加工事等の着工前に書面による契約変更を行うことが必要(災害時等やむを得ない場合を除く)
追加・変更契約を行う場合には、追加工事等が発生した状況に応じ、当該追加工事等に係る費用について、発注者と受注者との間で十分協議を行い決定することが必要

このガイドラインは両刃です

「着工前に書面で変更契約」は業者側の義務であると同時に、施主が「書面がないから払わない」と言い切れる根拠でもあります。ですが同じガイドラインは、受注者の申出に応じず必要な変更契約を締結しないことが、不当に低い請負代金の禁止(建設業法19条の3)に違反するおそれがあるとも書いています。

正しい対応は「支払を拒む」ではなく、「着工前に、書面で、算定根拠を示して協議する」です。

4. 標準約款は「自動的に施主が払う」とは書いていない

中央建設業審議会が決定・勧告する標準請負契約約款は4種類あり、実家の解体のような小規模な民間工事には「民間建設工事標準請負契約約款(乙)」が近いものです。地中障害物の条項は、乙では第9条、甲では第16条にあります。

段階 乙(小規模向け) 内容
発見 9条1項3号 「土壌汚染、地中障害物の発見、埋蔵文化財の発掘その他施工の支障となる予期することのできない事態」を発見したら、受注者は直ちに書面をもって発注者に通知
指示 9条3項 通知を受けた発注者は直ちに書面をもって受注者に指示
変更請求 9条4項 発注者及び受注者は、相手方に対し、必要と認められる工期の変更又は請負代金額の変更を求めることができる
工事の変更 20条 請負代金額・工期を変更する必要があるときは両者が協議して定める
代金の変更 22条 協議の申出を受けた者は、根拠を欠く場合等を除き誠実に応じるよう努める

この条文構成から読み取れる3つのこと

  • 約款は「地中障害物が出たら自動的に施主が払う」とは書いていません。書いてあるのは手順です。書面で通知 → 書面で指示 → 双方が変更を求める → 協議して定める。
  • 「求めることができる」であって「増額する」ではありません。9条4項は発注者の側からも変更(減額を含む)を求められる構造です。一方的な請求権ではありません。
  • 手続を飛ばした請求は弱いということ。「工事が終わってから、地中から出たと言われて請求書が来た」なら、9条1項の「直ちに書面で通知」も、3項の指示も、20条の協議も踏まれていません。追加代金の合意がそもそも成立していないと主張する余地があります。

ただし前提があります。標準約款は「標準」であって自動適用ではありません。契約当事者がこれを採用して初めて契約内容になります。まず、あなたの契約書がこの約款を使っているかを確認してください。採用していない場合でも、標準約款の内容は「業界標準の手順」として、交渉や紛争処理の場で参照する価値があります。

5. 施主の側にも通知義務がある──建設業法20条の2

これは多くの人が知らない条文です。そして、知らないまま突っぱねると立場が逆転します。

建設業法第20条の2第1項
注文者は、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、契約の締結までに、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を建設業者に通知しなければならない

施行は令和6年12月13日。比較的新しい条文です。国土交通省ガイドライン第8版(5〜8ページ)は、発注者から受注予定者へ通知すべき事象として、次を挙げています。

「地盤の沈下、地下埋設物による土壌の汚染その他の地中の状態に起因する事象」

そして、「発注者がこれらの情報を把握しているにも関わらず受注予定者に通知しなかった場合、同項に違反する」と明記しています。

あなたの状況 20条の2第1項の下での位置
昔ここに浄化槽があった/井戸を埋めた/灯油タンクがあったのを知っていたのに、業者に言わずに契約した あなたが通知義務に違反している可能性があります。追加費用の負担を業者に押し付ける主張は弱くなります
本当に知らなかった(親が埋めた、記録がない) 通知義務違反にはなりません。「予期することのできない事態」(標準約款乙9条1項3号)として、双方が協議する土俵に乗ります
業者が事前調査をせず、施主も知らなかった 双方に情報がなかったケース。協議で分担を決めるほかありません。ここで契約書の19条1項6号(算定方法)が効いてきます

したがって、「実家の記憶」を思い出して業者に伝えることは、親切ではなく法律上の義務に近いものです。そして、伝えた事実を書面(メールで足ります)で残すことが、後で「言った/言わない」になったときの決定的な差になります。

親から聞いておくべきこと、思い出すべきこと

  • 下水道が来る前、浄化槽か汲み取り式だった時期があるか
  • 井戸があったか。埋めたのはいつか
  • 灯油タンク・ガソリンタンクを地下に置いていたか
  • 増改築の履歴。建て替え前の建物の基礎が残っている可能性
  • 敷地の一部が、以前は農地・池・水路・畑だったか
  • 庭に大きな石・庭石・池・立派な樹木の根株があるか
  • 近所に「昔ここに何があったか」を覚えている人がいるか
知っていたかどうかで、立場が変わる 浄化槽や井戸があったのを知っていましたか はい 通知義務違反かも 主張が弱くなります いいえ 違反にならない 協議の土俵に乗ります

6. 業者の適格性──許可と登録は別物

追加請求の妥当性以前の話として、そもそも解体を頼む相手が法律上の資格を持っているかを確認しておく価値があります。ここには落とし穴があります。

500万円未満なら建設業許可は不要。だが解体工事業登録は必要

建設業法3条1項ただし書と施行令1条の2により、請負代金500万円未満の工事に建設業許可は要りません。ここで話が終わると思われがちですが、続きがあります。

建設リサイクル法第21条第1項
解体工事業を営もうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。ただし、建設業法の許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)を受けた者は、この限りでない

つまり、実家の解体を頼む相手は、「建設業許可(土木・建築・解体のいずれか)を持っている」か「解体工事業の登録を受けている」かのどちらかでなければなりません。どちらもない業者は、無登録営業です。

解体を頼む相手は、どちらかが必要 建設業許可 土木・建築・解体のいずれか どちらか 解体工事業登録 都道府県知事の登録(リサイクル法21条) どちらか どちらもない 無登録営業になります 頼まない 500万円未満なら許可は不要。でも登録は必要です

登録簿は法律で「一般の閲覧に供しなければならない」と決まっている

建設リサイクル法第26条
都道府県知事は、解体工事業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。

これは「見せてもらえたらありがたい」ではなく、あなたに与えられた法定の閲覧権です。岐阜県は根拠として本条を明示したうえで閲覧所の場所と時間を公開し、「解体工事業登録業者一覧」のPDFも掲載しています。神奈川県・東京都にも同様のページがあります。

国交省の検索システムに解体工事業登録は入っていません

国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で建設業許可は確認できますが、解体工事業登録はこのシステムに含まれていません。登録のみの業者を確かめたい場合は、所在地の都道府県の登録簿にあたる必要があります。

契約の分割による許可逃れにも条文がある

建設業法施行令1条の2第2項は、同一の業者が2以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の請負代金の額を合計すると定めています。「解体工事」と「地中障害物撤去」を別契約に分けても、正当な理由がなければ合算です。分割自体が問題になりうる場面です。

【PR】

この記事の10章を実行するいちばん簡単な方法は、契約前に複数社から取ることです

地中埋設物でもめる原因のほとんどは、契約書に「算定方法」が書かれていないことです(建設業法19条1項6号)。解体工事一括netは、複数の解体業者から見積りを取り寄せられるサービスです。複数社に同じ条件で見積りを出させると、「地中の状態は不明」という条件をどう扱うかが会社ごとに見えます。そこがこの記事でいちばん重要な比較点です。

①申し込むと複数の業者から連絡が来ます。②見積りを取るときは、この記事の10章の6項目を必ず伝えてください。とくに「地中障害物が出た場合の単価表を契約書に入れられるか」。ここを嫌がる会社は、後でもめます。③解体補助金は契約前・着工前の申請が原則です(全国の解体補助金一覧)。④最安値が最善とは限りません。建設リサイクル法13条の「解体工事に要する費用」「再資源化等に要する費用」を分けて書いてくれる会社を選んでください。⑤このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによって見積額が上がることはありません。

解体工事一括netで見積もりを比べる(無料)

あわせて、あなた自身が知っている地中の情報を書き出してください。浄化槽・井戸・灯油タンク・増改築の履歴。これを契約前に伝えるのは、親切ではなく建設業法20条の2第1項の義務です。

7. 出てきた物ごとの法定手続

追加請求の中には、正当なものもあります。とくに浄化槽は、単なる掘削・撤去とは別に工程があります。「別費用が発生すること自体には合理性がある」ケースを見分けられるようにしておきましょう。

浄化槽──廃止届は施主の義務。30日以内

浄化槽法第11条の3(廃止の届出)
浄化槽管理者は、当該浄化槽の使用を廃止したときは、環境省令で定めるところにより、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない

届け出るのは「浄化槽管理者」であって、解体業者ではありません。浄化槽管理者は通常、浄化槽の所有者・使用者、つまり施主または相続人です。実務上は業者が代行できますが、義務者はあなたです。誰が出すかを契約で決めておいてください。

なお、条番号に注意が必要です。令和元年改正で条番号が動いており、11条の2は「使用の休止の届出等」(任意)、11条の3が「廃止の届出」(義務・30日以内)です。空き家になったが解体はまだ、という段階が休止、解体して撤去したら廃止、という整理になります。

大分市は、浄化槽の解体・撤去の手順を公式サイトで具体的に示しています。

段階 大分市の記載内容
① 解体前の最終清掃(必須) 市の許可を受けた浄化槽清掃業者に依頼し、槽内の汚泥等の引き抜き、洗浄および消毒を実施
② 解体・撤去工事 廃プラスチック類・金属くずは廃棄物として適正処分。埋め戻しは砂などの良質土で、転圧不足による沈下が生じないよう十分に転圧
③ 届出 解体・撤去後30日以内に「浄化槽使用廃止届出書」を提出
④ 警告 「汚泥等を地下に埋めたり浸透させることは不法投棄となります」

ここから、請求の妥当性を見る3つの証跡が導けます。①最終清掃の領収書と清掃業者名、②撤去した槽の廃棄物処理の記録、③埋戻し材と転圧の仕様。「安く済ませるので埋め殺します」という提案は、汚泥を地中に残すことになり、不法投棄に該当しうると大分市は明示しています。そして転圧不足は、後の地盤沈下=契約不適合につながります。

井戸──法律ではなく条例・要綱を見る

埋め戻し方法を定めた全国一律の法律上の義務は、確認できませんでした。一方で、地下水採取規制の条例・要綱にもとづき「廃止の届出」を求める自治体は存在します。

自治体 手続
宇都宮市(栃木県要綱) 「揚水施設廃止届出書」を廃止後30日以内に提出
茅野市(長野県) 吐出口断面積6㎠以上の井戸は廃止届。「井戸を廃止するとき。ただちに原状回復すること」と明記
千葉県 「許可井戸を廃止したときは届出が必要です。」

なお、家庭用の飲用・散水の井戸が工業用水法・ビル用水法の規制対象になることは通常ありません。これらの法律の対象は工業用、あるいは冷暖房・水洗便所・洗車・公衆浴場用で、いずれも吐出口断面積6㎠超という要件が付きます。ただし条例・要綱は用途を問わず届出を求めることがあります。埋める前に、市区町村の環境課へ一本電話してください。要綱ベースの自治体もあり、条例集を検索しても出てこないことがあります。

地下タンク──届出先は消防

灯油・ガソリンの地下タンクは、消防法12条の6(危険物施設の用途廃止届)または9条の4+市町村火災予防条例(少量危険物)の対象になりえます。指定数量はガソリン200L、灯油・軽油1,000L(危険物政令別表第三)。この境目で扱いが変わるため、所轄の消防署に届出の要否を確認してください。

土壌汚染──普通の戸建て解体では法の調査義務に該当しない

土壌汚染対策法4条の届出義務がかかる形質変更の面積要件は、通常の土地で3,000㎡以上、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場・事業場の敷地で900㎡以上です。一般的な戸建て住宅の敷地はこれを大きく下回ります。3条の契機も「有害物質使用特定施設の使用の廃止」であり、住宅は該当しません。

「土対法があるので調査費が要ります」と言われたら

根拠条文を示してもらってください。該当しうるのは、敷地が3,000㎡以上ある場合(旧農家、複数筆をまとめた土地など)、敷地内にクリーニング店・めっき工場・印刷所・ガソリンスタンドなどが併設されていた場合、自治体の上乗せ条例がある場合です。

なお「地中から油の匂いのする土が出た」ことと「土壌汚染対策法の調査義務が生じる」ことは別問題です。法の義務がないからといって汚染土壌の処理費が発生しないわけではなく、それは契約と実費の問題になります。

8. 更地にして売った後に言われたとき

実家を解体して更地にし、売却した後で、買主から「地中から出た、撤去費を負担しろ」と言われるケースがあります。解体時とは別の条文が働きます。

起算点は「引渡しから」ではなく「知った時から」

民法第566条
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない

地中埋設物は、買主が造成や新築のために掘って初めて分かることが多いものです。引渡しから何年も経ってから「知った」となる可能性があり、売主にとっては期間制限が事実上長くなりえます。

免責特約は有効。ただし「知りながら告げなかった事実」には効かない

民法第572条
売主は……担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない

これが実家の売却でいちばん重要な一文です

「地中に浄化槽があったのを知っていた」「昔井戸を埋めた記憶がある」「以前ガソリンスタンドだった」。これを知りながら買主に告げず、免責特約を付けて売った場合、民法572条により、その事実については免責されません。

「免責特約を入れたから大丈夫」ではありません。知っていることを全部書いて渡すことが、免責特約を実際に機能させる唯一の方法です。

告知書は面倒な書類ではなく、免責を確保する唯一の道具

告知書(物件状況等報告書)は、宅建業法35条の法定説明事項ではありません。国土交通省の重要事項説明様式に告知書は含まれておらず、様式・記載事項を国が法定したものも確認できませんでした。実務上は媒介業者が売主に記入を求める書面で、その根拠は法律ではなく実務慣行です。

ですから、告知書の法的な意味は一点に集約されます。民法572条の「知りながら告げなかった事実」に該当しないための証拠になる、ということです。記憶レベルであっても、地中について知っていることは全部書いてください。

なお、宅建業法35条1項の法定説明事項に「地中埋設物」という項目はありませんが、土壌汚染対策法の要措置区域・形質変更時要届出区域は、35条1項2号(法令に基づく制限)として説明対象です。区域指定を受けた土地かどうかと、たまたま埋設物があるかどうかは、法律上まったく別に扱われます。

また、宅建業法40条(不適合責任の特約制限・2年以上)は「宅地建物取引業者が自ら売主となる」場合の規制です。個人が売主で、宅建業者が仲介しているだけの取引には適用されません。実家の売却の多くは後者であり、その場合は民法572条の枠組みで判断します。

9. 決裂したときの相談先

建設工事紛争審査会──個人が実際に使っている制度

建設業法25条にもとづき、建設工事の請負契約に関する紛争を扱う機関です。国土交通省は、扱う紛争の例として「請負人が注文者に対して追加変更工事代金の支払を求める紛争」を明示的に挙げています。この記事のテーマそのものです。

あっせん 調停 仲裁
審理回数 原則1回(約2時間程度) 3〜5回程度 書面のやりとりを経て審理
相手方の同意 一方の申請で開始(合意成立には双方の同意が必要) 同左 仲裁合意が必須
効力 和解書=民法上の和解 調停書=民法上の和解 裁判所の確定判決と同一の効力
手数料(100万円まで) 10,000円 20,000円 50,000円
通信運搬費の予納 10,000円 30,000円 50,000円

令和7年度の申請件数は全国116件。そのうち41件が「個人発注者から請負人への請求」でした。紛争類型の最多は工事瑕疵で41件。事業者間の紛争専用の制度ではありません。

申請先は、相手の業者の許可の種類で決まります(建設業法25条の9)。国土交通大臣許可なら中央、都道府県知事許可ならその都道府県、建設業許可がない業者(解体工事業登録のみ等)なら工事現場のある都道府県の審査会です。

仲裁を選ぶ前に

あっせん・調停は「民法上の和解」にとどまり、相手が応じなければ打切りです。確定判決と同じ強制力が欲しいなら仲裁ですが、仲裁合意(=訴訟しない約束)が必要で、後から裁判所に持ち込めなくなります。

また、あっせん手続をそのまま調停に変更することはできません。調停を行うには別途申請が必要です。最初にどれを選ぶかを決めてから申請してください。

消費者ホットライン188と、駆け込みホットライン

188は全国共通の番号で、郵便番号を入力すると近くの消費生活センターにつながります。土日祝日も、施設点検日と年末年始を除いて原則毎日利用できます。契約の問題全般について中立の助言をもらう入口として使ってください。

国土交通省の「駆け込みホットライン」(0570-018-240、平日10:00〜12:00・13:30〜17:00、オンラインフォームは24時間)は、紛争を解決する窓口ではなく、建設業法違反を行政に通報する窓口です。契約書面を交付されなかった(19条1項違反の疑い)、書面の変更契約なしに請求された(19条2項違反の疑い)、見積り条件も見積期間も与えられなかった(20条3項違反の疑い)といった場合が該当します。

この窓口はあなたの金銭紛争を解決しません。ですが、「建設業法19条2項に違反していると考えるので、駆け込みホットラインに相談する」と伝えること自体が、書面での変更契約に応じさせる交渉材料になります。

10. これから頼む人へ──契約前にできる13のこと

ここまでの内容は、すでに請求を受けた人向けでした。これから解体を頼む段階なら、防げます。

順 やること 根拠
1 建設業許可か解体工事業登録のどちらかを持っているか確認 建設業法3条1項/建設リサイクル法21条1項
2 許可は国交省の検索システム、登録は都道府県の登録簿で確認 建設リサイクル法26条
3 知っている地中の情報を、契約前に書面(メール可)で伝える 建設業法20条の2第1項
4 見積依頼時に「地中の状態は不明」と明示し、見積期間を与える(500万円未満なら1日以上) 建設業法20条3項/施行令6条
5 契約書に19条1項各号がすべて記載されているか確認。特に6号(算定方法) 建設業法19条1項
6 地中埋設物が出た場合の取り決めを、契約前に書面に入れる 建設業法19条1項6号/標準約款乙9条4項
7 解体費用と再資源化等費用を分けて書かせる。搬入先施設の名称と所在地も 建設リサイクル法13条1項
8 80㎡以上なら、着工7日前までの都道府県知事への届出は施主の義務 建設リサイクル法10条1項
9 浄化槽の廃止届(30日以内)は施主の義務。誰が出すか契約で決める 浄化槽法11条の3
10 井戸があるなら市区町村の環境課に廃止届の要否を確認 各自治体の条例・要綱
11 地下タンクがあるなら消防への届出の要否を確認 消防法12条の6/9条の4
12 完了後、建設リサイクル法18条1項の書面報告を受け取る 建設リサイクル法18条1項
13 建物滅失登記を1か月以内に申請する 不動産登記法57条(怠ると10万円以下の過料・164条1項)

この記事でいちばん実用的な提案──6項目の覚書

建設業法19条1項6号は、「請負代金の額の変更……及びそれらの額の算定方法に関する定め」を契約書面の記載事項としています。つまり「算定方法」を契約前に決めておくことは、法が想定している姿です。

  • どこまでが当初の「工事内容」に含まれるか。例:地表からGL−○mまでの旧基礎の撤去は含む
  • 発見時の手順。「発見したら直ちに書面(写真つき)で通知し、施主の書面による指示があるまで当該部分の作業を進めない」
  • 数量の確認方法。発見時点で施主または第三者が立ち会い、位置・寸法・数量を写真と実測で記録する
  • 単価の算定方法。撤去m³あたり、運搬・処分tあたりの単価を、当初契約書に単価表として入れておく
  • 一定額を超える場合の扱い。「追加額が○円を超える見込みのときは、着工前に書面で変更契約を締結する」「施主は工事の中止・範囲の変更を選択できる」
  • 処分の証跡。マニフェストの写しの提出、搬入先施設名

この6項目を、契約前の1枚の覚書に入れておくだけで結果が変わります。「工事の途中で言われた◯◯万円」が、「契約書の単価表に従った金額かどうか」という、検算可能な問題に変わるからです。

支払を保留すると、滅失登記の期限に追われます

建物滅失登記の申請には、通常、解体業者が発行する取毀証明書(建物滅失証明書)が必要になります。追加費用でもめて支払を保留していると、業者が証明書を出さないという事態がありえます。

不動産登記法57条の1か月という期限と、164条1項の過料がある以上、これは施主にとって時間的なプレッシャーになります。支払と取毀証明書の交付のタイミングを、契約書の「引渡しの時期」「支払の時期及び方法」とあわせて決めておいてください。

【PR】

壊す前に、「壊さずに売れないか」を1回だけ確かめる

地中に何が埋まっているか分からない土地は、解体を始めてから金額が動きます。その不確実性を自分で引き受けず、そのまま買い取ってもらうという選択肢があります。ラクウル(株式会社ネクサスプロパティマネジメント/国土交通大臣(1)第10311号)は、空き家・中古戸建てを現況のまま日本全国で買い取っている会社です。解体してから売るのと、現況で売るのと、金額を並べてから決められます。

①買取価格は、更地にして仲介で売る場合より低くなることがあります。ただし解体費と地中障害物のリスクを負わずに済みます。両方の数字を出してから比べてください。②申し込むと担当者から連絡が入り、物件の状況を聞かれます。LINEからの申込は対象外です。③当サイトはこの会社の査定額や対応を確認していません。④このリンク経由の申込で、当サイトは広告収入を受け取ります。それによって買取価格が下がることはありません。

ラクウルで買取価格を出してもらう(無料)

解体費の見積りと、この買取価格の2つが並んで初めて判断できます。どちらか片方だけで決めると、後から「もう一方はいくらだったのか」が分からなくなります。

よくある質問

地中から出たので追加費用、と言われました。払わないといけませんか

契約書次第です。まず、その撤去が当初契約の「工事内容」に含まれているかを見てください(建設業法19条1項1号)。含まれているなら追加代金は生じません。含まれていないなら、着工前に書面の変更契約を交わしたかどうかが次の争点になります(同19条2項)。工事が終わってから請求書だけが来たのなら、法定の手続を踏んでいません。ただし、支払を一方的に拒むのは推奨しません。正しい対応は「払わない」ではなく「着工前に、書面で、算定根拠を示して協議する」です。

契約書がありません。口約束でした

建設業法19条1項は「請負契約の当事者は」書面を相互に交付しなければならないと定めており、500万円未満でも、許可のない業者でも適用されます。書面がない時点で、業者側に19条1項違反の疑いがあります。この事実は交渉材料になりますし、国土交通省の駆け込みホットラインへの情報提供対象でもあります。ただし「契約書がない=払わなくてよい」ではありません。工事内容の合意があったこと自体は、見積書・メール・写真などから認定されえます。

業者が「産業廃棄物なので費用がかかる」と言っています

「産業廃棄物である」という説明は正しいです。解体に伴って出たコンクリート片は廃掃法施行令2条9号のがれき類、木くずは2条2号です。ですが、そこから「だから施主が追加で払う」は出てきません。廃掃法21条の3が決めているのは「誰が排出事業者としての義務を負うか」(=元請業者)であって、費用負担ではありません。費用は契約が決めます。

マニフェストを見せてもらえますか

廃掃法上、施主にマニフェストを交付する義務はありません。交付義務は排出事業者(元請)から処理受託者に対するものです(12条の3第1項)。ただし、床面積80㎡以上の解体なら建設リサイクル法18条1項により、元請業者が発注者に書面で完了報告する法的義務があります。これは必ず受け取ってください。マニフェストの写しが欲しい場合は、契約書に「写しの提出」と書いておけば債権として請求できます。

浄化槽の撤去に別料金がかかると言われました

これは合理性がある場合が多い請求です。浄化槽の撤去には、掘削・撤去とは別に「市の許可を受けた浄化槽清掃業者による最終清掃(汚泥の引抜き・洗浄・消毒)」という工程があり、解体業者とは別の業者の仕事だからです。確認すべきは金額の妥当性ではなく、証跡です。最終清掃の領収書と清掃業者名、撤去した槽の廃棄物処理の記録、埋戻し材と転圧の仕様。なお、廃止届(30日以内)はあなた自身の法的義務です(浄化槽法11条の3)。

浄化槽を埋め殺しにすれば安く済みますか

やめてください。大分市は公式サイトで「汚泥等を地下に埋めたり浸透させることは不法投棄となります」と明示しています。廃掃法16条の投棄禁止は「何人も」が名宛人で、施主も含まれます。加えて、槽を残したまま転圧が不十分だと、後から地盤が沈下します。その土地を売るときには、民法572条の「知りながら告げなかった事実」になります。安くなった分は、売却時にそれ以上のかたちで返ってきます。

井戸を埋めるのに届出は必要ですか

自治体によります。埋め戻し方法を定めた全国一律の法律は確認できませんでしたが、地下水採取規制の条例・要綱で「廃止の届出」を求める自治体は存在します。宇都宮市は廃止後30日以内の届出、茅野市は「ただちに原状回復すること」と明記、千葉県は許可井戸の廃止届が必要としています。要綱ベースの自治体もあり、条例集を検索しても出てこないことがあります。埋める前に、市区町村の環境課へ電話するのが確実です。

土壌汚染の調査が必要と言われました

根拠条文を示してもらってください。土壌汚染対策法4条の届出義務は、通常の土地では形質変更3,000㎡以上が要件です。一般的な戸建ての敷地は大きく下回ります。3条の契機も「有害物質使用特定施設の使用の廃止」で、住宅は該当しません。該当しうるのは、敷地が3,000㎡以上ある、敷地内にクリーニング店やめっき工場・ガソリンスタンド等が併設されていた、自治体の上乗せ条例がある、といった場合です。

更地にして売った後、買主から撤去費を請求されました

2つを確認してください。1つは、契約に契約不適合責任の免責特約があるか。個人が売主なら原則有効です。もう1つは、あなたが地中のことを知っていて告げなかったか。民法572条により、知りながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れません。また、買主の権利行使期間は「引渡しから」ではなく「不適合を知った時から1年」です(566条)。掘って初めて分かる地中埋設物では、この起算点が遅くなりえます。

解体業者に建設業許可がありません。違法ですか

500万円未満の工事なら、建設業許可は不要です(建設業法3条1項ただし書・施行令1条の2)。ただし、それとは別に「解体工事業の登録」が必要です(建設リサイクル法21条1項)。許可も登録もない業者は、無登録営業です。登録の有無は、建設リサイクル法26条により都道府県が登録簿を一般の閲覧に供する義務を負っているので、確認できます。国交省の検索システムには解体工事業登録が入っていないので、そちらでは確認できません。

話し合いで決着しません。どこに行けばいいですか

建設工事紛争審査会です。あっせんなら手数料10,000円(100万円まで)+通信運搬費10,000円、原則1回・約2時間で、国土交通省は扱う紛争の例に「請負人が注文者に対して追加変更工事代金の支払を求める紛争」を挙げています。令和7年度は全国116件のうち41件が個人発注者からの申請でした。申請先は、相手が国土交通大臣許可なら中央、都道府県知事許可ならその都道府県、許可がないなら工事現場のある都道府県です。並行して、消費者ホットライン188も使えます。

この記事で確認できなかったこと

  • 地中障害物・浄化槽・井戸・地下タンクの撤去費用の相場。官公庁の一次情報に、民間住宅の解体における地中障害物撤去の相場を示す資料は見つかりませんでした。国交省官庁営繕の積算基準・共通仕様書は存在しますが、公共建築工事向けであって民間住宅の相場ではありません。したがって本記事には金額を一切書いていません。
  • 地中から掘り出した「過去に埋められた廃棄物」の排出事業者は誰か。廃掃法21条の3第1項は「建設工事に伴い生ずる廃棄物」を対象としますが、掘削で出土した古い廃棄物がこれに含まれるかを明示した環境省の一次情報は見つかりませんでした。金額が大きい場合、この点自体が交渉材料になりえます。
  • 民間建設工事標準請負契約約款(乙)の契約不適合責任の条番号。取得した情報に食い違いがあり、特定できませんでした。実際の約款PDFで直接ご確認ください。
  • 建設業法19条の3(不当に低い請負代金)が個人施主に適用された実例。「自己の取引上の地位を不当に利用して」の要件が一般個人の発注者との間で満たされるかを示す一次情報は見つかりませんでした。ガイドラインの想定は事業者間取引が中心と読めます。
  • 建設業法20条の2第1項の「事象」を定める国土交通省令の条番号。ガイドラインの記述は確認できましたが、施行規則の具体的な条番号は特定できませんでした。
  • 国民生活センターの解体工事に関する公表資料・相談件数・手口。周辺分野(住宅リフォーム)には公表資料がありますが、解体工事・地中埋設物に特化したものは発見できませんでした。件数を書けないので書いていません。
  • 告知書(物件状況報告書)の法定様式・記載事項。国交省が様式・記載事項を定めた一次情報は確認できませんでした。
  • 井戸の埋め戻しの技術基準を定めた法令。全国一律の法令上の埋戻し義務・技術基準は確認できませんでした。
  • 浄化槽の「埋め殺し」を禁じる法令。「必ず撤去せよ」という条文は確認できませんでした。大分市の指導内容までは確認しています。自治体により指導が異なる可能性が高いです。
  • 各自治体の土壌汚染に関する上乗せ条例。網羅的な確認はしていません。所在自治体で個別にご確認ください。
  • 建物滅失登記に取毀証明書が必要とする条文上の根拠。実務上必要とされることは広く知られていますが、条文レベルでの根拠は確認していません。
  • 建設工事紛争審査会の、申請から終了までの標準的な期間。審理回数は確認できましたが、期間を示す一次情報は見つかりませんでした。
  • 文化財保護法上の埋蔵文化財の手続。標準約款が「埋蔵文化財の発掘」を挙げていることは確認しましたが、届出義務・費用負担については調査していません。

まとめ

  1. 「地中障害物が出たら施主が払う」という法律の条文は存在しません。法律が決めるのは責任者と手順、費用負担を決めるのは契約です。
  2. 地中障害物は「想定外」ではありません。国の標準約款(乙9条1項3号/甲16条1項3号)に名指しで書かれ、手順まで決まっています。
  3. 追加工事は「着工前に書面で変更契約」が法定の手続です(建設業法19条2項)。工事後に請求書だけが来たなら、手続を踏んでいません。
  4. 契約書の19条1項6号「額の算定方法」が、追加請求を検算できるかどうかを決めます。ここが空欄なら、その契約書は法定記載事項を満たしていません。
  5. 施主にも通知義務があります。知っている地中の情報は契約前に伝える(建設業法20条の2第1項)。知っていて黙っていたら、立場が逆転します。
  6. 浄化槽の廃止届(30日以内)は施主自身の法的義務です(浄化槽法11条の3)。業者に丸投げできる性質のものではありません。
  7. 「埋め殺し」は不法投棄になりえます。廃掃法16条の名宛人は「何人も」で、施主も含まれます。
  8. 解体業者は「建設業許可」か「解体工事業登録」のどちらかが必須。登録簿は都道府県が一般の閲覧に供する義務を負っています(建設リサイクル法26条)。
  9. 更地にして売った後は民法572条が効きます。知っていたことは告知書に全部書く。それが免責特約を機能させる唯一の方法です。
  10. 決裂したら建設工事紛争審査会。あっせん10,000円から。令和7年度は全国116件中41件が個人発注者からの申請でした。
  11. いちばん効くのは、契約前の6項目の覚書です。単価表を先に決めておけば、「言われた金額」が「検算できる金額」に変わります。

あわせて読みたい

お住まいの自治体で調べる