不動産の囲い込みは違法か|条文で組み立てると、売主が使える手段は3つあります

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最終更新:2026年8月16日

結論だけ先に

  • 囲い込みは「グレー」ではありません。他社から購入の申込みがあったのに売主に伝えないことは、宅地建物取引業法34条の2第8項の報告義務違反です。条文にはっきり書いてあります。
  • 売主には、囲い込みを自分で確かめる手段が3つ、法律上用意されています。登録証明書・レインズの取引状況・定期報告。いずれも業者の義務であって、頼み事ではありません。
  • 「囲い込みが怖いから一般媒介にする」は半分間違いです。一般媒介にはレインズ登録義務も、登録証明書の交付義務も、定期報告義務もありません(法34条の2第5項・6項・9項)。監視する手段を自分で手放すことになります。

条文はすべてe-Govで確認しました。急いでいる方は、下の目次から必要な章だけ読んでください。

囲い込みとは、何が起きていることか

言葉の意味から確認します。

囲い込みとは、売主から売却を依頼された不動産会社が、他社が連れてきた買主を意図的に排除することです。「その物件は商談中です」「もう申込みが入っています」と嘘をついて断る、というのが典型です。

なぜそんなことをするのか。手数料が2倍になるからです。

他社が買主を見つけた場合 自社で買主も見つけた場合
売主からの手数料 入る 入る
買主からの手数料 他社に入る 自社に入る
会社の受取額 1件分 2件分(両手)

3,000万円の物件なら、片方だけで105万6,000円((3,000万円×3%+6万円)×1.1)。両方取れれば211万2,000円です。1件で100万円以上変わるので、動機としては十分に強い。

そして、この間に損をしているのは売主です。本来なら買えたはずの人が排除され、売却期間が延び、値下げに追い込まれます。

両手になると、受取額が2倍になります 他社が買主を見つけた 105万6,000円 自社で買主も見つけた 211万2,000円 3,000万円の物件。1件で100万円以上変わります

囲い込みは違法か──条文を並べると答えは出ます

「囲い込みは違法とは言い切れない」「グレーゾーン」という説明をよく見かけます。当サイトはこの説明を採りません。条文を順番に並べれば、道筋ははっきりしています。

①申込みがあったら、売主に報告する義務がある

媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、当該媒介契約の目的物である宅地又は建物の売買又は交換の申込みがあつたときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければならない。

出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第8項(e-Govで2026年8月16日確認)

「申込みがあったとき」であって、「自社の顧客から申込みがあったとき」とは書かれていません。他社経由の申込みを握りつぶすことは、この条文にそのまま反します。しかもこの義務は専任・専属専任だけでなく、すべての媒介契約に及びます。

②取引の申込みの受付状況は、レインズへの登録事項になっている

法第三十四条の二第五項の国土交通省令で定める事項は、次に掲げるものとする。(中略)二 当該宅地又は建物の取引の申込みの受付に関する状況

出典:宅地建物取引業法施行規則 第15条の11 第二号(e-Govで2026年8月16日確認)

申込みの受付状況を登録することが、省令上の義務として書かれています。実際には申込みが入っていないのに「申込みあり」と登録する、あるいは事実と違う状態にしておくことは、この義務に反します。

③これらは「取引の公正を害する行為」として指示処分に届く

国土交通大臣又は都道府県知事は、(中略)当該宅地建物取引業者に対して、必要な指示をすることができる。(中略)二 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき又は取引の公正を害するおそれが大であるとき。

出典:宅地建物取引業法 第65条第1項第二号(e-Govで2026年8月16日確認)

国土交通省不動産・建設経済局不動産業課の事務連絡(令和6年12月24日)にも、指定流通機構に登録した物件について、取引状況の登録内容が事実と異なる場合は監督処分の対象となる旨が明記されています。

④「うちは他社に紹介しません」という約束は、そもそも無効です

第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。

出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第10項(e-Govで2026年8月16日確認)

レインズへの登録義務(第5項)、登録証明書の交付義務(第6項)、申込みの報告義務(第8項)、定期報告義務(第9項)。これらを外す特約を結んでも、法律上は無効です。「レインズには載せないでおきましょう」と提案されたら、その時点で警戒してください。

囲い込みは、条文にそのまま当たります 申込みを売主に伝えない 34条の2第8項。すべての媒介 報告義務違反 受付状況を事実と違う状態に 施行規則15条の11第2号 登録義務違反 取引の公正を害する行為 宅地建物取引業法65条1項2号 指示処分へ 「他社に紹介しない」特約 34条の2第10項 特約は無効 グレーではありません。条文にそう書いてあります

売主が自分で確かめる3つの方法

ここが実用的なところです。疑う必要はありませんが、確かめる手段は持っておいてください。いずれも業者の義務なので、頼み込む必要はありません。

方法1:登録証明書を受け取る(法34条の2 第6項)

前項の規定による登録をした宅地建物取引業者は、第五十条の六に規定する登録を証する書面を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。

専任媒介・専属専任媒介を結んだら、レインズの登録証明書が必ず手元に来ます。来ない場合は、登録していないか、渡していないかのどちらかです。まずこれを確認してください。

そして2025年1月から、この登録証明書に二次元コードを載せる改修が行われると通知されています。国土交通省不動産・建設経済局不動産業課の事務連絡(令和6年12月24日)に、「売主が確認画面にアクセスしやすくなるよう、登録証明書に二次元コードを掲載するよう改修」と書かれています。売主が自分でレインズの登録内容を見られるようにする、という趣旨です。手元の登録証明書に二次元コードが見当たらない場合は、担当者に確認画面の入り方を聞いてください。

方法2:取引状況(ステータス)を自分の目で見る

登録証明書から入れる確認画面で、取引状況がどうなっているかを見てください。「公開中」以外の状態になっているなら、その理由を業者に確認する理由があります。

同じ事務連絡には、宅建業者に対して「依頼者に対して、レインズシステムのステータス管理機能を通じて依頼物件の取引の状況等の登録内容を確認することを特に注意喚起すること」と書かれています。売主に見てもらうことが前提の制度になっています。

方法3:定期報告を書面でもらう(法34条の2 第9項)

専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は、前項に定めるもののほか、依頼者に対し、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を二週間に一回以上(依頼者が当該宅地建物取引業者が探索した相手方以外の者と売買又は交換の契約を締結することができない旨の特約を含む専任媒介契約にあつては、一週間に一回以上)報告しなければならない。

契約の種類 レインズ登録の期限 報告の頻度
専属専任媒介 5日以内(休業日は算入しない) 1週間に1回以上
専任媒介 7日以内(休業日は算入しない) 2週間に1回以上
一般媒介 義務なし 義務なし

出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第5項・第9項、同施行規則 第15条の10(e-Govで2026年8月16日確認)。「休業日数は算入しない」は施行規則第15条の10第2項

報告は口頭でも法律上は足りますが、書面かメールでもらってください。記録が残っていれば、あとから経過を検証できます。「問い合わせ件数」と「内見件数」を毎回入れてもらうよう、契約時に伝えておくのが有効です。問い合わせがあるのに内見がゼロ、という状態が続くなら、そこは説明を求める場面です。

専任なら、この順で確かめられます 契約から5日・7日 登録証明書が届く。休業日は数えない 1週間・2週間に1回 定期報告。件数を入れてもらう 申込みがあったとき 遅滞なく報告。すべての媒介契約 いつでも レインズの取引状況を自分で見る

「囲い込みが怖いから一般媒介」は、半分間違いです

ここは意外に思われるかもしれません。当サイトが条文を読んで確認した内容です。

レインズへの登録義務を定めた条文は、こう始まります。

宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、(中略)指定流通機構に登録しなければならない。

出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第5項(e-Govで2026年8月16日確認。強調は当サイト)

一般媒介契約は対象外です。そして第6項の登録証明書の交付義務は「前項の規定による登録をした」業者にかかるものなので、登録しなければ証明書も出ません。第9項の定期報告義務も「専任媒介契約を締結した宅地建物取引業者は」と限定されています。

売主が使える監視手段 専任・専属専任 一般媒介
レインズに必ず載る ○(法34条の2第5項) ×
登録証明書が手元に来る ○(同第6項) ×
定期報告が来る ○(同第9項) ×
申込みがあったら報告される ○(同第8項) ○(同第8項)

一般媒介で残るのは、申込みの報告義務だけです。そして「申込みがあったかどうか」は、売主には確かめようがありません。つまり一般媒介は、囲い込みを防ぐどころか、検証手段を3つ失う選択でもあります。

一般媒介にすると、監視手段を3つ手放します 専任・専属専任 レインズに載る 登録証明書が届く 定期報告が来る 申込みも報告される 一般媒介 登録の義務なし 証明書も出ません 定期報告もなし 申込みの報告だけ 一般媒介の利点は監視ではなく、競争があることです

もちろん一般媒介には別の利点があります。複数社に同時に依頼できるので、1社が動かなくても他社が動くという構造そのものが抑止になります。ただしそれは「監視できるから安全」なのではなく「競争があるから動く」という別の理屈です。混同しないでください。

媒介契約の選び方そのものは、不動産一括査定サイトの比較で会社を選ぶ段階から考えることになります。

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売る以外の出口を持っていると、囲い込みに強くなります

囲い込みが効くのは、売主に「この会社で売るしかない」と思わせられるときです。貸す・活用するという別の出口の数字を持っていれば、担当者の言い値で待たされる理由がなくなります。

①一括で複数社に依頼する形です。1社だけ選ぶと提案書は届きません。成果条件がそう決められています。
②地域や物件の条件によっては、提案できる会社が見つからないことがあります。その場合は提案書が届きません。
③届くのは「提案書」であって、売れる価格でも確定した金額でもありません。
④申し込むと、各社から連絡が入ります。連絡の受け方を先に決めておいてください。
⑤すでに方針が決まっているなら、請求しなくてかまいません。迷っている段階の材料です。

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契約前に確認する4つのこと

確認すること なぜ
レインズの登録証明書をいつ渡してもらえるか 専任なら7日、専属専任なら5日(休業日を除く)が期限。この場で答えられない会社は避ける
定期報告に「問い合わせ件数」と「内見件数」を入れてもらえるか 法律は「業務の処理状況」としか定めていない。中身は契約時に決められる
他社から問い合わせが来たとき、どう対応するか この質問への反応そのものが情報になる。言葉を濁す会社は候補から外す
両手取引になった場合にどう扱うか 両手自体は違法ではない。ただし「両手を狙って他社を断る」ことが問題。事前に釘を刺しておく

ここまで確認しても、囲い込みを完全に防ぐことはできません。できるのは「やりにくい相手だと思われること」と「あとから検証できる状態を作ること」です。それでも、何も知らずに任せるのとは、まったく別の結果になります。

よくある質問

ここは「気づき方」と「条文がどこまでつながっているか」を書きます。疑う必要はありませんが、確かめる手段は全部そろっています。

Q. 囲い込まれているかもしれない、と思うのはどんなときですか。

A. 1つだけでは判断できません。ですが、いくつも重なったら説明を求めてよい場面です。

サイン どう確かめるか
登録証明書が来ない 専任なら7日、専属専任なら5日(休業日を除く)が登録の期限です。来ないなら、登録していないか、渡していないかのどちらかです
レインズの取引状況が「公開中」以外になっている 登録証明書から入れる確認画面で、自分の目で見られます
定期報告に、問い合わせ件数と内見件数が書かれていない 法律は「業務の処理状況」としか定めていません。中身は契約時に決められます。入れてもらってください
問い合わせはあるのに、内見がずっとゼロ 報告に件数が入っていれば、この矛盾に気づけます
大手のポータルサイトを検索しても、自分の家が出てこない 広告の出し方は会社ごとに違うので即断はできませんが、聞く理由にはなります
「レインズには載せないでおきましょう」と提案された これは、その場で警戒してください。次の質問で条文を示します

いちばん確実なのは、レインズの取引状況を自分で見ることです。国土交通省の事務連絡(令和6年12月24日)にも、宅建業者に対して「依頼者に対して、レインズシステムのステータス管理機能を通じて依頼物件の取引の状況等の登録内容を確認することを特に注意喚起すること」と書かれています。売主に見てもらうことが前提の制度です。遠慮する必要はありません。

Q. 「レインズに載せない」と決めた場合、その約束は有効ですか。

A. 無効です。条文にそう書いてあります。

第三項から第六項まで及び前二項の規定に反する特約は、無効とする。

出典:宅地建物取引業法 第34条の2 第10項(e-Gov法令検索で条文を確認/2026年8月16日)

ここで無効になるのは、次の4つを外す特約です。

条文 義務
34条の2 第5項 レインズへの登録(専任・専属専任)
34条の2 第6項 登録証明書の交付
34条の2 第8項 申込みがあったときの報告(すべての媒介契約)
34条の2 第9項 定期報告(専任・専属専任)

つまり、売主が「載せなくていいですよ」と言ったとしても、その合意に効力はありません。提案してくる会社は、その時点で候補から外して構いません。

Q. 両手取引そのものが悪いのですか。

A. 違います。売主と買主の両方から手数料を受け取ること自体は、日本では合法です。結果として同じ会社が両方を担当することは、普通に起こります。

問題なのは、両手にするために他社の買主を排除することです。3,000万円の物件なら、片方だけで105万6,000円、両方取れれば211万2,000円。1件で100万円以上変わるので、動機としては十分に強い。「両手を狙って他社を断る」ことが問題なのであって、両手そのものではありません。

契約前に、こう伝えておいてください。
「両手になること自体は構いません。ただ、他社から問い合わせが来たときは、必ず内容と結果を報告してください」
この一言があると、あとで報告を求める根拠になります。

Q. 囲い込みは、指示処分どまりですか。

A. いいえ。条文の階段は、免許の取消しまでつながっています。ここは本文で書ききれなかったので、条文を並べます。

条文 何が起きるか
1 65条1項2号 業務に関し取引の公正を害する行為をしたとき→ 必要な指示(指示処分)
2 65条2項3号 その指示に従わないとき→ 1年以内の期間を定めた業務の全部または一部の停止
3 65条2項5号 宅地建物取引業に関し不正または著しく不当な行為をしたとき→ 同じく業務停止
4 66条1項9号 65条2項各号に該当し情状が特に重いとき、または業務停止処分に違反したとき→ 免許を「取り消さなければならない」

出典:宅地建物取引業法 65条・66条(e-Gov法令検索で条文を確認/2026年8月16日)

66条1項は「取り消すことができる」ではなく「取り消さなければならない」と書かれています。要件を満たせば、行政に裁量はありません。免許が取り消されれば、その会社は宅地建物取引業を営めなくなります。この階段の存在自体が、いちばん強い抑止力です。

ただし、正直に書いておきます

囲い込みを理由とした監督処分が、実際に何件あったのかは確認できませんでした。公表されている処分事例から「囲い込み」だけを抽出した統計が見つからないからです。ここで示したのは「処分に届く条文の道筋がある」ことであって、「よく処分されている」という意味ではありません。

Q. 囲い込みを疑ったら、どこに相談すればいいですか。

A. 免許を出している行政庁です。相談先は、免許番号を見れば分かります。

免許番号の形 相談先
「東京都知事(3)第◯◯号」のように都道府県名で始まる その都道府県の宅建業の担当課(1つの都道府県だけに事務所がある会社)
「国土交通大臣(2)第◯◯号」 国土交通省(地方整備局)(複数の都道府県に事務所がある会社)

行く前に、これを揃えてください

揃えるもの
1 媒介契約書(種類と期間、報酬額が分かります)
2 レインズの登録証明書
3 取引状況の確認画面(日付が分かる形で保存しておく)
4 定期報告のやり取り(書面・メール。口頭しかない場合は、その旨も伝えてください)
5 他社から「断られた」と聞いた場合は、その日付と内容

あわせて、その会社の行政処分の履歴も見ておいてください。国土交通省が「宅地建物取引業者検索システム」を公開していて、免許情報と行政処分の履歴を調べられます(2026年8月16日確認)。

Q. 専属専任と専任は、どちらが囲い込まれやすいですか。

A. どちらも1社に絞る契約なので、動機の点では同じです。ただし監視の材料は、専属専任のほうが多くなります。

レインズ登録の期限 報告の頻度 自分で買主を見つけたら
専属専任媒介 5日以内(休業日は算入しない) 1週間に1回以上 その業者を通す必要があります
専任媒介 7日以内(休業日は算入しない) 2週間に1回以上 自分で契約できます
一般媒介 義務なし 義務なし 自分で契約できます

出典:宅地建物取引業法 34条の2 第5項・第9項、同施行規則 第15条の10(e-Gov法令検索で条文を確認/2026年8月16日)

Q. 囲い込みが怖いので、一般媒介にしようと思います。

A. 半分は正しく、半分は逆効果です。一般媒介にすると、売主が使える監視手段が3つ消えます。

売主が使える監視手段 専任・専属専任 一般媒介
レインズに必ず載る ○(34条の2第5項) ×
登録証明書が手元に来る ○(同第6項) ×
定期報告が来る ○(同第9項) ×
申込みがあったら報告される ○(同第8項) ○(同第8項)

一般媒介で残るのは、申込みの報告義務だけです。そして「申込みがあったかどうか」は、売主には確かめようがありません。

それでも一般媒介には別の利点があります

複数社に同時に依頼できるので、1社が動かなくても他社が動く。この構造そのものが抑止になります。ただしそれは「監視できるから安全」なのではなく「競争があるから動く」という別の理屈です。混同しないでください。

どちらを選ぶにしても、決め手は契約の種類より会社です。選び方は一括査定サイトの比較に、営業電話が気になる方は一括査定の営業電話と、その止め方にあります。

Q. 媒介契約は途中で解除できますか。

A. 途中解除は契約書の定めによります。ただし、専任媒介契約は最長でも3か月です。

条文 内容
34条の2 第3項 専任媒介契約の有効期間は3か月を超えることができません。それより長い期間を定めても3か月になります
34条の2 第4項 更新は自動ではなく、依頼者の申出によるものです

つまり、何もしなければ3か月で切れます。「更新しますか」と聞かれたときが、いちばん自然な見直しのタイミングです。その場で、この3か月の問い合わせ件数と内見件数を出してもらってください。説明できない会社と、もう3か月組む必要はありません。

Q. 相続した実家でも同じことが起きますか。

A. 起こりえます。むしろ相続した実家のほうが、検証しにくい事情があります。

相続した実家に多い事情 何が起きるか
遠方に住んでいる 現地の様子を見に行けません。看板が出ているかも分かりません
売り急いでいない 期間が延びても違和感を持ちにくく、気づくのが遅れます
共有名義 報告が1人にしか届かず、兄弟の間で情報が食い違います

だからこそ、登録証明書と定期報告を必ず手元に置いてください。共有なら、報告を全員に転送する運用にしておくと、あとで揉めません。売却全体の流れは実家じまい完全ガイドにまとめています。

Q. 囲い込みのせいで安く売れてしまったら、あとから取り戻せますか。

A. ここは、正直に書きます。あとから取り戻すのは、簡単ではありません。

実際のところ
免許行政庁への申出 業者を処分するための仕組みであって、あなたにお金が戻る制度ではありません
損害賠償の請求 個別の事案によります。ただし「囲い込みがなければいくらで売れたはずか」を示すのは簡単ではありません。当サイトでは、囲い込みを理由に賠償が認められた裁判例を確認できていません

だから、この記事は「あとで争う方法」ではなく「先に手を打つ方法」を書いています。

できることは2つです。①「やりにくい相手だ」と思われること。②あとから検証できる状態を作っておくこと。登録証明書を受け取る、取引状況を自分で見る、報告を書面でもらう。この3つは、どれも業者の義務であって、頼み事ではありません。

そして、いちばん効くのは会社選びです。「他社から問い合わせが来たら、どうしますか」——この質問への反応そのものが情報になります。言葉を濁す会社は、契約する前に候補から外してください。

会社の選び方を見る仲介と買取の差額を見るまず自分で相場を調べる


この記事で確認できなかったこと

  • 囲い込みを理由とした監督処分の実績件数。公表されている処分事例から「囲い込み」を抽出した統計は見つかりませんでした。本記事は「処分に届く条文の道筋がある」ことを示したもので、実際に処分が行われた件数を示すものではありません。
  • 囲い込みが起きている割合。民間調査はありますが、調査手法と母集団を確認できなかったため引用しません。
  • 施行規則第15条の11第二号(取引の申込みの受付に関する状況)がいつ追加されたか。2025年1月からの改正で追加されたとする解説が多くありますが、改正附則の原文を確認できていないため、当サイトでは現行条文にこの規定があることのみを示します。
  • 登録証明書の二次元コードの実物。国土交通省の事務連絡(令和6年12月24日)の記載により確認したもので、実物は見ていません。

この記事は法令の内容を整理したものであり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な対応については、免許行政庁または弁護士にご相談ください。

実家のある場所 申し込める窓口
東京・神奈川・大阪・兵庫 ノムコムのみ
岐阜(岐阜市)/静岡(浜松市)/福岡(福岡市・太宰府市)/熊本(熊本市・合志市) ナカジツのみ
愛知 名古屋市は両方。名古屋市以外はナカジツ(県内22店舗)
千葉・埼玉 両方。ナカジツは船橋・千葉・市川・松戸・柏/川口・草加
上記以外の道府県 どちらも対象外です。申し込んでも査定は返ってきません
ナカジツの店舗所在地は同社の店舗一覧(2026年8月19日確認・全40店舗)、ノムコムの営業エリアは野村不動産ソリューションズの店舗案内(2026年8月17日確認)で確認しました。県が合っていても、店舗から遠い市町村は受け付けられないことがあります。

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愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本の実家なら、もう1社あります

不動産SHOPナカジツは、40店舗すべてを直営で運営している会社です。そのうち39店舗が、上の表の7県にあります(残る1店舗は東京都小平市ですが、査定の受付エリアに東京は入っていません)。ノムコムが対応していない岐阜・静岡・福岡・熊本と、名古屋市以外の愛知県は、こちらなら受け付けられます。仲介・買取・買取保証付き仲介・任意売却・リースバックの5つの売り方を自社で扱っているので、「囲い込まれても困らない売り方があるか」を、契約の前に1社の中で聞けます。

申し込む前に、4つだけ確認してください。①対応しているのは上の表の市区町村とその周辺だけです。県が合っていても、店舗から遠い地域は受け付けられないことがあります。②申し込むと30日以内に電話またはメールで連絡が入り、物件の状況を聞かれます。所在地・築年数・間取りを答えられるようにしておくと早く終わります。③申し込めるのは名義人か、そのご親族だけです。相続した実家なら、相続人であるあなたが申し込めます。名義人と関係のない方からの問い合わせは受け付けられません。④売却を考えていない相談は対象外です。迷っている段階なら「まだ決めていませんが、金額を知りたい」と伝えてください。

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査定を出したあとは、媒介契約の種類を決める段階です。この記事で書いたレインズの登録証明書の確認と、仲介と買取の違いを、契約書に判を押す前に済ませておいてください。

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囲い込みへの最も現実的な対抗手段は、契約前に会社を比べておくことです。「他社から問い合わせが来たらどうしますか」という質問に、どう答えるか。その反応を見るには、少なくとも比較対象が必要になります。ノムコムは一括ではなく1社への依頼なので、連絡が来るのも1社だけです。

先に、場所の確認をしてください。ノムコムを運営する野村不動産ソリューションズの店舗は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)・関西(大阪・兵庫)・名古屋にしかありません(同社の店舗案内で確認/2026年8月17日)。それ以外の地域にある実家は、査定を申し込んでも「営業エリア外」と表示され、受け付けられません。対象の地域から外れる方は、この先のリンクは飛ばしてください。申し込んでも査定は返ってきません。愛知・岐阜・静岡・千葉・埼玉・福岡・熊本に実家がある方は、上のナカジツが受け付けられます。

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査定額は「売れる価格」ではありません。そして査定額がいちばん高い会社を選ぶことは、囲い込みのリスクを下げません。根拠を説明できるかで選んでください。複数社を比べたい方は一括査定サイトの比較、電話が気になる方は営業電話の止め方へ。

実家が11都府県の外にある方へ

囲い込みを避けるために会社を選ぶという話は、そもそも査定を受けられる地域でないと成立しません。エリア外の住所で申し込むと「営業エリア外」で弾かれ、査定は返ってきません。地方にある実家は、売る前に次の3つを先に確認したほうが、結果が変わります。

  • 全国501自治体の解体補助金データベース——実家のある市区町村に解体補助があるかを、公式ページで1件ずつ確認してまとめたものです。金額が公表されていた216自治体の中央値は50万円。申請は工事の契約・着工より前でないと、原則として通りません。
  • 実家の解体費用の相場——木造30坪で150万円前後です。ただし解体して更地にすると、土地の固定資産税が3〜4倍になります。壊す前に、売り先の見通しを立ててください。
  • 実家の売却相場を自分で調べる3つの方法——地方でも使えます。地元の不動産会社にあたる前に、自分の数字を持っておいてください。

この3つは全国どこでも使えます。上の査定が使えない地域の方は、こちらから進んでください。

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