解体してから建てるまでに、期限があります|水道加入金326自治体を調べたら、横浜は3年・札幌は1年で、過ぎるともう一度満額でした

実家を壊して、同じ土地に建て直す。このとき、水道をもう一度引く扱いになって、加入金をもう一度払うことがあります。金額は数万円から45万円まで。建築会社の見積書には「別途」としか書かれていないことがあり、あとから出てきます。

この連載では、当サイトが自分で調べた数字だけを使います。今回は水道加入金326自治体のデータです。2026年8月16日から24日にかけて、各水道事業者の公式ページと例規集の条文を1件ずつ開いて記録しました。

調べてみて、いちばん驚いたのはここでした。

解体してから建て直すまでに、期限を切っている自治体があります。横浜市は3年、札幌市・枚方市・茨木市は1年。この期間を過ぎてから引き直すと、控除が受けられません。

実家じまいでは、この期間はふつうに空きます。相続の登記、遺品の片づけ、兄弟との話し合い。解体だけ先に済ませて、建てるかどうかは後で決める。そういう進め方をしたときに、静かに数十万円が乗ります。

この記事の数字がどこから来ているか

全国の水道事業者のうち、当サイトが確認できた326自治体を対象にしています。市区町村ごとに、次のものを公式ページと例規集で読みました。

  • 加入金にあたる制度があるかないか
  • その制度の正式な呼び名
  • 口径13mm・20mm・25mm・30mm・40mmの金額
  • 金額が税込表示か税抜表示か
  • 建て替えのときにどう扱われるか(条文の該当箇所まで)

確認日は1件ずつ記録してあり、2026年8月16日から8月24日の間に収まっています。各自治体のページに確認日を書いています。

推計はしていません。他サイトからの引き写しもしていません。条文が見つからなかったものは「見つからなかった」と書いています。この記事でいちばん多い分類が、実はそれです。

建て替えで、もう一度払うのか

326自治体を、建て替えのときの扱いで7つに分けました。

建て替えのときの扱い(326自治体) 既設分を差し引く116 規定を見つけられず102 口径が同じなら不要60 制度そのものがない28 未確認15 期限内なら不要4 全額かかる1
建て替えのときの扱い 自治体数 割合
既設分を差し引いて計算する 116 36%
規定を見つけられなかった 102 31%
口径を変えなければ徴収されない 60 18%
そもそも制度がない 28 9%
未確認 15 5%
期限内に引き直せば徴収されない 4 1%
引き直すと全額かかる 1 0.3%

「もう一度満額を取られる」と条文で確認できたのは、326自治体のうち1つだけでした。ほとんどの自治体は、既設分を引くか、口径が同じなら取らない扱いにしています。

ただし、ここを読み違えないでください。いちばん多い116件の次に多いのは「制度あり」ではなく、「控除の規定を見つけられなかった」102件です。326自治体のうち3割は、公式ページと例規集を開いても、建て替えのときにどうなるかが書かれていませんでした。「書いていない=取られない」ではありません。窓口に聞くしかない、という意味です。

「そもそも制度がない」28件の内訳も書いておきます。加入金にあたる制度そのものが置かれていないのが26自治体(東京都の16、栃木2、茨城2、静岡2、北海道1、岐阜1、大阪1、愛媛1)。残り2件は性質が違います。千葉県芝山町は加入金ではなく給水装置工事費の実費だけ。大阪市は「分担金」がありますが75mm以上の口径にしかかからないため、一般住宅では0円です。

期限がある。横浜は3年、札幌・枚方・茨木は1年

ここが今回いちばん実務に効く話です。

「引き直すなら控除する」と決めている自治体のうち4つは、控除に期限を付けていました。

自治体 期限 20mmの加入金 根拠
神奈川県横浜市 3年 82,500円 施行規程第22条第1項第1号
北海道札幌市 1年 176,000円 施行規程第19条第2号
大阪府枚方市 1年 160,160円 分担金徴収規程第3条第1号
大阪府茨木市 1年(読み方に注意) 154,000円 施行規程第33条第1項第1号

横浜市 — 撤去の完了検査日から3年

撤去工事の完了検査日から3年以内に新設工事を申し込めば、撤去工事にかかる加入金相当額が控除されます。土地区画整理事業などにともなう撤去は、「完了検査日」を「換地処分決定日」と読み替えます。

3年は長いように見えますが、相続登記を済ませて、遺品を片づけて、兄弟と話をまとめて、建築会社を決めるところまでで3年は、実家じまいでは珍しくありません。

札幌市 — 撤去のしゅん功から1年

撤去の承認を受けたあと、撤去工事のしゅん功から1年以内に新設または改造を申し込めば徴収されません。口径を上げた場合はその差額だけ。撤去したメーターが16mmのときは20mmとみなす、という規定もあります。

札幌市の20mmは176,000円です。1年を過ぎると、この額がそのままかかります。

枚方市 — 明文で「みなさない」と書いてある

枚方市は、条例で徴収対象を「給水装置の新設又は増径工事の申込者」と定めたうえで、徴収規程で「既設の給水装置を撤去して1年以内に別の給水装置を新設する場合」は新設または増径が行われたものとみなさないと正面から書いています。

ここまではっきり書いてある自治体は、326件のなかでも少数です。

茨木市 — 「1年以内なら取らない」とは書かれていない

茨木市はやや事情が違うので、そのまま書きます。

条例の徴収対象は「給水装置の新設、増設又は改造(メーターの口径を増径する場合に限る)」で、口径を変えない改造は対象外です。そのうえで施行規程が「既設の給水装置を撤去し、1年以内に別の給水装置を新設しない場合」を新設とみなすと定めています。

つまり「1年以内に引き直せば新設とみなされない」というのは、この条文の反対解釈です。「1年以内なら徴収しない」と正面から書いた条文は見つけられませんでした。茨木市で建て替える予定があるなら、工務課に確認してください。当サイトはここを「確認済み」とは書きません。

引き直すと全額かかると条文で確認できたのは、全国で1つだけだった

大阪府高槻市です。

高槻市の条例は、徴収対象を「給水装置を新設し、増設し、又は改造しようとする者」としています。他市によくある「口径を増す場合に限る」という限定が付いていません。そのうえで、施行規程がこう定めています。

給水装置を撤去し、その後新たに給水装置を設けるときは、新設として加入金を徴収する

撤去して同じ口径で引き直しても、全額です。控除も免除もありません。高槻市の20mmは143,000円(税抜表示)。建て替えのたびにこの額がかかります。

326自治体を1件ずつ見て、この扱いだったのは高槻市だけでした。ただし「1件しかない」と言えるのは、規定を確認できた181自治体のなかでの話です。控除の規定を見つけられなかった102自治体のなかに、同じ扱いの自治体が隠れている可能性は残っています。

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解体を発注する前に、壊す費用の桁を確かめる

期限のある自治体では、解体した日から時計が動き始めます。いつ解体を発注するかは、水道の加入金にも効いてきます。そしてその前に、壊すのにいくらかかるのかが分かっていないと、建て替えの総額が出ません。木造30坪で100万円を超えるのがふつうで、加入金より桁が1つ大きい費用です。

①同社サイトには「ご利用は無料。ご成約後の請求も一切ございません」と書かれています。
②同社は「契約まで、業者からご連絡がいくことはございません」と説明しています。
③申し込みには物件の情報と写真が要ります。遠方の実家で写真が手元にないなら、次に帰ったときに外観と傷んでいる箇所を撮っておいてください。
④解体する予定がないなら申し込まないでください。重複した申込や、連絡先が実在しない申込は無効と明記されています。
⑤1社の見積りだけで決めないでください。地元の解体業者にも自分で1社あたって、金額の桁が合っているかを確かめてください。
⑥解体補助金を使う予定があるなら、契約・着工の前に自治体へ申請してください。着工後の申請は原則として通りません。

解体の窓口で、無料シミュレーションを試す

見積書のどこを見るかは、この記事の見積書の章に戻って確認してください。お住まいの自治体の制度を先に調べておくと、受付期間に間に合うかどうかも一緒に分かります。

同じ20mmで、14倍の開きがある

金額そのものも見ておきます。戸建ての標準的な口径である20mmで、金額を確認できたのは297自治体でした。

20mmの加入金(297自治体) 最安 32,010円(静岡・島田市) 中央値 165,000円 最高 451,000円(千葉・5市町) 最安と最高の差は14.1倍。棒は金額に比例。
口径 金額を確認できた数 中央値 最安 最高
20mm 297 165,000円 32,010円(静岡・島田市) 451,000円(千葉・東金市ほか4市町)
13mm 296 110,000円 20,240円(静岡・島田市) 250,800円(埼玉・春日部市)

451,000円は、千葉県の5市町でぴたりと一致しています。東金市・山武市・九十九里町・横芝光町・大網白里市。同じ広域の水道事業体だと思われますが、そこまでは確認していないので断定はしません。

県をまたぐより、県のなかのほうが開いていることがある

「関東は高くて地方は安い」という話ではありません。同じ県のなかで10倍違います。

県 収録数 県内の中央値 県内の最安 県内の最高 開き
静岡県 33 89,100円 島田市 32,010円 函南町 320,000円 10.0倍
群馬県 34 119,900円 上野村 40,000円 嬬恋村 345,714円 8.6倍
茨城県 42 176,000円 日立市 66,000円 境町 341,000円 5.2倍
千葉県 53 297,000円 旭市 100,000円 東金市 451,000円 4.5倍
神奈川県 33 132,000円 横浜市 82,500円 松田町 308,000円 3.7倍
埼玉県 31 242,000円 さいたま市 110,000円 新座市 385,000円 3.5倍
愛知県 24 126,500円 名古屋市 66,000円 犬山市 229,900円 3.5倍

県で見た平均は、自分の負担額と関係がありません。隣の市の金額も関係ありません。自分の市区町村を1件だけ見てください。

「加入金」で検索しても、自分の自治体が出てこない理由

調べていて、これが一番厄介でした。

この制度の呼び名は、326自治体で69種類ありました。

呼び名 自治体数
加入金 59
水道加入金 49
水道利用加入金 44
給水申込納付金 31
加入分担金 18
分担金 16
加入負担金 13
給水申込加入金 8
給水加入金 4
そのほか(60種類) 84

制度がある300自治体のうち、73自治体は名前に「加入」の2文字が入っていません。給水申込納付金、分担金、給水申込負担金、布設費分担金、新規給水負担金、水道施設分担金、受益者分担金——。

「◯◯市 水道 加入金」で検索して何も出てこなかったとき、制度が無いのではなく、名前が違うだけのことがあります。4件に1件がそうです。

金額の大きい自治体ほど、この傾向がありました。埼玉県春日部市は「分担金」で250,800円、大阪府枚方市も「分担金」で160,160円、千葉県旭市は「給水申込納付金」です。

調べるときは、「加入金」ではなく「給水条例」で探してください。制度の名前が何であれ、根拠はその自治体の給水条例にあります。

3分の2は税抜で書いてある。請求は1割増える

もうひとつ、金額を見るときの落とし穴です。

公式ページの表示 自治体数
税抜で書いてある 169
税込で書いてある 108
どちらか判別できなかった 49

税抜と税込を判別できた277自治体のうち、6割は税抜表示でした。公式ページに「143,000円」と書いてあっても、請求は157,300円になります。

当サイトの各自治体のページには、その自治体が税抜表示か税込表示かを、条文のどこにそう書いてあるかまで含めて記録しています。判別できなかった49件は「確認できず」と書いています。

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加入金と引込工事が「込み」か「別途」かは、見積りを並べると分かります

この記事で見たとおり、20mmの加入金は32,010円から451,000円まで、14倍の開きがあります。建て替えの見積りでは、この加入金と引込工事を本体価格に含める会社と、別途にする会社があります。同じ条件で複数社のプランを取り寄せると、その扱いの差がそのまま出ます。タウンライフ家づくりは、間取りプラン・資金計画・土地情報を複数社から無料で取り寄せられるサービスです(同社の説明)。全国が対象で、来店は不要です。

先に断っておきます。
①一括で複数社に依頼する形です。1社だけ選ぶとプランは届きません。成果条件がそう決められています。
②土地の条件や地域によっては、紹介できる会社が見つからないことがあります。その場合はプランが届きません。
③届くのは「間取りプラン」と「概算の資金計画」であって、確定した金額ではありません。

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この数字を、自分の実家に当てはめる手順

ここまでが全国の話です。あなたに関係があるのは、実家がある1つの市区町村の数字だけです。

  1. 当サイトの水道加入金データベースで、実家の市区町村を探す。収録していれば、金額・呼び名・建て替えのときの扱い・条文の場所・確認日がそのまま出ます。
  2. 収録がなければ、「◯◯市 給水条例」で検索する。「加入金」では出ないことがあります。例規集の給水条例を開いて、「加入金」「分担金」「納付金」「負担金」を順に探してください。
  3. 金額の表を見つけたら、税抜か税込かを確認する。条例の附則か、料金ページの注記に書いてあります。
  4. 建て替えの扱いを探す。条例本体ではなく施行規程・施行規則・徴収規程のほうに書かれていることが多いです。「撤去」「廃止」「新設」で本文検索してください。
  5. 見つからなければ、水道局に電話して聞く。326自治体のうち102件は、当サイトでも見つけられませんでした。恥ずかしいことではありません。聞くときは「解体して同じ口径で引き直す場合、加入金はかかりますか。控除や免除の規定はありますか。期限はありますか」と3つまとめて聞いてください。

手順4と5は、解体を発注する前にやってください。期限のある自治体では、解体した日から時計が動き始めます。

このデータの限界

この記事の数字には、はっきりした限界があります。書いておきます。

  • 326自治体は全国のすべてではありません。日本の水道事業者はこれよりずっと多く、当サイトが確認できた範囲がこの326です。全国の傾向としては読めますが、母集団を代表しているとは言い切れません。
  • 「引き直すと全額かかるのは1件だけ」は、規定を確認できた181自治体のなかでの話です。102自治体は規定を見つけられていません。326の0.3%と読まないでください。
  • 金額は改定されます。確認日は2026年8月16日から24日です。申し込む前に、必ず自治体の公式ページを開き直してください。
  • 広域の水道事業体では、市区町村の名前と実際の徴収主体が一致しません。千葉県の5市町で451,000円が一致しているのはその例だと思われますが、企業団の構成まで確認したわけではありません。
  • マンションや事務所は対象外です。この記事は戸建ての建て替えを前提にしています。

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